転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4080話

 結局夜明けの地平線団の捕虜となった者達の中でも大人達については7割程をギャラルホルンが引き受ける事になった。

 そして残り3割は、シャドウミラーと鉄華団、そしてアドモス商会で行っているハーフメタルの採掘施設で仕事をさせるという事になる。

 ちなみにその採掘施設を囲うように壁を立てるという事になったのだが、その壁を立てる建築物資と、実際に壁を立てる作業をするのはギャラルホルン側が用意し、同時に火星支部からそれなりの人数が見張りとして派遣される事になった。

 これだけを見れば、ギャラルホルン……より正確にはマクギリス達の持ち出しが多いように思えるが、海賊達の更生に関わっているということを示すことが出来るのは、向こうにとっても悪くない結果なのだろう。

 勿論、ギャラルホルンの者達がやるのは、あくまでも採掘作業をしている海賊達の監視で、採掘作業そのものには関わらない。

 ビスケットは採掘作業をしている場所にギャラルホルンが入るのを避けたかったようだが、取りあえずハーフメタルの採掘作業における利益については、ギャラルホルンは関係がないということを、しっかりと書面に残している。

 ……まぁ、採掘作業そのものはコバッタとかを使えばもっと効率的に出来るんだが。

 その辺については、仕方がないと諦めることにする。

 幸いなことに、捕虜達を働かせる場所はハーフメタルの埋蔵量がそこまで期待出来ないような場所だ。

 そうである以上、ある程度採掘出来ればラッキー程度に思っておけばいい。

 それにこれからも、俺達の捕虜になる者達は出てくるだろう。

 捕虜を閉じ込めておく場所としても、その採掘場は使える筈だ。

 

「そんな感じになった」

「……まぁ、アクセルらしいと言えばらしいのかしら」

 

 そう言いつつも、マーベルは呆れの視線を向けてくる。

 

「そうは言っても、全くの役立たずを生かしておくのに、俺達の金を使うのはどうかと思うぞ。採掘作業を行わせて、それで採掘した量に応じて食事とかを配るというのは悪くないと思う」

「でも、それだと夜明けの地平線団の中でも上下関係があった筈でしょう? それを使って下の者が採掘したハーフメタルの鉱石を自分の物にしたりもするんじゃない?」

「ギャラルホルンから派遣されてきた連中がその辺はどうにかするだろ。もしどうにもならなかったら……その時はその時で、また別の事を考えればいい」

 

 病気になった奴とか、採掘作業中に事故で怪我をした奴とか、そういう連中については……どうするべきだろうな。

 個人的には海賊である以上、そういう連中には何もせず、そのまま死なせてしまってもいいと思う。

 もしくは、誰かに慕われているようならそいつに助けて貰えるかもしれないし。

 このオルフェンズ世界に人権という考えはない。

 いやまぁ、地球には人権とかそういう意識もあるのかもしれないが、火星は……あ、でもクーデリアの例を考えれば、上流階級とかにはその辺の意識はあるのかもしれないな。

 とはいえ、それはあくまでもほんの一部だけだ。

 例えばオルガ達が生まれ育ったスラム街とかでは、人権? 何それ、美味しいの? といった感じだろう。

 ヒューマンデブリなんて、そもそも人間ではなく物という扱いだしな。

 だからこそ、海賊達の人権については考える必要もない。

 わざわざこっちから海賊達をどうこうするつもりがないが、死んだら死んだで仕方がない。

 それこそ海賊達がヒューマンデブリにしていたように、使えなくなったら処分すればいい。

 ただ……そうだな。絶望だけを与えても、それこそ生きる希望を失い、仕事をしない可能性がある。

 だとすれば、ある程度の期間仕事をしたら解放……はちょっと無理だが、扱いはもっと良くしてやるというのはありかもしれないな。

 その期間を具体的にどのくらいにすればいいのかはちょっと分からなかったが。

 10年くらい?

 まぁ、それくらいが妥当か?

