転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4062話

 パワード・ジムを一通り動かしたところで、俺はフィフス・ルナに戻る。

 そこで機体のチェックを簡単に行い、武器が装備される。

 ちなみにニナが用意した武器は、ペイント弾のマシンガンとビームサーベル、シールドといった標準的なものだった。

 てっきりビームライフルでも装備するのかと思ったが。

 パワード・ジムについて詳しいニナが選んだのだから、俺としてもこの武器については文句はない。

 

「それで、模擬戦の相手は?」

「フィフス・ルナに駐留する連邦軍の中でも、精鋭と呼ばれるMS小隊が3つよ」

「3小隊ってことは、9機か」

 

 基本的に今のMSは3機で1小隊となる。

 これはルナ・ジオン軍、連邦軍、ジオン軍いずれも代わらない。

 もっとも、それはあくまでも基本的になのだが。

 中には2機で1小隊だったり、4機で1小隊だったり……場合によっては、1機で1小隊となったりもする。

 ただ、それでも3機で1小隊というのが一般的なのは間違いのない事実だ。

 

「そうなるわ。それと今も言ったけど、このフィフス・ルナにいる連邦軍の中でも精鋭が揃っている小隊よ」

「それは構わないが、よく連邦軍の方でそういう連中を貸し出してくれたな」

 

 連邦軍にしてみれば、精鋭のMS小隊というのは非常に大きな意味を持つ存在だ。

 それだけに、模擬戦をやるから貸してくれと言われたからといって、すぐにはいそうですかと貸してくれたりはまずしない。

 なら、一体何でわざわざそんな精鋭を貸したのか。

 そう疑問に思うと、ニナは物憂げな様子で息を吐く。

 

「忘れたの? ガンダム開発計画は連邦軍肝煎りの計画なのよ。その成果を多少なりとも自分達で確認出来るのだから、精鋭を出してくるくらいはおかしくない話でしょう?」

 

 そう言われると、俺も納得するしかない。

 とはいえ、コーウェンが音頭を取っている計画である以上、コーウェン派の者達以外にしてみれば……いや、ガンダム開発計画はかなり大きな計画だ。

 コーウェン派ではなくても、噂くらいは聞いた事があってもおかしくはない。

 そして他の派閥であれば、余計にガンダム開発計画について興味を抱いてもおかしくはなかった。

 そしてパワード・ジムは試作1号機のパーツのテストの為に作られた機体だ。

 それだけを見ても、ガンダム開発計画の進展について大きな情報となるのは間違いないだろう。

 

「なるほど、話は分かった。とはいえ、この模擬戦で手加減をしたりはしないぞ?」

「分かってるわ。けど……いえ、何でもない。ただ、精鋭というのは決して間違いじゃないから、気を抜かない事ね」

「意外だな。俺を応援してくれるのか?」

 

 元々、この模擬戦はニナが俺の技量を信頼出来ないからというのが発端だった筈だ。

 シミュレータで結果を残しても、シミュレータではGとかがないから実戦とは違うと、そういう風に言ってきた。

 なのに、今の様子からするとニナは俺を応援しているようにすら思えたのだ。

 

「っ!? ば、馬鹿を言わないでちょうだい。アクセルが乗るパワード・ジムは、試作1号機のパーツの性能を確認する為に作られたMSよ。そうである以上、例え相手が精鋭だからといって、簡単に負けるようなことになったら困るのよ!」

 

 そう叫ぶニナ。

 顔を赤くしてるのは……まぁ、その辺については突っ込まない方がいいか。

 それに実際、連邦軍にしてみればここでガンダム開発計画の成果を少しでも見せて貰おうと、全力で挑んでくるのは目に見えているのだから。

 そうである以上、俺としてはそれに全力で応えるだけだ。

 ……いや、全力でというのは駄目か。

 言うまでもなく、このパワード・ジムも俺の本気の操縦には機体がついてこられない。

 ニーズヘッグ以外の機体では仕方がないので、MSの操縦についてはしっかりと手加減をして操縦する必要がある。

 とはいえ、UC世界のMSについてはそれなりに操縦してきたので、そういう意味ではパワード・ジムにそこまで負担を掛けないように操縦出来るだろうとは思う。

 

「安心しろ……というのはどうかと思うが、ニナにとって悪い結果にはならないから」

「それは、アクセルが負けてくれるのかしら?」

「いや、勝利する。そうすれば、ニナももう俺の技量を疑ったりは出来ないだろう? そういう意味で本当に悪くない結果だ」

「……いいわ、そこまで言うのならやってちょうだい。ただし、今のような大口を叩いたのよ。その上で負けたら……分かってるでしょうね?」

「それを言うのなら、俺が勝ったらどうする?」

「アクセルが勝ったら、そうね。何でも1つ言う事を聞いてあげるわ」

 

