転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4064話

 食堂で行われたヤザンとの話は、お互いに有益な結果に終わった。

 ヤザンにしてみればフィフス・ルナのMS隊というのはあまり面白くないらしい。

 ルナツーの方が、ヤザンにとっては良かったとか何とか。

 もっとも、その理由はMSを使った戦いを多く楽しめるからというのが理由らしいが。

 具体的には、ジオン軍残党が海賊となって行動していたりするので、その討伐とか。

 ……ジオン軍残党にしてみれば悲惨な事この上ないのだが。

 ただ、それが嫌ならさっさと降伏するなり、もしくはジオン共和国に戻るなりすればいい。

 それをしないで、未だに1年戦争の負けを認めず、まだ戦争が続いているとして抵抗活動を続けているのだ。

 そうである以上、連邦軍に狩られるのも承知の上での行動だろう。

 ……中には何を思ったのか、ルナ・ジオンにちょっかいを出してくる残党もいるしな。

 勿論、そうなればルナ・ジオン軍が動いて、即座にその相手は殲滅する。

 その辺りの情報が広がった為か、最近ルナ・ジオンにちょっかいを出してくるジオン軍残党はかなり減ったようだったが。

 ともあれ、ルナツーの連邦軍はそんなジオン軍残党というか、海賊を倒す任務とかがあるものの、フィフス・ルナに駐留する連邦軍にそういう任務は来ない。

 あくまでもフィフス・ルナを守るのが任務なのだ。

 何しろフィフス・ルナというのは連邦軍の基地だが、半ば民間の施設だ。

 ……連邦軍や連邦政府にしてみれば、月をルナ・ジオンに奪われたので、その代替といった感じなのだろう。

 月とフィフス・ルナでは、その大きさは明らかに違う。

 違うが、他にそういう風に使える場所がないというのが大きい。

 ソロモンとか、ア・バオア・クーとかでならその辺は問題ないのでは?

 そう思わないでもないが。

 ちなみにソロモンは連邦軍からはコンペイトウと呼ばれているらしいが、ルナ・ジオンでは慣れているソロモンと呼称されている。

 連邦軍の者がそれを聞けば、面白くないといった様子になるらしいが……それでも、コンペイトウと呼べとは言ってこないらしい。

 ……まぁ、その件はともかく。

 ソロモンやア・バオア・クーは、あくまでも連邦軍が軍事基地として使う為に、フィフス・ルナのようには出来ないのだろう。

 となると……他に考えられるとすれば、それこそどこかから小惑星を運んできて、それをフィフス・ルナに接続するとか。

 ア・バオア・クーとかもそんな感じで作られたらしいし。

 

「アクセル、聞いてるの?」

「ん? ああ、悪い」

 

 その言葉に顔を上げると、そこにはニナの顔。

 ただし、その表情は不満一杯といった感じだ。

 

「アクセルの操縦ログを見る限り、私のガンダムのテストパイロットとしては認めます」

 

 こいつ、隠す事もなく私のガンダムと言ったぞ。

 以前はそう言いそうになったところで、言い直していたのに。

 まぁ、この場にいるのは俺とニナだけだ。

 クレナやオサリバンといった面々がいないので、その辺について誤魔化す必要もないと判断したのだろう。

 もっとも、別に俺はそこまでニナの言動については特に気にしないが。

 

「認めて貰って嬉しいが、妙に上から目線だな」

「試作1号機の専任エンジニアなんだから、当然でしょう」

「……まぁ、いいけどな」

 

 ニナの様子を見る限りだと、本当にその辺が理由で今のように言ってるように思える。

 あるいは、ここも俺の外見も影響してるのかもしれないが。

 

「よろしい。……それで、試作1号機のテストパイロットをやる前に、まずは座学をしましょう」

「……分かった」

 

 個人的にはあまり座学というのは好きではないのだが、テストパイロットという事を考えれば必要な事なのだろう。

 実際、試作1号機……それと試作2号機もか。

 それがどういう風な機体なのか、知っておくのは必要だろうし。

 もっとも、ニナの様子を見る限りだと試作2号機は自分が直接開発に関わっていない分、試作1号機の方に強い思い入れがあるようだが。

 

「よろしい」

 

 俺の言葉に満足そうな様子のニナ。

 女教師ニナ……うーん、それっぽいスーツを着れば……

 

「アクセルがペズンに帰るまでの時間は残り数時間ね。その間にしっかりと教えるから、真剣に授業を受けてちょうだい」

「はーい、ニナ先生」

 

 俺の言葉にジト目を向けてくるニナ。

 どうやらニナ先生という表現が気に食わなかったらしい。

 あるいは馬鹿にされてるように思われたのか。

 別にそういうつもりじゃなかったんだがな。

 そのまま数秒、ジト目を向け続けるニナだったが、やがて大きく息を吐くと口を開く。

 

「試作1号機、コードネームはゼフィランサス。花の名前ね。ちなみにガンダム開発計画で作られた試作は、全てコードネームは花の名前で統一されてるわ」

 

 一体誰が考えたんだろうな。

 もしかしてニナか?

