転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4109話

「それは難しいかと」

「やっぱり無理か」

 

 ルリが俺の言葉にそう言ってくる。

 今日、ルリとラピスは火星にいた。

 正確には火星にあるシャドウミラーの拠点だ。

 

「アクセルも本当に妙な事を考えるわね」

 

 エリナが呆れたように言ってくる。

 エリナが今日ここにいるのも、ルリやラピスがいるのと同じ理由からだ。

 そう、今日火星にやって来るマクギリスとガエリオとの交渉の為に。

 本来ならカルタも来たかったらしいが、マクギリスの派閥の中でも中心人物であるセブンスターズの全員が火星まで来る訳にはいかない。

 そんな訳で、カルタが残る事になったらしい。

 ちなみにどういう風にして分担を決めたのかまでは、俺にも分からない。

 その辺については俺が関わるような事じゃないだろうし。

 とにかく、マクギリスは既にギャラルホルンの火星支部に到着しており、そろそろここに到着する筈なので、雑談しながらそれを待ってる訳だ。

 

「そうか? ハシュマルはMAだ。つまり、生き物じゃない。なら、空間倉庫に収納出来るのは間違いないと思うんだが」

 

 そう、俺がルリとラピスに聞いたのは、ハシュマルを俺の空間倉庫に収納出来ないかという点。

 ハッキングをしたルリやラピスの話によれば、ハシュマルは俺の命令を最優先にするという。

 であれば、俺の空間倉庫に入れておいて、必要な時に出すというのは悪くない使い方だと思う。

 それに……ハシュマルの大きさを考えると、どこに置いておくかという問題もあるしな。

 また、ハシュマルがMAという事で、現在シャドウミラーから少し離れた場所にはギャラルホルン火星支部のMS隊が待機している。

 もしハシュマルが暴れ出した場合、即座に対処する為だ。

 つまり、ハシュマルをいつまでもここに置いておくのは、色々と不味いという事を意味している。

 なら、どこに持っていくか。

 普通に考えればホワイトスターだが、ホワイトスターに持っていっても、ハシュマルに特にやるべき事はない。

 ルリやラピスから聞いた話によると、基本的にMAというのは戦闘しか出来ないらしい。

 無理もない。

 元々MAというのは、戦闘を行う為の無人機なのだから。

 その性質上、戦闘しか出来ないと言われても納得は出来る。

 ただ、一応ハッキングによってプログラムに介入し、その辺をどうにか出来ないか試行錯誤してはいるらしい。

 プルーマを作れる能力とかあるし、そのプルーマも例えば土木作業とかに使えれば、大きな戦力になるだろう。

 とはいえ、戦闘をするというのはMAにとって一種の本能だ。

 本能だけに、根強い。

 あるいはMAの根幹とも呼ぶべきプログラムだ。

 そこを変えるのは、ルリやラピス達でもかなり難しいらしい。

 そんな訳で、ハシュマルに出来るのは戦闘……戦闘か。プルーマもいるとなると、いっそマブラヴ世界の火星に連れていくか?

 マブラヴ世界の火星では、今もまだ毎日のように量産型Wやメギロート、イルメヤ、バッタ、コバッタがBETAを倒してはコンテナに死体を入れてホワイトスターまで送っている。

 つまり、毎日休むこともなくBETAと戦い続けているのだ。

 そういう意味では、戦闘に特化したハシュマル向きではあるのかもしれない。

 

「ちなみに、マブラヴ世界に送るのはどうだ?」

 

 そう言い、マブラヴ世界の火星についての話をしてみる。

 だが、ルリとラピスは揃って首を横に振った。

 

「そうなると、今よりも戦闘に特化した存在になるかもしれません。そうなると、再び人を殺すようになる可能性もあります。……マブラヴ世界の火星には人はいないようですが」

「そうだな。もしハシュマルが暴走しても、最悪火星に閉じ込めるという手法が使える」

 

