転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4105話

 ラピスの終わったという言葉の意味は、俺にもしっかりと理解出来た。

 つまり、ハッキングでMAを攻略したのだろう。

 ……この場合、攻略という表現でいいのかどうかは微妙なところだが。

 

「終わったというのは、具体的にどういう意味だ?」

『MA……ハシュマル、父の命令を聞く』

 

 即座に返ってくるラピスの言葉。

 にしても……ハシュマル?

 

「ハシュマルというのは、MAの名前か?」

『そうです。MAはどうやら天使の名前を付けるらしく、ハシュマルというのがこのMAの名前です』

 

 説明が足りないラピスには任せておけないと思ったのか、ルリがそう言ってくる。

 言ってくるのだが……その話の内容は、驚くべきものだった。

 

「ハシュマルがMAの名前か。それで、そのハシュマルが俺の指示に従うというのは本当なのか? というか、それは大丈夫なのか?」

 

 そもそも厄祭戦は、MAが人類の指示を聞かなくなって……つまり、当時の人間に反逆した結果、起きた戦いだ。

 その厄祭戦の経緯を思えば、MA……ハシュマルを使っても本当に大丈夫なのかと、そのように疑問に思うのは当然の事だろう。

 俺が指示をして、その結果ハシュマルが暴走して味方を攻撃する……そんな事になったら、洒落にならないし。

 一度暴走した事があるだけに、その辺はどうしても心配だ。

 もし暴走しても、俺を狙ってくるだけなら、それはそれで構わない。

 だが……もし暴走した結果、俺だけではなく他の者達に向けても攻撃した場合、それによって死人が出た場合、間違いなくその責任は俺にある。

 そう考えると、迂闊に使えない……うん?

 ピピッと。

 ハシュマルの扱いについてどうするべきか考えていると、不意にそんな音が聞こえてきた。

 何かと思って確認すると……

 

「レギンレイズ?」

 

 そう、ニーズヘッグの映像モニタに表示されていたのは、レギンレイズ。

 何でまだいる?

 そんな疑問を抱く。

 既にイオクは退避し、クジャン家のMS隊もそんなイオクの護衛として退避し、殿として残っていた者達も俺の説得に応じてイオクを追っていた筈だ。

 ……なのに、何故まだレギンレイズが……って、おい。ちょっと待て。

 そのレギンレイズは、何を思ったのか持っていたライフルの銃口をハシュマルに向けていた。

 それはまるで攻撃をするかのようであり……

 

「馬鹿がっ!」

 

 咄嗟にT-LINKシステムを使ってヒュドラの先端のビーム砲を放つ。

 放たれたビーム砲は、当然ながらレギンレイズに命中するが……結局のところ、それは精神コマンドの直撃を使った訳でもない、ただのビーム砲だ。

 放たれたビームは、レギンレイズに命中した瞬間、全く効果を発揮しないまま、何条ものより細いビームとなってレギンレイズの後ろに向かって飛んでいく。

 ナノラミネートアーマーの効果だ。

 ナノラミネートアーマーがある以上、通常の手段でビーム攻撃は通用しない。

 それこそ精神コマンドの直撃を使うといったような必要がある。

 とはいえ、レギンレイズのパイロットもいきなりビームを撃たれるとは思わなかったらしく、動揺したらしい。

 レギンレイズの持っていたライフルの銃口は逸れ、あらぬ方に向かって弾丸が飛んでいく。

 

「直撃」

 

 精神コマンドの直撃を使い……だが、攻撃をする前に、新たに遠くからグレイズが姿を現し、最初にライフルを撃ったレギンレイズを庇う。

 放たれたビームは、今度は精神コマンドの直撃の効果もあり、レギンレイズを庇ったグレイズのコックピットを貫く。

 だが……俺が狙ったのは、あくまでも先程こちらに向けて攻撃をしようとした、レギンレイズだ。

 ハシュマルのハッキングが完了し、俺の指示に従うことになったとルリとラピスからの報告があった。

 2人の……特にハッキングについての実力については、信頼している。

 しかし、それでもルリやラピスにとって初めてのMAに対するハッキングだ。

 何らかの予想外な事態があっても、おかしくはない。

 それこそ、レギンレイズに攻撃されたことによって、ハッキングの効果を無視し、再度暴れ出すといった可能性も……非常に少ないものの、あったのは間違いない。

 そうなれば、場合によってはルリやラピスに被害が出た可能性もある。

 そうである以上、あのレギンレイズには落とし前を付ける必要があった。

 

「直撃」

 

 再度精神コマンドの直撃を使い、ヒュドラの中でも前部分に装備されているランツェ・カノーネを発射しようとし……

 

「は?」

 

 数機のグレイズが全速力でこっちに向かってくる。

 こちらにはまだハシュマルがいるにも関わらずだ。

 実際にはハッキングの件もあってハシュマルは現在動きを止めている。

 俺が指示を出さない限りは、動かない筈だった。

 しかし、それはあくまでもルリから事情を聞いた俺だからこそ分かる事なのだ。

 その辺りの事情を知らないクジャン家のMS隊にしてみれば、ハシュマルのいる場所に来るというのは死と同じ意味の筈だ。

 なのに戦場に戻ってくる?

