転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4084話

 ポーラからのアドバイス……アドバイス? あれを本当にアドバイスと呼んでもいいのかどうかは分からなかったが、それを聞いた俺はポーラと共にニナの部屋に行く事にした。

 当然ながら、ニナの個室はクラブ・ワークスを含めたアナハイムの女の社員達の……こういう表現が正しいのかは分からないが、一種の寮とでも呼ぶべき場所にある。

 そのような場所である以上、当然ながら俺が1人で歩いていると、怪しまれてしまう。

 そんな訳で、ポーラと一緒にいるのだ。

 幸いなのは、ここが女子寮的な場所ということではあるが、よくある寮のように男を連れ込むのは禁止とか、そういう規則はない事か。

 だからといって、女子寮区画に男が1人でいれば怪しまれるので、ポーラと一緒なのだが。

 ただ、問題なのは……

 

「大丈夫なのか?」

 

 隣を歩くポーラにそう尋ねる。

 ここが女子寮的な場所ということで、ここまで既に何人かの女と遭遇している。

 そんな女達は、決まって俺を見ると男がいると騒いだりするような事はなく……ポーラに対し、意味ありげな視線を向けているのだ。

 まぁ、分からないではない。

 クラブ・ワークスに所属するポーラは、言ってみればアナハイムの中でも選ばれたエリート的な存在だ。

 そんなポーラが、俺と一緒に女子寮区画にいるのだ。

 そして今の俺は10代半ばの外見で、ポーラは20代。

 こう言っては何だが、年下好きのポーラが俺を連れ込んでいる……もっと言えば……そう、『お姉さんがいいことを教えてあ・げ・る』的な、そんな感じのように思われたのだろう。

 

「……」

 

 そのポーラは、俺の質問を頬を赤く染めながらもスルーしていた。

 多分、ここで自分が何かを言えば、それはそれで面倒なことになると思ってるんだろうな。

 実際問題、本当にそんな風に思われてもおかしくはないだろう状況なのだし。

 友人思いのポーラにしてみれば、とにかく俺とニナの関係を修復する必要があると思ったのだろう。

 ……別に俺とニナは喧嘩をした訳ではないのだが。

 ただ、ニナの設定したコースを、ニナには全く予想出来なかった速度でクリアしたというだけで。

 それでショックを受けているニナに、もっと優しく接しろと言われても……その、困る。

 とはいえ、そうすればニナの開発者としての能力も上がり、試作1号機……ゼフィランサスの完成が早まると言われれば、俺としても反対するのは難しい。

 正直なところ、俺としてはニナがそこまで繊細な性格をしているとは思えないんだが。

 ただ、それで少しでもゼフィランサスの開発が進むのなら、多少優しくするくらいは別に構わないが。

 いや、寧ろ積極的にするだろう。

 

「ほら、あそこがニナの部屋よ」

 

 俺の言葉はスルーしたポーラだったが、やがてとある部屋の前で足を止める。

 ポーラが言うように、ここがニナの部屋なのだろう。

 寮のような場所ということもあり、特に扉を飾ったりとかそういうのはしていない。

 ただ、扉の横の壁にはニナ・パープルトンというネームプレートが貼られてあるだけだ。

 そんな扉を、ポーラがノックする。

 

「ニナ、いるの? ちょっと話があるんだけど、出て来てくれない?」

 

 ごそごそと、ポーラの言葉に反応するように部屋の中で何かが――ニナなのだろうが――動くような音がして、やがて扉が開く。

 開いたのだが……

 

「何。ポーラ。今は……ちょっ……と……え?」

 

 扉から出て来たニナは、ポーラに返事をしつつ、その隣にいる俺の姿を見て言葉を……いや、動きを止める。

 いやまぁ、無理もないだろう。

 別に裸とか下着姿とかいう訳ではないが、ショートパンツとタンクトップという、非常に動きやすい服装をしており、それによってニナの滑らかな肌の多くを見る事が出来るようになっているのだから。

 人によっては、裸や下着姿より、この姿に興奮するという者もいるだろう。

 ……俺にしてみれば、多くの恋人と同棲している以上、そこまで興奮するような事はないが。

 ただ、それはあくまでも俺はの話で、ニナにしてみれば違う。

 俺の視線が自分の身体に向けられたことに気が付いたニナは、恐る恐るといった様子で自分の身体を見下ろし、そこにあるのが軽装としか表現出来ないような服であると理解したらしい。

 

「きゃああああっ!」

 