 その場合、オルフェンズ世界の火星で地中に埋まっていたハシュマルが、マブラヴ世界の火星に閉じ込められるという訳で……皮肉な結果だな。

 とはいえ、それをここで俺がどうこう思っても意味はないか。

 それに……マブラヴ世界では火星と月のBETAは排除したものの、BETAの大元を排除した訳ではない。

 つまり、BETAの本拠地……もしくは前進基地かもしれないが、とにかくそのような場所から火星に延々とBETAの援軍、着陸ユニットが向かっている可能性は高い。

 そうなると、ハシュマルはBETAに対する地球の門番として使える。

 問題なのは、ハシュマルがBETAの物量を相手に負けないかだが。

 とはいえ、ハシュマルの身体もナノラミネートアーマーだ。

 それにBETAは数は多いものの、かなり脆い。

 いやまぁ、戦術機にしてみれば突撃級とか母艦級とかそういう厄介な相手がいるのは間違いないんだろうけど。

 ハシュマルにしてみれば、それこそビームを使って一蹴出来るだろう。

 他にもプルーマを使えば物量には物量で対処出来るし。

 これは決して悪くないのでは? と思えるのだが。

 とはいえ、ルリやラピスが嫌がるのなら止めておくか。

 AIについてのことを考えると、ルリやラピスの意見を聞いた方がいいだろうし。

 それに、どうしてもそうしなければならないのならともかく、マブラヴ世界の火星は現在の状況でもきちんとやれているしな。

 それに……ハシュマルをマブラヴ世界の火星に置くとなると、当然ながらBETAの死体がホワイトスターに送られてくる事はなくなる。

 そんな諸々について考えれば、どうしようもないのならともかく、今の状況では別にそこまでする必要はないだろう。

 

「マブラヴ世界の火星が駄目となると、ハシュマルをどこに置くのかが問題だな。……そうなると、やっぱり俺の空間倉庫が最善じゃないか?」

 

 空間倉庫の中に入れておけば、邪魔にはならない。

 

「ハシュマルのAIはかなり高度です。それがアクセルさんの空間倉庫の中に入れられるとなると、どのような変化があるのかは分かりません。……もしかしたら、それによって良い方向に変化する可能性もあると思いますが、逆に悪い方向に変化するかもしれません」

「……いっそ、これでハシュマルが俺と召喚魔法の契約を結べればいいんだけどな」

 

 俺と召喚の契約を結べれば、ハシュマルも俺の指示をきちんと聞くだろう。

 だが、ハシュマルが生き物ではない以上、俺と召喚の契約は出来ない。

 

「父、出来ない?」

「出来ないな。ハシュマルは無人機……AIだし」

「そう」

 

 ラピスが残念そうに言う。

 恐らくラピスにしてみれば、俺とハシュマルが召喚の契約が出来たら……と思っていたのだろう。

 

「アクセルが無人機と契約出来ればいいんだけど……どうしても無理なの?」

「エリナの言いたい事は分かるが、俺には無理だな。もしかしたら、エヴァならその辺をどうにか出来るかもしれないけど」

 

 エヴァの従者の茶々丸は生物ではない。

 自我を持っているので、そういう意味では生き物なのかもしれないが。

 ただ、俺と召喚魔法の契約が出来るかと言えば、それは無理だ。

 だが、エヴァは茶々丸と魔法使いの従者として契約は……あれ? どうだったか。

 ともあれ、エヴァは俺よりも魔法に詳しいのは事実。

 だからこそ、もしかしたらエヴァならどうにかなる……なる……難しいか。

 MAが魔法的な意味で影響しているのならまだしも、完全に科学技術の存在だしな。

 そんな風に考えていると、こちらに車が近付いて来ているという報告が入る。

 当然ながら、ただの車が近付いて来ただけでこうして報告をする訳はない。

 俺達の待ち人である、マクギリスやガエリオの乗った車がやって来たから報告に来たのだろう。

 

「さて、じゃあお客さんも来た事だし……行くか。ああ、エリナ。ちなみにホワイトスターの方はどうなっている?」

「一応、アクセルが今いる世界の重要人物が来るかもしれないというのは、連絡してあるわ」

「そうか」

 

 一応、今日はハシュマルについてであったり、異世界の存在についての説明をする予定だ。

 ホワイトスターに行くというのはまだ決まっていないものの、それでもマクギリスの性格を考えると行きたいと言ってもおかしくはない。

 その為、その時の為の事も考えておく必要があった。

 とはいえ、今回の一件においては特に何か催し物を考えているとか、そういう事はないのだが。

 エリナが言うように、ホワイトスターに他の世界のお偉いさんがくるかもしれないと、そう伝えておいただけで。

 実際、今までも特に誰かが来るからといって、大々的に式典とかを開いたりとかはしていなかったし。

 

「じゃあ、マクギリスを出迎えるか。……ハシュマルに驚かないといいんだけどな」

「無理でしょ」

 

 エリナの言葉にそれもそうかと答えながら、俺は椅子から立ち上がるのだった。

 

 

 

 

 

「……信じられない。報告では聞いていたが……これが、MA……」

 

