転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4110話

 たっぷりと数分程固まったマクギリス達。

 それを見ていると、エリナが呆れたような視線を俺に向けてくる。

 いきなり異世界だとかそういう事を口にした結果、驚いて固まってしまったマクギリスを眺めるのが悪趣味だと思ったのだろう。

 エリナにとってはそのように思えたのだろう。

 いやまぁ、悪趣味かどうかと言われると悪趣味じゃないとは言えないが。

 そんな中、最初に我に返ったのはマクギリスだった。

 

「アクセル。異世界と……そう聞こえたのだが、私の聞き間違いかな?」

「いや、合ってるぞ」

「……以前聞いた話によれば、アクセルは地球で魔法を使う者として密かに生まれ育ったという話だったと思うのだが?」

「ああ、あれは嘘だ」

 

 あっさりと嘘と言われた事に、再びマクギリスは絶句する。

 

「とはいえ、魔法使いの一族がこの世界にいるというのと、俺が異世界からやって来たというのは、そう違わないと思わないか? どっちも現実味がないという意味では特に」

「それは……」

「マクギリス、騙されるな! 異世界などというものが、ある筈がないだろう!」

 

 言葉に詰まったマクギリスに対し、ガエリオがそう叫ぶ。

 いやまぁ、ガエリオの話も分からないではない。

 この世界の常識として考えれば、ガエリオの言葉も決して間違ってはいないのだろう。だが……

 

「なら、魔法はどう思う? 魔法も、俺がお前達に接触するまでは空想上のもので、実際にあるとは思いもしなかったんじゃないか?」

 

 そう言い、パチンと指を鳴らすと鹿の炎獣が生み出される。

 現れた鹿の炎獣は、まるで俺の意思を理解してるかのように、ガエリオの前まで移動する。

 

「……」

 

 間近で鹿の炎獣に見つめられたガエリオは、何も反応出来ない。

 本来ならマクギリスだけではなく、ガエリオの護衛でもある石動だったが、動く様子がない。

 今の状況で自分が動いても意味がないだろうと考えてのものなのか、それともマクギリスから何かを言われての事なのか。

 それは俺にも分からなかったが、それでも動く様子がないのは間違いなかった。

 再び指を鳴らすと、鹿の炎獣は白炎となって消える。

 

「どうだ? これが魔法だ」

「違うでしょ」

 

 ボソリと小さくだがエリナが呟く。

 幸い、それは俺と……後はルリとラピスにしか聞こえないような小声だったが。

 エリナが言ってるのも、実際には間違いではない。

 炎獣は魔法ではなく、混沌精霊としての力なのだから。

 とはいえ、混沌精霊というのはネギま世界で俺がなったもので……それもある意味では魔法の産物というのは間違っていないと思う。

 ちょっと苦しいかもしれないが。

 ともあれ、エリナの声は聞こえていなかった……もしくはそれどころではなかったのか、ガエリオが大きく息を吐く。

 そんなガエリオの横で、こちらは俺が魔法を使うのを知ってるので、炎獣の鹿の大きさに驚きつつも、すぐに我に返ったマクギリスが口を開く。

 

「その、だが。アクセルの言う異世界……その証拠のようなものがあったら、見せて貰えるかな? 私もアクセルが嘘を吐くとは思っていない。だが、それは私がアクセルについて知っているからこそ、そう思えるだけだ。他の……アクセルをよく知らない者にとっては、アクセルが異世界から来たと言って、それだけで信じるのは難しい」

「それを言うのなら、MAを……ハシュマルをハッキングしたというだけで十分だと思うけどな」

 

 その言葉に、マクギリスは離れた場所に立っている……それでも、その大きさからしっかりと見る事が出来るハシュマルに視線を向ける。

 このオルフェンズ世界において、MAをハッキングして従えるといった事が出来るとは、誰も思っていなかっただろう。

 それが出来たのは、それこそ俺がこの世界とは違う別の世界からやって来たからこそだと言えば、説得力は十分にある。

 とはいえ、マクギリスにしてみればもっとはっきりとした証拠を見たいのだろう。

 

「それでも納得出来ないのなら、いっそ異世界に行ってみるか?」

「……行けるのか?」

 

 驚きの様子でマクギリスが言う。

 俺が異世界の存在だと口にして、それをマクギリスが信じているのかどうかはともかくとして、まさかこうもあっさりと自分が異世界に行けるとは思っていなかったのだろう。

 

