転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4103話

「ルリ、ラピス。ちょっと相談がある」

 

 俺の言葉に、それぞれ自分のメギロートの上に座りながらMAにハッキングしようとしていたルリとラピスがこちらに視線を向けてくる。

 2人揃って、その目が金色に輝いているのは、ハッキングにかなりの力を傾けているからこそだろう。

 それを示すかのように、クジャン家の戦力を蹂躙しているMAの動きが時折遅くなったり、何もない場所を攻撃したりしている。

 ……とはいえ、クジャン家のMS隊は腕は悪くないものの、決して良くもない……それこそ良くも悪くも平均程度といった技量なので、MAが隙を見せてもそれを突く事が出来る者は殆どいない。

 自業自得である以上、同情はしないがな。

 そもそも、クジャン家のMS隊が宇宙から火星に……それも俺やオルガがいたのもあってか、MAの埋まっている場所にピンポイントで降下してきた結果、それに影響されて停止していたMAが再び動き出したのだ。

 その結果として、クジャン家のMS隊はMAによって蹂躙されるという結果になっているのだから、この状況は自業自得としか言いようがない。

 そしてラスタルがイオクを使って俺を殺そうとした……実際にはどうか分からないが、それでも客観的に見た場合、そのようにしか見えないのは間違いない。

 それに夜明けの地平線団の一件の後でも、ラスタルが俺に接触してくる事はなかった。

 それはつまり、ラスタルの中では既に俺を引き入れるという選択肢はなくなったのだろう。

 

「何でしょう? こちらにもあまり余裕はないので、手早くお願いします」

「父」

 

 ルリとラピスがそれぞれに反応する。

 それを見ながら、俺は口を開く。

 

 

「簡単に言えば、お前達が今のままでMAをハッキングして止めるのは難しいと思う。だが、俺がニーズヘッグを、その中でもお前達が開発してくれたウルドの糸を使ってハッキングを仕掛ければどうなる?」

『……』

 

 ルリとラピスは、俺の問いに金色に光る目を大きく見開く。

 どうやらウルドの糸を経由したハッキングについては、想像していなかったらしい。

 正直なところ、これは半ば賭けに近い。

 今までのハッキングと、ウルドの糸を経由したハッキング。

 このどちらが効果的なのかは分からない。

 分からないが、それでもどうやらルリとラピスの様子を見る限り、賭ける価値がありそうなのは間違いなかった。

 

「ニーズヘッグの詳細な能力は分かりませんが、ウルドの糸のシステムを経由すれば間違いなく成功率は上がります」

「ます」

 

 ルリとラピスの言葉を聞き、俺のやる事が決まる。

 ただ……少し心配なのは、ニーズヘッグを認識したMAがどう反応するかという事なんだよな。

 トールギスⅢとメギロートを見る限りだと、恐らく反応はしないと思う。

 思うんだが、トールギスⅢやメギロートが普通の……こう言ってはなんだが、性能はともかく、ただのMSや無人機といったロボットであるのに対し、ニーズヘッグは色々な意味で普通じゃないんだよな。

 動力として、トロニウム・エンジン、ブラックホールエンジン、時流エンジン。

 他にもT-LINKシステムやアギュイエウス、バリオン創出ヘイロウ。

 後は俺がサーヴァントとして凛に呼び出された時、ニーズヘッグは宝具という扱いになり、それによって魔力属性も得た。

 また、ヒュドラの1つにはネギま世界のグレートグランドマスターキーがある。

 ……MAがどういう手段で相手を敵として認識してるのかは分からない。

 あくまでもエイハブ・リアクターを持つ存在を敵として認識してるのなら、ニーズヘッグは敵として認識されないだろう。

 だが、それら未知の要素がMAにどう反応されるのかは、実際にやってみないと分からない。

 また、もしニーズヘッグの特殊なシステムや諸々に反応しなくても、ウルドの糸を使えば、自分がハッキングされているというのは気が付く……筈だ。

 いや、どうだろうな。

 MAにハッキングされるといったような感覚があるのかどうか。

 厄祭戦の時、一体どういう風に対処されたかによって、その辺は大きく違ってくる。

 多分大丈夫だとは思う。

 ガンダム・フレームを見れば分かるように、基本的にギャラルホルンがMAに対処する時は、ハッキングとかではなく物理的に破壊するといった手段で対処していたのだから。

 しかし同時に、MAという無人機をどうにかする時、ハッキングというのは分かりやすい手段の1つである以上、厄祭戦で試されたことがないとは断言出来ない。

 だからこそ、実際にやってみるしかない。

 

「俺がニーズヘッグでMAに接近して、ウルドの糸を使う。そうしたら、ニーズヘッグを通してハッキングをして欲しい。……出来るか」

「出来ます」

「やる」

 

 ルリとラピスが、それぞれにやる気満々といった様子で返事をする。

 この様子を見る限りだと、勝率はあるか?

