転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4058話

 オルガと会った翌日、俺の姿はUC世界にあった。

 正確には、ホワイトスターに一度立ち寄り、レモンにナノマシンについての研究を頼んでからUC世界にやって来たのだが。

 

「それで、アクト・ザクの様子はどうだ?」

「かなり性能が高いですね。ただ、バーニィ以外の者に乗りこなせるかと言われると……相応の技量が必要になります。ただ、そのような技量を持つ者が乗るのなら。ギャン・クリーガーの方が性能は高いので……」

 

 ペズンでシュタイナーが俺の言葉にそう返す。

 以前ペズンに来た時……水天の涙作戦の一件だったか? その時には既にバーニィはアクト・ザクのテストをしていた。

 今はそこから1歩進んで、他のパイロットにもアクト・ザクを操縦させてるらしいが、上手くいかないらしい。

 

「エース級は無理に乗る価値はなくて、一般のパイロットはガルバルディβの方がいいか」

 

 ガルバルディβ……正確にはガルバルディαなんだが、それもまたペズン計画で開発されたMSだ。

 簡単に言えば、ガルバルディ系はギャンとゲルググの良いところ取りのMS。

 アクト・ザクは、マグネットコーティングをジオン系で初めて採用したMSだ。

 より正確には、連邦系の関節駆動方式のフィールドモーターを採用したMSか。

 そういう意味では、双方共に似ているMSなのだが、ルナ・ジオン軍で採用されたのは、ガルバルディβだった。

 当初はガルバルディβもまた、操作性がそれなりにピーキーで、ある程度MSに乗り慣れているのならともかく、新兵やまだMSの操縦にそこまで慣れていないパイロットには扱いにくいMSだったらしい。

 それで改修を重ね、操縦のしやすい機体になったとか。

 アクト・ザクとガルバルディβ……どちらも汎用型のMSでペズン計画の機体であるにも関わらず、何故このような状況になったか。

 端的に言えば、やはりアクト・ザクはその名の通りザク系のMSだからというのが大きい。

 ルナ・ジオンにしてみれば、ジオン軍……より正確にはジオン公国軍というのは、敵対した相手だ。

 セイラ……アルテイシアの一件であったり、シーマの一件だったり。

 そしてザクというのは、そんなジオン軍の象徴とも呼べるMSだ。

 それによって、アクト・ザクよりもガルバルディβの方が主力MSとして採用されたのだろう。

 もっとも、アプサラスではザクの頭部を使っているし、同じような意味ではルナ・ジオン軍で採用されているグワジン級やドロス級の戦艦がある。

 そう考えると、アクト・ザクがルナ・ジオン軍で採用されなかったのは、ある意味で運が悪かったということなのだろう。

 

「そうなると、いっそバーニィのカスタム機として使うのがいいのか?」

「それしかないでしょうな。どういう訳か、バーニィの奴はザク系のMSだと動きが良いですし。……一体、何であんな風になったのやら」

 

 大きく息を吐き、シュタイナーは帽子の上から頭を掻く。

 正直なところ、俺もそれは疑問だ。

 MAに比べてMSの操縦が得意だというのなら分かる。

 あるいは戦闘機が軍艦の操縦と比べてMSの操縦が得意だというのも。

 だが、同じMSなのにザク系とそれ以外とで操縦技術がここまで大きく違うというのは……多分、何らかの特殊能力だと思うんだが。

 以前はあった、他人のステータスを見る事が出来る能力。

 それを今も使えれば、恐らくバーニィのステータスにはザク特化とか、そういうスキルがありそうな気がする。

 

「まぁ、そうなってしまったのは仕方がない。それに、アクト・ザクを改修する為の技術的な蓄積とかも、ルナ・ジオンにとっては財産の1つになるだろうし。それより、次期主力機の方はどうなっている?」

 

 このペズンのMS関係では、別にアクト・ザクについてだけを研究している訳ではない。

 寧ろアクト・ザクはおまけのような存在ですらあった。

 

「少し難しいですね。月のディアナとも頻繁にやり取りをしているようですが……当初の予定通りのMSにするには、技術的なブレイクスルーが必要だという事です」

 

 技術的なブレイクスルーか。

 UC世界において、MSというのはまだ出来たばかりの兵器だ。

 次々に新しい技術が生み出されている以上、技術的なブレイクスルーというのはそう珍しくないのかもしれないな。

 

「まぁ、話は分かった。なら、急いで新型量産MSの開発を進めるんじゃなくて、基礎技術を重視してくれ」

 

