転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4100話

「戯けにしてみれば、俺に側近を殺された恨みがある。あるいはセブンスターズに連なる家の当主として、クジャン家の面子が潰された、侮られたと思ってもおかしくはない。そしてテイワズのジャスレイにしてみれば、味方は少しでも多い方がいい」

 

 先程まではジャスレイの名前を誤魔化していたのだが、ジャというのを出した時点でマクギリスも誰の事なのかは分かっていたようだったので、ジャスレイの名前を出す。

 マクギリスはジャスレイの名前を出した事に少しだけ驚いた様子だったが、すぐにその顔から驚きは消える。

 

『それで2人は手を組む、と』

「そうなるな。……とはいえ、これはあくまでも俺の予想だ。戯けの性格を考えると、テイワズに所属するような奴と手を組みたいとは思わないかもしれないし」

 

 イオクにしてみれば、自分はギャラルホルンの中でも由緒あるセブンスターズに所属するクジャン家の当主という認識があるだろう。

 そうである以上、わざわざテイワズのような犯罪者集団と手を組むといった選択はしない可能性もある。

 プライドだけで彼我の実力差を考えればそんな選択はないだろうが……伊達に、マクギリスからも戯けと呼ばれてはいない。

 

「そんな訳で、あくまでも可能性ではあるが戯けが動く可能性は十分にある」

『そうか。……正直なところ、戯けには動かないで欲しいんだがな』

「そうなのか? ラスタルの戦力を減らすという意味では、決して悪くないと思うんだが」

『戯けが有能な敵ならそうだろう。だが、無能な敵なら、最終的にはラスタルの足を引っ張るだろう』

 

 なるほど。マクギリス的にはイオクにはラスタルの側で足を引っ張り続けて欲しいのか。

 とはいえ、それはそれでどうかと思う。

 いや、イオクが無能な戯けなのは間違いない。

 だが、ラスタルもそれを知っていながら、側に置いている筈だ。

 まさか夜明けの地平線団との戦いに乱入してくるまでは、イオクが有能だとラスタルが思っていたなんて事はないだろうし。

 そうなれば、ラスタルは何か考えがあってイオクを側に置いているのだろう。

 それが具体的にどのような考えなのかは分からないが。

 

「ラスタルがどう考えるのかはともかく、取りあえず戯けを処分すればラスタルの戦力が減るのは間違いない。……もっとも、クジャン家そのものが敵になりそうな気もするが」

 

 イオクにしてみれば、自分の側近が殺されて、面子を潰されたからジャスレイと手を組む可能性が高い訳だ。

 だがそれをやった結果、イオクが殺されたら……クジャン家にしてみれば、当主を殺された事になる。

 イオクに子供がいるのか、あるいはイオクの兄弟がいるのか、もしくはイオクと血の繋がった中から次期当主が選ばれるのか。

 その辺りは俺にも分からないが、とにかくクジャン家にしてみれば当主を殺されたという事で、側近が殺されたよりもより大きく面子を潰された形になる。

 だからこそ、イオクが殺されるとクジャン家は俺達に対してより敵意を剥き出しにする可能性が高い。

 まぁ、そうなったらそうなったで、クジャン家を潰せばいいだけだが。

 

『そうなったら、アクセル達には頑張って貰うしかないだろうね』

「援軍は出さないのか?」

『いらないだろう?』

 

 意味ありげに俺を見て、そう言うマクギリス。

 実際、援軍が必要かどうかと言われれば……微妙なところだろう。

 クジャン家がどれだけの戦力を持っているのか、その辺は俺にも分からないし。

 それにラスタルの噂が本当なら、イオクが死んだらそれを利用してクジャン家をエリオン家が吸収する……もしくは、そこまでいかなくても支配下に置くくらいの事はしてもおかしくはないだろうし。

 あ、でもそうなると単純にラスタルの戦力が増えるだけになるのか。

 それはそれで面白くないな。

 

「まぁ、どういう流れになるにしろ、俺に敵対した相手は破滅する。それだけだ。……それより、さっき言っていたガランの件ってのは?」

『ああ、それか。……まず最初に言っておく事だが、ガラン・モッサという人物は存在しない。あれは偽名だよ。……いや、登録されているのもガラン・モッサという名前である以上、偽名というのは少し違うかもしれないが』

