転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4060話

「ちょっ、ちょっとニナ。どうしたのよ。今のを見てもまだ納得出来ないってことはないでしょう?」

 

 俺のシミュレータを見て、ニナがまだ納得出来ないといった様子でまだだと叫んだのだが、そんなニナに近くにいた他の女……ニナと同じ制服を着ている女の一人が、慌てたようにそう言う。

 だが、ニナはそんな女に対し、興奮した様子で口を開く。

 

「だってポーラ、私が問題にしたのは操縦技術もだけど、彼の身体がまだ出来上がっていないからなのよ? シミュレータで操縦技術が高いのは分かったけど、実戦では対G能力や、体力、他にも色々な能力が必要になってくるでしょう?」

「それは……」

 

 ポーラと呼ばれた女……肩まで伸びている髪を持つ、大人びた美人は、ニナの意見に言葉に詰まる。

 まぁ、実際その考えは間違っていないしな。

 シミュレータはあくまでもシミュレータで、実機を使った模擬戦という訳ではない。

 そういう意味では、ニナの意見は正しい。

 そうなると……さて、どうしたものだろうな。

 折角ここにこれだけ人が集まってるんだし、そうである以上は俺の実力を見せつけておいた方が、これからのテストパイロットをするのにおいて、有利になる。

 それにオサリバンも言っていたが、俺がテストパイロットをする上で頻繁にペズンに戻る事になっている。

 普通に考えれば、ただのテストパイロットがそのような特別扱いを受けるのは決して好ましくないのだ。

 だからこそ、ここで俺が凄腕のMSパイロットであると見せつけ、ペズンに頻繁に戻るというのを考えた上でも、俺をテストパイロットに使うのは有益だと、そう認識させたい。

 

「分かった。なら、MSを使った模擬戦をやろう。とはいえ、模擬戦となるとこっちがやると思ってすぐに出来る訳ではないだろう? 俺が使うMSも必要だし。……ペズンからMSを持ってくるというのでも構わないけど、どうする? それに模擬戦の相手となると、今のシミュレータでの戦いを見て貰えば分かると思うが、1機や2機では敵にもならないぞ」

「……すぐに用意します! オサリバン常務、お願い出来ますか!?」

 

 仮にも常務を相手に、こうも強く言うのはどうなんだ?

 まぁ、ニナの性格はこれまでの短い間だけで十分に理解出来ている。

 ガンダムに関係する事でもなければ、恐らくは冷静なんだろうけど。

 何しろ、ニナはガンダム開発計画で開発されたガンダム2機の専任エンジニアだ。

 とてもではないが、有能でなければそのような立場にはなれないだろう。

 後はオサリバンがどのように反応する?

 そう思ったのだが、予想外な事にオサリバンは満面の笑みを浮かべてニナの言葉に頷く。

 

「そうだな。君の言いたい事も十分に理解出来る。MSの……それも最新鋭のMSのテストパイロットをやるのだ。そのMSの開発に大きく関わった人物の意見は聞くべきだろうし、彼女の言いたい事も理解出来る。……どうだろう? 私がMSと模擬戦の相手はすぐに用意するので、模擬戦をやって貰えないだろうか?」

 

 最後は俺にそう聞いてくるオサリバン。

 俺はその言葉に頷く。

 

「ああ、構わない。さっきも言ったが、俺の実力を証明するという意味では、ここでしっかりと見せておいた方がいいしな。それに……そこまでしないと、向こうは納得しなさそうだし」

 

 俺を睨み付けているニナに視線を向け、そう言う。

 

「……彼女は有能なのだけどね」

 

 クレナが少し困った様子でそう言う。

 クレナがガンダム開発計画の総合的な責任者という事らしいので、そんなクレナにしてみれば、ニナは有能だが扱いに困る……いや、有能だからこそ扱いに困る部下といったところか?