 いや……お前、それは……

 ニナの言葉に、何と言えばいいのか迷う。

 ニナは性格はともかく、外見だけで考えると間違いなく美人だ。

 そんなニナが、何でも言う事を聞くと言えば、そっち方面を考える者も多いだろう。

 

「……何よ?」

「世間知らずというか、男を知らないというか……よかったな、俺で」

「ちょっと、何よ。どういう事? 何で私が年下のアクセルにそんな風に言われないといけないのよ」

「そう言ってもな。ニナは男の事を分からなさすぎるし」

「だから、一体……」

 

 ニナが何かを言おうとしたところで、ポーラが姿を現す。

 

「ニナ、アクセル中尉、連邦軍の方は模擬戦の準備が出来たそうだけど……何をやってるの?」

 

 ポーラが呆れた様子で俺とニナを見てくる。

 いや、この場合俺は悪くないと思うんだが。

 とはいえ、それはニナもそう思ったらしく、ニナは俺を横目で睨みながらポーラに口を開く。

 

「ありがとう。こっちも準備は整ったから、すぐに出撃させるわ。ほら、アクセル」

「……何があったの?」

「ニナが男について詳しくないというのが分かっただけだよ」

「ああ、そういう」

「ちょっと、アクセル! ポーラも! 何を馬鹿な事を言ってるの!? 早く出撃準備をして頂戴!」

 

 俺とポーラの会話が聞こえたのか、ニナは苛立たしげに叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

『では……模擬戦を始めて下さい』

 

 連邦軍のオペレータの言葉で模擬戦が始まる。

 先程までは色々な注意をされていたのだが、それがようやく終わって模擬戦が始まった訳だ。

 さて……こっちは数が少ない以上、まずは敵の数を減らすのを優先させるか。

 模擬戦の戦場となったのは、フィフス・ルナから少し離れた場所にある宙域。

 それなりにスペースデブリとかもある、模擬戦をやるには丁度いい場所だ。

 そんな訳で、俺はまずパワード・ジムをデブリの近くに進める。

 このデブリはそれなりに有用だ。

 特に今回は模擬戦である以上、攻撃を防ぐ絶好の盾となるし、場合によっては武器にすらなる。

 もっとも、これは模擬戦だ。

 下手にデブリを相手の機体にぶつけたりすると、コックピットを潰して相手を殺してしまいかねないので、武器として使うのは止めた方がいいかもしれないな。

 

「さて」

 

 パワード・ジムのスラスターを使い、移動する。

 次の瞬間、パワード・ジムのいた場所をペイント弾が飛んでいった。

 そしてペイント弾の来た方に視線を向けると……そこにはジム・コマンド3機がいた。

 他の6機は?

 そう思ったが、どうやら小隊ごとに別行動をしているらしい。

 俺にとってはありがたい事だ。

 連邦軍のMS小隊にとっても、自分達がまさか9対1で負けるとは思っていないのか、自分達の有利さを確信したような形でこっちに近付いてくるのが分かるが……

 

「甘い。さっきの攻撃を回避したのが、偶然だとでも思ったのか?」

 

 そう言い、俺はパワード・ジムを真っ直ぐジム・コマンドに向かわせる。

 そんな俺のパワード・ジムを見た敵は、一瞬意表を突かれた様子でマシンガンを撃つのが少し遅れる。

 その時には既に俺が先程見つけたデブリを盾にしながら、距離を半分程まで縮めていた。

 

「ほら、よ。回避しろよ」

 

 オープンチャンネルを開いている訳でもないので、向こうに俺の声は聞こえないだろう。

 だが、盾を持っている方の手でデブリを押し出すと、俺はそのデブリを盾にして敵との間合いを詰める。

 ここまできて、ようやく俺が相応に強いというのを向こうも察したのか、デブリを回避するように動きつつ、パワード・ジムに向かってマシンガンを撃ってくる。

 ただし、そのペイント弾はスラスターを使って自由に宇宙空間を飛ぶパワード・ジムに命中することはない。

 全てのペイント弾があらぬ方向に飛んでいき……

 スラスターを全開にして一気に敵との距離を縮めつつ、マシンガンのトリガーを3度引く。

 すると3発のペイント弾がそれぞれジム・コマンドのコックピットに命中し、赤い花を咲かせた。

 よし、これで3機撃破。

 残り6機か。

 そう思いつつ、俺は即座にその場から移動する。

 よく見ると、残り6機のジム系MSがこっちに近付いて来たのが見えたからだ。

 なるほど、最初の3機は自分達で俺を倒せるのなら、それでいい。

 もし倒せなくても、自分達が囮になって俺を引き付け、その隙に俺を他の小隊が攻撃するというつもりだったのだろう。

 