「何だ、それは?」

『つまり、ガラン・モッサ(仮)は、誰かの手によってきちんとシステムに登録された名前な訳だ。戸籍もちゃんとある』

「……つまり?」

『単刀直入に言えば、ガランはラスタルの手の者だ。それも相当に深い関係にあるのは間違いないだろう。アクセルからのデータを分析した結果、それで間違いないという事になった』

「なるほど。いわゆる、裏の存在って事か」

『そうなるだろうね。生憎と前の名前は念入りに消されているから、正式な名前は分からないけど』

 

 そういう事が出来るのは、セブンスターズくらいだろう。

 そしてガランが協力していたのはラスタル。

 つまり、ラスタルがガランの情報……いわゆる、戸籍を改竄したのだろう。

 

「予想通り、ガランの裏にいたのはラスタルか」

 

 状況から、恐らくそうだろうとは思っていたが、これではっきりと決まった訳だ。

 

『そうなるだろうね。ラスタルにしてみれば、私やその派閥の影響力が高まるのは面白くないと考えたのだろう。そして出来れば、私の影響力を下げたいといったように』

「だろうな。向こうにしてみれば、色々と失敗が続いているし」

 

 夜明けの地平線団との戦いにおいても、結局イオク達が確保しようと思っていたサンドバルはこっちで確保した。

 アーブラウとSAUとの戦争も、俺達が介入したことでラスタルの狙いは外れた。

 そう考えれば、ラスタルが何か大きな行動を起こす可能性も否定は出来ない。

 

「ガランの件は、上手く使えばギャラルホルン内部での影響力が強くなるんじゃないか?」

『そのつもりだよ。後はアクセルに貰ったデータも使って、ラスタルを追い詰めようと思う』

「それで、残りの家も引き入れる事が出来ればいいんだがな」

 

 セブンスターズというのは、その名の通り7つの家の集まりだ。

 その中でマクギリスの派閥にはファリド家、ボードウィン家、イシュー家が所属していて、ラスタルの派閥はエリオン家とクジャン家が所属している。

 そうなると、これで5つ。

 7-5で2。

 つまり、まだどちらにもついていない家が2つある。

 その2つの家を取り込む事が出来れば、改革派にとっては大きな意味を持つ。

 もっとも、そうして2つの家を引き込んでも改革派の行動に口を出してくるといった事になれば、船頭多くして船山に上るという感じになりかねない。

 そうならないといいんだが。

 あくまでも、今の状況で重要なのはラスタルを倒す事だ。

 そんな風に思いながら、俺は暫くマクギリスとの通信を続けるのだった。

 

 

 

 

 

「何? 本当か? いや、けど……」

 

 マクギリスとの通信をしてから数日、俺は突然の報告に驚く。

 

「本当よ。とにかく、一度アクセルも来てちょうだい。見ればはっきりとするから」

 

 そう言うマーベルに連れられて、俺が向かった先には……

 

「これがMAか」

 

 地中に埋まっている物を見て、そう呟く。

 そう、俺の視線の先にあるのは、MA。

 ……いやまぁ、もしかしたらMAではない可能性もあるのだが。

 ただ、見た感じでは多分MAで間違いないと思う。

 プルーマとは較べものにならないくらいに大きいし。

 ちなみにMAが発掘されたのは、プルーマとガンダムが埋まっていた場所からそこまで離れていない場所となる。

 MAが埋まっているかもしれないと、色々な場所の採掘作業を進めたのだが……それがようやく当たった形だ。

 順番に採掘してきたので、候補の中でも最後の方というのはどうかと思うが。

 俺の運の悪さを考えれば、もしかしたら妥当なところだったのかもしれないな。

 そんな風に思いながら、MAを見る。

 MSと較べても、明らかに大きい。

 まだ見えているのは、あくまでもMAの一部だけでしかない。

 しかし、その状況であってもかなりの大きさを持ってるのは間違いない。

 

「兄貴!」

 

 MAを見ていると、どうやらオルガも俺と同じ報告を聞いたのだろう。

 車から降りると、慌てた様子でこっちに向かって走ってくる。

 

「オルガか。……見ろよ、これがMAだ」

「これが、MA。……厄祭戦を引き起こした存在……」

 

 オルガはMA……正確にはMAの一部を見て、そう呟く。

 もっとも、オルガは別に厄祭戦とかに詳しい訳ではない。

 そうである以上、自分で口にした言葉の意味を全て理解しているという訳ではないのだろうが。

 

