転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4086話

「そうか、アリウムは死んだか」

「はい」

「自業自得ではあったな」

 

 俺の言葉にオルガが頷く。

 UC世界でニナやポーラと話をした翌日、俺の姿はオルフェンズ世界にあった。

 そして俺に会いに来たオルガと、夜明けの地平線団の一件の後始末についての情報を聞いているところだった。

 取りあえず、夜明けの地平線団を率いていたサンドバルや他の幹部達は、石動が連れて既に地球に向かったらしい。

 それについてはどうでもいい。

 いや、本当にどうでもいい訳ではないが、それでも今の状況を思えばそこまで気にする必要はないだろう。

 ここで重要なのは、未だにラスタルからの接触がない事だ。

 イオク・クジャンとエースの女によって、現在シャドウミラーとアリアンロッド艦隊……正確にはラスタルだが、とにかく敵対関係にあるのは間違いない。

 そうである以上、ラスタルから何らかの接触があるとばかり思っていたのだが。

 それこそ俺がUC世界にいる時にその辺の連絡があってもおかしくはないと思っていたのだが、やはり連絡はなかった。

 これはやはり、ラスタルが完全に俺を敵として認識したと思った方がいいのか?

 そんなラスタルに比べれば、アリウムの件はどうでもいい。

 ……いやまぁ、アリウムにも同情出来るところがない訳でもないのだが。

 何しろアリウムの行動によって、クーデリアが表舞台に上がったのは間違いない。

 今はともかく、クーデリアが表舞台に出た時、アリウムはそんなクーデリアの後ろ盾だったのは間違いない。

 だが、そこで動きを止めてしまったアリウムと違い、クーデリアは行動し続けた。

 その結果、クーデリアは単独で――シャドウミラーと鉄華団が護衛をしたが――地球に行き、蒔苗と交渉し、クリュセの半ば独立を獲得した。

 そうしてクーデリアが動いている時、アリウムは何をしていたのか。

 せめてクーデリアと共に行動していれば、まだ話は違ったのだろう。

 だが、クーデリアが苦労している時は協力するような事はせず、表に出てこなかった。

 そしてクーデリアが蒔苗と交渉を成立させた後で、自分がクーデリアを表舞台に出したという事で擦り寄ってきたのだ。

 ……うん、こう考えるとやっぱり同情すべき点はないな。

 昔を懐かしみ、もっと自分をチヤホヤしろといったようにアリウムが思っても、誰もそれを気にしなくなった。

 それがアリウムにとっては不満だったのだろうし、それによってアリウムが率いている組織テラ・リベリオニスも資金難とか人材難とかになったのだろうが……まぁ、自業自得だろう。

 リスクを恐れて行動出来ないのは、それはそれで仕方ない。

 別にその件でどうこうしようとは俺も思わない。

 だが、それでリターンを手にしたクーデリアに近付くのは間違っているだろう。

 

「ちなみに、夜明けの地平線団についてはどうだった? 素直に自分が依頼したと認めたか?」

「いえ、最後まで見苦しく言い訳をしてましたよ」

「……そうか」

 

 これで完全に同情する気は失せた。

 もし仮に素直に自分が夜明けの地平線団に依頼をしたと言えば、多少は思うところがあったんだろうが。

 それで許すかと言われればそれは否だが、それでも多少の敬意を持つくらいはしてやった筈だ。

 ただ、それすらも誤魔化そうとしたのなら、もう思うところはない。

 自業自得。

 無能……という訳ではないのだろうが、それでも自分の能力以上の事をしようとして、それに届かずに終わってしまったということだろう。

 

「テラ・リベリオニスの方はどうなった?」

「解散です。後釜もいませんでしたし」

 

 テラ・リベリオニスはアリウムが1代で作り上げた組織だ。

 あるいはアリウムに子供でもいれば、またもう少し違ったのかもしれないが……生憎と、アリウムに子供はいないらしい。

 いや、もしかしたら子供がいても隠しているだけという可能性もあるが。

 ともあれ、表沙汰になっていない、他の連中も知らないのなら、テラ・リベリオニスは残しておく必要はないだろう。

 とはいえ、組織を解散させるとなると、それはそれで問題がある。

 

「下手に俺達を恨んでいる連中を野に放つのは面白くないな。個人で何が出来るかは分からないが、それでもこっちに危害を加えてくる可能性は否定出来ないし」

「ああ、その件は問題ありません。生き残ったテラ・リベリオニスの構成員はノブリスの組織に預けましたので」

「それはまた、予想外な。……ああ、でもそれはそれで間違いではないのか?」

 