 何をするにしても。基礎というのは重要なのだ。

 技術的なブレイクスルーが起きても、基礎技術があるのとないのとでは大きく違う。

 そういう意味でも、ここはやはりしっかりと基礎技術を上げた方がいい。

 幸い……と言ってもいいかどうかは微妙だが、ディアナには多くの技術者がいる。

 基礎技術の発展を行うには、決して悪くない環境だろう。

 基礎技術を疎かにして、最新技術だけを求めた場合……最初のうちはよくても、いずれ技術力不足で頭打ちとなってもおかしくはない。

 そういう時に重要なのが、基礎技術なのだ。

 いや、技術に限らずに基礎というのは重要だ。

 シュタイナーもそれは分かっているのか、俺の言葉に頷く。

 

「そうですな。その辺については向こうも考えているでしょうが、一応報告しておきましょう。……さて、ではまず部屋……というか、誰も使っていない格納庫ですな」

「ああ、頼む。これからはそこに転移してくる事になると思うから」

 

 その言葉に、シュタイナーは一瞬だけだが微妙な表情になる。

 無理もないか。シュタイナーは基本的にずっとペズンだし。

 これがクレイドルにいるのなら、ファブニールで木星に転移するのとか見る機会もあるかもしれないが……ペズンだと、システムXNを見たりする機会は基本的にない。

 そんな中で、こうしてニーズヘッグでシステムXNを使ってペズンに用意された格納庫に転移してくるといった事をするのだから、微妙な表情になってもおかしくはない。

 もっとも、そういうの……つまり、ピンポイントで殆ど誤差も出さずに狙った場所に転移が出来るのは、ニーズヘッグに搭載されているのがオリジナルのシステムXNであるアギュイエウスだからというのが大きい。

 ともあれ、そんな訳で俺はシュタイナーによって格納庫に案内される。

 その格納庫の前には量産型Wとコバッタがそれぞれ複数配置されていた。

 ニーズヘッグが間違いなくここに転移してくる以上、何か妙な仕掛けをされないようにだろう。

 これがフィフス・ルナであれば、このような事は出来ない。

 だが、ここはルナ・ジオンの有する小惑星基地ペズンだ。

 このくらいの事は容易に出来るのだろう。

 

「ここです。……私は中に入る事が出来ませんので、ここで待ってます」

「悪いな」

 

 シュタイナーはこのペズンにおいてそれなりに上の立場だ。

 そんなシュタイナーでも、この格納庫に中に入るのは許されていないらしい。

 シュタイナーが何かをするとは思えない。

 思えないが、それでもシュタイナーが気が付かないうちに何かを仕掛けられる、あるいはシュタイナーを利用して何かをするといった可能性は十分にある。

 だからこそシュタイナーも格納庫の中に入れないようにされているのだろう。

 シュタイナー自身もそれが分かっているので、自分が格納庫に入れなくても、不満を抱いた様子はない。

 シュタイナーをその場に残し、俺は格納庫に近付く。

 すると量産型Wとバッタは素直に道を空ける。

 俺の事を理解しているからこその行動だ。

 そうして開いた扉から格納庫の中に入ると……

 

「まぁ、当然だよな」

 

 格納庫の中には何もなかった。

 ここはあくまでも俺がニーズヘッグで転移してくる場所だ。

 そうである以上、例えば整備に使う機械とか、そういうのは別に必要ない。

 寧ろ、そういう機械に何かを仕掛けられるかもしれないと思えば、そういうのがあった方が危険だろう。

 

「念の為」

 

 そう呟くと、空間倉庫からスライムを……正確にはその一部を取り出す。

 そして格納庫の壁、床、天井……あらゆる場所を調査する。

 当然のように何もない。

 よかった。もしこの状況で何かがあったら、ペズンの誰か……それもこの一件に絡んでいる誰かが買収されているのか、もしくは連邦とかに俺の情報を売って稼ごうと考えていると判断するしかなかったのだから。

 そうして格納庫の中を十分にチェックしてから外に出て、シュタイナーと合流する。

 

「どうでしたか、格納庫は?」

「こっちの注文通り、何も問題はなかった」

「苦労した甲斐がありました。……それで、これからすぐにフィフス・ルナに?」

「ああ、そうなる。向こうでも顔合わせをする必要があるし。……っと、そうだった」

 

 シュタイナーと話しながら、指を鳴らす。

 同時に俺の姿が白炎に包まれ、次の瞬間にはいつもの20代の姿から10代半ばの姿に変わっていた。

 

「……これは、また……」

 

 シュタイナーの口から漏れ出る驚きの声。

 シュタイナーにしてみれば、今の一連の俺の動きが完全に予想外だったのだろう。

 もっとも、俺が魔法を使えるのは知ってるので、その一種だと判断したのかもしれないが。

 ……いっそ、混沌精霊としての能力ではなく、年齢詐称薬でも使うか?