「そうなるな。……さて、MAが見つかったが、これをどうすればいいと思う?」

「どうすればって……例えば、壊してしまうとか?」

「それも1つの手だ。ただし、厄祭戦で数え切れない程の……数億、数十億、数百億、あるいはそれ以上の人を殺したと言われているMAだ。壊そうと思ってそう簡単に壊せると思うか?」

「それは……」

 

 厄祭戦においては、それこそ多くのガンダムが戦って、それでようやくMAを倒したのだ。

 そうなると、このMAを壊そうとすればどうなるか。

 普通に考えれば、動き出して迎撃してきてもおかしくはないだろう。

 勿論、MAが既に壊れていて、地中にあるのはただの残骸でしかない……とかなら問題はないのだが、原作という事を考えれば、恐らくそれはない。

 こちらにあるガンダムは、現在2機。

 勿論、MAと戦うのは絶対にガンダムでなければならないという事はない。

 例えば現在シャドウミラーには、ヴァルキュリア・フレームのグリムゲルデがある。

 MSとしての性能ではガンダムに劣る面があるかもしれないが、それを操縦するのはダンバイン世界では最強の聖戦士と呼ばれたマーベルだ。

 それ以外にも、グレイズの後継機種であるレギンレイズもそれなりにある。

 また……最後の手段としては、それこそ俺のニーズヘッグがあるし、ホワイトスターからシャドウミラーの実働班を呼ぶという方法もある。

 そんな諸々について考えると……あれ? 実はMAであっても容易に倒せるんじゃないか?

 プルーマと一緒に発掘されたガンダムも、テイワズの方でそろそろ改修というか、修復とかが終わりそうらしいから、タイミングによってはこっちのガンダムは3機になるだろうし。

 

「だとすれば、兄貴。一応マクギリスに聞いてみるのはどうです? ギャラルホルンには、MAの情報がある程度あるでしょうし」

「倒すとなったらそうするよ。プルーマについての情報も持っていたしな」

「倒すとなったらって……他には何があるんです?」

「そうだな。これはオルガにとっては完全に予想外の方法だろうが……俺の空間倉庫に収納する」

「え?」

 

 一体俺が何を言ったのか分からないといった様子で、オルガの口からそんな間の抜けた声が出る。

 オルガも俺の空間倉庫については十分に知ってる筈なんだが。

 クーデリアを地球に連れて行った時も使ったし、アーブラウ軍が使うMSとかも俺が空間倉庫で運んだのだから。

 MAは確かに大きいかもしれないが、それでも質量的な意味ではアーブラウ軍で使うMSとかの総重量と較べると、軽い。

 つまり、空間倉庫に収納が可能な訳だ。

 

「そんな……そんな手段が……」

 

 俺の説明に、オルガの口からそんな声が漏れる。

 オルガにしてみれば、まさかそんな手段があるとは、思いも寄らなかったのだろう。

 俺にしてみればそこまで特殊な手段という訳でもないのだが。

 

「とはいえ、これはこれで問題もない訳じゃない」

「具体的には何があるんです? 俺には、兄貴の空間倉庫を使うって方法が一番いいと思うんですが」

「まぁ、空間倉庫に収納しておけば、MAが何をするにしても対処は不可能だしな。そういう意味ではオルガの意見は間違っていない。ただ、収納するのならMAを完全に採掘というか、発掘? する必要がある。この辺は俺の認識なんだが、空間倉庫に収納するのに、地中に埋まってる状態だと難しい」

「それは……どうにかならないんですか?」

「ならないな。今も言ったが、これは俺の感覚的な問題だし。だからMAを空間倉庫に収納するには、完全に掘り出す必要がある」

「それは……掘り出す時が危険だという事ですか?」

「その可能性は否定出来ない。もしかしたら、そういうのは全く何の問題もなく、普通に掘り出せるかもしれないが」

 

 そうやって掘りだしてしまえば、俺が空間倉庫に収納して、後はどうとでも対処出来る。

 それこそ最悪、どこかの宇宙空間に放り出してニーズヘッグで破壊するとか、もしくはいっそ、マクギリスとラスタルの戦いの最中、ラスタル陣営の側で空間倉庫から出してもいいし。

 あ、でもMAって宇宙でも動けるのか?

 いや、厄祭戦とかを起こしたと考えれば、普通に宇宙でも動けそうだな。

 もしくは、宇宙用のMAがいるとか。

 その辺は、それこそマクギリスに聞いたりしないと分からないか。

 そんな風にしながら、俺はオルガとMAをどうするべきなのかで相談を続けるのだった。

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