転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4127話

 オルフェンズ世界における戦いは終わり、その後の会議も終わったところで、ひとまず解散となった。

 なったのだが……

 

「名瀬、何でタービンズだけ残ってるんだ?」

 

 そう、戦いは終わって取りあえず解散という事になったのだが、何故かタービンズだけがこの宙域に残っていた。

 テイワズ勢力という事で一緒に来た者達は、既に木星に向かって帰っているのだが。

 

『いや、ほら。親父からホワイトスターというのがどういう場所か確認してきて欲しいと言われてな。兄貴に面倒を掛けるが、テイワズとしても話は聞いていたが、やっぱり実際にホワイトスターがどういう場所か見ておく必要があるって話になったんだよ』

 

 映像モニタに表示されている名瀬は、申し訳なさそうに帽子を手に頭を下げてくる。

 本人にしてみれば、恐らく精一杯の謝罪の気持ちなのだろう。

 だが、その隣のアミダが笑みを浮かべ、やれやれといった様子を見せているだけに、どこか真剣な様子には見えていない。

 とはいえ……名瀬の言いたい事も分からないではない。

 マクギリスが異世界の存在を大々的に公表した件もあって、異世界というのが嘘だとは到底思っていないだろう。

 だが、それでもやはりテイワズとしても自分達で見ておきたいと思うのは不思議なことではなかった。

 

「分かった。連れていくのはそう難しい話じゃないしな」

 

 それに、オルガ達やマクギリス達……つまり、鉄華団とギャラルホルンもホワイトスターに連れて行った事を思えば、テイワズからもというのは、そうおかしな話じゃないしな。

 

『悪いな、兄貴。助かる。……それにしても、異世界か。一体どういう場所か楽しみだよ』

「この世界とは色々と違うから、注意した方がいいとは思うぞ」

 

 具体的に言えば、エルフを始めとした面々だろう。

 阿頼耶識に嫌悪感を示すガエリオが特に気にした様子もなかった事を考えると、恐らく……いや、多分大丈夫だとは思うが、それでも一応忠告しておいた方がいい。

 それこそ場合によっては、混乱して叫び出したりとか……そういう事になってもおかしくはないのだから。

 とはいえ、地球に住んでいた者達と違ってテイワズの本拠地は木星だ。

 阿頼耶識とかにも、そこまで嫌悪感はないだろう。

 

『問題を起こさないようにするから、よろしく頼むよ兄貴』

「そうしてくれ。連れて行ったところで問題を起こしたりすれば、それはそれで面倒なことになるし」

 

 ここでテイワズ……というか、タービンズの者達を連れて行った結果、大きな騒動になったりしたら、それはそれで面倒な事になるのは間違いない。

 まぁ、名瀬とかの性格を考えると、そういう事が起きるとは思わないが。

 

『兄貴の顔に泥を塗るようなことはしねえよ』

 

 名瀬がこのように言うという事は、取りあえず心配はないと思ってもいい。

 そんな訳で、名瀬を連れていく事にした訳だが……

 

「分かった。なら、転移を使って一気に火星まで行くぞ。タービンズも一緒に転移するから、それでいいな?」

『あー……ああ、分かった。その、お手柔らかに』

 

 別に手加減をするとか、そういうのは特にないんだがな。

 俺にしてみれば、ただシステムXNを使うだけなのだから。

 それで影響を受けるとは……いやまぁ、もしかしたらそれで何らかの影響を受けるといった可能性も否定は出来ないが。

 ただ、今までは特にそういう事はなかったし、多分大丈夫だろうとは思う。

 

「そこまで気にするような事はないと思うから、安心しろ」

 

 そうして、ニヴルヘイムを中心にして、シャドウミラー、鉄華団、テイワズの軍艦が集まってくる。

 当然ながら、軍艦の数も多いだけにそこまで接近したりは出来ない。

 つまり、システムXNを使って転移する時、転移フィールドはかなりの大きさにする必要があるという事になる。

 ニーズヘッグでシステムXNを使う上で、そこまで問題になるような事でもないのだが。

 そうして火星に行く者達が全て集まってきたところで、俺はシステムXNを起動する。

 

「システムXN、起動。転移座標入力……OK。転移フィールド生成開始」

 

 光の繭のような転移フィールドが生成され、設定した範囲内に存在する軍艦を全て包み込む。

 

「転移フィールド、生成完了。……転移」

 

 その言葉と共に、俺達の姿は一瞬にしてその場から消えるのだった。

 

 

 

 

 

「名瀬、到着したぞ。映像モニタで火星が確認出来るだろう?」

『うお……マジだ……マジか……マジだった……』

 

 いや、一体何を言ってるんだ?

