転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4112話

「何だ、これは……」

 

 ガエリオの口から、そんな声が漏れる。

 マクギリスと石動は、口を開くことが出来ずにいる。

 現在俺達がいるのは、シャドウミラーの実働班の訓練場。

 そう、マクギリスが選んだのは実働班の訓練を視察するというものだった。

 だが、マクギリス達にとって不運だったのか幸運だったのか、今日の訓練はPTやMSを使った戦闘訓練ではなく、生身での戦闘訓練だった。

 結果として、俺達の目の前では一瞬にして姿を消したかと思えば、次の瞬間には別の場所にいて、魔力や気を使った攻撃を行う。

 当然ながら、魔力を使った攻撃の中には魔法を使った攻撃もある。

 また、ムラタの使う神鳴流の一撃も普通に使われていた。

 それらの訓練は、俺にとっては普通の訓練方法ではあるが、マクギリス達にしてみれば目の前で広げられている光景は到底理解出来ないものなのだろう。

 もしくは、自分が見ているのは何らかの映像か……もしくは幻影の類ではないかと思ってもおかしくはない。

 

「見ての通り、シャドウミラーの実働班……実際に戦う者達は、生身での魔法や気を使って戦うのは普通のことだ」

 

 もっとも、これでも生身での訓練については、そこまで厳しい訓練という訳ではないのだが。

 シャドウミラーにおいて、生身の戦いで教官をしているエヴァとの訓練は、この訓練よりもかなり厳しい。

 エヴァとの模擬戦と比べれば、この程度の戦いは普通の……かなり甘い戦いなのは間違いない。

 ただし、それはあくまでも俺だから、シャドウミラーの訓練を知っている俺だから分かる事で、マクギリス達にしてみればこれが初めて見るシャドウミラーの模擬戦だ。

 そうである以上、これ以上の訓練があると言われても、恐らくは理解出来ない……いや、納得出来ないという方が正しいか?

 ともあれ、そんな感じになるのは間違いないだろう。

 

「これが……普通の訓練?」

「そうなるな」

 

 マクギリスの呟きにそう答える。

 とはいえ、こういう風に派手な訓練になるのは、あくまでも魔力や気があり、それを使えるからこそだ。

 ギャラルホルンでも生身の戦闘訓練とかは行っているのだろうが、それはあくまでも一般人の訓練でしかない。

 マクギリス達にとって、それが認められるかどうかはまた別の話ではあるが。

 

「ちなみに、あの訓練を見ていれば分かると思うが、例えば相手が銃火器で武装していても、意味はない。発射された銃弾を掴むというのは普通に出来る者が多いし、そもそもそれ以前に魔力や気で身体強化をすれば、銃弾を命中させる事はまず不可能だ」

「……それが、魔法なのかな?」

「そうだな、正確には魔法……魔力以外に気もあるが、そんな感じだ」

 

 魔力と気は、シャドウミラーに所属する者……特に実働班の者達にとっては、必須の能力だ。

 何しろこれがないと、生身での戦いはどうしようもない。

 それだけではなく、魔力や気による身体強化によって、PTのような人型機動兵器に乗っても、急激な機体の挙動を行った際のGに耐えられるのだから。

 もっとも、マクロス世界で入手したISCという……一種のG貯金とでも呼ぶべきシステムもあるのだが。

 ただ、ISCも無限にGを保存しておける訳ではない以上、やはりそういうのをなしに耐えた方がいい。

 

「魔力……魔法か。以前、アクセルに少しだけ私達が魔法を使えないかと聞いた事があったと思うが、もし今また魔法を教えて欲しいと言ったら、答えは同じかな?」

 

 恐らく、マクギリスは俺が異世界の存在だから、魔法を教えて欲しいと言った時に誤魔化されたと思ったのかもしれないな。

 実際には以前も別に誤魔化した訳ではないのだが……ただ、以前と違う大きな要因が1つある。

 

「魔法を使えるようになるのは、魔力の多い場所の方が向いている。そういう意味では、オルフェンズ世界よりもこのホワイトスターの方が魔力は多いから、オルフェンズ世界で魔法の訓練をするより、ここでやった方が覚えやすいかもしれないな」

 

 実際にはホワイトスターもそうだが、それよりも魔法球の中の方が魔力は多いから魔法を使いやすい。

 とはいえ、魔法球はシャドウミラーの中でも最重要の機密である以上、そう簡単に教えられる筈もないんだが。

 

