転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4065話

 ニナから聞いた試作1号機についての情報は以下となった。

 汎用人型兵器という概念を追及し、ベースとなったRX-78-2と比べて、より人間に近い行動が出来るようになっている。

 これについては、何らかの新技術を使っているらしいが、テストパイロットとはいえ、アナハイムの社員ではないという事で社外秘とされた。

 またあくまでも実験機である為に各種データの習得用にセンサーの類は増設されており、それらは機体各所に剥き出しに設置されていたりする。

 使用武器は、頭部バルカン、ビームライフル、ビームサーベル、シールド。

 うん、典型的な連邦用のMSの武装だな。

 言ってみれば、ガンダム……アムロの乗っていたガンダムと同じだ。

 もっとも、アムロのガンダムはハイパーハンマーを始めとして、色々な武器を使っていたが。

 ともあれ、試作1号機の武器は基本的な物になるらしい。

 そんな諸々のニナの説明を聞き……

 

「どうせ試作機なら、もっと特別な武装とかを用意してもよかったんじゃないか?」

「特別な武装? 例えばどういうのかしら?」

「そうだな。聞いた話だと1年戦争中にガンダムの幾つかではかなり威力の強い……ビームライフルじゃなくて、メガビームキャノンとか、そういう武器が用意されたと聞くけど、そういうのはどうだ?」

「威力の高い武装ということでは、試作2号機があるでしょう?」

「核兵器運用を前提にしたガンダムか。……それは分かるけど、核兵器はそう簡単に使えないだろうし」

 

 核兵器は威力は高いものの、放射能による汚染がある。

 宇宙であれば容易に使うことも出来るのだが、それが地上でとなると難しい。

 いやまぁ、俺がテストパイロットをやるのは宇宙だから、その辺は気にしなくてもいいのかもしれないが。

 

「一応、核兵器以外にも案はあるんだけど……連邦軍の方で核兵器運用と条件を付けている以上、難しいでしょうね」

「具体的には、どういうのだ?」

「MLRS、いわゆる多連装ロケットシステムよ。中距離からの支援爆撃を想定しているわ。それこそ使い方によるけど、本当に上手く使えば街を1つ壊滅させることも可能なだけの火力を持ってるし、そういう意味でも試作2号機に相応しいと思うわ」

 

 つまり、敵にしてみればミサイルの雨が降ってくるようなものか。

 平均レベルのパイロットにしてみれば、対処は難しいだろう。

 それこそ、ミサイルを1発か2発は撃墜出来るかもしれないが、言ってみればそれだけだ。

 多連装という事は結構な数のミサイルが放たれる訳で、それを全て迎撃というのは……それこそ、トップエースとかでもないと難しい。

 いや、トップエースであってもミサイルの数によっては対処は出来ないか?

 そんな風に思うも、連邦軍の方でそれが駄目だと言ってるのなら、どうしようもないな。

 

「まぁ、核兵器を運用する為のガンダムというのも……あればあった方がいいのは事実だしな」

 

 実際、1年戦争においては開戦当初はジオン軍が大量の核兵器を使い、連邦軍やコロニーに大きな被害を出した。

 核兵器の使用を禁じる南極条約を締結してからも、ジオン軍は何度か核兵器を使おうと、あるいは使ったらしい。

 ……もっとも、それを言うのなら連邦軍でも南極条約締結後に核兵器を使おうとした者がいるとか、そういう風に聞いた事があったが。

 つまり、どっちもどっちな訳だ。

 

「アナハイムは、あくまでも連邦軍から依頼をされてMSを開発してるの。そうである以上、クライアントの要望にないMSを開発する訳にはいかないのよ」

「だろうな。それは大変そうだとは思うけど……とにかく、まずは実際に実機を開発させるのが重要だと思うぞ」

 

 そこまで言って、ふと思い出す。

 そう言えばクレナから試作0号機とかどうとか言ってたな。

 なら、その0号機は使えないのか?

 

「クレナから聞いたが、0号機ってのもあるんだよな?」

「……あった、というのが正確ね」

 

 過去形という事は、つまり今はないのか。

 

「何があったんだ?」

「テスト運用中にジオン軍の残党と接触して、その結果破壊されたわ。それに……所長には悪いけど、0号機は明らかに失敗作だったの。機体バランスや、ろくに使えない装備があって、パイロットはそれに振り回されていたわ」

 

 クレナが具体的にどのようなことを考えてそのようなMSを設計したのかは分からないが、ニナの様子を見る限り、本当に失敗だったらしい。

 いや、でもクレナにしてみれば本当に試験的なつもりだったんじゃないか?