 

「アクセル、私は?」

 

 トールギスⅢから降りた綾子の問いに、俺はルリとラピスを見る。

 

「この2人の護衛を頼む。今はクジャン家のMS隊はMAの相手で精一杯だが、こっちでMAをハッキングして確保したら、こっちに攻撃してくる可能性は十分にあるし。……いや、それ以前にMAが攻撃してくる可能性もあるか?」

 

 普通に考えれば、MAがハッキングされていると気が付けば、実際にそれをやっているニーズヘッグを攻撃するだろう。

 だが、もしMAが何らかの手段で自分にハッキングしている大元が、ニーズヘッグではなくルリやラピスであると知ればどうなるか。

 MAにしてみれば、自分にハッキングしてくる相手を排除するのはおかしなことではない。

 その時、綾子が2人を守ってくれるのなら、心強い。

 

「任せて。この2人は私にとっても子供のようなものだし」

 

 そう言い、笑みを浮かべる綾子。

 綾子も俺の恋人の1人である以上、養子とはいえ、俺の子供であるルリとラピスについてはそのように思っているのだろう。

 ルリやラピスはそんな綾子の言葉にそっと視線を逸らすだけだ。

 少し……本当に少しだけだが頬が赤くなっているのは、照れているのか。

 

「分かった。任せる」

 

 そう言い、念の為にトールギスⅢを空間倉庫に収納する。

 MAやクジャン家のMS隊が攻撃してきた時、綾子がルリとラピスを守る時、トールギスⅢをそのままにしておくのは不味い。

 MAに壊されるのならまだしも、クジャン家のMS隊に接収されるなんて事になったら洒落にならないし。

 そんな訳で、トールギスⅢを収納した後で、ニーズヘッグを取り出す。

 さて、どうだ?

 ……よし、取りあえずニーズヘッグを出しただけでは、MAには特に何の反応もない。

 今も変わらず、クジャン家のMS隊を蹂躙していた。

 というか、あの尻尾以外にも手とかで普通にMSを……そのフレームを破壊してるのは、凄いな。

 そんな風に思いつつ、取りあえず最初の関門を潜り抜けた事に安堵し、ニーズヘッグのコックピットに入る。

 さて、ここからが第2の関門だ。ニーズヘッグの起動で何か反応するか?

 そんな風に思いつつ、俺はニーズヘッグを起動し、すぐに外の様子を映像モニタで確認するが……そこには、相変わらずクジャン家のMS隊を蹂躙しているMAの姿があった。

 というか、既に半壊状態になっているクジャン家のMS隊だが、それでも誰も逃げないってのは……当主のイオクは戯けと呼ばれるような無能だが、カリスマ性はあるらしい。

 ……いや、それはそれで余計に厄介な事だとは思うんだが。

 何しろ、イオクは無能な働き者である上に、下からも慕われているのだから。

 これでイオクが有能ならまだしも、無能という時点でどうしようもなくなっている。

 というか、イオクのレギンレイズはどこにいった?

 気が付けば、それらしいのはいないんだが。

 逃げたか?

 もっとも、部下の性格を考えるとイオクが部下を見捨てて逃げ出したのではなく、部下に逃げるように言われて……なるほど、ここまでMAに一方的に蹂躙されているのに、それでもクジャン家のMS隊が抵抗を続けているのは、逃げ出したイオクの為の時間稼ぎか?

 だとすれば、クジャン家の戦力を減らす為にMS隊が全滅するまで待った方が……いや、駄目か。

 俺がやるのはハッキングだ。

 MAがそれにどう反応するか分からないし、ハッキングにもどれだけの時間が掛かるか分からない以上、MS隊の壊滅は待っていられないか。

 

「MAの反応はないから、MAに近付く。これで近付いてMAが何もこっちに反応しなければ、ウルドの糸を使うから、ハッキングをしてくれ」

 

 そう言うと、映像モニタに表示されたルリとラピスが同時に頷く。

 さて、第3の関門だな。ニーズヘッグが近付いて、MAが何の反応もしないか。

 というか、クジャン家のMS隊がこっちに攻撃してくる可能性の方が高そうな……うーん、どうだろうな。

 MAだけで一方的にやられているのに、そこで更に敵を増やすというような事を、クジャン家のMS隊がやるか?

