転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4091話

 マクマードと通信をし、そしてオルガと話をした日の翌日……シャドウミラーの施設の前に、地球に行くMS部隊が揃っていた。

 勿論、MSだけではなく予備部品とか整備に使う各種道具が満載されたトレーラーの類もある。

 スキップジャック級が地球上でも使えるのなら、それに乗って移動するという手段もあるんだろうが、残念ながらスキップジャック級は宇宙戦艦だ。

 ついでにハーフビーク級もまた宇宙戦艦である以上、地球では使えない。

 シャドウミラーの技術班であれば、テスラ・ドライブを搭載するとかして地球上で使えるようには出来たりするんだが。

 とはいえ、それをやれば、明らかに異常だという事で怪しまれる。

 何しろ今のところは、まだシャドウミラー……ホワイトスターの方のシャドウミラーや、異世界の存在について公言するつもりはない、

 その為、今回転移するのもあくまでオルフェンズ世界の戦力だけだ。

 ……まぁ、転移した時点でその辺りについては手遅れのような気がしないでもないが、その辺については何とか誤魔化す予定となっている。

 誤魔化せるかどうかは正直なところ難しいとは思っているが、ジャスレイの一件が片付いた後であれば、もう無理だろう。

 なし崩し的に認めるという流れになる筈だ。

 出来れば俺達の正体が知られるのは可能な限り後であれば、その方がいいんだが、無理を言うのも難しいしな。

 

「アクセル、全員準備が整ったそうよ」

 

 そう俺に声を掛けてくるのは、マーベルだ。

 当然ながら、マーベルも今回の作戦には参加している。

 ヴァルキュリア・フレームのグリムゲルデに乗って。

 シャドウミラーの部隊を纏めているのはマーベルだから、マーベルが行くのは当然だろう。

 ちなみにマーベルは俺達と一緒に行くが、シーラは火星に残る。

 俺達がいない間のシャドウミラーを運営する必要があるし。

 実際、鉄華団でもメリビットは火星に残るし。

 もっとも、俺達は長々と地球にいる予定はない。

 あくまでも地球で戦っているアーブラウとSAUの戦いを止める……いや、終わらせるのが目的だ。

 具体的にはアーブラウの勝利で。

 後は、ラディーチェの確保は必須事項となる。

 ある意味、アーブラウとSAUの戦争の行方よりもこちらの方が重要だろう。

 だからこそ、これについては俺が出る訳だし。

 それと最後に、これは出来ればでいいからこの戦争を長引かせていた原因を確認し、その人物を確保する事。

 本来なら、シャドウミラーと鉄華団が協力しているアーブラウだ。

 SAUがどこかからのバックアップでも受けていない限り……あるいは獅子身中の虫がいない限り、戦いそのものはすぐに決着がついてもおかしくはない。

 それこそ、アーブラウの勝利という形で。

 そんな訳で、その誰かは出来れば確保したい。

 とはいえ、これはあくまでも出来ればの話だ。

 最悪の場合、こちらについては逃がしてもいいとは思っている。

 勿論、確保出来ればそれに越した事はないんだが。

 

「分かった。じゃあ、転移を始める。マーベルはシャドウミラーの部隊を頼むぞ」

「ええ。そっちも気を付けてね」

 

 そうして言葉を交わすと、マーベルはグリムゲルデのある場所に向かう。

 そして俺は空間倉庫からニーズヘッグを取り出す。

 ざわり、と。

 ニーズヘッグを見た瞬間、MS部隊もそうだが、離れた場所で様子を見ていた者達……火星に残る者達もざわめく。

 まぁ、分からないではない。

 ニーズヘッグは、それこそラスボスが乗ってるような機体だしな。

 このニーズヘッグを見て、それでも正面から戦おうという者がいたら、それはある意味で勇者だ。

 そんな機体が、いきなり目の前に現れたのだ。

 それに驚くなという方が無理だろう。

 ……それでも幸いな事に、MSに乗っている者達で武器を構えた者はいない。

 これは俺の機体であるというのを、十分に理解しているからだろう。

 もっとも、シャドウミラーや鉄華団の新人の中には、俺が魔法を使えたり、空間倉庫を使えたりするのを知らない者もいたりするので、そういう者達は今のこの状況では何がどうなったのか理解出来なくてもおかしくはなかったが。