 以前、俺達がクーデリアを地球まで護衛した時は、ドルトコロニーの一件でノブリスは俺達を裏切った。

 その落とし前は既につけてあるし、その時の戦いであったり……他にも海賊としては最大規模の夜明けの地平線団を俺達が壊滅した事もあり、ノブリスが俺達を相手に敵対する可能性は、まず考えなくてもいい。

 寧ろアーブラウ軍の一件に関わらせた事により、ノブリスはかなりの儲けを出している。

 もっとも、落とし前の件やアーブラウ軍に提供する兵器とかの件で、ノブリスの財産はその多くを失っているのだが。

 それでもこの2年の間にアーブラウ軍について深く関わり、大分資産も増えてきた。

 そんな中で、ノブリスが俺達を敵に回すような事をするかと言われれば……正直、微妙なところだろう。

 俺達を敵に回した時に受ける損害がどれだけのものかは、ノブリスもしっかりと理解しているのだから。

 だからこそ、ここで俺達を相手に敵対しようとは思わない。

 ……もっとも、それはつまり俺達と敵対しても自分の利益になると判断すれば、躊躇なく裏切ってもおかしくはないという事なのだが。

 それでも今の状況で裏切るような事はまずない以上、テラ・リベリオニスの残党を任せるには丁度いい。

 夜明けの地平線団の捕虜達と同じく、ハーフメタルの採掘作業をさせるのもいいかと思ったんだが。

 

「ノブリスの野郎が妙な動きをしないよう、しっかりと見張っておきます。兄貴は安心して下さい」

「オルガがそう言うのなら、それで構わない……うん?」

 

 不意に扉の外に気配を感じ、そちらに視線を向ける。

 オルガも俺の視線を追うように扉に視線を向け……

 コンコン、と扉がノックされる。

 

『アクセル、緊急の連絡が入ってるんだけど。オルガも一緒なのよね?』

 

 扉の外から聞こえてきたのは、マーベルの声。

 その声は、マーベルらしくもなく焦っているように思える。

 それだけの何かがあったという事か。

 具体的に何があったのかは分からないが、マーベルの声の様子からして、悪い事ではないと思う。……同時に良い事でもないようだったが。

 マーベルの口調にあるのは戸惑いの色だ。

 

「入ってもいいぞ。オルガもいる」

 

 そう声を掛けると、扉が開いてマーベルが姿を現す。

 

「それで? 何があった?」

「ハーフメタルの採掘施設で妙な物が見つかったわ」

「……妙な物?」

 

 

 

 

 

「うん、確かに妙な物だな」

 

 俺は視線の先にある物を見て、そう言う。

 ここはシャドウミラー、鉄華団、アドモス商会の出資で動いているハーフメタルの採掘場の1つだ。

 こういう採掘場は既にそれなりの数がある。

 なお、そんな採掘場の中の1つが、夜明けの地平線団の捕虜達を働かせる場所だ。

 ここは違うが。

 ともあれ、俺は視線の先にある、マーベル曰く妙な物を見ていた。

 

「あれは……もしかして……」

「ガンダム・フレームだな」

 

 雪之丞がオルガの言葉にそう言う。

 雪之丞がここにいるのは、ちょうどこの採掘場で使っていたMWに不具合が出て、その修理の為に来ていたかららしい。

 それに、テイワズで勉強をしてきた雪之丞は、MSのプロフェッショナル……というのは少し大袈裟かもしれないが、それでもかなりMSに詳しくなっているしな。

 そういう意味では、丁度いい。

 俺も今まで色々な世界で多くの兵器を見てきたが……だからこそ、判断出来ない事があったりするんだよな。

 このオルフェンズ世界において、ガンダムというのはガンダム・フレームを使ったMSだ。

 だが、ガンダム・フレームを使ったMSでガンダムであっても、俺の知っているガンダム的な存在ではないMSが多い。

 色々と違うところはあっても、ガンダムというのはどの世界でも似通った形状をしている。

 だが、オルフェンズ世界のガンダムは……この世界の主人公の三日月が使うバルバトスはまだかろうじてガンダムと呼んでもいいかもしれないが、クランクに貸しているグシオンなんかは、とてもではないがガンダムに見えない。

 そんな訳で、ガンダムかどうかはちょっと見分けが付きにくいのだが、雪之丞はその辺についてもすぐに判断出来るくらいの知識を持っていたらしい。

 

「ガンダムか。……まぁ、バルバトスの件を考えると、おかしくはないのかもしれないな」

 

 バルバトスは、鉄華団の前身であるCGSの社長をしていたマルバが、火星の荒野に転がっているのを見つけたとか何とか、以前聞いた覚えがある。

 そういう意味では、地中にガンダムが埋まっていてもおかしくはない……のか?