 ガエリオが待機しているハシュマルを見て、思わずといった様子で呟く。

 マクギリスの方は、それこそ車から降りた瞬間、声も出せずにハシュマルを見ていた。

 また2人の護衛兼運転手としてやってきた石動も、ハシュマルをただ見上げる事しか出来ない。

 そんな3人に対し、俺はエリナとルリ、ラピスを引き連れて近付く。

 

「どうやら喜んで……いや、驚いて貰えたようだな」

「……アクセルお前……一体、何が……」

 

 ガエリオが唖然としながら呟くのを聞きながら、俺は口を開く。

 

「難しい事じゃない。MAが無人機……AIで動くのなら、ハッキングをすればいい。それだけの事だ」

 

 俺の口から出た言葉に、ガエリオは……いや、ガエリオだけではなくマクギリスも何と言えばいいのか分からないといった様子を見せる。

 それでもマクギリスが数秒で何とか立て直した辺り、さすがと言うべきなのだろう。

 

「AIだからハッキングをすればいい。その考えは分かる。だが、厄祭戦の時にそれを試さなかったとでも? ……そもそも、暴れているMAに対して、どのようにハッキングを行うと?」

 

 無線でハッキングをすればいい。

 そう思ったが、マクギリスも当然ながらそのくらいの事は理解した上での言葉なのは間違いない。

 

「厄祭戦の時は出来なかったのか?」

「……試したという記録はあるが、成功したという記録は一切ない」

 

 それがつまり、厄祭戦の時にハッキングを行っても成功しなかったという事を示していた。

 

「まぁ、厄祭戦の時には俺の娘達がいなかったしな」

「……娘?」

 

 マクギリスの視線が、俺の後ろで待機しているルリとラピスに向けられる。

 エリナにも視線は向けられたが、さすがにエリナが俺の娘というには無理があると思ったらしく、今はスルーした。

 

「娘?」

 

 いや、何で2度同じ事を聞く?

 そうも思ったが、マクギリスにしてみれば俺が娘を……しかも2人も娘がいるようには思えなかったのだろう。

 ましてや、ルリは既に10代後半だ。

 20代半ばの俺を見れば年齢的におかしいと思ってもおかしくはない。

 ……この辺、俺が混沌精霊で不老だというのが関係してるよな。

 混沌精霊の俺は、10歳、10代半ば、20代といった年齢に変身可能だ。

 それ以上……例えば、30代、40代といった年齢の姿にはなれない。

 これが具体的にどのような理由からそうなっているのかは、俺にも生憎と分からないが。

 ただ、そういうものだと受け入れるしかない。

 しかし、それだからこそ俺とルリの年齢差で娘と言うのには困っているのだろう、

 ルリはルリで、まだ時の指輪の受信機を付ける気はないようだし。

 本人にそのつもりがない以上、俺も無理にとは言えないし。

 それに……俺が言うのもなんだが、ルリも女だ。

 子供に見られる年齢で不老になるのは、避けたいと思ってもおかしくはない。

 

「ああ、娘だ。もっとも実の娘という訳じゃなくて、養子だけどな」

 

 ほっ、と。

 俺の言葉を聞いたマクギリスとガエリオ、そして石動までもが安堵した様子を見せる。

 一体何を考えていたんだろうな。

 それについては何となく予想出来るし、今の時点で複数の恋人がいる以上は、否定出来ないが。

 

「養子、か。……だが、アクセルの養子だからといって、何故MAをハッキングなどという事が出来る? アクセルの養子ということを考えると、やはり魔法によるものか?」

「惜しい」

 

 マクギリスの予想にそう返す。

 実際、ルリもラピスも魔法を使えるという意味では間違っていない。

 だが、ハシュマルをハッキングしたのは魔法を使ったのではなく、純粋にハッキング能力を使ってだ。

 より正確には、ニーズヘッグのウルドの糸があってこそのハッキング。

 ルリやラピスから聞いた話によると、もしウルドの糸がなければハッキングが失敗したとまで言わないが、ここまでスムーズに成功はしなかったらしいし。

 そんな訳で、ウルドの糸があったからこそハッキングが成功したというのは、決して間違いではない。

 

「惜しい?」

「ああ。この2人が魔法を使えるというのは事実だ。だが、ハッキングについては、ルリやラピスが持つ、ナデシコ世界、つまり異世界由来の生まれ持ってのものを使ったハッキングだ。俺の解呪が無事に終わったお陰で、本拠地のホワイトスターから呼び寄せる事が出来たんだよ」

 

 実際には呼び寄せたのではなく、見学に来たところでイオクが馬鹿な真似をしたのが原因なのだが。

 俺の言葉に、マクギリスも……そしてガエリオと石動も、理解出来ないといったように口を大きく開けるのだった。

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