 ともあれ、ざわめきはあるものの、特に騒動が起きなかったことに安心しながら、ニーズヘッグのコックピットに入る。

 ちなみにニーズヘッグのコックピットに入る時に俺が空を飛んだのを見て、再びざわめきがあったようだが、それについては気にしない事にする。

 魔法を使えるんだし、空を飛べるくらいはそうおかしなことではないだろうと思いながら。

 ニーズヘッグは念動力によって俺の存在を感知すると、機体が起動する。

 

「さて」

 

 機体が起動するのを見つつ、シャドウミラーと鉄華団のMS部隊に通信を送る。

 

「事前に説明があったと思うが、これから俺達は転移する。転移する先は、地球のアーブラウとSAUが戦っている場所からそこまで離れていない……筈だ」

 

 ここで断言出来ないのは、戦いというのは水物だからだ。

 戦っている間に、気が付いたら戦場が移動しているというのは珍しくない。

 ましてや、MSでの戦闘ともなれば移動するのも容易なのは間違いないし。

 また、戦場になっている場所の情報も多くはない。

 一応地球支部からその辺の情報を仕入れてはいるので、全く情報がない訳でもないんだよな。

 ただ、その情報の確度が問題な訳で。

 それでも多少情報の間違いがあったところで、これだけの戦力があれば全く問題はない。

 マーベルのグリムゲルデ、クランクのグシオン、三日月のバルバトス。

 他にもグレイズが主力MSだし、アインはレギンレイズに乗っている。

 夜明けの地平線団との戦いで倒した、イオクの護衛の機体を回収して修復した物だ。

 レギンレイズはギャラルホルンの中でもグレイズの後継機で、数はまだ少ない。

 実際、夜明けの地平線団との戦いの時に乱入してきたアリアンロッド艦隊の中でも、女のエースとイオク、その護衛達だけしか使っていなかったし。

 それ以外の面々……後方から戦線を押し上げていた者達は、やはりまだグレイズを使っていた。

 出来れば他にもレギンレイズに乗っていてくれれば、こっちとしても嬉しかったのだが。

 とはいえ、この辺はラスタルの考えによるものかもしれないな。

 ある意味、夜明けの地平線団に乱入してきてたアリアンロッド艦隊の戦力は、半ば使い捨てという考えだったのかもしれない。

 それでもエースの女やクジャン家当主のイオクの安全は確保しておく必要があると思っていたので、レギンレイズを配備した。

 それ以外の者達は使い捨てなので、レギンレイズを配備しなかった。

 ……これは俺の考えすぎか?

 そもそも、夜明けの地平線団は最大規模とはいえ、結局のところ海賊だ。

 MSの操縦技術という意味では、ギャラルホルンの最精鋭と呼ばれているアリアンロッド艦隊のMSパイロットの方が上だろう。

 だからこそ、夜明けの地平線団とアリアンロッド艦隊が正面から戦っても、有利なのはアリアンロッド艦隊だ。

 となると、使い捨てじゃなくて、勝利出来るとは思っていたが、エースの女とイオクの安全を少しでも高める為にレギンレイズを配備した……のか?

 実際、レギンレイズに乗っていたからこそ夜明けの地平線団の最奥まで来る事が出来たという可能性もある。

 あ、いや。エースの女については単純に女がエースだからこそ最新鋭機のレギンレイズを使わせるつもりだったのかもしれないな。

 まぁ、その辺については今更どう考えても仕方がない。

 もう終わった事だし。

 

「さて、じゃあ準備も出来たし転移を行う。……どうやら2年前の戦いで俺達が活躍した事を、SAUの者達はすっかりと忘れてしまったらしい。改めて、俺達の、シャドウミラーと鉄華団の名前を知らしめろ」

 

 通信を終えると、システムXNを起動する。

 

「システムXN、起動。……転移座標設定……OK。転移フィールド生成開始」

 

 システムXNが起動し、転移フィールドが生み出されていく。

 転移フィールドは光の膜と表現するのが相応しく、その転移フィールドによってMS部隊を包んでいく。

 通信から戸惑いの声が聞こえてくる。

 無理もないか。

 俺はニーズヘッグのシステムXNは今まで何度も経験してるが、他の者達にしてみればこれが初めての経験だ。だが……

 

『落ち着け! アクセルのやる事なんだから、このくらいは当然の事だろう! それに今までアクセルのやる事で大きな被害を受けた事はねえ! だから安心しろ!』

 

 シノの言葉が通信を通して響く。

 大きな被害はないのなら、小さな被害はあったのか?