「とはいえ、せっかくの奇襲も見破られていては意味がないけどな」

 

 2小隊がそれぞれ挟み込むようにして俺に攻撃を仕掛けてくる。

 向こうにしてみれば、挟撃を行うつもりなのだろう。

 1小隊を囮にして、残り2小隊で挟撃する。

 単純な戦術ではあるが、精鋭が行っているという事もあってか、その単純な戦術が非常にスムーズに行われており、だからこそ普通ならどうするべきか迷っている間に実際に挟撃を食らうのだろう。

 とはいえ、それはあくまでも普通のパイロットの場合だ。

 こういう時にまず必要なのは、挟撃の状態になるのを黙って待っている……のではなく、どちらか一方をまずは対処する事。

 正直なところ、俺の場合はここで6機を待ち伏せて、その6機を一気に倒すといった方法も出来なくはない。

 出来なくはないが、今の俺はガンダム開発計画のテストパイロット候補としてここにいるのだ。

 ここで戦術的にマイナスの行動を取ると、またニナに不満を言われる。

 ……戦術的にはマイナスであっても、操縦するパイロットが俺であれば、それは敵を一纏めにして一気に殲滅するといった事も出来るのだが。

 ただ、それはあくまでも俺が自分の実力を理解しているからこその行動なのは事実。

 だからこそ、まだ俺の実力を完全に信用出来ないだろうニナの見ている前で、そのような事は出来なかった。

 そんな訳で、俺はスラスターを全開にしてこちらに近付いてくるうちの一方に向かう。

 パワード・ジム最大の売りの、高機動性。

 それを活かし、急速にジム改3機のいる方に向かって突っ込んでいった。

 すると向こうも精鋭だけあって、俺を近づけさせないようにマシンガンを撃って……いや、違う。1機はマシンガンじゃなくてビームライフルか。

 AMBACを使って機体を動かし、ビームの一撃を回避する。

 そうしてマシンガンを撃ち……3機のうち、2機のジム改に命中する。

 ペイント弾を使っているとはいえ、これは模擬戦だ。

 つまり、ペイント弾が命中しても、それが手足とかの場合は撃墜判定はない。

 実戦でもそのくらいの被害であれば、問題なく戦闘を続けられるという判断からだろう。

 実際、宇宙空間であれば手足の一部を失ったところで、そこまで致命的ではない。

 これが地上であれば、足の一部を失えば歩いたり出来なくなるので被害は大きいのだが。

 だが……それでも、胴体やコックピットに命中すれば、話は別だ。

 向こうも精鋭である以上、そうならないように盾を使って防ごうとするものの、俺のステータスがあればその盾の防御をすり抜ける……より正確には、その隙間を縫うようにして致命的な場所に攻撃を当てるのは難しい話ではない。

 そうして2機が撃破扱いとなる。

 ……多分、あの2機のパイロットは、一体何があってそうなったのか、分からないだろうな。

 そんな風に思いつつ、残り1機のジム改が再びビームライフルを撃つ。

 お?

 その狙いは正確だった。

 どうやらかなり腕のいいパイロットが乗っているらしい。

 そう思いつつ、その一撃を回避する。

 そして反撃するべくマシンガンを構えた瞬間……

 

「マジか」

 

 思い切りよく、こちらの一撃を回避するジム改。

 こちらが撃つよりも前に動いているのは、予想か、勘か。

 ともあれ、残った1機は大きく動くようにして俺を避け、もう片方からやってくる残り3機に合流する。

 機体を一瞬で反転させ……

 

「あ、しまった」

 

 コックピットに一瞬だけアラーム。

 この急激な反転は俺にとってはいつもの事だ。

 だが、それが出来るのは俺が混沌精霊でGについて無視出来るからでもある。

 もっとも、シャドウミラーのメンバーなら魔力や気で身体強化をしてGを無視したり、ISCを使ったりしてGを無視出来たりするが。

 だが、それはあくまでもシャドウミラー基準だ。

 UC世界において、その辺りの技術はまだ未完成だ。

 一応、リニアシートによってある程度対応出来るが、そのリニアシートだって最先端技術の1つで、このパワード・ジムには使われていない。

 それでも何とかアラームは一瞬だけで終わり……それに安堵しつつ、こちらに近づいてくる残り4機のMSに向かうのだった。

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