転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4116話

「は? ノブリスが? 一体何をしに?」

「さぁ? でも、アクセルと会って直接話したいそうよ」

 

 マーベルからの連絡に疑問を抱く。

 クーデリアを地球まで運ぶ一件が終わった後で、俺達を利用した落とし前は付けた。

 その後、ノブリスはノブリスで色々と動き、その結果としてアーブラウ軍との関係も深くした。

 聞いた話によると、アーブラウとSAUとの戦いでアーブラウ軍はそれなりに被害を受けたので、その補充でかなり稼いだらしい。

 だが、それ以後では特に何かあった訳でもない。

 ……というか、ノブリスの方が俺達と可能な限り接触しないようにしていたというのが正しい。

 ノブリスにしてみれば、ここでシャドウミラーや鉄華団と接触した結果、また敵対するような事になったら洒落にならないと判断したのだろう。

 実際、俺達とテイワズの落とし前によって、ノブリスが受けた被害金額はとんでもないものだったのだから。

 自業自得と言えばそれまでかもしれないが。

 そんなノブリスが一体何の為に俺に接触してきたのか。

 勿論、考えられる可能性は幾つもある。

 まず最も大きな理由としては、やはり異世界の存在だろう。

 マクギリスの演説で、MAを従えたというものがあった。

 そしてシャドウミラーの拠点には、ハシュマルが待機している。

 ハシュマル=MAとノブリスが認識出来るかどうかは分からないが、武器商人だけにMAについて多少なりとも知識を持っていてもおかしくはない。

 であれば、マクギリスの演説から俺達と異世界に繋がりがあると判断してもおかしくはないだろう。

 実際、火星においてはシャドウミラーがMAを従えたという件はかなり広まっているし、中にはシャドウミラーと接触しようとした者もいる。

 基本的にそういう相手との接触は断っているが。

 とにかくそんな訳で、ノブリスがMAの件で、そして異世界の件で接触してきたと言われても、納得出来る。

 とはいえ、納得出来るからといってノブリスと会う必要があるかと言われれば……それは微妙でもあるんだよな。

 もっとも、ノブリスとは仕事上の付き合いがあるのは事実。

 であれば、今回の件もその辺が関係してくる可能性はある訳で……

 

「分かった。なら、スケジュールを合わせて問題ない日に面会をする事にする」

 

 UC世界のガンダム開発計画のテストパイロットの件もあるので、俺はそれなりに忙しかったりする。

 数日前もパワード・ジムのテストをしてきたしな。

 とはいえ、ニナには悪いが、今はオルフェンズ世界の方を優先させて貰う。

 ラスタルとの一件が片付けば、暫くはそっちに専念してもいいんだが……何しろ、今のオルフェンズ世界はかなりの混乱状態だ。

 マクギリスが異世界の存在を暴露し、それと上手く付き合う為にはギャラルホルンを改革しないといけないと演説をすると、マクギリスは実はファリド家の血を引いておらず、スラム街出身の孤児でイズナリオの稚児だったとラスタル陣営が公表した。

 マクギリスはマクギリスで、俺との通信の後でラスタル陣営の説明を大々的認め、上に立つ者は血筋ではなく能力こそが重要だと公の場で発言した。

 それによって、マクギリスの派閥からは更に離脱者が増えたらしいが、血筋よりも能力と断言した事で、新たに派閥に加わった者もいるらしい。

 もっとも、それでもやはり離脱した者の方が多かったらしいが。

 そんな訳で、現在オルフェンズ世界は色々と忙しく動いている。

 混乱していると言ってもいいかもしれない。

 他にも、文字取りの意味でこれからのオルフェンズ世界の行く末を決める戦いである以上、すぐに戦いを行うといった事は出来ない。

 双方共に負けないように万全の準備を整える必要があった。

 そういう意味では、今はまさに嵐の前の静けさといったところか。

 そんなところでノブリスが接触してくる。

 一体何があるのか、楽しみなような、面倒なような。

 出来れば面倒じゃないといいと思いつつ、俺は仕事に戻るのだった。

 

 

 

 

 

「これ程早く面会をしてくれるとは、ありがたい」

 

 そう言い、ノブリスは笑みを浮かべる。

 ……元々が悪人顔というのもあって、ノブリスが笑みを浮かべても余計に迫力のある顔にしかならない。

 

