転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4120話

 バエル?

 マクギリスの通信に出て来たその名前に、俺は改めてマクギリスが乗っているのだろうガンダムの姿を確認する。

 白を基調としたそのMSは……何だろうな、どことなくギアス世界でスザクが乗っていたランスロットを思い浮かべる。

 とはいえ、ランスロットはどこか華奢な印象があったが、このバエル……ガンダムバエルは、決してそういう訳ではないように思える。

 ただ……武器は?

 いや、腰に長剣があるように思えるが、言ってみればそれだけでしかない。

 例えばグシオンやバルバドスが遣っているような、圧倒的な威力を発揮するような武器を持ってるとは思えない。

 もしかして、あの2本の長剣しか武器を持っていないのか?

 とはいえ、バエルという……それこそ、バエルの下に集えとマクギリスが言うような、そんなMSだ。

 何かがあるのは間違いないのだろう。

 実際、マクギリスの通信を聞いたラスタルの艦隊は動揺を見せ、動きが鈍くなっている。

 マクギリスは俺との通信で隠し球があると言っていたのを思い出す。

 だとすれば、あのバエルというのが隠し球なのだろう。

 そして事実、バエルの存在によってラスタルの艦隊は動揺か何かで動きが鈍くなっている。

 ともあれ、こうしてラスタルの艦隊が動揺しているというのは、俺にとっても決して悪い話ではない。

 これに追加として、自分達の本拠地にある基地がハシュマルによって襲撃されたとすれば、追加の動揺を誘えるだろう。

 ラスタルの艦隊の士気がボロボロになってもおかしくはなかった。

 ……実際には本拠地を襲撃するだけなら、ハシュマルではなくてもニーズヘッグだけでも構わない。

 それどころか、そちらの方が手っ取り早く基地の襲撃が出来るだろう。

 だが、このオルフェンズ世界においては、やはりハシュマルが……MAの存在が、非常に大きい。

 純粋に基地を攻撃するのなら俺の攻撃で十分だが、衝撃を与えるにはやはりハシュマルが攻撃した方が最適なのだ。

 

「マリュー、マクギリス……というか、マクギリスの旗艦に連絡を頼む。俺は予定通り火星に戻る」

『分かったわ。けど……バエルって何?』

「いや、それを俺に聞かれてもな。悪いが、何も分からない。ただ、敵が動揺してるのは明らかだ。それを思えば、ギャラルホルンにとっては何か大きな意味があるのは間違いないだろうな」

 

 そう言い、俺はその場でシステムXNを起動させる……のではなく、ニヴルヘイムの裏に回る。

 今、ラスタルの艦隊はバエルとかいうのを見て驚いている。

 それが何なのかは、マリューに言ったように本当に分からない。

 分からないが、それでも敵が動揺しているのだ。

 そんな中で、ニーズヘッグがシステムXNを使って光の繭の如き転移フィールドを作ったら、それによってラスタルの艦隊が我に返る可能性がある。

 その為、転移フィールドをニヴルヘイムで隠した方がいいだろうと判断したのだ。

 

『ええ、アクセルなら大丈夫だと思うけど、気を付けてね』

 

 そんなマリューからの言葉を聞きながら、俺はニヴルヘイムの裏に移動するのだった。

 

 

 

 

 

 火星にある、シャドウミラーの拠点の側。

 システムXNを使い、俺は一瞬にして地球近くから火星まで戻ってきた。

 そのままニーズヘッグを操縦し、シャドウミラーの拠点……つまり、ハシュマルのいる場所まで向かう。

 当然ながら、ニーズヘッグの存在に気が付いている者もいるだろう。

 とはいえ、そのような者達が何か動くよりも早く、俺はハシュマルの側まで移動した。

 

「ハシュマル、行くぞ。……大丈夫だとは思うが、俺の指示通りに動けよ」

 

 外部スピーカーでそう言うと、ハシュマルの顔の部分が少し動いたように思えた。

 これからやるのは、何気に危険な行動だ。

 ニーズヘッグが転移するだけなら何も問題はないのだが、今回転移するのはハシュマルもだ。

 地上用MAとして生み出されたハシュマルが、果たしてシステムXNの転移に耐えられるのか。

 ……まずないが、もしルリやラピスのハッキング以上の何かがあって再びハシュマルが暴れ始めた場合、俺が倒す必要がある。

 アリアンロッド艦隊の拠点となっている基地を破壊するのはいい。

 だが、一般人が住んでいる街とかを破壊するような事は、絶対に避けたい。

 ただでさえ、MAという存在はオルフェンズ世界においては敵役なのだ。

 そんな敵役が、一般市民を虐殺なんかしようものなら、それは洒落にならなかった。

 それこそマクギリスがラスタルを倒しても、その後でオルフェンズ世界を纏められるかというのは……難しいところだろう。

 

「じゃあ、行くぞ。……システムXN、起動」

 

 ハシュマルが頷くのを見て、俺はシステムXNを起動するのだった。

 

 

 

 

 

 火星から転移した先……アリアンロッド艦隊の拠点、それも本拠地としている基地の中に、ニーズヘッグとハシュマルは転移する。

 ASRSを使用し、ニーズヘッグが見えないようにしておく。

 さて、ハシュマルはどうだ?

