転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4129話

 名瀬達がホワイトスターに来てから暫くが経ち……

 

「では、終戦の会議については私に任せて貰えるという事で構いませんね?」

 

 エザリアがそう言い、笑みを浮かべる。

 政治班を率いるエザリアがオルフェンズ世界に行くのはどうかと思わないでもなかったが、本人がやる気である以上は、さすがに止められない。

 これで交渉の技術が足りないとか、政治班のトップが行くのは防犯上の理由から危険だといったような理由があればまだしも、エザリアは政治班を率いるだけあって非常に交渉上手だし、そのような立場である以上、実働班や技術班程ではないにしろ、生身での戦いには一定以上の技量を持つ。

 ……実働班と技術班を一緒にするのはどうかと思うが、実際技術班はエキドナやセシル、茶々丸といった面々から逃げる為に生身の強さを磨いている。

 実働班を相手にしては勝ち目はないが、その辺の国の特殊部隊程度を相手にした場合、圧倒的に有利な状況なのは間違いない。

 それはつまり、エキドナ達がそれだけ強いという事を意味しているのだが。

 

「ああ、構わない。ただ……多少は手加減をしてやってくれ」

 

 エザリアに向かってそう言う。

 例えばこれが、国力や戦力的に、そしてラスタル率いる維持軍との戦いでも戦果がそう変わらなければ、エザリアに手加減をしろとは言わないだろう。

 だが、国力、戦力、戦果。

 その全てでホワイトスターがギャラルホルンや鉄華団よりも勝っている。

 ……いや、ギャラルホルンの国力は地球やその周辺を実質的に支配していると考えれば、ある程度はあるのか?

 とはいえ、アーブラウを始めとした国があるのも事実だしな。

 ましてや、戦力や戦果となると……最終決戦において、ハシュマルでアリアンロッド艦隊の本拠地となっている基地を破壊したり、フレイヤとS-11ミサイルを使って維持軍に圧倒的なダメージを与えたりしたし。

 そう考えると、そのような状況で互角に交渉をしろというのが無理な話だろう。

 

「相手の出方次第とだけ言っておきましょう」

 

 エザリアのその言葉に、俺はマクマードと名瀬、マクギリスにご愁傷様と思うのだった。

 

「多分大丈夫だとは思うけど、一応護衛として量産型Wを連れていけ。何かあっても、量産型Wがいればある程度は何とかなるだろうし」

 

 そんな俺の言葉に、エザリアは頷くのだった。

 

 

 

 

 

「さて」

 

 俺は見覚えのある景色を眺める。

 

「アクセル、どうした?」

「いや、何でもない。随分と久しぶりに来たと思ってな」

「アクセルにしてみれば4年ぶりだっけ? それじゃあしょうがないわね」

 

 美鶴の言葉に答えると、次にゆかりがそう言ってくる。

 そう、現在俺がいるのはペルソナ世界。

 それも東京とかではなく、八十稲羽……正確には稲羽市だ。

 つまり、俺がオルフェンズ世界に行く前にいた場所。

 いや、正確にはこの伊耶那美大神から追放されて世界の外側に飛ばされたところを、ダンバイン世界のジャコバ・アオンの力によってオルフェンズ世界に飛ばされたというのが正しいのか。

 オルフェンズ世界でゲートを設置する事が出来てホワイトスターに戻ってくる事が出来たのだが、稲羽市の面々にはまだ直接挨拶はしていなかった。

 いや、勿論狛治を経由して俺が無事だという情報は美鶴から伝えて貰っていたのだが、それでもオルフェンズ世界の方の騒動が一段落した以上、一度直接顔を見せて挨拶をしておいた方がいいと判断したのだ。

 そんな訳で、俺はどうせペルソナ世界ならという事で、美鶴とゆかりの2人と一緒にまた小旅行をしに来た訳だ。

 幸いなことに、以前も泊まった雪子の家の旅館、天城屋旅館に空いてる部屋はあったので、そこを予約して。

 

「そう言えば、シャドウワーカーで大広間を占領していたよな」

「旅館の人達には迷惑を掛けたと思う」

「でも、貸し切りって事で、結構な料金を支払っていたんですよね? なら、旅館的には喜んで貰えるんじゃ?」

「どうだろうな。それで喜んでくれたのなら、私もそこまで気にしなくてもいいのだが」

 

 ゆかりと美鶴のやり取りに、そう言えばそうか……と思う。

 