 

「何よその目は?」

「いや、何でもない。それで? 試作1号機についての説明を頼む。俺が知ってるのは、汎用型のガンダムだというだけだし」

「そうね。基本的には、1年戦争の時にホワイトベース隊で活躍したガンダムの正統進化系ね」

 

 ここで、ホワイトベース隊で活躍したガンダムはアムロが乗っているガンダム以外にもあると突っ込んだら、どうなるんだろうな。

 俺はピクシーに乗ったし、ガンダム7号機にも乗っていた。

 他にもブルーディスティニーだったり、陸戦型ガンダムがいたりもした。

 ……まぁ、それを言えば何故それを知っているのかといったように突っ込まれそうなので、黙っておくが。

 

「それで汎用型か」

「ええ。勿論局地戦用のMSが弱いとは言えないわ。実際、汎用型のMSと局地戦用のMSが戦えば、戦場によっては局地戦用のMSの方が有利になるでしょうし。ただ……それでも、汎用型のMS、それもガンダムは大きな意味を持つのよ」

「そこまで汎用型として自信があるとなると……軽い調整だけで宇宙でも地上でも使えるのか?」

「……いいえ。宇宙で使う時は今のままでいいけど、地上で使う時は専用のセッティングが必要よ」

「それは、汎用と言えるのか? いやまぁ、広い意味で見れば汎用なのは間違いないだろうけど」

 

 俺のイメージする汎用というのは、やはり特に何もしないで……もしくは軽い調整だけで地上でも宇宙でも戦えるというものだ。

 そういう意味では、試作1号機……ゼフィランサスは汎用機と言われても首を傾げる。

 

「……仕方がないでしょう。一応言っておくと、アクセルが言うような仕様にも出来たわ。けど、試作1号機はガンダム開発計画の中でも特に量産を前提としているのよ。そういう意味では、コスト的な問題もあっての事よ」

「あー……なるほど。そう言われると、何となく分かるな」

 

 1年戦争においても、ガンダムの量産型としてジムが出来た。

 ……まぁ、陸戦型ガンダムであったり、量産されたガンダムはあるが。

 それでもガンダムの量産型MSがジムというのは、ある意味で常識だ。

 

「それで、試作1号機についてはいつ操縦するんだ?」

「……完成してからになるでしょうね」

「は? どういう事だ? ガンダム開発計画のMSはもう完成してるんじゃないのか?」

 

 そう聞くと、ニナは首を横に振る。

 

「いえ、ゼフィランサスの開発はまだ途中よ」

「ちょっと待て。じゃあ、テストパイロットとして俺が呼ばれたのは、何でだ?」

 

 正直なところ、俺はもう試作1号機は完成していると思っていた。

 あるいはまだ完成はしていなくても、もう少しで完成するだろうと。

 だが、ニナの様子を見ると、すぐに試作1号機が完成するといった訳ではないらしい。

 なら、ルナ・ジオンにテストパイロットを要請してくるのは少し早かったんじゃないか?

 あるいは、ルナ・ジオン側でこうも早くテストパイロットを選出して送ってくるとは思わなかったのか。

 何となくだが、後者のような気がするな。

 普通、テストパイロットを決めるとなると、まずは誰が行きたいのかを募集し、その中から能力的に問題はないか、そして操縦技術的に問題がないか。

 その辺りについて色々と考え、最終的に決める。

 しかし、今回の場合はセイラがシーマを通して俺に話を持ってきたのだ。

 それはつまり、セイラは最初から俺に任せると考えていたのだろう。

 自分で言うのもなんだが、俺のMSの操縦技術は非常に高い。

 そういう意味では、ルナ・ジオンで俺以上にテストパイロットに向いている人材がいないのも事実だ。

 ……もっとも、あくまでもガンダム開発計画のMS、一般兵士が乗るMSのテストパイロットではないからこそ、俺が向いているという一面があるのだが。

 具体的には、俺がパワード・ジムで行った、急速な反転。

 あれは俺だから特に問題がなかったのだ。

 もし俺以外の……それこそ新兵があの反転を体験すれば、一瞬にして意識を失ってしまってもおかしくはない。

 あの反転は、それだけパイロットの身体を考えていないものなのだから。

 