「今までは仕事上の付き合いだけ……それもノブリス本人じゃなくて、その部下達が俺達と接触していたところで、ノブリス本人が面会を希望してきたんだ。何か大きな理由があってのことなのは間違いないだろう? それで、一体どんな用件だ?」

 

 普通なら、まずは本題に入る前の世間話とかするんだろうが、俺とノブリスの間でそういうのは必要ない。

 ノブリスもそれを理解しているのか、内心はどうあれ、不満そうな様子を見せずに口を開く。

 

「実は、私に接触してきた者がいてな」

「接触? ……ラスタルの派閥か」

 

 俺とマクギリスが友好的な関係を築いている以上、もしマクギリスの派閥が接触するような事があっても、ノブリスがわざわざ俺に知らせはしないだろう。

 もっとも、マクギリスが俺を裏切ろうとしているとかなら話は別だが……マクギリスがそういう事をしても、何の意味もない。

 あるいは……本当にあるいは、俺には想像出来ないような企みがあってという可能性もあるが。

 そんな俺の懸念は、ノブリスが頷いたことで解消される。

 

「その通りだ。どうやら向こうもアクセルと……シャドウミラーとマクギリスの関係を知っているらしい」

「だろうな」

 

 ラスタルは最初、俺を仲間に引き入れようとしていた。

 あるいは仲間に引き入れるのは無理でも、マクギリスに協力しないように。

 それこそハーフビーク級を俺にプレゼントし、気を引こうとしたくらいには。

 もっともそれで焦ったのか、マクギリスはギャラルホルンでも最大級の戦艦であるスキップジャック級を渡してきたが。

 とにかくそんなラスタルだったが、夜明けの地平線団の一件でイオクが俺に敵対してきた。

 それでもう駄目だと思ったのか、それ以後は特に接触はない。

 ……ハシュマルの件でクジャン家のMS隊が乱入した結果、大きな騒動になったが。

 そんな訳で、元々は俺を味方に引き込みたかったラスタルだ。

 俺達とマクギリスの関係については十分に理解している。

 また、イオクの件はともかくとして、ラスタルは基本的に有能だ。

 であれば、火星支部にも当然のように手の者が潜んでいるだろうし、そうなるとハシュマルがハッキングによって俺に従っているという情報も知ってるだろう。

 そんな俺を危険視し、ノブリスを使って何かちょっかいを掛けようとした……そんなところか?

 

「それで、どういう用件だった? 破壊工作でもしろと言われたか?」

 

 一応、俺達が使う武器弾薬の類は、ノブリスから購入している。

 圏外圏においても大きな影響力を持つノブリスだけに、余程特殊な物でもなければ、すぐに揃えて納品してくれるのは助かるし。

 であれば、そうして納入された武器弾薬に何らかの仕掛けをしておき、何時になったら爆発させるとか、あるいは特定の動作をしたら爆発するとか、そういう仕掛けをするのは難しい事ではないだろう。

 そしてノブリスであれば、不良品が交ざっていたと言い切る事も出来る。

 実際、工場の製品であっても不良品というのはどうしても出来てしまうのだ。

 これもそれだと言えば、そういうものかと納得するしかない。

 ……勿論、その言葉が本当かどうか調べる必要があるのは間違いないが。

 そしてもし意図的だという証拠が見つかったら……

 

「待て、待ってくれ! そんな事をするつもりはないし、そもそもそのような事を要請されてもいない!」

 

 表情に出していないつもりだったが、どうやらそうでもなかったらしい。

 あるいは歴戦の武器商人としての勘で何かを察知したのか。

 

「そうか。なら、いい。……それで? じゃあ、ラスタルの派閥が接触してきて、ノブリスには何を要求したんだ?」

 

 そう聞くと、取りあえず信じて貰えたと判断したのか、ノブリスは大きく息を吐いてから、改めて口を開く。

 

「いわゆる、ネガティブキャンペーンだ。私の影響力を使って、TVとかである事ない事……いや、この場合はない事ない事か? とにかくそれを流して欲しいと」

「そう来たか」

 

 ノブリスの言葉に、思わずそう呟く。

 てっきり何らかの直接的な妨害行為……それこそ、先程俺が思ったように、破壊工作とかそういうのをするように頼んだかと思ったのが、その内容はネガティブキャンペーン。

 勿論、それはそれで厄介な手であるのは事実。

 精神的にこっちを苦しめるといったように。

 特にシャドウミラーや鉄華団と友好的な組織であったり……他にもビスケットやサヴァランの妹達がクリュセの学校に通っているので、その妹達が誹謗中傷の被害に遭ったり、サクラ農園の野菜を売る時に、それを買う相手がネガティブキャンペーンを信じて取引を中止するとかあるかもしれない。