 そう思ったが、それだけ名瀬にしてみれば転移というのは驚くべきものだったのだろう。

 

「いつまでもぼけっとしてるなよ。……まぁ、この状況で何かが起きるといった事はまずないだろうけど」

 

 火星からそれなりに離れている場所だが、それでも火星が見える範囲内だ。

 そんな中でもし何か……具体的には海賊に襲われるといったような事でもあれば、それこそギャラルホルンの火星支部からすぐに討伐隊が派遣されるだろう。

 何しろ、ここは火星の目と鼻の先だ。

 ギャラルホルンにとって、そのような場所で海賊が暴れるといったような事があれば、それは自分達が侮られていると思われるのだから。

 これが以前の火星支部……クーデリアが俺達に地球行きの護衛を依頼してきた時に火星支部のトップだった人物であれば、賄賂によっては見逃すといった事も考えられただろう。

 だが、現在の火星支部のトップは改革派であるマクギリスの派閥に所属している人物だ。

 それだけに、海賊が火星の側に出れば、賄賂を貰っても断るか、あるいは賄賂は貰うがそれを考慮しないで即座に討伐隊を出すか。

 どのみち、このような場所で襲ってきた海賊は最悪の結果しかない。

 

『分かっている。……それにしても、本当にシャドウミラーってのは、意味不明だな。兄貴の国だって言えば、その通りかもしれないけどよ』

 

 そんな名瀬の様子に俺は否定出来ずに頷く事しか出来ない。

 シャドウミラーという国が、色々な意味で普通ではないのは明らかなのだから。

 客観的に見た場合、それを否定する事は出来なかった。

 

『あ、ああ。悪い兄貴。……これが転移、か。こんなのを使われちゃあ、ギャラルホルンだってどうしようもないよ』

 

 しみじみと呟く名瀬の言葉を聞きながら、俺は近付いてくる火星の姿を見ているのだった。

 

 

 

 

 

「これが、MA……ハシュマル、か。凄いな」

 

 火星についた翌日、シャドウミラーの拠点の前で、間近でハシュマルを見た名瀬は唾を飲み込んでそう呟く。

 タービンズを率いる者として、そして現在はテイワズのNo.2の立場にいる者として、名瀬の度胸は相当なものだ。

 しかし、そんな名瀬にとっても間近でハシュマルを見れば、こんな声が出てしまうだろう。

 いや、声を出せるだけ立派なのかもしれないな。

 アミダは笑みを浮かべてハシュマルを見ているものの、それ以外の2人……ラフタとアジーの2人は、完全に腰が退けていたのだから。

 ちなみに、ホワイトスターに行くタービンズの面子はこの4人だけだ。

 他にも希望者はいたが、名瀬の説得――恐らく寝技的な説得も含めて――この4人になったのだ。

 なお、シャドウミラー……オルフェンズ世界支部ではなく、ホワイトスター側のシャドウミラーの面々は、既に帰還していて、オルフェンズ世界に残ってはいない。

 勿論、ニヴルヘイムとかそういうのは火星にある共同宇宙港を使って下りてきたとかではなく、システムXNや空間倉庫を使っての帰還だった。

 火星に到着してから……ラスタル率いる維持派との戦いが終わった翌日にこうして名瀬達がここにいるのは、昨日はその辺りの諸々で忙しかったという理由がある。

 ギャラルホルンの火星支部とか、多分もの凄く大変だっただろう。

 何しろ目の前――実際には火星の近く――でシステムXNを使って転移とか、そういうのを見せられたのだから。

 データ収集だけで、もの凄く大変だったのは間違いない。

 だからといって、それでどうこうといった事は言うつもりはないのだが。

 別にこっちが頼んでデータ収集とかして貰った訳ではないし。

 

「安心しろ。ハシュマルは俺の命令を聞く。それはつまり、俺が命令しない限りは攻撃したりはしないという事だ」

 

 安心させるように、名瀬達に向かってそう言う。

 MAというのは、元々人を最優先に殺すようにプログラムされている。

 ……その割にはハシュマルとの戦いの時は、ルリやラピスのような生身の者達を殺そうとせず、クジャン家のMS隊を狙っていたが。

 多分だが、あれは生身の人間よりもMSの方が脅威度が高いと判断し、まずはその脅威度が高い敵を倒すのを優先した……そんな感じなんだと思う。

 実際のところは、生憎と分からないが。

 ともあれ、その人を狙うというプログラムも今はハッキングによって書き換えられ、問題はなくなっていた。

 