 ニナもそうだが、クレナだってMSの設計については1年戦争終了後から勉強した筈だし。

 そう考えると、最初に開発したMSが失敗作であっても、それは仕方がないのだろう。

 実際に作ってみて、完成させる事によって見えてくるものもあるのだろうし。

 

「ジオン軍の残党と遭遇したのか。運が悪かったな」

「そうね。実際、こちら側の被害もそれなりにあったし」

 

 憂い顔のニナ。

 どうやら言葉以上にジオン軍残党との戦いによって受けた被害は大きかったのだろう。

 とはいえ、ジオン軍の残党にしてみれば連邦軍の新型MSとなると放ってはおけないだろうし。

 あ、でもガンダム開発計画は極秘裏の計画なのか。

 ジオン軍の残党が情報を入手するのは……不可能とは言わないが、それなりに難しい筈だ。

 そうなると、もしかしたら0号機の件は偶然だったのかもしれないな。

 

「まぁ、もうないのなら仕方がない。それで、試作1号機の件だが……」

「さっきから思っていたんだけど、どうせなら試作1号機じゃなくてゼフィランサスと呼んでくれない? 折角のコードネームなんだから」

 

 少し不満そうにニナが言う。

 もしかしたら、ゼフィランサスというコードネームはニナが考えたのかもしれないな。

 私のガンダムと言うくらいだし、そのくらいのことは普通にしてそうだ。

 

「分かった」

 

 ニナの言葉に素直に頷いておく。

 別に試作1号機という呼び方に何らかの思い入れがある訳じゃないしな。

 これでもっと変な名前だったら別だったが、ゼフィランサスというのは悪くないと思う。

 それに試作1号機だと少し味気ないのも事実だしな。

 

「そう、ならこれからはあの子の事はゼフィランサスと呼んでね」

 

 あの子……私のガンダムから、この短時間で更にパワーアップしてないか?

 いや、パワーアップしたというよりも被っていた猫が剥がれてきたという事か?

 まぁ、テストパイロットと専属エンジニアとして考えると、気楽な関係なのは悪くないと思うが。

 それに最初……俺の姿を最初に見た時はずっと疑惑の視線を向けていたものの、シミュレータと実機の模擬戦で俺の実力を見せてからは、大分態度も柔らかくなったし。

 そうなると、やっぱり最初に俺を見た時の疑惑の視線は、純粋にエンジニアとして自分の開発したゼフィランサスのパイロットに相応しくないと思っていたからこそだったんだろう。

 

「どうしたの?」

「いや、何でもない。ニナはエンジニアとして当たりだったかもしれないと思っただけだよ」

「年下のくせに生意気な事を言わないの」

 

 そう言い、年上ぶるニナ。

 無理もないか。

 ニナにしてみれば、俺の外見は10代半ばにしか見えない。

 一応ルナ・ジオン軍所属ということで20歳くらいにはなっているのだが、それでもニナの方が年上なのは間違いないし。

 1年戦争でルナ・ジオン軍のMSパイロットとして行動したということになってはいるので……うん、それでもちょっと厳しいか?

 とはいえ、ゼフィランサスのテストパイロットをやるとなると、その辺の経歴は必須なんだよな。

 かといって、まさか誰もが知っているアクセル・アルマーとしてこの場にいるのは流石に難しいし。

 

「童顔なのは自覚しているが、これでも1年戦争でも戦ったベテランなんだけどな」

「……ああ、それであのヤザンという人と知り合いだったのね。私は知らなかったんだけど、あのヤザンという人はフィフス・ルナにいる連邦軍のMSパイロットの中でもトップクラスの操縦技術を持ってるらしいわね」

「そうなのか。……そうだろうな」

 

 実際、俺との模擬戦はフィフス・ルナに駐留する連邦軍の中でも精鋭を選んだという話を聞いている。

 そんな精鋭の中で、最後まで生き残ったのがヤザンだったのだ。

 それも、模擬戦の中で自分の仲間が撃破扱いされたのを確認すると、自分だけで俺との戦いを続けるのではなく、まだ無事なMS小隊と合流するといったようなことまで行っている。

 その辺の状況を考えれば、ヤザンがトップの実力者だというのも理解出来た。

 

「もしかしてだが、ルナ・ジオンにテストパイロットを要請しない場合、ヤザンがゼフィランサスのテストパイロットをやっていたのか?」

「え? うーん、どうかしらね。その辺は所長が決めると思うけど……その可能性は十分にあったと思うわ。一応、アナハイムにもテストパイロットはいるから、そっちに出番があったかもしれないわね」

 

 アナハイムが抱えているテストパイロットか。

 ディアナでテストパイロットをやっている、クリスと似たような感じか?