 バタン、と。悲鳴と共に扉が閉められる。

 

「ポーラ」

「えっと……」

 

 俺の言葉に、ポーラは言葉に詰まる。

 多分ポーラも、まさかニナがああいう服装で出てくるとは思ってなかったのだろう。

 

「一応聞くけど、これでニナが精神的なショックを受けて、試作1号機の開発が遅延したらポーラが責任を執ってくれるんだよな?」

「……あ、あはは。でも、その……そう、まさかニナがあそこまで恥ずかしがるとは思わなかったわ」

 

 何かを誤魔化すようにそう口にするポーラだったが、それにどう反応すればいいのか迷う。

 

「本当に大丈夫なんだろうな?」

「それは……まぁ、その……多分?」

「俺がこうして会いに来たのが原因で、ニナがもっと落ち込んだりしたら、そのときはポーラに対処を頼むしかないからな」

「分かってる。分かってるってば。もし何かあっても、すぐに私が対処するから。そのつもりでいて」

「……何を対処するですって?」

 

 ギィ、という音と共に先程の身軽すぎる格好とは違い、ある程度それで外に出てもおかしくはない服を着たニナが姿を現す。

 

「あ、あははは。その……元気が出たみたいで何よりね」

 

 ポーラがそう言いながら、愛想笑いを浮かべる。

 そんなポーラを少し睨んだニナだったが、やがて呆れたように口を開く。

 

「まぁ、いいわ。中に入ってちょうだい。いつまでも部屋の前にいられると、妙な噂を立てられそうだし」

 

 もう遅いと思うんだが。

 そう思いつつも、それを言えば余計にニナを怒らせるような事になりそうだったので、そのまま素直に部屋に上がる。

 ニナの部屋は、思ってたよりも綺麗に片付いていた。

 いや、MSオタクのニナの事だ。

 それこそゼフィランサスの開発とかに使う資料がその辺に大量に転がっていてもおかしくはないと思ったのだが。

 ああ、でも急いで片付けたのかもしれないな。

 やるつもりはないが、棚の扉を開くとそういう資料とかが転がり落ちてくる可能性すらある。

 

「それで? 一体何をしに来たのかしら。ポーラはまだしも、アクセルまで」

 

 ソファに座るように勧められ、俺とポーラは並んでソファに座る。

 そして俺の向かいに座り、そう言うニナ。

 ニナの視線が俺を責めているように思えるのは、きっと気のせいではないだろう。

 というか、俺は別に好き好んでニナの部屋に来た訳じゃないんだが。

 とはいえここでそういう事を言えば、それこそニナを傷つけてしまうかもしれないのか。

 

「ポーラと話していたら、ニナの話題になってな。それで丁度いいからちょっと顔を見ておこうと思っただけだ」

「……何でポーラと話しているのかとか、私のどういう話題があったのかとか、色々と思うところはあるけど……まぁ、納得したわ」

 

 どうやら納得してくれたらしい。

 もっとも、それはあくまでもそう言ってるだけで、表情にはまだ本当にこっちを許した様子はない。

 ニナにしてみれば、自分の霰もない姿をいきなり見られたのだ。

 その事をすぐに許せというのは、難しいとは思う。

 

「それで、一体何をしに来たの?」

「いや、だからポーラと話していてニナの話題になったから……」

「本当の事を聞いてるの。アクセルとポーラの両方を知っている私にしてみれば、2人の相性が良いとは思えないわ」

 

 どうやらニナは俺の言葉をあっさりと見破ってしまったらしい。

 どうする? とポーラに視線を向けると、ポーラは仕方がないといった様子で口を開く。

 

「今日の一件でニナが落ち込んでるのを励まそうと思って、アクセル中尉と一緒に来たのよ」

「……でしょうね」

 

 どうやらニナも何故俺とポーラがやって来たのかの理由は予想していたらしい。

 

「勘違いしているようだけど、私は別に今日のアクセルの一件でそこまで落ち込んでる訳じゃないのよ? ただ……それでも、驚いたのは間違いないけど」

「そうなのか?」

「そうなの?」

 

 俺とポーラの言葉が重なる。

 俺もポーラも、ニナは俺の出した数字に納得出来ずに落ち込んでいると思っていた。

 だからこそこうしてニナの様子を見に来たのだから。

 