「ね、ねぇ……アクセル。ハシュマル? が私達を攻撃しないっていうのは本当なの?」

 

 ラフタが不意にそんな風に聞いてくる。

 先程まではハシュマルを怖がっていたのに、自分を襲わないと分かると安心したのか、そう聞いてくる。

 

「そうだな。勿論、攻撃をしたりとか、そういう事をされた場合は反撃もするが」

 

 ハシュマルは俺の支配下にいるものの、だからといって誰かに攻撃をされても大人しくやられるとはならない。

 ただでさえハシュマルはオルフェンズ世界においては貴重なMAなのだから、何かあったら……具体的には攻撃をされた場合は反撃してもいいと許可をしている。

 もし反撃すらも禁止していた場合、ギャラルホルンの中でハシュマルを見張っている者達が即座に攻撃をしてきてもおかしくはない。

 火星支部は改革派で、マクギリスの部下に等しい。

 だが、それでも……いや、あるいはマクギリスの部下だからこそなのかもしれないが、ハシュマルの存在を危険視している。

 だからこそ、シャドウミラーの拠点から離れた場所に何かあった時に対処出来るようにMS隊を待機させているのだから。

 火星支部の面々にしてみれば、俺達がマクギリスの協力者という事もあり、ハシュマルがいても手を出せないという事で胃が痛くなるような日々だったかもしれないが……それももう少しで終わる。

 こちらの世界での用事は、ラスタル率いる維持軍との戦いで既に終わったのだから。

 ……実は、俺が知らない場所で他にもこの世界の原作の続編とか、そういうのがあった場合、またこの世界に大きく関わるかもしれないが。

 ペルソナ世界とか、まさにそんな感じだよな。

 ニュクスの一件が終わってペルソナ世界の原作が終わったかと思うと、数年後にいきなりマヨナカテレビの一件があった。

 あれだけの大きな事件、それも実際に神が出て来たのを思えば、ペルソナ世界の原作の続編……ニュクスの一件が1とするなら、さしずめペルソナ2だったりするのか?

 ともあれ、そんな感じで特に何かが起きる訳ではなければ、オルフェンズ世界については、クーデリアのアドモス商会と、鉄華団に任せる形になると思う。

 ……ただ、マクギリスは火星を独立させるつもりのようだしな。

 そうなると、火星のトップも新たに必要となるだろう。

 だとすると……クーデリアか?

 年齢的にはまだ若いものの、難点となるところはそのくらいだろう。

 革命の乙女――既に乙女ではないが――として火星全土で有名で、名前を知られている。

 能力も十分にあるし、もし足りなくてもその辺は側近のフミタンとかが補助するだろう。

 難点としては、忙しくて俺との逢瀬が少なくなる事か。

 勿論、夜になったらホワイトスターに来て、俺の家でゆっくりすればいいのだが。

 どんなに忙しくても、魔法球があるので、それで休めるし。

 

「兄貴? どうしたんだ?」

「ん? ああ。いや、悪い。実はこれからの火星の事をちょっと考えていてな。名瀬も戦後の会議に出ていたのなら分かると思うが、マクギリスは火星を独立させるつもりだ。そうなると、一体誰が火星を率いるのかと思って」

「……それで、兄貴は誰が率いると思ったんですか?」

「一番可能性が高いのは、クーデリアだろうな」

「あー……」

 

 俺の言葉に、名瀬が微妙な表情になる。

 いや。名瀬だけではなくアミダ、ラフタ、アジーも揃って。

 

「どうした?」

「あー……いや。この世界は馬鹿らしい事に女を軽視する風潮があるんだよ」

「つまり、クーデリアが火星を率いるのは難しいと?」

「スムーズに行くとは思わないな」

「けど、タントテンポの新しいトップも、聞いた話だと女だった筈だぞ?」

 

 タントテンポの中で付き合いがあるのはジャンマルコだけで、新しいタントテンポのトップとはまだ会った事はない。

 だが、少し聞いた話だと、そんな感じだった筈だ。

 

「それは特別な例って奴だと思う」

「前例があるのなら、クーデリアもそれで問題ないと思うけどな」

「……まぁ、兄貴がいるならそうかもしれないな」

 

 名瀬が若干呆れた様子で、そう言うのだった。

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