転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4069話

「ねぇ、アクセル。本当にあの子達に任せていいの?」

 

 マーベルの言葉に、俺は視線を向ける。

 そこにいるのは、シャドウミラーオルフェンズ支部の中でも、これが初陣となる者達だ。

 基本的にオルフェンズ支部で新たに雇われたのは、事務仕事をする者達が多い。

 実際、それでシーラを始めとする事務員達の仕事も大分楽になったらしいし。

 そんな俺達と比べて、鉄華団の方は事務仕事じゃなくて現場で働く者達が多い。

 具体的にはスラム街出身とか、そういう連中だな。

 ただ、それはあくまでも割合的に考えての話だ。

 実際には俺達の方にも実戦部隊を希望する者もある程度はいるし、鉄華団で事務仕事が出来るからという事で採用になった者もいる。

 この辺は、それぞれの考え方次第だな。

 実戦部隊に所属している者は、給料が高い。

 それと比べると、事務員は給料が低い。

 これは危険手当的な意味が大きい。

 なので、金を稼ぎたい者は実戦部隊を希望する訳だ。

 ……ただし、実戦部隊の訓練はかなり厳しい。

 途中で音を上げ、辞めていく者。もしくは事務仕事が出来るからとそちらに移して欲しいと言ってくる者も結構いた。

 そんな中で最後まで訓練に耐え抜いたのが、俺とマーベルの視線の先にいる連中だ。

 MWに乗っている者達。

 ちなみに本来ならMSに乗せるのだが、ハーフメタルの採掘施設の視察という事で、他の勢力からも来る者達が多い。

 そんな場所でMSを使って警備をするとなると、威圧感を与える。

 俺はそのように思わないが、そう考える者がいるということで、採掘場の近くでの警備はあのMW隊になった訳だ。

 ちなみに鉄華団の方でも当然ながらMW隊を出している。

 ただし、そこでもやはり新人がメインになっていたが。

 アリウムが何かを企んでいる以上、この視察で何かが起きるのはほぼ確定だ。

 実際、鉄華団ではバルバトスを受け取る為に、三日月と雪之丞を歳星に向かわせたらしいし。

 オルガからはグシオンの件もあるので、こっちからも人を出さないかという風にも言われたが、俺達はそこまで急いでないのも事実なんだよな。

 いや、勿論グシオンはガンダム・フレームのMSで性能も高い。

 特に歳星で全面的に改修したのだから、以前よりも性能は上がっているだろう。

 ただ、俺の場合はミロンガ改があるし、他の面々も自分のMSがある。

 特にマーベルは、ガンダム・フレームよりも希少なヴァルキュリア・フレームを使ったグリムゲルデに乗っている。

 他の面々もMSについては自分の乗り慣れている機体の方がいいと主張していた。

 いやまぁ、それは決して間違いじゃないけどな。

 ただ、そうなるとグシオンをどうするか。

 ……ああ、いっそ鉄華団に預けてもいいか?

 鉄華団も獅電を始めとしたテイワズ製のMSであったり、俺がギャラルホルンから奪ったグレイズとかを使っているが、グシオンを貸してもいいかもしれない。

 ただ、グシオンは阿頼耶識じゃない普通の操縦システムなんだよな。

 そんな風に思いつつ、俺はマーベルに向かって口を開く。

 

「これがあの連中の初陣だから、一応昌弘達を小隊長にしている。そこまで問題はないと思うぞ」

 

 実際、昌弘達はかなり実戦慣れしている。

 ……ブルワーズ時代の戦闘で、強制的に実戦慣れさせられたというのが正しいか。

 もし実戦慣れしていなれば、それこそヒューマンデブリとして使い捨てにされていただろう。

 そういう意味では、決して幸運な事ではないのだが……それでも、今それが役立っているのは間違いない。

 

「そうだといいんだけどね。……あ、来たわよ」

 

 ハーフメタルの採掘現場を視察していた者達が、クーデリアに案内されるようにして姿を現す。

 視察に来ていた者達は、最初こそどことなく諦めムードっぽい感じの雰囲気の奴もいたのだが、視察で何があったのか、今はやる気満々といった様子になっている。

 多分、クーデリアの説明とか雰囲気とか、そういうのに影響されたのだろう。

 この辺がクーデリアの凄いところだよな。

 一種のカリスマ性とでも言うべきか。

 革命の乙女、ジャンヌ・ダルクの再来と言われるだけの事はある。

 もっとも、誰でもああいう風になる訳ではない。

 中にはそれこそ妙な事を企むような奴もいるだろう。

 クーデリアの持っている利権は非常に大きい。

 それを何とか手に入れられれば……と。

 今回仕掛けて来るだろうアリウムも、その辺を狙っての事なのだろうし。

 ちなみにクーデリアが案内した面子は、フミタンやククビータが選んだ者達だ。

 そういう事を考えている者達は、前もって排除されたのかもしれないな。

 そんな風に考えていると、クーデリアと目が合う。

 何もしないのも後で文句を言われそうなので、軽く手を振っておく。

 すると……

 