「ここでなら、か。……なら、ギャラルホルンの者をホワイトスターに来させて、魔法を習うという事は出来るのかな?」

「出来るかどうかと言えば、出来る。ただし、色々とハードルもあるけどな」

「ハードル?」

「ああ、まず第1に、シャドウミラーとの取引はアドモス商会が窓口である以上、アドモス商会に話を通す必要がある」

「……なるほど。まぁ、それはそうかもしれないな。他には?」

「転移区画で見たように、ホワイトスターには多くの世界から来ている者もいる。けど、もし来ている者が何らかの問題を起こした場合、そのペナルティは個人ではなく、世界そのものに負って貰う。具体的には、暫くホワイトスターの出入り禁止とか、特定の建物には入れないようになるとか、取引が限定されるとか」

「それは……少し厳しいのでは?」

「厳しくないと、罰にはならないだろ。だからこそ、他の世界からホワイトスターに送られてくる人材は、問題を起こさないように選ばれた者達となっている。異世界間貿易をする上で、それらのペナルティは大きいだろうし。それに当然だが、そういう事をした奴は、自分の世界ではかなり責められることになるだろう。その辺を理解した上で、ギャラルホルンの選んだ人材がアドモス商会に許可されたなら、そいつが自分でホワイトスターにいる魔法使いと交渉をして、それによって魔法を習うのは構わない」

 

 もっとも、アインやクランクから話を聞いた限りだと、ギャラルホルンの中には結構な数、自分が選ばれた存在であると認識している者が多い。

 火星生まれのアインが差別されたことは数え切れないと言っていたくらいだしな。

 そう考えると、場合によっては火星にあるゲートが繋がっている場所は火星と同じと考えて、意味もなく見下す発言をして問題を起こす……そんな未来が予想出来るのは、きっと俺だけではないと思う。

 

「……もしそのようなことになった場合は、しっかりと選考をしよう」

 

 マクギリスも俺と同じ結論に到ったのか、そう言ってくる。

 そうして暫くの間、実働班の模擬戦を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

「それでこれが牧場か。……長閑な場所だな」

 

 ガエリオが周囲の様子を見て、そう言う。

 牧場はそれなりに人が……客が集まってはいたものの、それでも人混みで歩けないといった程ではない。

 ある程度の客はいるものの、それでも行動するのに苦労する程ではなかった。

 そんな牧場の様子を、ガエリオは興味深そうに見ている。

 実働班の訓練の見学を終えた後、どこに行くのかということで次に選ばれたのがこの牧場となる。

 牧場に行ってみたいと強く主張したのが、ガエリオだったのだ。

 だからこそ、ガエリオはこの牧場の様子に興味深いものを感じているのだろう。

 

「ギャラルホルンにいれば、ああいう動物とかを見る機会はないのか?」

「ガエリオ様は、マクギリス様と同じく、セブンスターズのお方ですので」

 

 ガエリオがマクギリスを引っ張って牧場に向かったのを見ながら石動に尋ねると、そんな返事があった。

 なるほど、いわゆる上流階級だからこそ、生きた動物とかに触れる機会はないのか。

 ……とはいえ、普通に暮らしている場合であっても、犬や猫ならともかく、牛や馬のような大きな動物に接する機会はないか。

 そういう意味では、ガエリオも俺達もそう違いはないのか。

 いやまぁ、イメージ的に上流階級なら、馬に乗れてもおかしくはないと思うが。

 

「アクセル、それならワイバーンに乗って貰うのはどう?」

 

 エリナのその言葉に、俺は本気か? といった視線を向ける。

 実際、ワイバーンの騎乗体験はこの牧場において最大の売りなのは間違いない。

 しかし、それでもガエリオをワイバーンに乗せるというのは……どうなんだろう。

 

「それはそれで問題にならないか?」

「なら、聞いてみたらどう? それで嫌だと言うなら、ワイバーンに乗るのは止めてもいいでしょうし」

「……どう思う?」

 

 エリナの言葉に、俺は石動に尋ねる。

 すると石動は少し考えた後で、頷く。

 

「聞いてみるのがいいかと」

 

 石動が何を思ってそのようなことを言ったのかは、俺にも分からない。

 だが、マクギリスやガエリオの護衛として一緒に来ている石動がそう言う以上、遠慮する必要はない。

 馬の走っている光景を見ているガエリオに近付きつつ、声を掛ける。

 

「ガエリオ、マクギリス、ワイバーンに乗ってみないか?」

「……いいのか?」

 