 一瞬そう思ったが、結果は変わらないだろうし止めておく。

 ああ、でも20代が30代とか40代くらいの外見になるという意味では、悪くないのか?

 テストパイロットをやるとなると……いやまぁ、既にルナ・ジオンからこの姿の俺がテストパイロットをやるとアナハイムには伝わってるだろうし、今更の問題か。

 

「ほら、行くぞ」

 

 驚きで呆けていけるシュタイナーにそう声を掛け、俺は移動するのだった。

 

 

 

 

 

「って、おい。何でこれがここに……」

 

 ペズンの宇宙港。

 そこに用意された、フィフス・ルナに向かう宇宙船を見て、俺の口からそんな声が出る。

 当然だろう。何故なら、宇宙港にあったのは本来ならこの世界には存在しない宇宙船……より正確には高速駆逐艦や高速巡洋艦とも称される、ナスカ級なのだから。

 SEED世界において、ザフトが使っているナスカ級が、何故UC世界にあるのか。

 ……あ、いや。でもこうして見ると、SEED世界のナスカ級と色々と違う場所もそれなりにあるな。

 

「あれ、知らなかったんですか? ディアナで開発……という表現はどうかと思いますが、シャドウミラーを経由して渡されたのを、この世界の技術で改修したのが、あのナスカ級です」

「……ナスカ級なのか」

 

 見た瞬間にナスカ級と言ってしまった俺もなんだが、SEED世界と同じナスカ級という名称なのは、後々面倒になると思うんだけどな。

 もっとも、それを承知の上でこうしてナスカ級と名付けたのかもしれないが。

 

「にしても、何だってナスカ級を?」

「戦艦についてはグワジン級やドロス級を使う……より正確にはそれをベースに発展させていくという事で決まったらしいですが、主力艦としてムサイ級やザンジバル級のような物ではなく、全く新しいのをという事らしいですね」

「それは……まぁ、納得出来ない訳でもないのか?」

 

 主力艦という事は、当然ながら多数生産される事になる軍艦だ。

 ムサイ級やザンジバル級は、決して悪い軍艦ではない。

 ないのだが、それでもディアナとしての技術力を主張する際には新型艦を作るべきだという考えになってもおかしくはない。

 なら、グワジン級やドロス級はどうなんだという事になるが、こちらは元々非常に完成度が高いしな。

 それと比べると、ムサイ級はMS運用艦としては初期に開発されたのだ。

 勿論、運用をしていく上で改修をしているのは間違いないし、それによって使いやすくなっているのも間違いないが……それでも言ってみれば、それは行き当たりばったりというのはちょっと言いすぎかもしれないが、そんな感じに近い。

 それならナスカ級を最初から開発し、UC世界に相応しい性能を持たせて1から開発する方がいいと、そのように考えたのだろう。

 ……何でナスカ級を? というのは疑問だったが、実際にナスカ級は決して悪い軍艦ではない。

 いや、寧ろ主力艦として使うのなら最善に近いだろう。

 名称に高速という言葉がつくように、高い機動力があるというのは大きい。

 それ以外にも、電磁カタパルトがあるのも大きいだろう。

 また、話を聞いた限りだと基本的にミノフスキークラフトを標準装備しているので、地球に降下さえすれば普通に地球でも運用可能らしい。

 

「そうなると、これからルナ・ジオン軍の主力艦はナスカ級になるのか?」

「そうなりますね。もっとも、このナスカ級は先行生産型ですから。これから色々と使って欠点を見つけては改修していく事になると思いますが」

「それでも1から作るよりはマシだろう?」

 

 SEED世界とUC世界では色々と違うところも多いが、それでもベースとなる技術は似通っている。

 もっともSEED世界のMSとUC世界のMSでは違うので、ナスカ級で運用をする上でも色々と違うようなことになってもおかしくはないのだが。

 

「そうですね。私はその辺はあまり詳しくないですが、ディアナとの通信であったり、ナスカ級に乗ってる者達の話を聞く限りではそういう事らしいですね。もっとも、船員はまだ運用に慣れていないところもあると聞きますが」

 

 シュタイナーのその言葉に、そうだろうなと頷くのだった。

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