 ともあれ、そんな訳でオサリバンがMSや模擬戦の相手を用意するまで、俺は休憩する事になるのだった。

 

 

 

 

 

「ここがアクセル中尉の部屋となるわ。もっとも、アクセル中尉は頻繁にペズンに戻るという事だったから、あまり使う機会はないのかもしれないけど」

 

 クレナの言葉に部屋の中を見ると、そこは特別に豪華という訳でも、質素という訳でもない。

 それでも個室というのは、それなりに恵まれている方なのだろう。

 

「案内をしてくれたのは助かったが、何でクレナが俺を案内するんだ?」

「あら、こんなおばさんが相手だと嫌だった?」

 

 そう言うクレナは、別に本気でそのように言ってる訳ではないのだろう。

 実際、クレナも若い頃は美人だったのだろうと思える顔立ちだ。

 ……今も、自分よりかなり年上でないと駄目だという趣味の男がいれば、口説いてもおかしくはないだろう。

 

「別にそういうつもりで言った訳じゃない。実際、ニナに案内されても間違いなく面倒な事になっただろうし。……ただ、クレナはガンダム開発計画の中でもお偉いさんなんだろう? そんな人物がわざわざ俺を部屋に案内してくれるとは思わなかったし」

「そうね。……ただの親切で案内した訳じゃないわ。アクセル中尉とは少し話がしたかったの」

 

 一瞬、その言葉に言い寄られているのか? と思ったが、クレナの瞳にある真剣な色を見れば、俺が思ったような用事ではないのは明らかだった。

 

「話というのは?」

「そうね。まず最初に……今回の件で報酬として支払われる試作4号機。正確にはそれをベースにして開発するMSになるけど、その試作4号機は私が開発に関わったの」

「あー……それはまた」

 

 それはつまり、クレナの開発した試作4号機は、ニナの開発した試作1号機があるからということで、廃棄されたプランだった筈だ。

 試作2号機は核兵器を運用する為のMSだった筈なので、試作1号機で間違いないよな?

 そうなると、クレナは自分の部下によって自分の開発した試作4号機が日の目を当たる事がないまま、廃棄されることになってしまった訳で……うん。時折クレナがニナに向ける視線だったり、ニナがどことなくクレナに遠慮をしている様子というのは、つまりその辺りからの理由なのだろう。

 もっとも、強襲型のMSというのは俺にとっても興味深いのは間違いなく、そういう意味ではこの流れは俺にとって決して悪いものではないのだが。

 

「別にそれはいいのよ。0号機の事もあって、私はラビアンローズに左遷させられそうになったけど、その前に今回の話が持ち上がったから左遷は避けられたし」

「ラビアンローズ?」

 

 左遷となると、どこかの基地か?

 いや、クレナはアナハイムの人間だし、そうなると基地というのは少しおかしい。

 だとすれば……どこかの工場とかか?

 

「あら、知らないの? ラビアンローズというのは、ドック艦よ。外見が花の形をしてるから、ラビアンローズと呼ばれているの」

「そういうのがあるのか。……まぁ、あれば便利だよな」

 

 ドック艦というのがあれば、それはつまり基地とかに戻らなくても補給や整備が出来るという事になる。

 ……シャドウミラーの場合はシステムXNとかがあるからその辺は何とかなるが、ルナ・ジオンではその辺を研究させてもいいかもしれなないな。

 とはいえ、ペズンでシュタイナーから聞いた話によると、ディアナには艦船を作る部署もあるらしいけど、そこはいまいちらしいんだよな。

 実際、自分達で新しく主力艦をつくろうとして、結局ナスカ級を流用してるし。

 

「そうね。便利よ。クラブ・ワークスを率いていたのに、ドック艦の艦長になるなんて事がなければ、私もそう思ったでしょうね」

「クラブ・ワークス?」

「……アクセル中尉も見たでしょう? シミュレータが終わった後で、ニナ・パープルトンの側に同じ制服を着た人達がいたのを」

「あー……あれがクラブ・ワークスか」

 

 ニナやポーラとか呼ばれていた女。他にも多数の女達がいたな。

 方向性の違う者もいたが、全員が整った顔立ちをしていた。

 正直なところ、モデルとか秘書とか、そういう風に思っていたんだが。

 どうやらあの女達がニナを含めてクラブ・ワークスという……一種のチームらしい。

 

「ええ。もっとも全員という訳ではないのだけれど。それこそ1人は現在ラビアンローズに出向中なのだし」

「クレナの代わりにそいつがラビアンローズに行ったのか?」

 

 普通に考えれば、ドック艦の艦長になるというのは出世し……栄転といったように思える。

 ただ、クレナの様子を見る限りは左遷先という認識らしいし、クラブ・ワークスから1人派遣しているというのなら、クレナの代わりに艦長になったのではないかと思ったのだが……

 

「いえ、違うわ。アクセル中尉は試作3号機がどのようなコンセプトが知ってる?」

「試作3号機……確か、MA的な存在だったか?」

 

