転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4059話

 俺が乗ったナスカ級は、無事にフィフス・ルナの宇宙港に入る。

 ……ナスカ級はルナ・ジオン軍にしてみれば、最新鋭の主力艦だ。

 いや、このナスカ級が先行量産型という事であれば、より重要度は高いだろう。

 なのに、フィフス・ルナの宇宙港に入ってもいいのか?

 そう艦長に聞いたのだが、その辺は問題ないらしい。

 寧ろ、ルナ・ジオンにはこのような新型艦を開発出来る技術力があると、そう見せつけるべきだと判断したらしい。

 下手にナスカ級を見せつけると、それこそ連邦軍の強硬派を刺激するのでは?

 そう思ったのだが、艦長は手を回してるので問題ないと言っていた。

 具体的にどんな手を回したのか気になったが、それを聞けば余計に面倒な事になりそうだったので、止めておく。

 そんな訳で、俺はナスカ級から出る。

 隣には艦長の姿もあった。

 そして宇宙港には、連邦軍の士官とアナハイムのお偉いさん、それに40代くらいか? そのくらいの女と、20代の金髪の女がいた。

 こっちからは俺と艦長だけなのに、向こうはちょっと人数多すぎじゃないか?

 いやまぁ、ここがフィフス・ルナである以上は仕方がないのかもしれないが。

 

「ようこそ、アクセル中尉。……一応聞いておくが、君はシャドウミラーのアクセル代表とどのような?」

「他人のそら似だよ」

 

 10代半ばの姿になったものの、名前をどうするのか迷った。

 迷ったが……連邦には俺が外見の年齢を変えられるというのは知られていないので、これで押し通す事にしたのだ。

 アクセル・アルマー中尉。それが今の俺だ。

 同一人物である以上、10代半ばの俺と20代の俺ではどうしても顔が似通ってくる。

 連邦軍の士官も、20代の俺の姿は知ってるので、顔が似ていて、名前がアクセル・アルマーである以上、シャドウミラーのアクセルと何らかの関係があると予想するのは難しくはない。

 ……もっとも俺の言葉に頬をヒクリとさせたのは、俺の名前や外見が原因ではないのだろうが。

 

「私はこれでも少佐だ。例え所属が違っても、きちんと上官として接して貰いたいのだが?」

 

 それでも怒鳴りつけるような事をしなかったのは……なるほど、前もって聞いた通り、どうやらこの士官は連邦軍の中でも新月派とでも呼ぶべき相手なのだろう。

 これで強硬派ならもう少し話は違ったのだろうが……月に友好な相手を怒らせる必要もないか。

 

「失礼しました。見ての通りこの年齢で今回の話を持ってこられたので、緊張のあまり。改めて、アクセル・アルマー中尉です」

 

 そう言い、敬礼をする。

 それを見た士官は、呆れの視線を向けてくる。

 もっとも、それ以上は何かを言う様子はないが。

 ……無理もないか。

 ルナ・ジオン軍のMS隊にはエース級が多数いる。

 だが同時に、MSの操縦技術が高いのに比例してくせ者も多いのだ。

 そういう意味では、10代半ばというこの若さでガンダム開発計画の新型機のテストパイロットに抜擢されるというのは、色々とあるのだろう。

 

「はぁ。まぁ、いい。だが、フィフス・ルナの中には礼儀に厳しい者も多い。そのような相手に最初のような態度を取れば問題になるかもしれん。それだけは気を付けておくのだな」

 

 そう言うと、士官はアナハイムのお偉いさんと思しき相手に視線を向ける。

 

「では、オサリバン常務。私はこの辺で失礼します。……ガンダム開発計画、コーウェン中将の肝煎りの計画である以上、失敗は許されませんぞ」

「はっはっは。問題はありませんよ。こうして、月から凄腕のテストパイロットにも来て貰ったのですから」

「……なら、いいのですがね」

 

 そう言い、士官はナスカ級の艦長と共に立ち去る。

 えっと、ここに俺だけを残していくのはどうなんだ?

 そんな疑問を抱いていると、ふと視線を感じる。

 いや、視線というだけなら、オサリバンと名乗った男や中年の女からも向けられている。

 だが、若い女が俺を見る目は、明らかに納得出来ないといったものだった。

 

「さて、アクセル中尉。色々と話をしたい」

 

 そんな女の視線に気が付いているのか、いないのか、オサリバンは俺に向かってそんな風に言うのだった。

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 オサリバンの部屋の中にあるソファに俺は座る。

 そして俺の前には中年の女と、テーブルの上に何らかの飲み物が入ったコップを置いた女が座り、オサリバンは自分の執務机に座る。

 相変わらず若い女が俺に向ける視線には好意的な色はない。

 ……初対面、だよな?