「あのマヨナカテレビの一件で、色々と変わった事もあるだろうしな」

「そう言えば、堂島さんが再婚するらしいわよ」

「相手は……やっぱり?」

 

 ゆかりの言葉に、マヨナカテレビの事件で堂島に惚れていた小西の事を思い出す。

 警察署で足立によってTVの中に入れられようとしていたのを、丁度警察にいた俺がそれを察知して止めたのだが、そこに堂島もやって来て、TVの中に入れられそうになっていた小西を助けたのだ。

 その時のやり取りで、何がどうなったのか……いや、命を救われたのだからそう思うのは不思議ではないかもしれないが、とにかく小西は堂島に惚れて、その後は散々アタックしていた。

 堂島の娘の菜々子とも仲良くなったりしてたし。

 まさに、外堀から埋めていく感じで。

 本人にその気はなかったようだが。

 ともあれ、ゆかりからの話を聞く限りだと、最終的にはゴールインとなったらしい。

 堂島、人から羨まれるだろうし、幸せなのは間違いないが、微妙に肩身が狭そうだよな。

 ただ、警察官と事件の被害者はそれなりにくっつく可能性があるという話を誰かから聞いた覚えがあるし、そう考えれば不思議じゃないのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺は美鶴の運転する車で天城屋旅館に向かう。

 

「気のせいか、以前よりも人通りが増えてるような感じがするな」

 

 街中を走る車の中から周囲の様子を見ていたが、その景色に思わずそう呟く。

 実際、窓から見る限りだと通行人が結構いるように思える。

 例えばこれが、ジュネスの近くとかでなら話は別だ。

 田舎に出来たデパートという事で、以前も結構賑わっていたし。

 ……そういえば、屋上のフードコートで売っていたホットドッグの店、まだあるんだろうか。

 あのホットドッグは高かったけど美味かった。

 シャドウミラーや鉄華団の者達にも食べさせた事があったが、かなり人気だったし。

 

「ああ、それは桐条グループが稲羽市に投資をしているからだろう。桐条グループで検討したところ、まだ十分に発展する要素があると判断した。それに……マヨナカテレビの一件もあっただろう? そうである以上、またこの地で何かが起きる可能性は十分にある。その時、すぐに対処出来るようにしておきたいというのもある。……拠点の問題も込みでな」

 

 美鶴の言葉に、なるほどと頷く。

 さっきも少し話題になったが、マヨナカテレビの一件では拠点として天城屋旅館の大広間を借りて、そこをシャドウワーカーの拠点として使っていた。

 それ以外にも部屋を幾つも借りたりはしていたが、捜査本部は大広間だったのだ。

 美鶴としては、半ば苦渋の選択だったのは間違いない。

 だが、それによって不自由した者がいたのも事実だし、大広間が使えない事で不満を抱いていた者もいた。

 だからこそ、次にここで何かあった時、そういう風にならないように桐条グループの……いや、シャドウワーカーの拠点を作りたいと考えても、おかしくはない。

 必ずしもここで何かが起きるとは限らないのだが、それでも……という事だなのだろう。

 

「シャドウの件を抜きにしても、ゆっくりとするには悪くない場所だしな」

 

 田舎ではあるが、そういう場所でゆっくりしたいと思う者も多いだろう。

 また、近くに山や川があるというのもポイントだ。

 自然を楽しむという意味では、かなり当たりの場所だろう。

 

「そのようなつもりもある。避暑地……というのは少し違うか、桐条グループの療養所も作る予定になっているからな」

 

 そう言い、笑みを浮かべる美鶴。

 この様子を見ると、美鶴本人もその療養所を楽しみにいてるのだろう。

 どこに作るのかは分からないが、完成したら俺も楽しませて貰う事にしよう。

 そんな風に会話をしながら車で進み……やがて、天城屋旅館の駐車場に到着する。

 

「さて、今夜はマヨナカテレビの一件に関わった者達が集まってくるが、それまでは暇だろう。宿にチェックインしたら、少し街中を見て回ったらどうだ?」

「そうだな。……美鶴とゆかりはどうする?」

「私は少し用事がある。先程も言ったが、桐条グループの方で稲羽市に色々と手を出しているのでな。その辺りについて少し顔を出しておきたい」

「分かった。仕事なら仕方がないな。……ゆかりは?」

「うーん、そうね。1人でいてもどうかと思うし、私もアクセルと一緒に見て回ろうかしら」

 

