転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4122話

 俺が見た光景は、一体何なのか。

 正直なところ、全く理解不明だ。

 一番大きな被害を受けているのはマクギリス派の艦隊だが、だからといって他の勢力が被害を受けていないという訳ではない。

 鉄華団、テイワズ、そしてシャドウミラー。

 それらも多かれ少なかれ被害を受けている。

 丁度ニーズヘッグから少し離れた場所を、バッタの残骸が漂っているのを見れば明らかだ。

 ……バッタが撃破されるのは、別に構わない。

 そもそもバッタはメギロートよりも性能の低い、文字通りの意味で数で敵を攻撃するための無人機なのだから。

 それこそオルフェンズ世界のMSを相手に戦えば、1対1で勝利するのは難しいだろうし、2対1、3対1、4対1……どころか、場合によっては10対1であっても負けてもおかしくはない。

 さすがに100対1くらいになれば勝てそうな気はするが。

 そんな弱いバッタだけに、撃破されてもおかしくはない。

 だが……宇宙空間を漂っている残骸は、バッタだけではなくメギロートの物もある。

 それはつまり、バッタだけではなくメギロートも撃破されたという事を意味していた。

 戦場そのものは、現在もMSが出撃して戦っているのが見える。

 つまり、まだ負けた訳ではないのだろうが……一体何があった?

 そう疑問を抱き、シャドウミラーの旗艦であるニヴルヘイムに通信を入れる。

 

「マリュー、何があった?」

『アクセル、戻ってきたのね。……簡単に言えば、嵌められたのよ』

 

 映像モニタに表示されたマリューだったが、その美貌が悔しげに歪む。

 マリューのそういう表情も俺としては魅力的に思えるのだが。……いや、今はそれどころではない。

 

「嵌められた?」

『ええ、どうやらマクギリス派の艦隊の中に、向こうと繋がりのある裏切り者がいたみたいね』

 

 そう言うマリューから、簡単に事情を聞く。

 するとバエルの件でラスタル派の艦隊は動揺があったものの、それでも普通に戦闘を続けていたらしい。

 その中、再びラスタルの派閥……特にアリアンロッド艦隊と思しき相手が動揺し、動きが鈍ったという。

 これは俺が転移でハシュマルと共に、アリアンロッド艦隊の本拠地となっているコロニーの基地に攻撃を仕掛けた件が知らされたのだろう。

 そしてラスタル派の軍勢の中心は、当然のようにギャラルホルンでも最精鋭とされているアリアンロッド艦隊だ。

 そのアリアンロッド艦隊が動揺した事によって、一時期は全体の趨勢で見てもマクギリス派の方が有利だったらしいが……そんな中、マクギリス派の軍艦の1隻が、とある攻撃をした。

 それが、禁忌の兵器ダインスレイヴ。

 ガエリオから流れされた情報と、レモンを始めとした面々が観測したところ、仕組みそのものはいわゆるレールガン。

 ただし、使われている弾頭が普通ではない。

 具体的には、MSのフレームに使われている、高硬度レアアロイが弾頭に使われているらしい。

 元々は厄祭戦の時にMA対策として用意された兵器だったらしいが、何故かそれをマクギリス派……面倒だから革命軍でいいか。その革命軍が使ったと。

 それによって、ラスタル派……こっちは……そうだな……現状維持派である以上、維持軍でいいか。とにかくその維持軍の軍艦が1隻沈んだらしい。

 ちなみにその沈んだ軍艦はアリアンロッド艦隊の軍艦ではなく、2人の事なかれ主義の擁する軍艦だったらしい。

 ともあれ、革命軍が最初にダインスレイヴを使ったという事で、維持軍……その中でもアリアンロッド艦隊が大規模にダインスレイヴを使い、それによって革命軍や俺達にも大きな被害があったらしい。