 そう突っ込みたくなったが、何となくそう言えばそうだと断言されそうな気がしたので、その辺については言わないでおく。

 それに、シノのその言葉で動揺していた者達が落ち着いたのは間違いないし。

 何だかんだと、シノは皆に慕われてるんだよな。

 ……もっとも、以前ちょっと聞いた話によると、何故か新人に対して自分の方が目下の者のような言動をしていたらしいが。

 一体何があったのやら。

 シノの事だから、恐らく女関係なんだろうとは思うけど。

 シノについて考えていると、やがて転移フィールドの生成が完了する。

 

「転移フィールド生成終了。……行くぞ。転移」

 

 そう俺が告げた瞬間、俺達はシステムXNによって転移するのだった。

 

 

 

 

 

「どうやら転移は成功か。……戦場も当初の予定よりは離れているが、それでも砲撃音とかが聞こえるって事は、極端に離れている訳じゃない」

 

 そう呟きつつ、俺はニーズヘッグのコックピットから下りる。

 そこは自然豊かな森の中。

 当初の予定通りの場所に転移出来たらしい。

 その事に安堵しつつ、ニーズヘッグを空間倉庫に収納する。

 

『アクセル、ここは地球でいいのよね?』

 

 何かを確認するかのように、マーベルの乗っているグリムゲルデが外部スピーカーで聴いてくる。

 それは自分が聞きたいというよりも、他の者達に聞かせる為の問いだろう。

 

「そうだ。ここが地球だ。センサーの類を使えば分かると思うが、戦闘音が聞こえている筈だ。つまり、ここから戦場まではそう離れていない」

『じゃあ、私達はそこに行けばいいのね?』

「そうなる。そして一気にSAUの部隊を撃破してくれ。……まぁ、MSを動けなくすればいいから、無理に殺す必要はない」

 

 マーベルは戦いの中で相手を殺すのは普通に出来る。

 だが、余裕があって、実力の違いすぎる敵を相手にした場合は、明らかに実力差があるという事で、殺したくないと思ってもおかしくはなかった。

 だからこそ、マーベルが戦いの中で迷わないようにそう言っておく。

 

『ええ、分かったわ。捕虜に出来るのならするから』

「そうしてくれ。捕虜がいれば、身代金とかが貰えるし。……それと指揮系統の問題で口を出してくる奴がいるかもしれないが、それは無視してもいい。こっちの指揮下に入るのなら話は別だが」

 

 これがきちんとした国と国の戦争で、国の兵士によって捕らえられたのなら、捕虜交換であったり、終戦後の条約によって捕虜を返還したりといったような事になるのだろう。

 その際、場合によっては捕虜を返還する条件として相手から何らかの譲歩……例えば領土の一部を譲るといったものや、貿易の際の関税についてだったりを条件にしたりもするのだろうが……ともあれ、それでも国の兵士によっての捕虜であれば、捕虜になった者は基本的には特に何をするでもなく、最終的に国に帰れる事になる。

 だが、それはあくまでも国の兵士に捕らえられた場合の話だ。

 俺達のようにPMCであった場合、その辺りの条件は大きく変わってくる。

 それこそ、身代金……もしくは名称は多少変えるかもしれないが、とにかくそういうのによって金を払って解放して貰う必要が出てくる。

 そして身代金がない場合は、普通ならそれこそヒューマンデブリとして売られてもおかしくはない。

 もしくは、俺達の場合なら火星にあるハーフメタルの鉱山で既定の年数仕事をした結果、解放というのもあるな。

 ともあれ、俺達は現在正式に国に雇われている訳ではない以上、捕虜になったらその捕虜をどうするのかはこっちで決められる。

 そういう意味では、今回の一件は悪くない。

 ……もっとも、蒔苗の意識が戻ればその辺はどうなるのか分からないが。

 アーブラウがこっちで確保した捕虜を欲するのなら、相応の値段で売っても構わない。

 もしくは、クリュセの権限をもっと大きくする形にしてもいい。

 さすがに完全に植民地の解放という訳にはいかないだろうが。

 ただ、異世界の件を公にした場合、当然ながらアーブラウもその利益を欲する可能性がある。

 それは蒔苗がいようがいまいが、変わらない。

 いや、蒔苗がいれば、俺達と蒔苗の関係から余計に手を出してきたりするか?

 とにかく、捕虜が多ければこっちにとって決して悪い事でない。

 捕虜には色々な使い道があるのだから。

 

「じゃ、こっちは任せる。俺も向こうの件が片付いたら合流するから」

 

 そう言うと、俺は影のゲートに身体を沈めるのだった。 

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