転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1457 / 2196
4113話

「いやぁ、素晴らしかった。ワイバーンに乗るというのは、ここまで素晴らしいものだとは、思いもしなかった。……アクセル、このワイバーンというのは購入出来たりしないのか?」

「無理だな。これはオルフェンズ世界だけではなく、どの世界とも今は取引をしていない」

 

 ワイバーンから降りたガエリオは、これ以上の上機嫌はないといった様子で俺にそう聞いてくるが、俺はそれに対して頷く事は出来ない。

 もしかしたら……本当にもしかしたら、将来的にはワイバーンを貸し出したり、あるいは売ったりという事にもなりかねない。

 だが、その場合でも売ったり貸し出す相手は厳しい調査の結果となるだろう。

 その時は、それこそワイバーンが快適に暮らせる状況であるのかをしっかりと用意して貰う必要がある。

 

「そうか。残念ではあるが、仕方がないな」

「……あっさりと受け入れたな」

 

 ガエリオの反応に、そう口にする。

 てっきり、ガエリオの事だからもっとごねるかと思ったんだが。

 ガエリオは良くも悪くも坊ちゃんといった印象を受ける。

 それはつまり、ここでワイバーンの貸し出しや売るのを断ったら、それを許容出来ず、もっと不満を口にしてもおかしくはない。

 

「ワイバーンを手に入れられないのは少し……いや、かなり残念だが、それでもまたこの牧場に来ればワイバーンに会えるんだろう? なら、ここで無理を言う必要はない」

「それは間違ってはいないが」

 

 ただ、当然ながらガエリオがこの牧場に来るには、そしてホワイトスターに来るには、火星にあるゲートを使うしかない。

 あくまでもゲートは火星に設置したのであって、地球にゲートを設置しようとは全く考えてはいないのだから。

 もっとも、ガエリオもその辺については十分に理解出来ているとは思うが。

 理解出来ていないのは……異世界の存在を知った時、地球にいる者達だろう。

 特にラスタルの派閥とか、まだ中立状態のセブンスターズの2家とかか。

 ラスタルにしてみれば、その中立の2家を自分の派閥に引き入れる為に、無理矢理そう主張してくる可能性は十分にあった。

 

「なら、問題はない」

「……問題はないかもしれないが、この牧場に来るには火星のゲートを通らないといけないんだぞ? 地球にいて、そう簡単に来ることは出来ないんじゃないか?」

「なるほど。……マクギリス、ギャラルホルンの火星支部は私に任せて貰うというのはどうだろう?」

「無茶を言わないでくれ。私の派閥にとって、ガエリオの存在は大きいのだ。ただでさえラスタルとの戦いにおいて、ガエリオの力は必須だ。とはいえ……そうだな。ラスタルとの戦いが終わって、喫緊の問題がなくなったら火星支部をガエリオに任せてもいいかもしれないけどね」

 

 そのようなマクギリスの言葉に、ガエリオは難しい表情を浮かべる。

 ガエリオにしてみれば、出来るだけ早くラスタルとの戦いを終える必要があると考えているのだろう。

 正直なところ、ガエリオがここまでワイバーンに嵌まるとは思わなかった。

 勿論、ワイバーンの騎乗はこの牧場において最大の目玉だ。

 実際に毎日多くの者がワイバーンの騎乗を体験しに来るし。

 そういう者の中には、ガエリオと同じように強烈にワイバーンの騎乗に嵌まる者もいる。

 何でも、生身で空を飛ぶという経験が新鮮らしい。

 ……俺の場合は生身でも空を飛べるし、シャドウミラーに所属する者なら、その大半が……いや、ほぼ全てが虚空瞬動とかを使って空を飛べる。

 いやまぁ、虚空瞬動の場合は空を飛ぶのではなく、跳ぶという方が正しいのだろうが。

 ともあれ、シャドウミラーの者ならそんな感じではあるものの、それ以外……例えば、他の世界からホワイトスターに来ている者の多くは、自力で空を飛ぶ事は出来ない。

 だからこそ、ワイバーンに乗るというのは大きな意味を持つのだろう。

 ネギま世界から来ている魔法使い達であれば、自力で空を飛べたりもするのだが。

 

「その辺の話はそっちで決めてくれ。……ただ、言うまでもないと思うが、もしガエリオがホワイトスターで何らかの問題を起こした場合、そのペナルティはオルフェンズ世界全体に与えられる事になるから、気を付けるんだな」

 