 もっともクリスの場合は所属はあくまでもルナ・ジオン軍だ。

 それでディアナに出向中という扱いだった筈。

 つまり、もし戦争とかになった場合、クリスはルナ・ジオン軍のパイロットとして出撃する訳だ。

 クリスもトップエース程ではないにしろ、十分にエース級の実力を持っている。

 元々才能はあったのだろうが、1年戦争であったり、その後の訓練であったりで、かなり実力を伸ばしているし。

 それにX世界とかでも、実戦経験は十分に積んだしな。

 

「アナハイムのテストパイロットか。……やっぱり相応に腕は立つのか?」

「どうかしらね。私もそこまで詳しい事は知らないわ。ただ……ガンダム開発計画に関わるのかどうかはちょっと分からないけど、所長が少し前に特殊なパイロットがどうとか、そんな感じで呟いているのを聞いた事があるわね。具体的にどういうパイロットなのかは、分からないけど」

 

 特殊なパイロットか。

 このUC世界において、特殊なパイロットと言われて真っ先に思い浮かべるのは、やはりニュータイプだろう。

 そう考えると、もしかしたらアナハイムにニュータイプのパイロットがいたのかもしれないな。

 もっとも、ニナの様子からすると、いるではなくいた。つまり過去形なのだろうが。

 その辺については、ちょっと気になるが。

 何しろ、基本的にニュータイプというのは高い能力を持っているものの、希少な存在だからこそ、場合によっては実験漬けにされたりする。

 これは自信をもって言えるのだが、UC世界においてルナ・ジオンのアルテミスは、ニュータイプにとって最高の研究施設だろう。

 ニュータイプも人だ。

 ストレスがなく、思う存分自由に行動出来る状態が一番いい。

 もっとも、ニュータイプの中には強いストレスを受ける事によって能力を覚醒したり、あるいはニュータイプ能力が強まるとか、そういう事もあるらしいが。

 その辺については、俺がどうこう言えるような事ではない。

 アナハイムのニュータイプが虐待に近い状態であれば、あるいは奪取してもいいのだが。

 勿論、そういう事をすればアナハイムとルナ・ジオンの関係は悪くなるので、そう簡単に採れる手段ではない。

 とはいえ、ニュータイプがそういう扱いをされているのなら、躊躇するつもりはなかったが。

 その辺はニナに聞いても、殆ど情報を持っていないようだったので、今はいいだろう。

 

「話を纏めると、取りあえずテストパイロットの俺がやるべき仕事そのものは、まだそこまで多くない訳だ」

 

 そう言うと、ニナが少し悔しそうな様子を見せる。

 何しろ、俺がテストパイロットをするゼフィランサスがまだ出来ていないのだ。

 そんな状態でテストパイロットの俺がやるべき事は……

 

「そうね。ただ、ゼフィランサスの新規パーツの実用試験という事で、パワード・ジムに新しいパーツをつけたらそれを操縦して、どういう感じかを見て貰うような事はあるかもしれないけど」

「それだって、あまりないだろう?」

 

 1つのパーツを作るのは、相応の時間が必要になる。

 何しろ作ったからといって、それをそのまますぐに使える訳ではない。

 まずはどこにも問題がないかを調べ、それでシミュレーションを使って検査し、それからパワード・ジムに搭載するという形になる筈だ。

 特にゼフィランサス……ガンダム開発計画のMSのパーツともなれば、可能な限りの精度が求められる。

 勿論、1年戦争時代のガンダム程ではないにしろ。

 何しろ、ガンダムには使えないと弾かれたパーツで作られた陸戦型ガンダムの性能は、1年戦争で使われたMSの中でもトップクラスだったしな。

 ガンダム開発計画のMSはそこまでの事は予算的に無理だろうが、それでも相応の……普通では考えられない程の精度は求められる筈だ。

 それだけに、大量生産出来ないのは間違いなかった。

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