 ……待て。レギンレイズか。そしてクジャン家のMS隊が死ぬ可能性が高いというのに、命懸けで戻ってきた。

 それはつまり……

 

「イオクか?」

 

 そう予想する。

 そもそも、レギンレイズの数そのものがまだそこまで多くはない。

 それはクジャン家のMS隊にもレギンレイズを使っている者が少なかったのを見れば、明らかだ。

 そんな中でレギンレイズを使っている者がハシュマルのいる場所に戻ってきて、効果のないだろう攻撃をしようとする。

 その上で、そのレギンレイズを守ろうと集まってきたグレイズ達。

 どこからどう考えても、あのレギンレイズに乗っているのはイオクであるとしか思えなかった。

 ……つまり、もしかしてハシュマルに向けて銃撃した時、俺がちょっかいを出さなくても攻撃は外れていたんだじゃないか?

 いや、けどハシュマルの大きさを考えると、やっぱり命中していた可能性が高いか。

 とはいえ、こうなるとやるべき事は……いや、イオクをここで殺すのは勿体ないな。

 無能な働き者には、もっとラスタルの側で頑張って貰う必要がある。

 そんな訳で、ハシュマルの試運転を考えると、丁度いい相手がきた訳だ。

 ……あれ? 俺の命令を聞くようになっているって話だったが、どう命令すればいいんだ?

 取りあえず、外部スピーカーで命令してみるか。

 

「ハシュマル、あのMS隊を攻撃しろ、ただし最初にここに来た1機だけ種類の違うMSは攻撃しないようにしろ。それと、ビーム砲の使用も禁止だ」

 

 外部スピーカーで指示をするが、果たしてどうなる?

 そんな俺の懸念は、あっさりと解決する。

 俺の命令を聞いたハシュマルが、即座に敵に向かって突っ込んでいったのだ。

 ビームを使うのを止めさせたのは、単純に効果がない可能性があった為だ。

 ヒュドラのビーム砲を受けた時のレギンレイズの様子を思えば、ナノラミネートアーマーにビームは無意味だろう。

 いや、無意味どころか拡散したビームが周囲に散らばるのを考えると、ハーフメタルの採掘施設であるここに被害が出る可能性もあった。

 これで効果があればともかく、効果がない以上は無理に使わせる必要もない。

 そしてMSを相手に効果のないビーム砲をわざわざ使わなくても、ハシュマルはクジャン家のMS隊……正確にはその生き残りを相手に、蹂躙していた。

 それは、まだハッキングされる前のハシュマルとクジャン家のMS隊との戦いの再現。

 ただし前回の戦いでクジャン家のMS隊は大きな被害を受けている以上、今回は前回よりも圧倒的に不利な状況での戦いになる。

 そんな俺の予想を示すように、ハシュマルの尻尾の先端のブレードによって、その鋭い爪によって、もしくは巨体によってクジャン家のMS隊は次々に倒れていく。

 そして……十分も経たないうちに、イオクが乗ってると思しきレギンレイズ以外、全てのクジャン家のMSは全滅した。

 俺にとって誤算だったのは、ハシュマルが攻撃する時、基本的にMSのコックピットを狙うことだろう。

 ハシュマルの尻尾や爪の一撃は、ナノラミネートアーマーの装甲や高硬度レアアロイで出来たMSのフレームを容易に破壊出来る。

 クジャン家のMS隊のパイロットは、生け捕りにすればハーフメタルの採掘工場で強制労働をさせたり、もしくはクジャン家から身代金を受け取って返したりといった事も出来たんだが。