 もしくはちょっと軽いか。

 その辺については、後で色々と相談した方がいいだろう。

 

「ともあれ、これで夜明けの地平線団の一件は片付いた訳ですが……アリウムの方はどうするのです?」

「そっちは鉄華団に任せる事にした」

 

 シーラの言葉にそう返す。

 今回の一件……アリウムが後ろで糸を引いていたのは間違いない。

 勿論、アリウムにそれだけの影響力があるとは、俺も思ってはいない。

 ただ、夜明けの地平線団を率いるサンドバルにしてみれば、純粋に俺達が……シャドウミラーと鉄華団が目障りだったのだろう。

 そんな中でアリウムからの話があり、渡りに船とばかりに今回の話に乗ったというのが正しい。

 つまりアリウムは今回の一件の黒幕という立場ではあるものの、結局その程度の者でしかないのも事実。

 そんな奴をわざわざ俺がどうこうするのは避けたいとオルガから申し入れがあり、なら鉄華団に任せるという事になった訳だ。

 今回の戦いで鉄華団にも被害は出た。

 オルガはその落とし前という意味でも、アリウムが許せなかったのだろう。

 つまり、余程の何かがない限りアリウムの死は決まった訳だ。

 アリウムは何だったか……テラ・リベリオニスとかいう組織を率いていた筈だが、その組織も今日で終わりだな。

 

「そう。なら今回の件はこれで終わりですね」

「そうなるな。……もっとも、これで終わりなのはあくまでも俺達だけだが」

 

 俺達はアリウムの件が片付けば、もう特に忙しい事はない。

 だが……ラスタルは違う。

 ラスタルが何を思って今回の戦闘に介入したのかは、俺にも分からない。

 分からないが、それによってラスタルは明確に俺の敵となったのだ。

 それをラスタルがどう思うか。

 難しいのは承知で、弁明をしてくるか。

 それとも、これ以上の話は無駄だと判断し、ラスタル側でもこっちを敵だと認識するか。

 その辺りは俺にも分からない。

 ただ、どう動くにしろ、何らかの行動を起こすのは間違いないだろう。

 ……もしかしたら、本当にもしかしたら、何も行動を起こさずに沈黙を保つかもしれないが。

 そうなったらそうなったで、後々何らかの理由で交渉をする必要が出来たら、その点を突けばいい。

 

「私達もMSの修理や補給、それに怪我人の治療で忙しくなるのは間違いないでしょうね。シーラも、書類仕事が増えるのは確実よ?」

「問題ありません。それだけの人員は揃えていますので」

 

 マーベルの言葉に、シーラは動揺したり焦ったりする様子もなく、そう答える。

 シーラにしてみれば、恐らく本当に書類が増えても対処出来るだけの自信があるのだろう。

 

「さて、そうなると、俺はどうするかだな……そうだな、UC世界に顔を出しておくか」

 

 ガンダム開発計画の件でフィフス・ルナに行く事になっていたが、夜明けの地平線団の一件があったせいで向こうには顔を出せていない。

 とはいえ、ゼフィランサスはまだ完成していない以上、もしやるとすれば、それこそゼフィランサスに使うパーツの実験という事でパワード・ジムを操縦するとか、そんな感じなんだとは思うが。

 

「そう。……まぁ、こちらばかりにいるのは向こうでも不満に思うでしょうし、ゲートがあるお陰で違う世界にいても連絡が出来るのは大きいわね」

「そうだな。もしラスタルから連絡があった場合は、通信機を介して話してもいい。……もっとも、未だに俺はラスタルに会った事はないんだけどな」

 

 ラスタルの使者とは会った事があるが、本人とはまだ会ってはいない。

 ……とはいえ、今回の一件は大きいので、連絡をしてくる可能性は十分にあるが。

 その時、どのような反応をするのか少し楽しみではあるが。

 

「あ、そう言えばアクセル。ハーフビーク級の方はどうなったの?」

 

 不意にマーベルが話題を変える。

 とはいえ、シーラもその件については気になっていたのか、俺に視線を向けてくる。

 シーラはこのスキップジャック級の艦長をしている以上、ハーフビーク級の艦長をする訳でもないだろうに。

 あ、でもそれだけにハーフビーク級について気になってるのかもしれないな。

 

「ホワイトスターの技術班に預けてあるから、おかしなところがあれば連絡があるだろ」

 

 もっとも、おかしなところがあるかどうかのチェックは決して楽しい作業ではない。

 趣味に生きていると言ってもいい技術班の面々だ。

 ハーフビーク級の調査をしろと言われても、恐らく押し付け合っているだろうが。

 一応、ハーフビーク級はオルフェンズ世界において高性能な戦艦である以上、技術班にとってもそれなりに興味深い一面はある……かもしれない。

 MSと比べると、そこまでこの世界特有の技術は使われていないっぽいしな。

 それこそエイハブ・リアクターが一番特殊か?

