転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4108話

 金色のハーフビーク級のブリッジに次々とビームマシンガンの銃口から放たれたビームが命中する。

 確認するまでもなく、ブリッジにいた者達は……ジャスレイも含めて、全滅していた。

 ステータスを確認すると、撃墜数が1増えているのがその証拠だ。

 とはいえ、MSを1機撃破して撃墜数が1上がるのは分かるけど、人が多数乗っている戦艦を撃破しても、撃墜数が1しか上がらないというのは……一体どうなっているんだろうな。

 いやまぁ、転生特典である以上、そういうシステムだと言われると、そういうものかと納得するしかないのだが。

 まぁ、その辺は今更の話か。

 そもそも最近は撃墜数によって増えるPPとかも使う機会がなかったしな。

 ……あ、いや。でも呪いの解呪の為にSPを可能な限り増やしていたな。

 こうしてSPが増えた。つまり魔力が増えた事により、また俺が召喚魔法の契約を結ぶのが難しくなったんだろうな。

 ハシュマルと召喚の契約結べないか? AIだから無理か。

 そんな風に考えつつ、オープンチャンネルのスイッチを入れる。

 

「この放送を聞いている、そしてこの戦場にいる全ての者に告げる。俺はシャドウミラーを率いる、アクセル・アルマーだ。たった今、今回の戦いの元凶であるテイワズの……いや、JPTトラストを率いる、ジャスレイ・ドノミコルスを俺がこの手で倒した。すぐに戦闘を停止しろ。繰り返す、既にジャスレイは死んだ。すぐに戦闘を停止しろ。まだ戦闘を続ける意思のある者は、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーの名において処分する」

 

 そこで通信を切る。

 さて、どう出るか。

 単純にジャスレイに雇われていた者なら、雇っていたジャスレイが死んだ以上、戦闘を続ける必要はないだろう。

 だが、ジャスレイに忠誠を誓っていた者がいたら……その場合は、ジャスレイを殺した俺に復讐に来る可能性もある。

 とはいえ、ジャスレイの性格を考えれば、人徳やカリスマ性はそこまでなかった。

 その点においては、マクマードは勿論、名瀬にも及ばない。

 マクマードや名瀬の場合、もし誰かに殺されたりしたら、復讐をしようと考える者は多いだろう。

 だが、ジャスレイは違う。

 金の切れ目が縁の切れ目とばかりに、復讐を考える者はいない……あるいはいたとしても、少数の筈だ。

 もしそれでも襲ってきたら、その時は撃破すればいいだけだ。

 そう思っていると……予想外、ある意味予想通りのことに、攻撃をしてくる者達はいなかった。

 ジャスレイが乗っていた、金色のハーフビーク級の周囲には他にも民間船を改修した軍艦が結構な数いた。

 しかし、それらの軍艦も、こちらに攻撃してくる様子はない。

 その事に安堵しつつ……これからの忙しさについて、どうするべきかと息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、鉄華団の方は三割でいいのか? 四割くらいなら問題ないと思うが」

 

 ジャスレイとの戦いから10日程……俺は火星でオルガ達と話をしていた。

 いつもなら、俺とオルガで話をして、それで大体の事は決める。

 だが、ジャスレイとの戦いで降伏した者達の取り扱いについては、さすがに数が多すぎた。

 腐っても鯛、マクマードに切り捨てられたジャスレイだったが、それでもあれだけの戦力を集めるだけの資金力は持っていたのだろう。

 そんな訳で、ジャスレイの指揮下で戦った戦力をどうするのかというのが、この場の話し合いだった。

 幸い……と言うべきかはどうかと思うが、ジャスレイが用意した戦力は基本的に海賊だった。

 それ以外はJPTトラストの戦力であったりするので、そっちもこちらで確保してある。

 そんな中で、数少ないのが傭兵達だ。

 これについては違法という訳ではない……いやまぁ、ギャラルホルンの判断で考えるとどうなのかは分からない。

 ただ、一般的……俺達が拠点としている火星での状況を考えれば、MSを使った傭兵というのは、基本的に問題ない。

 シャドウミラーや鉄華団は、まさにそういう感じの組織だし。

 だからこそ、傭兵とかはこちらとしてもジャスレイの私兵とも呼ぶべき相手と同じ扱いをする訳にはいかない。

 そういう連中が使っていたMSとかも、返却することになるだろう。

 せめてもの救いは、そういう数は少なかったことだろう。

 そんな大きな出来事である以上、俺とオルガだけで話を決める事は出来ず、シャドウミラーからは俺とシーラ、マーベルが、鉄華団からはオルガ、メリビット、ビスケット。

 この合計6人での会合となったのだ。

 