 システムXNで、妙な影響を受けてないといいんだが。

 そう思いながら、俺は外部スピーカーでハシュマルに指示を出す。

 

「よし、ハシュマル。今俺達がいる基地を破壊しろ。ただし、あくまでも破壊するのはこの基地の敷地内だけだ。それ以外の場所には被害を与えないようにしろよ」

 

 さて、どうなる?

 そう思いつつ、ハシュマルの様子を確認する。

 幸いなことに、施設の周囲には住宅街の類はない。……いやまぁ、当然か。

 基地という事はMSを使ったりもする訳で、そうなるとエイハブウェーブによって精密機器が軒並み使えなくなるのだから。

 だとすれば、基地の周囲に住宅街とか、作れる筈もない。

 火星でシャドウミラーと鉄華団の拠点がクリュセから離れた場所にあるのは、そういう理由でもあるのだろうし。

 勿論、模擬戦とかそういうので危険だったり、場合によっては俺達がギャラルホルンや夜明けの地平線団に襲撃されたみたいに、敵対勢力が襲撃してくる可能性もあるし。

 もっとも、ギャラルホルンはともかく、夜明けの地平線団はハーフメタルの採掘場だったが。

 そんな風に考えている間に、ハシュマルは行動を開始する。

 真っ先に放ったのは、口? から射出した巨大なビーム。

 そのビームが基地に突き刺さり、大きな爆発を生み出す。

 うわ、基地の2割くらいが今の爆発に巻き込まれたな。

 MSや軍艦は、ナノラミネートアーマーがあるのでビームは基本的に意味がない。

 だが、それはあくまでもMSならではの話だ。

 建物そのものは、ビームとかを防げない普通の建築資材だったらしい。

 ……アリアンロッド艦隊の本拠地であると考えれば、もしかしたら基地の建物もナノラミネートアーマーを使っていてもおかしくはないと思ったのだが、どうやら予想は外れたな。

 良い意味での外れだったが。

 ……とはいえ、無理もないか。

 厄祭戦を通して、ナノラミネートアーマーが発達してきたこのオルフェンズ世界において、ビーム攻撃なんてのはまず想像もされていなかった筈だ。

 それこそアリアンロッド艦隊の本拠地であっても、ハーフメタルの類を使ってエイハブウェーブがあっても精密機器が使えるようにしてはあっても、ナノラミネートアーマーを建物の壁に使うといった事は考えなくてもおかしくはない。

 アリアンロッド艦隊にしてみれば当然の判断ではあったが、今この時については、まさに完全に裏目に出ている。

 ……まぁ、まさか地上用MAが転移を使っていきなり姿を現すとは、思いもしないだろうが。

 ハシュマルは、ビームを放ち終わって基地を大きく破壊すると、やがてその体内から大量のプルーマを生み出す。

 瞬く間に百近く生み出されたプルーマは、すぐさま基地を破壊し出した。

 基地にもある程度の戦力は残っていたのだろうが、生身ではプルーマに対処出来る筈もない。

 MWが次々に出てくるものの、それでも数という意味ではプルーマの方が圧倒的だった。

 プルーマ単体の攻撃力はそこまで強くはない。

 それこそギャラルホルンのMWと比べると同等か少し低いくらいか?