『おお』

 

 何故かクーデリアの周囲にいた者達がそんな声を上げていた。

 

「えっと、あれは何でだ?」

「アクセルは自分が有名人だというのを自覚した方がいいわね。ギャラルホルンを相手に1歩も負けず、常に勝ち続けたのがアクセルなのよ? 当然、その件については火星で広がっているもの。……多分だけど、あの人達がハーフメタルの採掘場の視察に来たのは、アクセルと繋がりを作っておきたいからというのもあると思うわよ」

「……なるほど」

 

 そう言われると、俺としても納得するしかない。

 実際、他の国の植民地となっている場所の者達にしてみれば、シャドウミラーや鉄華団の戦力というのはかなり魅力的なのは間違いない。

 クリュセのように独立を勝ち取るのに、戦力は必須だ。

 それに……これはあの連中も知らないだろうが、ホワイトスターを通した取引が始まって、それが公になれば、地球にある国は間違いなく火星にある植民地を最大限に利用しようとするだろう。

 それこそ、自分達が今までしてきた事はすっかりと忘れたように。

 だからこそ、そうなるよりも前に独立をしておけばいいんだが……まぁ、そう上手く行くかどうかは、別の話だな。

 

「仕事を持ってきたら引き受けるの?」

「余裕があれば引き受ける。……とはいえ、そうなるとそこで前から活動していたPMCが面白く思わないだろうし、面倒な事になりそうだが」

 

 何やら慌てて言い訳をしているクーデリアを見つつ、俺はそんな風に言う。

 PMCというのは力こそ全てという思いの者が多い。

 だからこそ、相手がPMCとして大手のシャドウミラーや鉄華団であっても、そう簡単に退くような事はないだろう。

 あるいは負けたとしても、シャドウミラーや鉄華団を相手に1歩も退かないというのを見せつけようと思う者もいるかもしれないしな。

 

「そうなったらそうなったで、アクセルならどうとでもなるんじゃない?」

「どうだろうな。ともあれ、俺から接触をしようとは思わないが、向こうから接触してきたら、話を聞くくらいはしてもいいとは思う。……1週間の視察でどう動くかだよな」

 

 この視察は1週間の予定となっている。

 それだけ、他の地区にいる者達にとって、このハーフメタルの採掘現場の視察というのは大きいのだろう。

 

「問題なのは、アリウムがいつ動くか……いえ、アリウムが動かした戦力がいつ動くかでしょうね。アクセルの方は大丈夫なの? UC世界だったかしら。そっちで何かやってるって話だったけど」

「ガンダム開発計画のテストパイロットだな。もっとも、俺がテストパイロットをするガンダムはまだ完成してないから、1週間くらいなら問題はないと思う」

 

 ニナがこれを聞けば怒るかもしれないが、そもそもゼフィランサスが完成していない以上はどうしようもないのは事実。

 パワード・ジムを使ったゼフィランサスの新パーツの性能を確認するという意味では、それなりにやるべき仕事はあるんだろうが……ここを襲撃してくる者達を撃退してからUC世界に行っても問題はないだろう。

 今はどちらを優先するべきなのか、考えるまでもないのだから。

 

「そう? ならいいんだけど」

 

 そうして会話をしながら、その日は終わり……その後も特に何かが起きるでもなく視察は続き、そして4日目までは特に何もなく無事に視察が行われるのだった。

 

 

 

 

 

「夜明けの地平線団か。……まさか、ここで出てくるとは思わなかったな」

『やはり、アクセルもぶつかってるのかい? まぁ、連中にはテイワズも手を焼いているという話だ。それも当然だろうね』

 

 映像モニタに表示されたマクギリスがそう言う。

 ……ここでテイワズの名前を出したのは、意図的なものか?