「ええ、こちらとしてはそれで構いません。MA……ハシュマルの件は完全に兄貴に任せてしまいましたし、ジャスレイとの戦いでも最終的には兄貴の行動で終わりましたし」

「とはいえ、こちらも結構な被害を出したのは事実です。その分の補償は必要かと」

 

 オルガに続き、メリビットがそう言ってくる。

 メリビットにしてみれば、今回の一件には色々と思うところがあるのだろう。

 だからこそ、鉄華団にも相応の報酬を必要としているのだろう。

 

「分かっている。メリビットの言う通り、そっちにも相応の報酬を支払う必要があると思っている。さっきオルガも言ったが、3割で問題はないんだよな?」

 

 そう聞くと、メリビットは頷く。

 3割と聞くと、かなり数が少ないように思える。

 しかし、JPTトラストの戦力を考えると、それだけでも結構な稼ぎになるのは間違いない。

 MSや軍艦は売ればそのまま金になるし。

 人も……うん。ハーフメタルの採掘工場で働いて貰えばいい。

 最悪、ヒューマンデブリとして売ってもいいしな。

 当然だが、ヒューマンデブリとして売るのは成人している者達だ。

 それこそヒューマンデブリとしてJPTトラストで使われていた者達は、解放する事になるだろう。

 もっとも、ヒューマンデブリとして子供の頃から戦いしかしてこなかっただけに、社会生活に復帰するまではシャドウミラーや鉄華団で面倒を見る事になるが。

 

「なら、話をわざわざ難しく考える必要はない。MSと軍艦は売って金にする。ああ、どうせならアーブラウに売ってもいいかもしれないな」

「アーブラウにですか? そうなると、またSAUや他の国が戦力を増強したアーブラウを警戒して、騒動が起きるような気がしますけど」

 

 ビスケットはどうやらアーブラウにMSを売るのは反対らしい。

 

「どう思う?」

 

 シーラに尋ねると、シーラは少し考えてから口を開く。

 

「彼の言う事にも一理あるでしょう。ですが同時に、地球ではアーブラウが私達の後ろ盾となっているのも事実。……一応、ギャラルホルンの改革派もいますが、アクセルとしては彼にあまり借りは作りたくないのでしょう?」

「……MAの件もあるしな」

 

 当然だが、クジャン家……イオクからの連絡によって、既にギャラルホルンではハシュマルの存在について認識している。

 そしてギャラルホルンというのは、MAと戦った者達の組織。

 また、ラスタルにとってもここで自分達が活躍し、ギャラルホルンの中での影響力を増したいと考え、ハシュマルを倒すべきとロビー活動を行っているらしい。

 それに待ったを掛けているのが、マクギリス達だ。

 俺がハシュマルを従えたと聞いた時のマクギリスの顔は……それこそ、普段はクールな二枚目といった様子のマクギリスとは思えないような顔をしていた。

 ああいうのが多分顔芸と言うのだろうと思えるような、そんな顔を。

 ともあれ、そんな訳でマクギリスは俺がMAを従えたという事で、ギャラルホルンとシャドウミラーがぶつからないようにしている。

 後でマクギリスにも異世界の事を教える必要があるな。

 そうなれば、MAの件についてもしっかりと説明は出来るし。

 どうやってハシュマルを支配下に置いたのかというのも、ルリやラピスについて説明すれば、納得する……納得する……本当に納得するかどうかはともかく、表面上は納得するしかないだろう。

 いざとなれば、マクギリス達をホワイトスターに連れていってもいいし。

 ちなみに騒動の原因たるハシュマルは、現在シャドウミラーの拠点の近くで待機しており、ギャラルホルンの火星支部の者達が少し離れた場所でグレイズを多数用意して待機している。

 火星支部はマクギリスの派閥で、言ってみれば俺達の仲間だ。

 以前鉄華団が夜明けの地平線団の件でアリウスを殺しに行った時も、その件では動かなかったらしいし。

 

「他の候補は、テイワズとタントテンポか。特にテイワズは今回の件でジャスレイが死んだから、それでちょっかいを出そうとする者もいるだろうし」

「いますかね。テイワズですよ?」

 

 オルガがそう言ってくるが、それを否定したのはメリビットだった。

 