 実際にそれが真実なのかは分からない。

 分からないが、それでも一応理由がつくことは間違いなかった。

 

「それと、見つかったのはこのMS……ガンダムだけじゃないわ。ガンダムから離れた場所だけど、こっちに来てくれる?」

 

 マーベルの言葉に、俺達は移動し……

 

「これはMS……じゃない、よな?」

 

 ガンダムから少し離れた場所に、それはあった。

 俺が口にしたように、MSではない。

 それは地面に半ば埋まっている状態であっても変わらない。

 変わらないが……なら何なのかと言われると、それはそれで困るのも事実。

 

「MWですかね?」

 

 オルガがそう言うが、それを口にした本人が自分の言葉を信じていないように思える。

 実際、これがMWなのかと言われると、俺も素直に頷けない。

 現在使われているMWとこれでは、明らかに違う技術のように思えるのだ。

 となると、他に考えられるのは……

 

「MAか?」

 

 厄祭戦において、MSと……人類と戦った存在、それがMAだ。

 MAと一口に言っても、俺の知っているMAとは全く違う。

 俺の知っているMAというのは、ガンダムのある世界において人型ではない兵器だ。

 ……もっとも、SEED世界においてはバクゥのような四足獣型の存在もMS扱いだったりするので、その世界によって微妙に違うのだが。

 ともあれ、そういう意味で言うのならオルフェンズ世界のMAというのは無人機だ。

 よくある、AIが暴走して人間と敵対するようになったとか、そんな感じ。

 

 

「え? でも兄貴……これがMAとは到底思えないんですが」

 

 オルガが戸惑ったように言う。

 その気持ちは分からないでもない。

 MAというのは、人類を絶滅寸前まで追い詰めた存在だ。

 そんな存在が、MSよりも少しだけ大きいというのは……しかもこう、何と言えばいいんだ? 作りがチープ? とてもではないが、これに人類が追い詰められるとは思えない。

 AI制御によるものだとすれば、それこそ外見よりも性能を重視されている可能性もあるが。

 その場合は、このMAと思しきものは外見に見合わぬ性能を持っている可能性は十分にあった。

 あったのだが……

 

「そうなんだよな。何と言うかこう……そう、迫力か? それが感じられないのも事実だ」

 

 オルガの言葉に、改めて地面に半ば埋まっているMAらしき存在を見る。

 例えばあのMAがそういう存在なのかと言われると、俺は首を傾げるだろう。

 こう言っては何だが、俺なら生身でも倒せそうな気がするし、俺以外の面々であってもMS数機がいれば倒せそうな気がする。

 

「そもそも、仮にこれがMAだったとするのなら、あのガンダム・フレームもそうだが、何で今まで見つからなかったんだ?」

 

 オルガのその問いに答えたのは、雪之丞だ。

 

「ハーフメタルがあるからだよ。金属探知機とかそういうのを使っても、ハーフメタルがあればまともに動かねえ。その結果として、今まで見つからずにずっと地中で眠ってきた訳だ。ここの採掘が進まなければ、多分ずっと眠っていたままだっただろうな」

 

 雪之丞のその言葉に、なるほどと頷く。

 そう考えると、もしかしたら他のハーフメタルのある場所には他にもガンダムが……そしてMAが眠っている可能性は十分にある。

 その辺をもっとしっかりと調べてみてもいいかもしれないな。

 とはいえ、探知機とかそういうのを使えない以上、実際にそこに何があるのかを調べるには、掘ってみるしかない。

 今回見つかったように、掘ってみないと分からないだろう。

 

「ともあれ、ガンダムの方はともかくMAっぽい感じの奴は何が起きてもいいように俺の空間倉庫に収納しておきたいと思うが、それで構わないか?」

 

 このまま放っておけば、もしかしたら何らかの理由によって動く可能性も否定は出来ない。

 だが、空間倉庫に収納しておけば、その心配はない。

 そう思いながら尋ねると、それに反対する者はいなかった。

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