「ああ、行ける。そもそも、エリナやルリ、ラピスが来ているんだから、異世界とこの世界……俺達はオルフェンズ世界と呼んでるが、その世界と自由に行き来出来るのは当然の話だろう?」

「……その、すまないがアクセルの当然というのが私達にとっても当然だとは思わないで欲しいのだが」

「そうね。アクセルは色々と……本当に色々と常識外の存在だし」

 

 マクギリスと俺の言葉に、そう割って入ったのは、エリナ。

 本来なら俺とマクギリスの会話に割って入るのは礼儀に反している。

 だが、今のままだと話が進まないと考えた故の行動だろう。

 良くも悪くも、エリナは高い行動力を持っているしな。

 

「貴方は?」

「私はエリナ・キンジョウ・ウォン。公の立場としては、シャドウミラー……ああ、アクセルがこの世界で作ったPMCではなく、国名としてのシャドウミラーですが、そこの政治班に所属しています」

「ちょっと待って欲しい。……アクセルの作ったPMCと国の名前が同じ……それはまさか……」

「いやいや、さすがにそんな事はないだろう。マクギリスの考えすぎだって」

 

 マクギリスが驚きの視線で俺を見て、ガエリオが友人を落ち着かせるようにそう言う。

 さて、こうなると俺の正体をいつまでも隠しておける訳でもないし、その辺についても話すか。

 

「一応、改めて自己紹介をしておくか。俺はアクセル・アルマー。シャドウミラー……国としてのシャドウミラーだが、それを率いてる身だ」

 

 この辺、いい加減どうにかした方がいいんだよな。

 国を率いる者としての名称。

 首相、大統領、王、皇帝……他にも幾つかその手の呼び名はあるが、これといったのはないんだよな。

 いっそ、大魔王にでもしてしまうか?

 ……駄目だな。そうなると、ホワイトスターは魔界とかそういう感じになってしまいそうだし。

 とはいえ、何か相応しいのがないかと言われれば……微妙なところだ。

 そもそも首相とか大統領とかは、国の制度によって選ばれる者の名称というイメージが強いが、そういう意味ではシャドウミラーはとてもではないが民主的な国家ではない。

 寧ろ国としては、独裁国家……それも軍事独裁国家に近い感じだろう。

 国としての規模が小さいのもあって、それでも何の問題もないのだが。

 幸いな事に、シャドウミラーに所属している者で何か妙な企みをしようと思う者はいない。

 いや、レオンとかがいるけど、そのレオンも鵬法璽の力でそういう事は出来ないし、今となってはシャドウミラーという国の政治を一手に引き受ける政治班の仕事を楽しんでいるし。

 後はムラタ辺りも少し怪しいが、こちらも俺という存在のお陰で特に問題は起こしていない。

……技術班は、俺が思っているのとは全く違う意味で問題を起こしたりするが、その辺は茶々丸やエキドナといった面々によってすぐに鎮圧されているし。

 

「国を……率いて……?」

 

 

 ギギギ、と。

 まるでホラーに出て来る人形のような動きで俺を見てくるガエリオ。

 俺も何だかんだとガエリオとそれなりに付き合いはあったから、その時の行動について思い浮かべているんだろうな。

 

「そうだ。神による呪いによってこの世界に飛ばされて、呪いの効果で国に戻る事が出来なかったんだが、少し前にようやく呪いを解呪出来てな」

 

 何が最後の切っ掛けだったのかは、とてもではないが言える事ではないが。

 もしそれを口にしたら、間違いなくクーデリアに恨まれる。

 フミタンとかにも、一体どんな仕返しをされる事やら。

 そんな訳で、クーデリアの初めてについてはそっとしておく。

 あくまでも俺の魔力によって解呪したという事にしておいた方がいいだろう。

 

「待て、待ってくれ。神? 神だって? それはその……一般的な意味での神と考えてもいいのか? いや、いいのですか?」

 

 ガエリオにしてみれば、急に俺が国を率いる身だと言われ、若干混乱しているのだろう。

 慌てて言葉遣いを直す。

 無理もないか。

 ガエリオはセブンスターズの1つではある、ボードウィン家の次期当主だ。

 それはこのオルフェンズ世界においては間違いなく上流階級に位置する者。

 ましてや、このオルフェンズ世界においてはギャラルホルンというのはアーブラウとかの国よりも上位の存在でもある。

 そう考えると、ある意味でガエリオの立場は国のトップよりも上なのだが……それはあくまでもオルフェンズ世界での事だ。

 いや、あるいは異世界の存在であっても、戦力が低いとか、国力が弱いとか、そういうのであれば、もしかしたら言葉遣いとかを気にしたりはしなかったかもしれない。

 だが、ここにいるのは異世界の国を率いる者で、何よりMAのハシュマルをハッキングという手段で従属させるといった結果を見せている。

 そんな諸々を考えると、ガエリオの態度も仕方がないのだろう。

 