 ……まぁ、これはこれで悪くない。

 人が死ぬのはどうかと思わないでもないが、その人も結局のところクジャン家の人間だ。

 しかも戯けのイオクと違って、相応にMSの操縦技術もある者達。

 そしてイオクがラスタルに心酔している以上、ラスタルの派閥の戦力……それも結構な戦力となる可能性が高かった。

 既にラスタルとマクギリスの衝突において、ラスタルに味方をするという選択肢が存在しない俺にとっては、ラスタルの派閥の戦力を削るのは決して悪い事ではない。

 クジャン家に具体的にどのくらいの戦力があるのかは、俺には分からない。

 だが、夜明けの地平線団との戦いの時の消耗と、何より今回のハシュマルの一件で受けた消耗を考えると、決して小さなダメージとは言えないだろう。

 つまり、クジャン家のMS隊のパイロットが死ぬのは俺にとって決して不都合な事ではないのだ。

 

「よし、その辺でいいぞ」

 

 レギンレイズ以外の最後の1機のグレイズがハシュマルの爪によってコックピット諸共切断されたのを確認すると、外部スピーカーでそう指示を出す。

 するとハシュマルはピタリと攻撃を止め、こっちに戻ってくる。

 

「あ」

 

 それを見て、ルリやラピス達の姿を確認すると……予想外なことに、特にショックを受けた様子は見せないままに、綾子の側にいた。

 いや、でも考えてみれば当然か。

 ルリはナデシコ世界の戦争の経験者だ。

 戦ったのは殆どがバッタのような無人機だったが、中には人が操縦している兵器もあったのだから。

 まぁ、それでもこうしてショックを受けていないのは、やはり人を直接殺しているのではなく、MSを破壊しているからだろう。

 勿論MSが破壊されればコックピットに乗っているパイロットも死ぬのだが、MSの中にいれば、血や内臓の類を見ないですむし。

 それでも人が死んでいるというのは分かっているのだろうが……ルリは多くの戦いを繰り広げてきたシャドウミラーを率いる、俺の子供、養子だ。

 だからこそ、ショックを受けていてもそれを表情に出さないようにしているのだろう。

 ラピスは……こちらもショックを受けていないが、こっちは何と言うべきか、そういう性格だからとしか言えないな。

 ともあれ、そんなルリとラピスの様子に安堵していると、ハシュマルがニーズヘッグの隣にくる。

 ……この状況って、考えてみればもの凄い光景だよな。

 ゲーム的には裏ボスや隠しボス的な存在のニーズヘッグの横に、ハシュマルが控えているのだから。

 絵面のインパクトがもの凄いような気がするのは、俺の気のせいではないだろう。

 そんな風に思いつつ、イオクが乗ってると思しきレギンレイズを見る。

 自分の部下……仲間か? とにかくそういう者達が全員殺されたのがショックだったのだろう。

 レギンレイズは動きを止めている。

 ニーズヘッグとハシュマルがいても、攻撃をする様子はない。

 もし攻撃してきても、その時はこっちも即座に反撃するだろうが。

 外部スピーカーを入れて……そのまま口を開こうとして、ふと気が付く。

 先程、クジャン家のMS隊を倒せという俺の命令は、外部スピーカーで行った。

 そうなると、外部スピーカーを使えばそれは全てハシュマルに対する命令になるのか?

 ……まぁ、そうなったらそうなったで、ハシュマルに止まれと指示すればいいだけか。

 そう思いながら、口を開く。

 

「そこのレギンレイズ……それに乗っているのが誰なのか、俺は分からない。だが、取りあえず自分達の愚行がどのような結果になったのか、それをラスタルに知らせる人員も必要だろうという事で、生かしておいた」

 

 実際にはイオクだからと予想したからなのだが……まぁ、この件についてはわざわざ俺がそっちの正体を知ってるとか、教える必要はないだろう。

 イオクが乗ってるというのも、あくまでも俺の予想だが。

 それでもほぼ確実にイオクが乗ってるのだろうとは思っていたが。

 

「そんな訳で、お前はさっさとアリアンロッド艦隊に戻って、ここで何が起きたのか説明してこい。MAを俺が……シャドウミラーのアクセル・アルマーが従えたと、そうラスタルに伝えるといい」

 

 オルフェンズ世界の住人……特にMAという存在を知っている者にしてみれば、MAというのは厄祭戦を起こした原因であり、悪夢の象徴だ。

 そんなMAを従えた俺がシャドウミラーとアクセル・アルマーの名前を出すのはちょっと不味かったかと思わないでもないが、MAの件とクジャン家の件、そしてジャスレイの件は今日で終わる。

 そうなれば、残るのは恐らくラスタルとアリアンロッド艦隊だけ。

 そうである以上、異世界のシャドウミラーの存在であったり、異世界の存在であったりを示すのは、丁度いいタイミングであるだろう。

 そう思っていると、レギンレイズが何も言わずに無言でこの場から立ち去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:45
PP:715
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:2001
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