 ガエリオは予想外といった様子でそう言ってくる。

 ワイバーンの騎乗体験については、前もってそういうのがあると言っておいたのだから、別にそこまで驚く必要はないと思うんだが。

 

「ああ、問題ない。挑戦してみるのなら用意する。……どうする?」

「マクギリス……」

「分かったよ。けど、気を付けてくれよ。もし怪我でもしたら、問題になる」

「分かっている。問題はない……んだろう?」

 

 ガエリオの言葉の後半は、俺に対する確認だ。

 

「ああ。もし何かあっても……それこそ上空でワイバーンから落ちても、心配はいらない。まぁ、普通にしてればワイバーンから落ちるなんて事はないだろうけど」

「なら、問題ない」

 

 そういう事で、ガエリオがワイバーンに乗る事になるのだった。

 

 

 

 

 

「あれが……ガエリオの乗っている、ワイバーンか?」

 

 空を飛ぶワイバーンを見て、マクギリスがそう聞いてくる。

 他にも何匹かワイバーンが飛んでいるので、その為だろう。

 

「ああ。あの……ちょうど今、俺達の上を通りすぎたのがガエリオの乗るワイバーンだ」

「ワイバーンに乗る、か。……竜騎士というのが私が子供の頃に読んだ本に出て来た事があったが」

「竜騎士? ……なるほど。ワイバーンに乗っているし、そう考えれば竜騎士と呼んでもいいのかもしれないな」

 

 もっとも、ワイバーンはドラゴンの中でも最下級の存在の筈だ。

 実際、門世界でも騎士がワイバーンに乗っていたし。

 そういう意味では、本当の竜騎士は門世界にいた古代龍や飛龍といったのに乗るのが、本当の意味で竜騎士なのかもしれないな。

 いや、この場合は龍騎士か?

 もっとも、それらはホワイトスターの牧場にはいない。

 何匹か倒したのが、博物館にあるが。

 ちなみに飛龍はワイバーンではなく、小型の龍種だ。

 ワイバーンは翼龍と呼ばれていた。

 

「竜騎士になったと言えば、ガエリオも喜ぶんじゃないか?」

「そうかもしれないな。とはいえ、この世界だけでしか使えないのだろう?」

「その予定だな。今のところ、ワイバーンを他の世界に貸したり売ったりするつもりはない」

 

 ワイバーンも一応はドラゴンの一種ということで、売って欲しい、貸し出して欲しいという要望はそれなりに来る。

 だが、基本的にはそれは全て断っていた。

 ……ネギま世界でなら、図書館に潜ればそういうのがいるんだが。

 あるいはどうにかして魔法世界から連れてくるとか。

 普通なら無理なのだが、魔法を使えばその辺はどうにかなるだろう。

 実際、魔法という訳ではないが、グリフィンドラゴンのグリは俺と召喚の契約を結んだ事によって、魔法世界以外の場所……どころか、異世界であっても普通に出て来られるのだから。

 そう考えれば、何らかの手段があってもおかしくはないし、実際に以前そんな話を聞いた覚えがあるような気がする。

 ……今更だが、その辺にシャドウミラーとして協力するべきか?

 そうなれば、それこそこの牧場に多くのモンスターを集める事が出来る。

 いや、でも……モンスターを集めたからといって、それをきちんと躾られるかどうかというのは、この場合大きな問題となるだろう。

 もしネギま世界から自由にモンスターを連れてこられるようになったとして、そのモンスターの躾を失敗した場合、最悪牧場は壊滅するだろうし、牧場にいる様々な生き物も殺されてしまいかねない。

 そう考えると、やはりそれなりに危険があるのは間違いない。

 うん、もしネギま世界から自由にモンスターを連れてくる事が出来るようになっても、しっかりと考えて、計画的にする必要があるな。

 そんな風に考えている中で、ガエリオの乗ったワイバーンが交流区画の方に飛んでいく。

 

「アクセル? その……いいのか、あれは? 私が言うのも何だが、あのままでは牧場から出ていくように見えるのだが」

「心配するな。マクギリスはあまり慣れていないからちょっと分からないかもしれないが、ワイバーンに乗った奴が交流区画の方まで行くのは珍しいことじゃない。……ほら」

 

 俺が指さす先では、ガエリオの乗ったワイバーンを追うように、他のワイバーンも何匹か交流区画の方に向かっている。

 

「ワイバーンが誰かを襲ったりとか、そういう事はないから心配はいらない」

「……アクセルの言う事だ、信じよう」

 

 マクギリスはそう言い、空を見上げるのだった。

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