 まぁ、マクギリスにしてみれば、俺達とテイワズの繋がりについては十分に理解している筈だ。

 ここでテイワズの名前を出すくらいのことは、そう珍しくもないだろう。

 

「そうだな。それに……何だかんだと、夜明けの地平線団とうちは因縁があるしな」

 

 俺がブルワーズを乗っ取った時、それに従えないという者達を追放したが、そんな連中の中には夜明けの地平線団に合流した者もいる。

 高密度デブリ帯で、一度そういう連中とかち合ったしな。

 もっとも、その時はこっちの情報を渡さない為にその場で殲滅したが。

 後は……ああ、そうそう。最初に歳星に行って、そこから地球に行く途中で夜明けの地平線団に襲撃された事があったな。

 こっちについては、恐らくだが俺達を恨んでいるジャスレイの仕業だろうとは思っているが。

 他にも高密度デブリ帯でエイハブ・リアクターを発掘しようとしている時に何度か夜明けの地平線団とぶつかったという報告もある。

 とはいえ、今まではお互いに全面的に争うといったような事にはなっていなかったのだが……アリウム、か。これはちょっと予想外だったな。

 

『既に夜明けの地平線団の一部が火星に下りたらしい。MSも結構な数がいると聞く。……良ければ、こちらから援軍を送っても構わないが?』

「いや、別にそういうのはいらない。こっちで何とかなるよ」

 

 正直なところ、今の俺達の戦力ならホワイトスター抜きでも、オルフェンズ支部と鉄華団だけでも、夜明けの地平線団と正面からやり合って勝利出来る自信がある。

 MSはかなり充実しているし、パイロットの技量も高い。

 もっとも、それでも正面からやり合えば少なからず被害は出る。

 そうならない為には、やはりここはシャドウミラーの戦力を使った方がいいか?

 

『そうかい。じゃあ、アクセル達の活躍を楽しみにしてるよ。……こちらでは、アリアンロッド艦隊の動きが以前よりも活発になってきている。そう考えると、近いうちに大きな動きがあるかもしれない。そのつもりでいてくれ』

 

 そう言い、マクギリスからの通信が切れる。

 今の言葉……まさか、アリアンロッド艦隊が実は夜明けの地平線団と繋がってるとか、そういう事はないよな?

 もしそうだったら、その時はその時でこっちもそれなりの対応をする必要があるが……ただ、可能性は低いだろう。

 マクギリスの性格からして、恐らくは向こうの情報として伝えてきたのだろう。

 実際、地球からの情報でもそれらしいのはあるし。

 ただ、ジャスレイが送り込んだとかいうラディーチェだったか? そいつはそいつで色々と暗躍してるって話だしな。

 個人的にはジャスレイの手の者という事で、さっさと始末してしまいたい。

 けど、何の理由もなく――ジャスレイの手の者という事だけで始末するのは難しい――危害を加える訳にもいかないのは事実。

 とはいえ、このまま放っておくと地球支部の方で大きな問題になったりしそうなのも事実なんだよな。

 だからこそ、可能な限り目を離さないようにと指示は出しているが。

 まぁ、それはともかく……まずは夜明けの地平線団の件を知らせに行くか。

 

 

 

 

 

「夜明けの地平線団……ですか。厄介なところが出て来ましたね」

 

 オルガがいつものように片目を瞑りながら、溜息と共に言う。

 

「夜明けの地平線団ですか? その、どのような人達なのでしょう?」

「10隻以上の軍艦を持ち、MSも多数。所属人数は3000人以上って感じの、大規模な宇宙海賊だ」

「それは……」

 

 夜明けの地平線団の規模を説明すると、クーデリアは息を呑む。

 フミタンの方はその辺の情報について知っていたのか、いつものように表情を動かす様子はない。

 まぁ、フミタンは元々ノブリスの手の者だった。

 それに今はクーデリアの秘書として行動している以上、火星の周辺でも特に大きな海賊団である夜明けの地平線団について、ある程度の情報は持っていたのだろう

 

「普通に考えれば厄介な相手だな。……あくまでも普通に考えれば、だが」

「うちだけでやるとすれば、今はまだミカも帰ってきてませんし、当初は苦戦したかもしれませんね」

 

 オルガのその言葉に、だろうなと頷く。

 歳星までバルバトスを……ついでにグシオンも取りに行った三日月だったが、残念ながらまだ火星には到着していない。

 ただ、オルガの様子をみる限りではそう遠くないうちに戻ってくるだろうとは思えるが。

 

「けど、俺達が……俺がいる。夜明けの地平線団の持つMSやMWは悪くない性能だって話だし、利益になるな」

 

 そう告げる俺の言葉に、オルガも獰猛な笑みを浮かべるのだった。

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