「オルガには分からないかもしれないけど、海賊というのはしっかりと考えないで動くような集団もいるのよ。……もっとも、そういう海賊はそう遠くないうちに壊滅するでしょうけど」

「そういうものなのか」

「オルガはそういう事をしないようにね」

「ビスケット……お前、俺を一体何だと思ってるんだよ」

 

 そんな面々のやり取りに、思わず笑みを浮かべる。

 実際、今の状況を考えれば、そうして笑ってはいられないのだろうが……こうして笑うことによって、気分転換をするというのもある。

 

「ともあれ、テイワズには影響力を落として貰う訳にはいかないからな。……もっとも、テイワズはイオ・フレームを使ったMSを作れるから、MSじゃなくて、欲しいのはエイハブ・リアクターかもしれないけど」

「なら、エイハブ・リアクターだけを売ればいいのでは?」

「シーラの言いたい事も分かるけど、そうなるとエイハブ・リアクター以外はどうする?」

「エイハブ・リアクターがないというのを前提で売ればいいでしょう。私もこの世界に来て、色々と勉強しました。中にはコックピットやフレームがダメージを受けたものの、エイハブ・リアクターが無事という機体は多いと聞きます。であれば、そのエイハブ・リアクターだけを持ってる相手にとって、エイハブ・リアクターのないMSというのを欲するのでは?」

「……なるほど、それはあるか」

 

 何しろ、このオルフェンズ世界においてエイハブ・リアクターというのは破壊不可能と言われている。

 シャドウミラーの機体であれば普通にエイハブ・リアクターも破壊出来たりするのだが、それはあくまでもシャドウミラーだからだ。

 この世界の人間にしてみれば、MSを撃破してもエイハブ・リアクターは残っている。

 であれば、シーラが言うようにエイハブ・リアクターがないMSというのはそれなりに……いや、それなり以上に需要があるのではないか。

 

「とはいえ、そうなるとテイワズは無理だからアーブラウかタントテンポか。もっとも、タントテンポと繋がりがあるのは、あくまでも幹部の1人だけでしかない。組織で取引をしないと言ってくれば、ジャンマルコもそれを守らないといけないだろうし」

 

 幾らジャンマルコが個人的に俺と付き合いがあるとはいえ、あくまでも幹部の1人でしかない。

 幹部である以上、組織の中では相応の力を持っているのは間違いないが、それでも複数いる幹部の1人でしかないのだ。

 これでジャンマルコがタントテンポを率いる立場にいるのなら、話は別だったのだが。

 その辺は、それこそ今更の話だしな。

 それに……タントテンポの拠点は、あくまでも月だ。

 正確には月の近くにあるコロニーだが。

 つまり、どうしてもアリアンロッド艦隊との関係が深いという事になる。

 そうである以上、アリアンロッド艦隊と既に完全に敵対している俺達との取引が認められるかどうかは……正直、微妙なところだろう。

 そんな訳で、俺としてはタントテンポとは必ずしも取引が出来るとは思っていない。

 ただ、そうなると本当にMSとかを売る相手はアーブラウくらいしかないんだよな。

 いや、売ろうと思えば他にも幾らでも売る相手はいるだろう。

 それは分かっているが、その場合は海賊とかに売る事になりそうなんだよな。

 そうなるのは個人的には遠慮したい。

 俺達が売ったMSや軍艦で海賊の被害が出るというのは、後味が悪いしな。

 そうなると、火星にある他のPMCとかか?

 とはいえ、俺達はそれなりに大量に入手しているものの、基本的にMSというのはかなり高額だ。

 大手のPMCならまだしも、零細業者……それこそ以前のCGSのような規模であれば、MSを購入するのは難しい。

 あるいはMSを購入しても、予備パーツを購入出来なかったりするし。

 オルフェンズ世界におけるMSの戦いは、基本的に大質量兵器による近接戦闘だ。

 つまり、MS戦で勝ってもMSには相応の傷が付く訳で、その予備部品は必須となる。

 ……負ければそもそも命がないだろうから、その辺を考えなくてもいいが。

 そんな訳で、その辺のPMCにMSを売るのは難しいのも事実。

 

「まぁ、最悪の場合……シャドウミラーが鉄華団に金を支払って、接収したMSや軍艦はこっちで確保しておくという事も出来るから、考えておいてくれ」

 

 空間倉庫に収納しておけば、後でどうとでも使えるし。

 そう思いながら俺はオルガ達と話を続けるのだった。

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