 それぞれやるべき事が決まると、早速天城屋旅館にチェックインする。

 この旅館の女将は雪子の母親で、老舗旅館だけあって、俺達の事をしっかりと覚えていた。

 いやまぁ、大広間を貸し切っていたのだから、覚えているのは当然かもしれないが。

 天城屋旅館が幾ら歴史ある老舗旅館とはいえ、それでも長期間……何ヶ月も連続で大広間を貸し切るということは、初めての経験だろうし。

 ……なお、美鶴が今回はそのような事をするつもりはないと言っていたのだが、それを聞いた女将はかなり安堵した様子を見せていた。

 儲けという点では悪くないのかもしれないが、旅館としてはその件で色々と思うところがあってもおかしくはない。

 とにかくチェックインも終わり……俺達は約束の時間までそれぞれ別行動をする事になるのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、アクセル。そう言えば……知ってる? アクセルに懐いていたっていう、あの子。りせちーだけど、芸能界に復帰したみたいよ」

「そうなのか? まぁ、元々トップアイドルだったんだし、本人にやる気があればすぐにでもまた芸能界でやっていけるんじゃないか?」

 

 商店街を歩きながら、ゆかりがそう言ってくる。

 その話題が出たのは、丁度りせの実家の豆腐屋の近くを通ったからだろう。

 以前……りせがアイドルを止めるまでは、そこまで流行ってはいなかった。

 久慈川豆腐店がりせの親戚の家だとネットで情報が広がると、一時的にせよかなり流行った。

 その後は客の数も少なくなっていったが、それでも以前よりは客の数が多かった筈だ。

 こうして見た今も、何人か客はいるように思える。

 りせが芸能界に復帰した以上、もう久慈川豆腐店に来てもりせに会えるという事はまずないんだが……それでも万が一の可能性を考えて客が増えたのかもしれないな。

 もしくは、久慈川豆腐店の豆腐は昔ながらの手法で豆腐を作っている。

 スーパーとかで売っている安い豆腐の中には、化学薬品とかを使って作っている豆腐もあるらしいが、そういう豆腐とは違う。

 勿論、そういう化学薬品を使って作っている豆腐も、健康に悪影響を与える訳ではないので、食べても問題はないのだが……やはり、昔ながらの豆腐の方が美味いと思う者は多いのだろう。

 そのような者達が久慈川豆腐店に豆腐を求めてやって来ている可能性も十分にあった。

 

「そうね。それに桐条グループの芸能事務所に移籍してるから、その点も大きいんでしょうね」

「……そうなのか? じゃあ、シェリルの後輩か」

 

 色々な世界で歌手デビューしているシェリルだが、このペルソナ世界では桐条グループ系列の芸能事務所に所属している。

 桐条グループにしてみれば、幾つもの世界でトップシンガーとして有名になっているシェリルが所属してくれるのだから、無理をしてでも芸能関係に手を出すのはおかしくない。

 そして実際、シェリルはこのペルソナ世界においてもトップシンガーとしての地位を確立してるのだから。

 

「そう聞くと、彼女はかなり大変そうね」

「だろうな」

 

 りせは、日本ではトップアイドルとして有名だった。

 だが、それはあくまでも日本の中でしかない。

 ……いやまぁ、海外でもりせを、りせちーを知っている者はいるかもしれないが、その数はどうしても限られるだろう。

 そんな中で、りせちーがシェリルの後輩として再デビューするのだから、そのプレッシャーは相当なものの筈だ。

 トップアイドルだったりせが、シェリルの後輩という目で見られるのだ。

 アイドルをする事によって自分という存在を見失いかけていたりせにしてみれば、普通よりもかなり強いプレッシャーなのは間違いなかった。

 

「ただ……それでもりせがまたアイドルとしてやっていくと決めたのなら、シェリルと同じ事務所でも構わない。いや、それどころか必死に食らいついていくだろう」

 

 個人的にはアイドルとシンガー、歌手の違いはそこまでしっかりとは分かっていない。

 ただ、何となくアイドルは歌以外にもバラエティ番組に出るのに対し、歌手というのは歌を専門にしているという認識だ。

 とはいえ、歌手であっても普通にバラエティ番組に出ていたりするが。

 だとすると……ドラマに出るかどうかとか?

 ただ、ドラマに出るのは俳優だろうし。

 あるいは、歌、バラエティ、ドラマ……そんな色々なのに出るのがアイドルなのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺はゆかりと一緒に商店街デートを楽しむのだった。

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