 ここまで嫌われる理由はないと思うんだが。

 そう疑問を抱いていると、オサリバンが口を開く。

 

「では、まずは自己紹介から始めようか。私は常務のオサリバンだ」

 

 その言葉の後で真っ先に口を開いたのは、中年の女。

 

「クレナ・ハクセルです。ガンダム開発計画の全般を任されています」

 

 なるほど、そういう人物なら俺を出迎える面子に入っているのは不思議じゃないしな。

 そして次に……というか、最後に口を開いたのは金髪の女。

 顔立ちは間違いなく整っており、それこそ美人と称しても反対する者は誰もいないだろう。

 女優とかモデルだと言われても納得できるだけの美貌を持った女だ。

 ……唯一の難点が、そんな美貌を歪めるような、強い視線を俺に向け続けている事か。

 

「ニナ・パープルトンです。ガンダム開発計画において、試作1号機と2号機の専属エンジニアです。もっとも、試作2号機は第2研究事業部の開発なので、あくまでもエンジニアというだけですが」

 

 へぇ……つまり、技術者か。

 しかも今の話を聞く限りだと、試作1号機の設計にも本格的に関わっているって訳だ。

 そして試作2号機の方は開発には関わっていないが、エンジニアではあるらしい。

 これはちょっと意外だった。

 それこそ場合によっては、営業だとか秘書だとか、そういう者だと言われても納得は出来たんだが。

 となると、何となく俺に向けて厳しい視線を向けている理由が分かった気がするな。

 この女……ニナにしてみれば、俺の年齢が問題なのだろう。

 ガンダム開発計画で開発したMSの専属エンジニアということは、全てではないにしろ、そのMSを作るのにニナもかなりの労力を使った筈だ。

 そうしたMSである以上、テストパイロットの存在には強い興味を持つ筈だ。

 ましてや、ルナ・ジオン軍には青い巨星、黒い三連星、宇宙の蜉蝣、ソロモンの悪夢、荒野の迅雷といったような異名持ちのエースパイロットが数多くいる。

 純粋な異名持ちのエースとなると、ガルマの率いるジオン共和国よりも多い筈だ。

 俺が知ってる限りだと、ジオン共和国に残っている異名持ちは白狼のシン・マツナガだけだし。

 あるいは俺が知らないだけで他にも異名持ちがいる可能性はあるが。

 ともあれ、恐らくニナはそんなエースパイロットが来ると思っていたのだろう。

 あるいは異名持ちのエースパイロットではなくても、ベテランと呼ぶのに相応しい能力の持ち主か。

 そんな期待をしていた中でやって来たのが、外見は10代半ばの俺。

 これではニナが不満を抱いてもおかしくはなかった。

 とはいえ、それが分かったからといって、こっちも納得するかどうかとなると、また別の話だが。

 

「一応自己紹介はしたと思うけど。アクセル・アルマー中尉だ。色々と言われるが、シャドウミラーのアクセル代表とは関係がないとだけ覚えておいて欲しい」

 

 そんな俺の言葉が面白くない……というより、最初から俺を気に食わないので、恐らくは俺が何を言っても気に食わないのだろう。

 面白くなさそうな様子を見せる。

 

「さて、アクセル中尉。君は今回の一件の事情を知っていると思ってもいいのかね?」

 

 ニナの様子を気にした様子もなく、オサリバンがそう尋ねてくる。

 この辺りは常務という立場上、当然の事なのかもしれないが。

 

「分かっている。今回の報酬として、試作4号機をベースにしたMSを報酬として貰えるんだろう?」

「……そうだ」

 

 数秒黙ったのは、俺がいきなり試作4号機の一件について話したからか、それとも言葉遣いからか。

 とはいえ、アナハイムにしてみればルナ・ジオンというだけで自分達の上位の存在だ。

 月に本拠地を置く企業であれば、その辺は自然なことだろう。

 だからといって、俺のような外見の相手にこういう言葉遣いをされるのが面白くないと思ってもおかしくはないが。

 

「……何で……」

 

 ボソリ、とニナが小さく呟く声が聞こえてくる。

 とはいえ、それは口の中だけで呟かれた言葉で、俺が混沌精霊だからこそ聞き取れたのだろう。

 実際、オサリバンもクレナも声が聞こえていた様子はなかったし。

 いや、クレナの方は寧ろオサリバンの言葉に嬉しそうな様子すらある。

 何かあるのか?