 この辺については、ガエリオだから……ギャラルホルンのセブンスターズの家の次期当主だからとか、そういうのは全く関係ない。

 それこそマクギリスやカルタであっても変わらないし、オルガや名瀬といった面々であっても変わらない。

 ラスタルは勿論、イオクでも……あ、何だかイオクがホワイトスターに来たら、これ以上ない程に思い切り騒動を起こしそうな気がするな。

 マクギリスにすら戯けと呼ばれるイオクだ。

 夜明けの地平線団との戦いでは強引に援軍として乱入し、その上で俺に攻撃をしてラスタルが俺を味方に引き入れるのを完全に潰した人物だ。

 また、ハシュマルの一件でも俺達がいるという事で何故かハシュマルが埋まっていた場所にMSで上空から突入してきて、それによってハシュマルを起動させたという……普通に考えれば、間違いなく処罰ものだろう事をやった人物。

 そんなイオクがホワイトスターに来たら、騒動を起こさない訳がない。

 

「取りあえずイオクはホワイトスターに来るのを禁止にした方がいいと思うぞ」

「……なるほど」

 

 マクギリスが即座に俺の言葉の意味を理解して頷く。

 ガエリオもそれに続き、最後に石動が頷く。

 石動が最後だったのは、マクギリスやガエリオと違ってイオクと接する機会がないからだろう。

 

「誰、そのイオクって」

「問題児だ。しかも敵対している。典型的な、無能な働き者だな」

「……うわ」

 

 エリナが俺の言葉に、眉を顰める。

 エリナは自分が有能なだけに、他人にもそれを求めるところがある。

 そこまで厳しい訳ではないものの、それでも無能な働き者と評されたイオクは受け入れがたいだろう。

 

「まぁ、敵にいる分には……どうなんだろうな?」

 

 夜明けの地平線団とハシュマルの事を思えば、敵にいる無能な働き者なのに、何故かこっちに被害が出ているように思える。

 ラスタルは、一体どうやってイオクを制御してるんだろうな。

 そんな疑問を抱く。

 無能な働き者としての効果を、自分達ではなく他人に……敵対している相手に与える。

 もし本当にそのような事が出来るのなら、それは非常に大きな意味を持つだろう。

 

「MAの件を考えると、敵にいても厄介なのは変わらないだろう。出来れば、夜明けの地平線団との戦いの時、あるいはMAの時にアクセルにはあの戯けを始末して欲しかったのだが」

「戯けって……マクギリス、お前……」

 

 ガエリオがマクギリスの言葉に驚きの声を発する。

 どうやらガエリオの前でイオクを戯けと称した事は今までなかったらしい。

 俺の前では普通に戯けと口にしていたのだが。

 まぁ、取りあえずそういうものだと認識しておくしかないか。

 

「MAの時は、無能な働き者だからこそ、ラスタルの陣営にいた方が、巡り巡ってこっちにプラスになると思っていたんだけどな」

 

 そうして俺はマクギリスと暫く会話を行い……

 

「さて、じゃあ戻るか」

「もう戻るのか? 出来ればもう少し、このホワイトスターという場所を見てみたかったんだけど」

 

 ガエリオがそう駄々をこねるものの、このままオルフェンズ世界でマクギリスとガエリオが行方不明な状態になっていれば、騒動になる可能性がある。

 何だかんだで、既にホワイトスターに来て3時間……いや、4時間くらい経っているのだ。

 ハシュマルを警戒していたギャラルホルンの者達も、マクギリス達が戻ってこないのを考えると、心配するだろう。

 いや、心配するだけならいい。

 だが心配のあまり暴走し、ハシュマルに攻撃を仕掛けるとか、そういう事をされると困るのも事実。

 そうなると、ハシュマルも反撃に移る可能性がある。

 攻撃しないようにとは言ってあるが、ハシュマルのプログラムについてはまだ完全に分かった訳ではない。

 ルリやラピスが言うには、一応俺が命令の優先順位でトップにいるらしいが、それだってハシュマルが自分でその辺りの認識を変えられるという可能性は否定出来ないのだから。

 何しろ、MAが最初に作られた時……オルフェンズ世界で厄祭戦などという言葉がまだなかった時、当然ながら最初は味方を攻撃しないようにと命令はされていた筈だ。

 だが、その命令が変更されたのか、無効化されたのか、あるいはそれ以外の別の理由によるものか。

 どのような理由によるものなのかは微妙なところだが、とにかくMAは敵だけではなく味方も……人であれば、誰でも攻撃するようになり、厄祭戦が始まったのだ。

 そう考えると、ルリやラピスによってハッキングされたプログラムを更に変更するという可能性も否定は出来ない。

 もっとも、そう心配すると同時にルリとラピスの能力については強い信頼を寄せているので、恐らく大丈夫だろうとも思うが。

 