 俺達にとっては不幸中の幸いと言うべきか、放たれた大量のダインスレイヴの大半は革命軍に向かって放たれたらしい。

 まぁ、これは正直分からないでもない。

 維持軍を率いるラスタルにしてみれば、倒すべきなのは革命軍なのだから。

 もしここで革命軍を倒してしまえば、その援軍に来た俺達は戦闘をする意味をなくする。

 ……それでも戦いを続ける可能性は否定出来ないものの、大義名分を失うというのは痛い。

 それを狙っての、革命軍に対する集中攻撃なのだろう。

 勿論、それでも他にも攻撃が飛んできたりしたらしいが。

 それによって、さっき俺が見たバッタやメギロートの残骸が生み出されたのだろう。

 あるいはダインスレイヴではなく、普通の戦闘で撃破された可能性も否定は出来ないが。

 維持軍にしてみれば、バエルと本拠地の襲撃によって落ちていた士気が、ダインスレイヴを使った事によって戦況が一気に自分達が有利になり、士気も上がったらしい。

 それもちょっとやそっとではなく、まさに爆上がりという奴だ。

 マリューが言うように、明らかに革命軍が嵌められたな。

 維持軍がダインスレイヴを大々的に使ったのは、あくまでも革命軍がダインスレイヴを使ったからだ。

 革命軍が使ったダインスレイヴは1発。

 それに対して、維持軍が使ったダインスレイヴは大量。

 これを見れば、最初から維持軍がダインスレイヴを使うつもりだった事は明らかだ。

 マクギリスにとって、これは予想外だったのだろう。

 まさかここでダインスレイヴを持ち出してくるとは、と。

 そもそも禁忌の兵器として位置づけられているのが、ダインスレイヴだ。

 それを本来の目的であるMAに使うのならまだしも、人に使うとは。

 ラスタルにとっても、この戦いはそれだけ負けられない戦いだったのだろう。

 とはいえ……向こうがそうした攻撃をしてくるのなら、こちらにも対処の方法はある。

 マクギリスは、ラスタルがダインスレイヴといった兵器を使うとは思っていなかったのだろう。

 それに対処する手段はどこにもなかった筈だ。

 だが……それは、あくまでもマクギリス、革命軍の話だ。

 シャドウミラーは話が別だ。

 

「マリュー、フレイヤとS-11弾頭の使用を許可する。向こうがダインスレイヴなんてものを使ってきた以上、こちらも相応の対処をする必要があるだろう」

『……一応聞いておくけど、本気なのよね?』

「勿論本気だ。向こうが自分達で禁忌としていた兵器を使ってきたんだ。なら、こちらがそれを躊躇う理由はない。向こうから先にやってきた事だしな」

 

 体裁的には、革命軍が最初にダインスレイヴを使ったというのを理由に、維持軍もそれに対抗する意味でダインスレイヴを使ったという事になっているものの、それはあくまでも形式的なものでしかない。

 革命軍が1発だけしかダインスレイヴを使っていないのに、維持軍が……それを構成しているアリアンロッド艦隊が大規模にダインスレイヴを使ったのを思えば、その辺は明らかだろう。

 であれば、こっちが手加減をする理由はない。

 

「フレイヤとS-11ミサイルを使えるのはどれくらいいる?」

『ニブルヘイム、シロガネ、ギャンランド、ワンダーランド、後はアクセルのニーズヘッグね。……ファブニールを持ってきていれば話は別だったでしょうけど』

 

 外部武装追加ユニットのファブニールは、標準でS-11ミサイルを装備している。

 だが、残念なことに今回そのファブニールは持ってきていない。

 戦力的に必要ないという判断からだったが……こうなると、失敗したな。

 まぁ、それでもフレイヤとS-11ミサイルの威力を考えれば、今使える分だけで十分か。

 

「じゃあ、前線で戦っている味方に……革命軍も含めて、一度退避するように言ってくれ。こっちの攻撃に巻き込まれたら、洒落にならないし」

 

 フレイヤもS-11ミサイルも、双方共に効果範囲はかなり広い。

 もっとも、S-11ミサイルはフレイヤに比べるとどうしても威力が劣るが。

 

『分かったわ。……すぐに味方に報告をするから、少し待ってちょうだい』

「ああ。そしてこっちの攻撃が終わったら、向こうが動揺している隙を突いて全面的に攻撃を仕掛けるから、そのつもりでいてくれ」

 

 フレイヤとS-11ミサイル。

 これらを受ければ、それこそダインスレイヴとは比べものにならないだけの被害が向こうには与えられる筈だ。

 そして革命軍がそうだったように、動揺するだろう。

 であれば、そこで一気に攻めかかった方がいい。

 維持軍がダインスレイヴを使った時にも、一気に攻勢には出たらしいが……そこはそれ、シャドウミラーと鉄華団、テイワズがいる。

 そうである以上、革命軍をフォローする事も可能だったのだろう。

 

『ええ、分かったわ。……シャドウミラーの指揮はコーネリアという事でいいのね?』

「ああ、それで構わない」

 