 ただ、エイハブ・リアクターについて調べたいのなら、それこそMSを……場合によっては、それこそエイハブ・リアクターだけを取り出して調べればいいし。

 あるいは、調べるのは阿頼耶識か。

 阿頼耶識については、エリナがちょっと……いや、かなり興味を示していたんだよな。

 エリナの世界であるナデシコ世界では、ナノマシン技術が発達している。

 それこそナデシコ世界では気楽にナノマシンによって機械を操縦出来るようになるのだ。

 オルフェンズ世界では決して成功率が高くない阿頼耶識の手術を行う必要があるが、ナデシコ世界のナノマシン技術ならそのような危なさは全くない。

 ……まぁ、今行われている阿頼耶識の手術は、厄祭戦の時に流出したもので、オリジナルに比べるとかなり劣化しているという話だ。

 そういう意味では、オリジナルの阿頼耶識なら今のように危険はない……のかもしれない。

 もっとも、その技術を開発したギャラルホルンが、今では阿頼耶識は忌むべき存在であるという風潮を作っている。

 そう考えると、オリジナルの阿頼耶識についてのデータとかは、もうないのかもしれないな。

 ともあれ、ナデシコ世界のナノマシン技術……イメージフィードバックシステム、IFSは安全性という意味では阿頼耶識よりも格段に上だ。

 性能については……どうなんだろうな。

 三日月とかの操縦技術を見ている限りでは、阿頼耶識の方が上かもしれないが。

 ただ、それはあくまでも三日月の操縦センスが卓越したものだからという可能性もあるだろう。

 

「ともあれ、ハーフビーク級はそのうち戻ってくる筈だ。……ただ、戻ってきても戦力的に俺達で使えるかどうかは微妙なところだが。スキップジャック級で十分間に合っているし」

「ホワイトスターから誰か呼んで来るというのはどうなの? ムウだっけ? あの人のように」

「まぁ、その可能性が高いだろうな」

 

 他にも久しぶりに戦いたいと思う者はいるだろう。

 特にムラタとかはそんな感じの筈だ。

 ……とはいえ、ムラタの戦闘方法とオルフェンズ世界のMSの相性はかなり悪いんだよな。

 何しろオルフェンズ世界のMSは基本的にナノラミネートアーマーを使っており、物理攻撃の効果が薄い。

 そしてムラタの戦闘スタイルは、基本的にシシオウブレードを使った近接戦闘だ。

 せめてもの救いは、ビームを使った射撃中心ではないという事か。

 もしこれで重力波砲の類ではなくビーム兵器を使った戦闘スタイルだと、オルフェンズ世界のMSを相手にしてはどうしようもない。

 精神コマンドの直撃でもあれば話は別だが、今のところそれが出来るのはあくまでも俺だけだしな。

 もしくは……神鳴流で何とか出来るか?

 神鳴流は武器を選ばすとか言うし。

 ……それにしても、ちょっと無理なような気もするが。

 

「では、ハーフビーク級はシャドウミラー……ホワイトスターの方で使うという事にしましょう。アクセルもマーベルも構いませんね?」

 

 シーラの言葉に、俺とマーベルはそれぞれ頷く。

 後の問題は、そのハーフビーク級の調査がいつ終わるかだろう。

 技術班の面々がその気になれば、それこそ明日にでも終わりそうな気がするんだが。

 

「さて、そうなると後は火星に戻ってからですね。……アクセル、捕虜達を働かせる細工施設の周囲を囲む壁は、具体的にいつくらいに出来る予定ですか?」

 

 シーラのその問いに、俺は少し考えてから口を開く。

 

「正直、分からない。出来るだけ早くしてくれとは言ってるし、何より石動にしてみれば今回の戦いを俺達に任せた事について思うところもあるだろうから、向こうでも動きは早いと思うけど。それこそあまりに遅ければ、ヒューマンデブリとして売るようなことになるだろうし」

 

 ヒューマンデブリとして売られると、買う者の中には海賊もいるだろう。

 ギャラルホルンにとって、それは決して好ましい事ではない筈だ。

 ましてや、俺がヒューマンデブリとして売り払った理由を公表すれば、それはギャラルホルンにって……特に火星支部のトップが所属するマクギリスの派閥にとって、決して好ましい事でない。

 石動もそれを分かっている以上、壁についてや監視の人員については速やかに対処する筈だった。

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