 とはいえ、オサリバンのいる前でそれを言う様子がないという事は、今はまだ表沙汰に出来ない事なんだろうが。

 

「そうか、それは何よりだ。……ただし、それはあくまでも君が、アクセル中尉がテストパイロットとして相応しい能力を持っていて、それによってガンダム試作1号機とガンダム試作2号機の性能を完成した時よりも伸ばすことが出来たらの話だ」

「それは……俺には実力が足りないと?」

 

 オサリバンの意味ありげな言葉に、そう返す。

 

「その通りです」

 

 そんな俺の言葉に答えたのは、オサリバン……ではなく、ニナ。

 オサリバンの言葉を丁度いいと思ったのか、勢い込んだ様子で口を開く。

 

「MSの操縦というのは、当然ですが体力を使います。それにGに対抗する為にはしっかりと身体を鍛える必要もあるでしょう。けど……アクセル中尉は、見たところまだ10代半ばといったようにしか見えません。私のガ……いえ、私の開発したガンダムの性能を十分に引き出せるとは思えません」

 

 こいつ、今……私のガンダムと言おうとしなかったか?

 いやまぁ、専属のエンジニアである以上、そういう風に言う資格はあるのかもしれないが。

 それとなくクレナ……ニナの上司に視線を向けると、クレナと目が合う。

 だが、目が合った瞬間にそっと視線を逸らされた。

 それは今のニナの発言……私のガンダムと言いたそうになったのを、聞かなかった事にしたらしい。

 

「それで、どうなんです?」

「ん? 何がだ?」

 

 クレナの様子を見ていると、ニナがそう聞いてくる。

 そう返すと、ニナはヒクリを頬を動かす。

 だが、場所が場所だけに、怒鳴るような事はなく、自分を落ち着かせるようにしながら口を開く。

 

「貴方が本当にガンダム開発計画のテストパイロットとして相応しいかどうかです。ルナ・ジオン軍から来たという事は、宇宙でのMS戦闘についてはある程度自信があると思ってもいいのでしょうか?」

「そうだな。その辺については心配しなくてもいい。俺は自分の操縦技術に自信があるし」

「……オサリバン常務、MSのシミュレータを使わせて欲しいのですが」

 

 ニナがそう言うと、オサリバンは笑みを浮かべて頷く。

 

「構わんよ。私もアクセル中尉の実力には興味がある。何しろ、ルナ・ジオン軍が送ってきたテストパイロットだ。それも頻繁にペズンに戻るという条件をつけてまで。そうである以上、それだけの事をする実力があるのかどうかは私も見ておきたい」

 

 オサリバンの言葉で、俺がシミュレータを使う事は決定するのだった。

 

 

 

 

 

「っと」

 

 敵の攻撃を回避し、俺の操縦する宇宙用のジム・コマンドのビームライフルがドムの胴体を貫き、爆散する。

 その隙を突くかのように、ゲルググのビームライフルが撃たれるが、スラスターとAMBACを使うことで回避しつつ……AMBACに使った右手に持つビームライフルからビームが放たれ、ゲルググのコックピットを貫く。

 そこで最後に残ったザクがヒートホークを手に、こっちに突っ込んでくる。

 相手はCPUで人ではないのだが、それでも右肩のシールドを前にして、こちらの攻撃を防ごうとしている。

 普通こういう時は左肩のショルダーアーマーを使うのがらしいと思うんだが。

 そもそも、ザクのシールドはあくまでも実弾兵器を防ぐ為のものであって……

 バチュン、と。

 ジム・コマンドのビームライフルから放たれたビームは、ザクのシールドをあっさりと貫き、そのまま動力炉にも命中したのか、そのまま爆散したのだった。

 画面には俺の勝利を示すメッセージ。

 今の戦いで戦ったのは、ザクⅡが6機、ドムとゲルググがそれぞれ3機ずつという、合計12機のMSを相手にしての戦いだったが、結果として俺の操縦するジム・コマンドは1発の被弾もなく、相手を撃破した訳だ。

 シミュレータから出ると、そこには驚きの表情を浮かべている、オサリバン、クレナ、ニナ。

 それだけではなく、他にもシミュレータの回りには多くの者達が集まっていた。

 ……何だかニナの側には同じ制服を着ている美人が集まっているが、一体何がどういう集まりだ?

 普通にニナの友人という可能性もあるが……いや、同僚か?

 そんな風に思いつつ、俺はオサリバンの前まで移動する。

 

「俺の技量はこんな感じだけど、納得して貰えたか?」

「……ぐぬぅ……」

 

 オサリバンが何も言えなくなる。

 オサリバンにしてみれば、1対12という圧倒的な戦力差だったのだ。

 だというのに、こうもあっさりと俺が勝利するとは思っていなかったのだろう。

 だが……

 

「まだよ!」

 

 そんなニナの言葉が、周囲に響くのだった。

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