 構わないというかコーネリア以外に実働班を纏められる者がいないし。

 いや、正確には纏める事は出来るだろう。

 だが、それは1+1=2となるだけでしかない。

 それに対して、コーネリアが指揮を執れば、1+1=5や、場合によっては10になったりもするのだ。

 そういう意味では、やはりコーネリアに任せた方がいいのも事実。

 

『アクセルのニーズヘッグもフレイヤを使うという事でいいのよね?』

「そうだな。今は少しでもフレイヤが多い方がいいだろうし。それに……いや、何でもない」

 

 ステータスの射撃と命中の数値から、俺の操縦するニーズヘッグの放ったフレイヤが、一番大きなダメージを維持軍に与えられるだろうという事については黙っておく。

 別に隠すつもりはないが、わざわざ言うまでもないだろうと思った為だ。

 マリューはそんな俺の様子を見て、何を言いたいのか、何となく予想出来た様子だったが、追及してくる様子はない。

 

『そうね、フレイヤは多い方がいいでしょう。……効果範囲は最大限でいいわよね?』

「そうしてくれ。敵が大きく広がっているのを思えば、効果範囲は広ければ広い方がいい」

 

 フレイヤの利点の1つとして、発射前に効果範囲を設定出来るというのがある。

 勿論、効果範囲を設定しないで撃つといった事も不可能ではないが……それでも、やはり明確に効果範囲を設定した方がいいのは間違いない。

 S-11ミサイルは、残念ながらフレイヤのように効果範囲を設定する事は出来ないのだが。

 今回のこの一撃で、維持軍にどれだけの被害が出るのか。

 それがこの戦いの趨勢に大きく関わってくるだろう。

 もっとも、戦局そのものは最終的に俺達の勝利で変わらないとは思うが。

 ラスタルにとって不運なのは、俺を……そしてシャドウミラーを明確に敵に回したことだろう。

 話の持っていき方次第では、俺がラスタルの味方になる……という事はなくても、この最終決戦には中立の立場で参戦しないという可能性も十分にあったのだから。

 実際、ラスタルが狙っていたのも、俺を味方に引き入れるのではなく、戦いに参加させないという事だったのだろうし。

 だが……夜明けの地平線団の戦いで強引に援軍として参戦してきて、しかも戯け……イオクは俺に攻撃をしてきた。

 また、ハシュマルの件でもイオクが原因だったのだ。

 もっとも、ハシュマルに関しては、最終的にルリやラピスのハッキングによって従える事が出来たので、結果オーライといった感じだが。

 ともあれ、戯けがラスタルの行動の邪魔をしたのは間違いない。

 そういう意味では、ラスタルが現在のように追い込まれた状況になっているのは、戯けがいたからこそだろう。

 その戯けを味方に引き入れたのは、ラスタルにとって大きな……致命的な損失だったのは間違いないな。

 

『アクセル、味方に連絡をしたわ。現在それぞれ戦力を一時後退させているわ。けど、それに乗じて追撃をしてくるからメギロートとバッタを出すわ』

「分かった。マリューのいいようにしてくれ」

 

 メギロートとバッタは無人機なので、幾ら破壊されても全く構わない。

 そういう意味では、本来なら量産型Wの操縦するシャドウも同様なのだが……ただ、量産型Wは製造にそれなりにコストが必要になるし、シャドウにいたっては1機辺りのコストが他の世界ではフラッグシップ機……とまではいかないが、エースが乗る専用機並に必要となる。

 そんな高コストな機体を大量に作れるのは、やはりシャドウミラーの持つ国力と、何よりキブツのお陰だろう。

 それでも……量産出来るとはいえ、破壊される可能性が高い場所に捨て駒として出すのはコスト的な意味で避けたいというマリューやコーネリア、あるいはレモンの考えなのだろう。

 どのみち、場合によっては追って来ている者達もフレイヤやS-11ミサイルによって撃破されるのだ。

 味方の攻撃によって大きなダメージを受けるのに、シャドウを入れる必要はないと考えるのは当然の話だった。

 そして……革命軍、鉄華団、テイワズ、そしてシャドウミラーの戦力が下がるのと入れ替わるように、無数のメギロートとバッタが出撃していく。

 それを見ながら、俺はニーズヘッグの持つ武器の中でもトップクラスの威力である、フレイヤの準備を進めていく。

 マリューからの一斉射撃の通信が来るの待ち……

 

『フレイヤ、S-11ミサイル、全機発射!』

 

 そしてマリューの通信を聞くと、フレイヤを発射するのだった。

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