 他にも、シャドウミラーや鉄華団の面々がクリュセで買い物をしようとする時、そのネガティブキャンペーンを信じた者達によって何らかの被害を受けるという可能性は十分にあった。

 

「痛いところを突いてくるな」

 

 買い物とかそういうのは、別にクリュセにいかなくても、それこそホワイトスターで購入するといった事も可能だろう。

 だが、ビスケットやサヴァランの妹達の件は対処が難しい。

 痛いところを突いてくるなという俺の言葉は、心からのものだ。

 だが、ノブリスはそんな俺の言葉に何かを感じたのか、慌てたように首を横に振る。

 

「勿論、それは断った。アクセル達と敵対するのがどれだけ危険なのかは、以前の一件でよく理解しているのでな。それに……アクセル達に勝って貰わなければ、アーブラウ軍の件もある」

「なるほど」

 

 ノブリスの言葉に頷く。

 アーブラウ軍の件は、現在のノブリスにとって最大規模のお得意様だ。

 そしてアーブラウという国は蒔苗との付き合いもあり、クーデリアと、そしてシャドウミラーや鉄華団と友好的な関係にあるのも事実。

 それはつまり、もしここでマクギリスの派閥が、そしてそこに協力するだろうシャドウミラーや鉄華団が負けるような事になれば、ノブリスにとって大きな……それこそ、以前の落とし前の件以上に大きな損失になる可能性が高い。

 あるいはこれで、俺達がラスタルの派閥に絶対に勝てないというのであれば、損切りをしてラスタルに協力するということもあるのだろうが……幸い、今の俺達はかなりの実力がある。

 また、ノブリスがここに来たという事は、当然ながらハシュマルも間近で見ている筈だ。

 マクギリスが演説で言っていたように、ハッキングによって俺に従うようになったというハシュマルを。

 他にも、多分コバッタとかそういうのも見ているだろう。

 それらを見れば、俺達が本当に負けるとは到底思えない筈だ。

 その辺りもあって、ノブリスがラスタルの派閥から要求されたネガティブキャンペーンを断ると、改めて考えたのだろう。

 もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、実はここに来るまで、ハシュマルとかを見るまで、ネガティブキャンペーンについて迷っていたのかもしれないな。

 だが、ハシュマルを見て心を決めた。

 ノブリスは自分の利益になる事については勘が鋭い。

 

「それで、ネガティブキャンペーンの方はともかくとして、異世界との貿易について聞かせて欲しいのだが」

 

 なるほど、ネガティブキャンペーンの件はおまけで、こっちが本題か。

 考えてみれば無理もないか。

 自分の利益の為にはどのような手段も使うノブリスが、異世界の存在を知ったのだ。

 マクギリスの演説から、MAの件を知り、そしてハシュマルがここにいるのを知れば、異世界の存在とシャドウミラーを結びつけるのは難しい話ではない。

 

「マクギリスが言っていただろう? それが知りたいのなら、窓口となっている組織と話せ」

「アドモス商会」

 

 俺の言葉にそう返してくるノブリス。

 素直に驚いた。

 マクギリスは演説において、アドモス商会の名前は口にしていなかった筈だ。

 だというのに、ノブリスはアドモス商会の名前を出した。

 ……とはいえ、改めて考えてみればそんなにおかしな話でもないか。

 シャドウミラーが異世界の存在だと知っていれば、そのシャドウミラーと繋がりの深い……つまり、俺の恋人であるクーデリアが社長をしているアドモス商会に辿り着くのは難しい話ではないのだから。

 また、アドモス商会はクリュセにあり、ノブリスの拠点もクリュセにある。

 そういう意味では、ノブリスがアドモス商会に目を付けるのはおかしい話ではなかった。

 

「一応言っておくが、異世界間貿易では武器の類は交易品として使えない。それを知った上で、何か別の商品を用意するのなら、異世界間貿易に参加するのは自由だ。ただし……言うまでもないと思うが、もしアドモス商会を自分のいいように利用しようとしてるのなら、後で後悔することになるとだけは言っておこう」

 

 俺の言葉に、ノブリスは2年前の落とし前の件を思い出したのか、真剣な表情で頷くのだった。

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