転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4063話

 模擬戦の相手で生き残っているのは、ジム改が2機にジム・コマンドが2機。

 つまり、どうやら最後に残った3機はジム改が1機にジム・コマンドが2機という組み合わせだったらしい。

 この機種の組み合わせは、一体どうやって決めたんだろうな。

 勿論、ジム改もジム・コマンドも、ジム系MSの中では高性能なのは間違いない。

 だがそれでも、まさか趣味でその辺りを決めたという事はないと思う。

 思うが……とにかく、まずはその4機を片付ける必要がある。

 一瞬にして反転した事によるアラームも既に消え、俺の乗っているパワード・ジムは万全の状態だ。

 そのままスラスターを全開にし、敵との間合いを詰めていく。

 ビームライフルとマシンガンによる迎撃があるものの、スラスターを使ったこまめな操作とAMBACを使った機体制御によってその攻撃を回避し……その動きをしながらも、マシンガンを撃つ。

 1発、2発。

 その2発でジム改とジム・コマンドを1機ずつのコックピットに命中させて撃破扱いとなり、そして残るのは先程この3機に合流したジム改と、この3機小隊唯一の生き残りであるジム・コマンド。

 というか、あのジム改は随分としぶといな。

 フィフス・ルナに駐留する連邦軍のMS隊の中でも、精鋭を用意したというだけの事はある。

 間違いなくエース級だろう。

 もっとも……連邦軍のエース級程度では、敵にもならないけどな。

 残った2機……そのうちのジム・コマンドに向かって距離を詰める。

 左手に持っていたシールドを投擲し、目眩ましにしながら左手でビームサーベルを握る。

 この間も投擲したシールドを追っている。

 そして十分に距離が縮まったところで不意に盾から出る。

 とはいえ、向こうも精鋭だ。

 この程度の行動は普通に読んでいただろう。

 実際、ジム・コマンドがビームサーベルを引き抜き……そしてジム改は少し離れた場所でビームライフルを構えていた。

 飛ばしたシールドに追いつき、それをビームサーベルを握っている方の腕で殴りつける。

 するとシールドは、ビームライフルを構えたジム改に向かって飛んでいき……その隙を突くかのようにジム・コマンドがビームサーベルで斬りかかってくるものの、その一撃はあっさりと回避してコックピットにビームサーベルの先端で突きを放つ。

 その一撃はコックピットに命中し、ジム・コマンドは撃破扱いとなった。

 そうして最後に残ったのは、ジム改。

 何だかんだとここまで残ったのは、運もあるが純粋に相応の操縦能力を持っているからだろう。

 とはいえ、いつまでも時間を掛ける訳にはいかないのも事実。

 撃破されたジム・コマンドはその場に残し、ジム改に向かって進む。

 すると、ジム改も覚悟を決めたらしい。

 ビームサーベルを構え、真っ直ぐこっちに向かって来た。

 その行動は悪くないが、どうせなら俺がジム・コマンドと戦っている時に入ってくるべきだった。

 いや、それを嫌ってシールドを吹き飛ばしたのだが。

 相手の一撃に合わせて、俺もビームサーベルを振るう。

 

『はっはぁっ! こんな奴がアナハイムにいたとはなぁっ!』

 

 ビームサーベルの鍔迫り合いを通し、接触回線で聞こえてくるそんな声。

 って、おい。この声って……

 

「ヤザン!?」

 

 思わずといった様子で、俺は聞き覚えのある声の名前を言う。

 

『ああっ!? 誰だ?』

 

 そう言いながらも、ヤザンのジム改は攻撃を止めず、ビームサーベルを振るってくる。

 強引でいながら、きちんとこっちの行動を考えた上での一撃。

 以前見た時と比べても、明らかに技量が上がっている。

 ……当然か。

 1年戦争……いや、水天の涙があってから、1年くらいの時間が経っている。

 そうであれば、ヤザンもしっかりとMSの操縦訓練をしてきたのは間違いない。

 

「話は、後でな」

 

 ヤザンの放ったビームサーベルの一撃を、俺の操縦するパワード・ジムは同様にビームサーベルで受け流し……その動きのまま、マシンガンの銃口をジム改のコックピットに突きつけ、トリガーを引くのだった。

 

 

 

 

 

「……で? どうだった? シミュレータだけでは分からない、実機を使っての模擬戦をこうして見たが」

 

 パワード・ジムのコックピットから下りると、そこで待っていたニナに声を掛ける。

 ニナはそんな俺の言葉に、不承不承といった様子で口を開く。

 