「別に口調とかは気にするな。公の場で気を付けるのなら、普通に話してもいい」

「……分かった。アクセルさん……いや、アクセルがそう言うのなら」

 

 そうしてガエリオは言い直す。

 

「それで、どうする? 異世界に行くか?」

「そう簡単に行けるのか?」

 

 マクギリスは俺の言葉にそう聞いてくる。

 異世界に行くというのは、普通に考えれば非常に大きな出来事のように思えるのだろう。

 ……普通に考えればそうか。

 

「エリナ」

 

 俺が答えてもいいのだが、ここはエリナに任せた方がいいだろうと考えて名前を呼ぶ。

 するとエリナは俺の言いたい事をすぐに理解し、前に出る。

 

「先程も言いましたが、エリナ・キンジョウ・ウォンです。私が説明させて貰います。……まず話しておく必要があるのは、シャドウミラーは異世界にあると言いましたが、これは正確ではありません。分かりやすい表現でそのように言っています。実際にシャドウミラーがあるのは、世界と世界の狭間と呼ぶべき場所となります」

「……それは、聞きようによっては異世界よりも難しい場所にあるのではないかな?」

「そうですね。そのように思う人も多いかもしれません。ですが、そこに行くのは私達……シャドウミラーの持つ技術があれば、何も問題はありません。それこそ、先程アクセルが言ったように、行くつもりになれば今からでもすぐに行けますが……どうします?」

 

 エリナのその言葉に、マクギリスは明らかに悩んだ様子を見せていた。

 

「何を悩んでるんだ、マクギリス。異世界というのが本当にあるのなら、実際に見てみなければ、それが本当かどうかは分からないだろう?」

 

 俺にとって予想外だったのは、ガエリオがそう口にした事だろう。

 俺が知っているガエリオの性格からすると、異世界などという場所に自分から進んで行きたいと言うような性格ではない。

 そもそもガエリオと会う機会そのものがそう多くないので、何らかの理由……それこそマクギリスと一緒に派閥を率いるといった立場になった事で性格が変わる……いや、成長していても、おかしくはないのだが。

 

「ガエリオ……そうだな。では、異世界に行ってみるとしよう」

「なら、こちらにどうぞ。……異世界に行くのは、そう難しい事ではありませんから」

 

 エリナがそう言うが、もしこのオルフェンズ世界の科学者が今の言葉を聞いたら、一体どう思うんだろうな。

 普通の科学者にしてみれば、他の世界に行くのが難しいことではないというのは、とてもではないが納得出来ないだろうし。

 そもそもの話、俺達が使っているゲートも完全に解明出来た訳ではない。

 ニーズヘッグに内蔵されているアギュイエウス、ホワイトスターの転移区画に設置されているリュケイオス。

 これがゲートのオリジナルだ。

 レモンの……そして技術班の凄さは、このゲートを完全に解析した訳ではないというのに、それでも小型化をすることが出来たという事だろう。

 もっとも、オリジナルの持つ異世界間での転移は出来ず、あくまでも同一世界間の転移だけだが。

 そんな風に考えながら進むと、やがてゲートの側までやってくる。

 

「……アクセル、その、あの無人機は……MAのプルーマではない、のだな?」

 

 何らかの理由があったのだろう。

 ゲートの側にはコバッタがいて、それを見たマクギリスがそう尋ねてくる。

 

「ああ、勿論だ。あれはコバッタ。簡単に言えば雑用をする為の無人機だな」

「無人機……そんな物が……」

「厄祭戦のあるこの世界だと理解は出来ないだろうが、シャドウミラーにとって無人機というのは大きな意味を持つんだよ」

 

 シャドウミラーの軍事力も、質という点では実働班や精霊の卵がいるが、純粋に数となるとメギロート、イルメヤ、バッタ、コバッタ……後は量産型Wが主力になる。

 とはいえ、量産型Wはこのオルフェンズ世界の文化を考えると受け入れるのは難しいだろうな。

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