 ただし、人が操縦しているMWと違い、プルーマは無人機だ。

 常に最適と思われる行動をし、無人機だけに怯えるといった事もない。

 その辺りが人とは違う。

 

「とはいえ、さすがアリアンロッド艦隊だな」

 

 MWはそんなプルーマと互角に戦っている。

 MWの数も何気に多い……いや、当然か。

 アリアンロッド艦隊が現在戦っているのは、宇宙だ。

 宇宙での戦いでMWは……使えない訳ではないだろうが、それでもMSや軍艦の艦砲射撃といった戦いが大半だろう。

 つまり、アリアンロッド艦隊のMWは使い道がないので、基地に残っていた訳だ。

 もっとも、MWのパイロットも置いていったのかどうかは微妙なところだが。

 MSとMWの操縦システムはそう違わない。

 それは鉄華団において、MSのコックピットをMWのコックピットに代えてる事からも明らかだろう。

 もっともそれは、あくまでも阿頼耶識を使う為であり、普通に操縦する分にはそれなりに違いもあるのだが。

 ともあれ、この基地にMWがかなり残っているというのは少し予想外ではあった。

 ただし、疲れも何も知らないプルーマを相手に、MWを操縦している者達がどうにか対処出来るかどうかは微妙なところだが。

 持久戦を考えれば、こっちの方が有利だろう。

 

「あ」

 

 基地からグレイズが出て来た。

 アリアンロッド艦隊はギャラルホルンの中でも最精鋭なので、最新鋭MSのレギンレイズが優先的に配備されている筈だが、だからといってグレイズがなくなる訳ではない。

 MWと違って出撃するのが遅くなったのは……パイロットの問題か? それとも単純にMSが出撃するまでMWよりも時間が掛かるのか。

 理由はともあれ、グレイズが次から次に出撃してくるが……

 

「うわ」

 

 ハシュマルの尻尾によって、あっさりと撃破されるグレイズ。

 ナノラミネートアーマーや高硬度レアアロイとか、そういうのを無視して破壊出来るだけの威力が、ハシュマルにはある。

 それによって、最初に出て来たグレイズ10機程は、瞬く間に撃破された。

 その間にもハシュマルはプルーマを作り続けており、最初はMW隊と互角だったプルーマも、次第に数の力で押し始めていた。

 そして、当然だがいきなりMAに襲撃されたという事で、基地内は完全に混乱してるように見える。

 ……まさか、MAに襲撃されるようなことがあるとは、全く思っていなかったのだろう。

 俺がやるべき事は何もないな。

 ここで俺が手を出せば、基地を殲滅するようなことも可能だろう。

 だが、そうするとアリアンロッド艦隊に連絡をする者がいなくなる。

 アリアドネを使った通信であれば、このコロニーから戦場にもすぐに通信が出来る筈だ。

 そんな訳で、当然ながらNジャマーⅡを使ったりとかはしない。

 普通に通信が出来るようにしてある。

 おっと、追加のグレイズが出て来た。

 必死になってハシュマルにライフルを撃ち込んでいるものの、ハシュマルの装甲もナノラミネートアーマーだ。

 もっとも、ナノラミネートアーマーは何度も攻撃を受ければ塗料が剥げるから、そこを狙えばきちんとダメージは与えられるんだが。

 とはいえ、実際にはそれはそう簡単な事ではない。

 幾らアリアンロッド艦隊のMSパイロットが精鋭揃いとはいえ、暴れ回っているハシュマルを相手に全く同じ場所に攻撃を命中させるのはかなり難易度が高い。

 俺の場合はステータスで命中の数値が高いし、何よりこれまでの戦闘の経験からそういう事も出来るのだが、アリアンロッド艦隊のMSパイロットはそういう事は出来ず、必死になってライフルを撃つも、それが全てハシュマルの装甲に弾かれ……

 

「あーあ」

 

 ハシュマルの爪による一撃を回避出来なかったグレイズが、コックピット諸共に破壊される。

 すると、破壊されたグレイズの側にいた別のグレイズが、動きを止めた。

 あれ? 何でだ?

 それを疑問に思ったが、マクギリスとの戦いに置いていかれたという事は、2線級のパイロットという事なのだろう。

 そんな2線級のパイロットだからこそ経験が少なく、MSが容易く破壊された光景に動きが止まったのか?

 これはあくまでも俺の予想でしかないが、実際そう間違ってはいないと思う。

 だが、MAとしての本能を剥き出しにしたハシュマルを前に、それは絶対にやってはいけない事だ。

 それを示すかのように、ハシュマルは動きを止めたグレイズに向かって体当たりをした。

 足や尻尾による一撃ではなく、体当たり。

 かなり隙の大きな攻撃ではあるが、ハシュマルの大きさを考えると、攻撃力は十分だろう。

 それを示すように、体当たりされたグレイズは一瞬にして機体をコックピット諸共に潰される。

 近くにいた別のグレイズは、そんな仲間の様子を見て怒り狂ったかのように、ハシュマルにライフルを撃つが、次の瞬間にはハシュマルの尻尾によってあっさりとグレイズが胴体で切断される。

 そんな光景を見つつ、俺はそろそろこの襲撃の報告がラスタルに届いたかなと思うのだった。

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