 イオクなら普通にやりそうではあるが、そのイオクも多分今はいないし。

 これでMAにもし人が乗っているのなら、近付いて来たニーズヘッグに攻撃をしてもおかしくはないだろうが、MAは無人機だ。

 自己判断の類もある程度は出来るのかもしれないが、それはあくまでもある程度だ。

 ニーズヘッグという、このオルフェンズ世界では到底想像も出来ないような人型機動兵器が近付いた場合、どう反応するか。

 エイハブ・リアクターを装備していない以上、近付いても敵と認識せずに無視をするのか。

 それとも人型機動兵器が近付いてきたという事で、エイハブ・リアクターを持っていなくても敵と認識して攻撃するのか。

 その辺りは実際に接触してみなければ分からない。

 それでもこちらに攻撃をしてきたら、相応の対処をする必要があるだろう。

 そう思っていたが……MAはまずはクジャン家のMS隊を攻撃するのを優先したのか、ニーズヘッグに何も反応しない。

 寧ろ、クジャン家のMS隊の方が戸惑っている様子を見せていた。

 それでもクジャン家のMS隊がニーズヘッグに向かって攻撃してこないのは、やはりMAという強敵を相手にしているのに、新たに出て来たニーズヘッグをも敵に回したくないと思ったのだろう。

 クジャン家のMS隊がニーズヘッグをどのように思っているのかは、俺にも分からない。

 ……もっとも、俺はこうして普通にニーズヘッグに乗っているし、シャドウミラーの面々はもう慣れているものの、ニーズヘッグの外見はどこからどう見ても正義の味方ではない。

 それこそ大魔王と……もしくは、ゲームでラスボスや裏ボスといった感じの外見をしている。

 クジャン家のMS隊にしてみれば、そんな相手をMAと一緒に敵にしたいとは思わないだろう。

 ともあれ、そのお陰でこっちに攻撃は飛んでこない。

 もしニーズヘッグに攻撃してきても、ニーズヘッグは複数のバリアを持つので、クジャン家のMS隊の攻撃が通用するとは思わなかったが。

 ニーズヘッグが、MAに近付く。

 とはいえ、MAはニーズヘッグを敵とは思っていないものの、当然ながら味方とも思ってはいない。

 それこそいないような存在……いや、MAにしてみれば、ニーズヘッグは本当に認識されておらず、いないと言っても間違いではない可能性もあるか。

 とにかく認識していない以上、MAが動く際にニーズヘッグを気にしない。

 つまり、ニーズヘッグがいてもMAが動く事によってぶつかりそうになっても、回避したりはしないのだ。

 いや、もしくは動くのに邪魔だからと……つまり障害物として排除しようとする可能性もある。

 もしそのようになってもニーズヘッグなら問題ないが。

 十分に近付いたところで、T-LINKシステムを使って尾を動かす。

 すると何を思ったのか、クジャン家のMS隊がMAに対する攻撃を強めた。

 これは……もしかして、俺を味方だと思ってるのか?

 自分達が絶体絶命のところで、いきなり姿を現したニーズヘッグだ。

 しかもMAと違って自分達に攻撃をしてこないとなると、味方だと思ってもおかしくはない。

 ニーズヘッグの外見を見て、それでも味方だと判断するのはどうかと思わないでもないが。

 あるいは、それだけ追い詰められていたという事なのか。

 こっちから要求した訳ではないが、クジャン家のMS隊がMAの注意を引き付け、ハッキングに気が付かせないというのなら、それは大人しく受け取っておこう。

 MAをハッキングして制御下に置いたら、クジャン家のMS隊を殲滅しようかと思っていたのだが……そうだな。捕虜にしハーフメタルの採掘工場で働いてもらうという事にしてもいいだろう。

 あるいはクジャン家が身代金を支払って捕虜の返還を求めるのなら、それに従ってもいいが。

 イオクは能力はともかく、下から慕われているらしいし。

 身代金については、本当にあるかもしれないな。

 そう思いながら、T-LINKシステムで尾をコントロールする。

 尾の先端が開き、そこから名称通りの糸が伸び……そして、MAに接触するのだった。

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