「基本的にはパワード・ジムでテストをして貰う事になると思うわ。今のパワード・ジムに、試作1号機で使うパーツを付け足したり、交換したりといった形で」

「……なるほど」

 

 ニナが少しだけ悔しそうな表情を浮かべたのは、まだ試作1号機が完成していない事を自分の実力不足と考えているのだろう。

 ニナの様子を見る限りだと、試作1号機を完全に自分の物といったように認識しているみたいだし。

 それだけに、まだ完成させることが出来ないのが悔しいのだろう。

 とはいえ、それは別にそこまでおかしな話ではない。

 元々、まだ1年戦争が終わってから2年くらいしか経っていないのだ。

 ジオニック社とかの技術者を引き抜いたからといって、そう簡単にMSを設計するような事は出来なくてもおかしくはなかった。

 もっとも、本人はそれで納得している様子もなかった。

 このままニナを落ち込ませたまま……士気が低い状態のままだと、それこそ試作1号機の開発にも影響してくるな。

 となると、どうにかしてニナの士気を上げる必要がある訳だが……いや、ニナの事だし、そう難しくもないのか?

 

「それはつまり、俺がパワード・ジムを使ってニナが納得出来る……あるいはそれ以上の数値を出せれば、試作1号機の性能は当初考えていたよりも上がるという事でいいのか?」

「え? それは……まぁ、そうね。でも、アクセルの言いたいことは分かるけど、そう簡単に出来る事じゃないわよ?」

「そうだな。俺が普通のパイロットならそうかもしれない。けど、ニナも知っての通り、俺はルナ・ジオン軍から派遣されてきたテストパイロットだ。つまり、俺の操縦技術が低ければ……具体的にはきちんとした数値を出せなければ、それはルナ・ジオン軍にとっても失態になる。ニナの知ってるルナ・ジオン軍が、そういう事をすると思うか?」

「それは……」

 

 ニナは俺の言葉を否定出来ない。

 ニナにとってルナ・ジオンには色々と思うところがあるのは間違いないと思う。

 何しろ、ルナ・ジオンが月を占拠した為に、アナハイムは自由に使える場所がなくなり、フィフス・ルナでガンダム開発計画を受ける事になったのだから。

 当然ながら、フィフス・ルナの施設は月にある施設と比べれば数段……あるいはそれ以上に劣る。

 そんな中でガンダム開発計画という、連邦軍にとって非常に重要な計画を進めるのだから、ニナにしてみればもっと自由にさせて欲しいという思いがあってもおかしくはない。

 だが同時に、ニナが高い能力を持っており、優れた存在を認めることが出来るのも事実。

 その証拠が、俺だろう。

 最初は明らかに俺に不満を抱いていたニナだったが、シミュレータで、そして模擬戦で実力を見せると、その不満も大分和らいだ。

 だからといって、俺を完全に認めた訳ではないのも事実なのだが。

 だからこそ、ルナ・ジオンが送り込んできた俺が、パワード・ジムの性能を存分に……あるいはそれ以上に発揮し、そのデータを残すというのは、ニナにとっても本当に可能かもしれないと、そう思えるのだろう。

 

「それに、別に試作1号機を作るのはニナだけでやるんじゃないだろう? ポーラだったか? お前と一緒にいた女や、クラブ・ワークスに所属する連中もいる」

 

 そう言うと、ニナは少しだけ柔らかな笑みを浮かべる。

 

「そうね。……全く、年下のアクセルに変なところを見せちゃったわ」

 

 ニナはどうやら年上ぶりたいらしい。

 本人にしてみれば、色々と思うところがあるのだろうが。

 これで俺の実年齢を知ったらどうなるんだろうな。

 ……実年齢? そう言えば、俺の実年齢って何歳くらいだ?

 混沌精霊になってから、その辺はあまり気にしなくなったので、既に年齢は数えていない。

 それを言うのなら、シャドウミラーに所属している者の多くは時の指輪の受信機があるので、不老になっているのだが。

 また、シャドウミラーの中でも政治班や技術班といった者達は頻繁に魔法球に入っている。

 特に技術班の面々なんか魔法球の中に住んでいるのに近いので、年齢については……うん。

 

「ともあれ、試作1号機についての説明をもう少し詳しく頼む」

 

 このままだと面倒な事になりそうだったので、年齢についてはスルーしてニナにそう言うのだった。

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