「そうなのよ。……まぁ、今にして思えばそういう風に思われても仕方がないとは思うけど。ただ、私は色々と考えたい事があっただけで」

「具体的には?」

「そうね。ゼフィランサスの開発についてよ。アクセルには気を悪くして欲しくないんだけど、私が今まで考えていたゼフィランサスの状況と、アクセルがテストパイロットをやるゼフィランサスを考えると、どういう風にデータ設定をしたらいいのかと思って」

「あー……なるほど」

 

 MSオタクはMSオタクだな。

 ニナの様子にそう思う。

 とはいえ、それは結構難しい問題なのは間違いないが。

 何しろ自分で言うのもなんだが、俺のMSの操縦技術と一般のMSパイロットの操縦技術は、色々な意味で違いすぎる。

 俺は物理現象を無視出来るので、Gとかそういうのを無視出来るのも大きいだろう。

 だが、当然ながら普通のMSパイロットにGを無視するとか、そういう事は出来ない。

 それだけでもMSの操縦方法は大きく違ってくる。

 それに俺は今まで、このUC世界での戦いだけではなく、色々な世界で数え切れない戦いを繰り返してきた。

 そういう意味で、経験という意味では俺以上の存在はいない。

 そんな俺に合わせたデータ設定をすると、他の一般的なMSパイロットには対処するのが難しいだろう。

 分かりやすいところだと、あれだ。

 1年戦争中に開発されていた、アレックス。

 元々あのMSはニュータイプ用に開発されたMSだったが、それをアムロ用に設定した結果、テストパイロットをやっていたクリスは機体の反応が敏感すぎて上手く操縦出来なかった。

 まさにゼフィランサスも、アレックスと同じような結果になりかねない訳だ。

 ……もっとも、そういう風に分かってるとなれば対処のしようもあると思うが。

 

「まずは俺のデータでゼフィランサスを開発して、最高の性能にする。そしてゼフィランサスが連邦軍に渡される時は、リミッターをつければいいんじゃないか?」

「それが一番手っ取り早い手段というのは分かっているわ。分かっているけど……だからといって、私のガンダムを最高の性能を引き出せない状態にするというのは、納得出来ないのよ」

 

 もう、私のガンダムという言葉を隠す気は全くないな。

 一瞬だけポーラに視線を向けたが、そのポーラは特に驚いた様子はない。

 クラブ・ワークスの中では、ニナはずっと私のガンダムとか言ってるんだろうな。

 

「ニナの拘りも分かるけど、だからといって俺のデータのまま連邦軍に渡す訳にもいかないだろう? それは今日のパワード・ジムで収集されたデータを見れば明らかな筈だ」

「そうね。それは否定しないわ。だからこそ、どうするべきか迷ってるのよ。……いっそ、ゼフィランサスを使うのがアクセルならいいんだけど」

「無茶を言うな、無茶を。俺の所属はあくまでもルナ・ジオン軍で、連邦軍じゃない」

 

 まぁ、1年戦争の時はホワイトベースに乗っていて、連邦軍として活動していたりもしたんだが。

 とはいえ、その件については知っている者は決して多くはない。

 何より連邦軍としても、それを表沙汰にはしたくないだろう。

 もし俺が1年戦争においてホワイトベースで戦っていたのが公表された場合、連邦軍がこれまで大々的に発表してきたホワイトベースの偉業は俺のお陰という事になってしまうのだから。

 実際にはアムロを始めとした他のMSパイロットがいたからこその成果なのは間違いない。

 ただ……1年戦争中に、俺がニーズヘッグ1機で月にいたジオン軍……キシリアの突撃機動軍を倒した映像がある。

 そんな腕利きの俺がホワイトベースに乗っていたのなら、その功績も俺がいたからこそだろうと思ってもおかしくはない。

 まぁ、今の俺はアクセル・アルマーではあっても、シャドウミラーのアクセル・アルマーとは別人でしかないのだが。

 顔が似ていて、名前も同じ。

 これで俺をアクセルの関係者ではないと思う者は一体どれだけいるんだろうな。

 ただし、関係者であるとは思っても、まさか同一人物だとは思わない筈だ。

 外見年齢が違いすぎるし。

 考えられる可能性としては……そうだな、例えば俺がアクセルの弟とか、影武者とか、そんな感じか?

 年齢詐称薬とかそういうのが一般的になれば、あるいは俺をアクセルだと思う者も出て来るかもしれないが……取りあえず今はその辺の心配をする必要はない。

 そんな風に思いながら、俺はニナやポーラと共にゼフィランサスについての話をする。

 やはり問題なのは、俺のデータであり……それをどうするべきなのかと、そんな風に解決法を考えるのだった。

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