 MA的なガンダム。

 そう言われて俺がすぐに思い浮かんだのは、重装フルアーマーガンダム7号機だった。

 俺が1年戦争の時に使っていた、ガンダム7号機。

 このガンダムは連邦軍のFSWS計画を前提として開発された機体だった。

 FSWS計画というのは、簡単に言えば増加装甲を装備するというものだ。

 勿論ただ増加装甲を付けるのではなく、武装やスラスターも追加される。

 ガンダム7号機は、そんなFSWS計画でも2段階の強化が可能だった。

 まず1段階目がファーストアーマーを装備したフルアーマーガンダム7号機。

 そして2段階目がセカンドアーマーを装備した重装フルアーマーガンダム7号機。

 この重装フルアーマーガンダム7号機は、分類上はMSではあるものの、その実体はMAに近い。

 もっとも俺にしてみれば機動力は高いが運動性が低く、機体が大きいだけにデブリ帯とかを移動出来ないという意味でちょっと使いにくかったが。

 もっとも、それならそれらしい操縦をすればいいだけなのだが。

 水天の涙の時に俺が乗っていた、ゼロ・ジ・アールのように。

 使いようによっては、MAというのは非常に大きな効果を発揮する。

 それはルナ・ジオン軍のアプサラスや、ジオン軍のビグ・ザムを見た連邦軍にしてみれば明らかだろう。

 重装フルアーマーガンダム7号機のようなMA的な機体を開発するというのは、分からないでもなかった。

 

「ええ。とはいえ……アクセル中尉にテストパイロットをして貰うのは、基本的に試作1号機になるでしょう」

「……試作2号機の方はいいのか?」

「そちらもやって貰うつもりではいるけど、主になるのは試作1号機の方になるわね」

 

 クレナの様子を見る限り、何か相応の理由があるのだろう。

 ここで無理に話を聞こうとしても、意地になりそうなので止めておく。

 

「それで……試作4号機の件だけど、この機体は一度は廃棄されたのを、私が新たに開発し直した機体になるわ。強襲型というコンセプトは変わっていないけど……ガンダムとして渡すのは無理なので、この機体をベースにしたMSという事になるわ」

「それは知っているし、聞いている」

「でしょうね。話はここからよ。アクセル中尉は強襲型MSをどう思う?」

「それはどういう意味で言ってるんだ?」

「どういう意味も何も、単純に言えば使ってみたいか、使いやすいと思うか、将来性はあるか……そんな諸々についてどう思っているのか聞きたいの」

 

 なるほど、強襲用MSということでガンダム開発計画では廃棄されたコンセプトだ。

 クレナはその廃棄されたコンセプトの機体を実際に作った。

 だからこそ、俺が強襲用というコンセプトをどう思っているのか、それが気になるのだろう。

 

「そうだな。個人的には嫌いじゃない。寧ろ好みの機体だ」

 

 これは何も試作4号機を開発したクレナに対するお世辞とか、そういうのではない。

 純粋に、俺は強襲用のMSというのは気に入っている。

 俺の操縦スタイル的に、強襲型とは相性が良いんだよな。

 勿論、それ以外のMS……例えばガンタンクのように後方から援護射撃をするタイプのMSも使えない訳ではない。

 使えない訳ではないが、俺好みじゃないのは間違いのない事実だった。

 だからこそ、俺としては試作4号機……正確にはそれをベースとしたMSにはそれなりに期待しているのも事実だった。

 

「……そう、安心したわ」

 

 その言葉通り、クレナは安心した様子を見せる。

 どうやら俺が強襲用のMSを好むかどうか、気になっていたのだろう。

 

「ジオン軍だと、ケンプファーとかがそのタイプか」

 

 ヒクリ、と。

 クレナが何故かケンプファーの名前に反応する。

 あれ? 何でだ?

 クレナがケンプファーが気に入らないといった様子を見せているように思えるんだが……俺の気のせいか?

 そもそも、ケンプファーはジオン軍のMSなのは間違いないものの、終戦近くなってから開発が完了したMSだ。

 つまり、それだけ実戦に出た機体は少ないという事を意味している。

 クレナがどこかでケンプファーを見たというのは……あ、でもアナハイムはジオニック社を始めとして、ジオン公国の技術者を引き抜いているのだから、ケンプファーを知っていてもおかしくはない。

 おかしくはないが……それでも、何故嫌っているのかが分からない。

 外見が好みじゃなかったとか?

 俺としてはケンプファーの外見は結構好みなんだが。

 そんな風に思いつつ、どう話せばいいのか迷うのだった。

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