「アクセルの操縦技術が高いのは、納得したわ」

「なら、俺がテストパイロットをするという事で問題はないな?」

「ええ。……けど、アクセル。貴方一体何者?」

「は? いきなり何だ?」

 

 ニナの口から出たのは、俺にとっても予想外の言葉だった。

 最初は不満を口にしただけなのかと思ったが、ニナの俺を見る目は間違いなく真剣なものだ。

 つまり、今の質問は単なるいちゃもんではなく、本当にそのように思ってのものだという事になる。

 

「模擬戦で、アクセルがMSを急反転させた行動。……あれは、普通のパイロットなら耐えられないわ。事実、こちらでもMSにアラームが鳴ったのを確認出来たもの。それだけのGが掛かった筈なのに、何故平気なのかしら?」

 

 ああ。なるほど。やっぱりあの反転で驚かせてしまったらしい。

 とはいえ、俺にとってはあのくらいは普通だ。

 いや、俺ではなくても体質的に対G能力の強い者であれば、あのくらいは平気だろう。

 ……かといって、今の状況について具体的に何を言えばいいのかというのは少し迷うところだが。

 

「体質だよ、体質。そもそもそういう特殊な体質でもなければ、テストパイロットに選ばれたりはしないだろう?」

 

 これはある意味で事実だが、ある意味では間違っている。

 MSの性能を最大限に引き出すという意味では、俺がテストパイロットをやるというのは説得力があるだろう。

 だが、そのMSを一般人でも使いやすくする為の各種調整の為のテストパイロットだとすれば、そういう意味では俺はテストパイロットに相応しくない。

 何しろ俺にとっては普通でも、一般人にとっては一瞬で意識を失うとか、そういう設定のMSというのは地獄でしかないだろうし。

 ただ、幸いな事にガンダム開発計画で求められているテストパイロットは、前者だ。

 そういう意味では、俺以上に相応しい者も……まぁ、いないとは言い切れないが、それでもかなり俺に向いているのは間違いない。

 これは表沙汰に出来ないものの、混沌精霊の俺は物理的な攻撃でダメージを受けない。

 つまり、最悪の場合、改修しすぎてMSが爆発をするとか、そういう事になっても俺がテストパイロットをやっていれば、全く問題がないのだ。

 実際、1年戦争時代にジオン軍がグフで空を飛べるようにしようと色々とMSを開発したり改修したりしたが、その中の何機かは空中で爆散し、当然ながらテストパイロットも死んだのだから。

 

「体質って……」

「テストパイロットとしては、この上ない才能なのは間違いないだろう?」

「それはそうだけど。……一応聞いておくけど、身体に異変はないのね?」

「へぇ、俺を心配してくれるのか?」

「ちょっと、誰がよ! ただ、私はアクセルがテストパイロットをやるのなら、それで本当に大丈夫なのかと思っただけで……」

 

 慌てたように言ってくるニナに対し、俺は口を開こうとし……止める。

 何故なら、格納庫の中に入ってきたパイロットの姿が目に入ったからだ。

 さっきの模擬戦の内容を考えれば、やって来るのはそうおかしな話ではないか。

 

「話はここまでだ。悪いが、俺の知り合いが来たからな。何か言いたい事があったら、また今度にしてくれ」

 

 そう言い、俺はニナから離れてヤザンの方に向かう。

 

「もうっ、ちょっと、アクセル!」

 

 後ろから聞こえてくるニナの声。

 そしてヤザンは、聞き覚えのある名前だったからだろう。俺の方を見て……訝しげな表情を浮かべる。

 どうやらヤザンの知っている俺と今の俺が同一人物だとは思えなかったのだろう。

 あるいは単純に、俺がアクセルだとしても、何故フィフス・ルナにいるのか分からなかったのか。

 ともあれ、俺はヤザンの方に近付いていき……

 

「久しぶりだな」

「あー……その、誰だ?」

 

 誰かは分かっているが、空気を読んでいるのかそう聞いてくるヤザン。

 

「ルナ・ジオン軍所属の、アクセル・アルマー中尉だ。よろしくな」

「……はぁ?」

 

 俺の言葉に、ヤザンの口からは間の抜けた声が上がるのだった。

 

 

 

 

 

「で? 何でアクセルがフィフス・ルナにいるんだよ?」

 

 場所は変わって、食堂。

 幸いにも、今は時間が時間なので、食堂に客の姿はない。

 いやまぁ、実際には何人かいるが、自分の仕事に集中しており、こっちを気にしている様子はなかった。

 

「今の俺は、さっきも言ったがルナ・ジオン軍所属のアクセル・アルマー中尉だ」

「……せめて、名前くらい変えろよな」

 

 呆れた様子で言ってくるヤザン。

 やっぱり名前は変えた方がよかったか?