「とにかく、一旦戻るぞ。またホワイトスターに来たいのなら……そうだな、ラスタルを倒して、オルフェンズ世界が落ち着いたら、また招待してもいい」

 

 オルフェンズ世界の原作については、俺は知らない。

 あるいは知っていたのかもしれないが、ペルソナ世界でニュクスによって原作は思い出せなくなった。

 とにかくこの世界の原作知識はない。

 しかし、既に敵らしい敵はその多くを倒した。

 夜明けの地平線団、ジャスレイといったように。……多くというくらいには多くはないな。

 それでも残りはラスタル以外に敵がいないのも事実。

 もしくは、まだ日和見をしている残りのセブンスターズの2家が最後の敵として出てくるのか。

 ……ないな。マクギリスとかから話を聞く限り、典型的な事なかれ主義だ。

 実は裏で何かを企んでいたのかとか、そういうのはまずないと思ってもいい。

 そんな訳で、ラスタルを倒せばこのオルフェンズ世界での騒動も一段落する。

 ラスボスとして、アリアンロッド艦隊は丁度いい相手だし。

 ただ、問題なのはアリアンロッド艦隊を全滅させるような事をすると、それはそれで問題なんだよな。

 戦後の海賊対策とか、そういうので。

 俺達の行動によって、かなりの海賊が撃破された。

 また、地球圏では最大規模の海賊である夜明けの地平線団を撃破したのも大きいだろう。

 他にもジャスレイとの戦いでは、ジャスレイが金を使って戦力を集めた時、そこには海賊がかなり交ざっていた。

 そんな諸々について考えると、海賊が大分減ったのは間違いない。

 間違いないが、大分減ったというのはゼロになったという訳ではない。

 それどころか、海賊が少なくなったという事で、自分達の身を守る為により先鋭的に……攻撃的になってもおかしくはない。

 海賊に襲われたという情報が届かなければ、その船が海賊に襲撃されたのだろうと予想は出来ても、実際にどこで襲撃されたのか分からず、それが海賊達の身の安全に繋がる。

 そうなると、海賊による被害の件数は以前よりも少なくなるかもしれないが、受けた被害の大きさは以前よりも増す可能性がある。

 アリアンロッド艦隊がいれば、海賊達を討伐するのだろうが……それを全滅させてしまえば、どうしても手が足りなくなる。

 俺達のオルフェンズ世界における拠点はあくまで火星なので、地球の周辺についてそこまで心配する必要はないのかもしれない。

 だが、地球で海賊が多くなると、火星にも色々と影響してくるのも事実。

 そうなると、やはりここはアリアンロッド艦隊の全滅というのは避けた方がいいだろう。

 勿論、それはあくまでも俺がそのように思っているだけだし、こっちがやられるのに相手を殺さないというのは難しいだろう。

 不殺という事なら、いっそキラでも連れてくるか?

 そうも思ったが……キラの戦闘スタイルを考えると、オルフェンズ世界のMS戦はあまり合わないんだよな。

 何しろ、基本的にビームが通用しないし、実弾も基本的には牽制程度の威力しかない。

 キラも近接戦闘が出来ない訳ではないが、それでもやはり基本は射撃戦を得意としているし。

 ……そう言えば、重婚が可能なホワイトスターに移住するとかなんとか、そういう話もあった筈だが、その辺はどうなったんだろうな。

 まぁ、今はその辺について気にしなくてもいいか。

 そんな風に考えながら、俺とエリナはマクギリス達を連れてゲートに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「こうして見ても……改めて、信じられないな」

 

 しみじみと、ゲートを見ながらマクギリスが言う。

 マクギリスにしてみれば、つい先程までいたホワイトスターについて本当にあった出来事なのかどうかと思えるのだろう。

 

「間違いなくお前が経験したのは事実だ」

 

 そう言うと、マクギリスはたっぷりと数分は考え込み……

 

「……アクセル、この件について、公表してもいいだろうか?」

 

 そう聞いてくる。

 とはいえ、それは別に驚くようなことではない。

 マクギリスにとって、俺との関係、そして異世界の存在は自分達の勢力を強化するのに使える内容ではあるのは事実なのだから。

 その言葉に、俺は構わないと頷くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。