 けど、ムウやイザークは怒るしな。

 なら、他の奴の名前を使うべきだったか。

 

「今の俺を見て、別のアクセル・アルマーを連想する奴はいないだろう?」

「いや、いるだろ。年齢は明らかに違うが、顔つきはシャドウミラーのアクセルにそっくりなんだし」

 

 そっくりというか、本人だしな。

 それを言えば間違いなく面倒な事になりそうだったので、実際に口にするつもりはないが。

 

「それでも似てるとは思うが、同一人物だとは思わない筈だ」

「……だろうな」

 

 呆れた様子で息を吐くヤザン。

 

「それで? ヤザンは何でフィフス・ルナにいるんだ? 以前はルナツーにいなかったか?」

「俺はこれでも、コーウェンの派閥だからな。というか、いつの間にかそういう事になっていた」

「あー……うん。まぁ、それはな」

 

 ヤザンは1年戦争中、俺達……より正確には、ホワイトベースと一緒に行動していた。

 そしてホワイトベースはレビルの肝いりだ。

 そうなると、ヤザンもレビルの派閥という風に周囲から見られてもおかしくはないだろう。

 本人がどう思っているのかは、また別の話だが。

 ともあれ、そうしてレビル派になったヤザンだったが、そのレビルはア・バオア・クーで死に、その派閥はコーウェンが引き継いだ。

 そうなると、レビル派も自動的にコーウェン派になるのだろう。

 勿論、レビル派閥ではあっても、コーウェンと敵対している奴がいれば、その人物はコーウェン派に入らず、派閥から抜けるだろう。

 だが、この様子からするとヤザンはそうではなかったのだろう。

 ……コーウェン派にいたいとか、そう思っている訳でもなく、流れで何となくそんな感じになったというのが正しいのだろうが。

 

「で、コーウェン派だから、ガンダム開発計画が行われているフィフス・ルナのMS隊として働いている訳か」

 

 俺の言葉にヤザンは微妙な表情で頷く。

 ヤザンにしてみれば、別に自分がコーウェン派という認識はないんだろうな。

 ただ、いつの間にか流れでそうなっているというだけで。

 そう考えると、コーウェンも上手い具合にヤザンを使っている事になるな。

 誰が言ったのか忘れたが、ヤザンの本質は獣だ。

 それも猛獣という表現が相応しいような、そんな獣。

 だからこそ、もしヤザンが本気で嫌がるような事を強制しようとすれば、容易に牙を剥く。

 だが、コーウェンは今のところそのようなことになってはいない。

 これはつまり、コーウェンがヤザンの性質を理解し、上手い具合に飼い慣らしているという事の証だった。

 ……もっとも、そうして油断をしていると、気が付いたら牙を剥かれるという可能性も十分にあるんだが。

 恐らくその辺はコーウェンも十分に理解している……と思う。

 俺としては、コーウェンの派閥には頑張って欲しいと思っている。

 シャドウミラーやルナ・ジオンとしては、ゴップの派閥と友好関係を築いているんだが、強硬派に対抗出来る派閥は、多ければ多い程にいいのだから。

 それにゴップは……こう言ってはなんだが、事なかれ主義の一面もあるし。

 勿論それが悪いとは言わない。

 ルナ・ジオンの上位組織を率いる者としては、もっと積極的に動いて欲しいとは思うものの、実際にその行動によってゴップが派閥を上手い具合に切り盛りしてるのは間違いないのだから。

 それに事なかれ主義だからこそ、ルナ・ジオンと上手くやろうと考えているのも大きい。

 何しろ連邦軍の中にしつこいくらいに根付いている強硬派は、それこそ隙あらばルナ・ジオンの勢力圏であるハワイや月、ペズンといった場所を攻撃しようとするのだから。

 そしてルナ・ジオンとしては、当然ながらそのようなことがあった場合、いわゆる遺憾砲という口だけのなあなあで終わらせるような事はなく、しっかりと攻撃する。

 だからこそ、ゴップはそれを避けたいと思っているのだろう。

 

「ん? だとすれば、ゴップは今回の一件も実は知ってたりするのか?」

「あん? あー……どうだろうな。まさかアクセルがフィフス・ルナにいるなんて事は知らないと思うが。もっとも、知っていてもそれはそれって事で驚いたりはしないけどな」

 

 そう言うヤザンの言葉に、ゴップならそうだろうなと俺も頷くのだった。

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