転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4134話

 ペルソナ世界での宴会……いや、俺が無事だったというのをきちんと皆に見せる為の会とでも言えばいいのか?

 ともあれ、その後……俺の姿は再びオルフェンズ世界にあった。

 

「では、この書類にサインをお願いします」

 

 サヴァランがそう言い、俺に書類を渡してくる。

 テーブルの向かいでは、メリビットがオルガに書類を渡していた。

 それをざっと流し読みをする。

 書類の中身はもうしっかりと把握しているし、サヴァランが前もって書類をしっかりと読み込んでいる。

 その為、お互いの書類に何かおかしなところがないというのは、双方理解していた。

 ……これで、例えば敵対している、あるいはそこまでいかなくても友好的な関係ではない組織との契約であれば、サヴァランに任せずしっかりと書類を確認し、何か穴がないか、こっちに不利な事が書かれていないかといったように調べるだろう。

 だが、鉄華団が相手なら、そこまで警戒しなくてもいい。

 それでもしっかりとサヴァランが確認するのは、ビジネス上の礼儀に近い。

 そんな訳で、サインをして書類を……契約書を交換する。

 契約の内容は、シャドウミラーのオルフェンズ世界支部を鉄華団に吸収するというものだ。

 ただし、何かあった時の為に俺には相応の権限を残すという結果になったが。

 もっとも、その辺については俺も心配していない。

 オルガが鉄華団を率いる限り、俺を裏切るような行為はしないだろう。

 

「シャドウミラーの名前を汚さないように、頑張らせて貰います」

 

 オルガが俺に向かって深々と頭を下げてくる。

 オルガにしてみれば、受け継いだ……吸収したシャドウミラーをしっかりと使いこなす必要があると、そう思っているのだろう。

 俺としては、別にそこまでオルガの行動を心配したりはしていないんだが。

 オルガの義理堅さを考えれば、問題ないだろう。

 

「ああ、任せた。……これから火星は大きく成長していくだろう。そうなると、火星にちょっかいを出してくるような者達もいるだろう。その時は、鉄華団が火星を守る必要がある」

「それは……火星全てを守るってのは、幾らシャドウミラーを吸収したとはいえ、うちだけじゃ無理ですよ」

「だろうな。勿論、本当に全てを鉄華団だけでやれとは言わない。ただ、ギャラルホルン……マクギリスは、火星から手を引くという話だった。そうなると、火星が1つに纏まる必要が出てくる。もしそれが出来ないようなら、それこそ食い物にされるだけだろうし」

 

 ホワイトスターを経由しての、異世界間貿易。

 それによって、火星には大きな利益が生み出されるのは間違いない。

 だが……そうして利益が生み出されるとなると、それを求めて多くの者が集まってくる。

 そして集まってくる者の中には、質の悪い者達もいるだろう。

 シーラ風に言うのなら、悪しきオーラ力の持ち主、ガロウ・ランといったところか。

 そんな訳で、火星は自衛の必要が出てくる。

 ギャラルホルンがいれば相応の抑止力にはなるんだろうが、そのギャラルホルンが近いうちに火星から手を引くしな。

 

「つまり?」

「火星を1つの国として考えて、軍事組織を作ればいい。その場合、鉄華団はその中でも中心的な存在になる筈だ」

 

 何しろ、原作の主人公の三日月がいる組織だ。

 しかもその鉄華団がシャドウミラーを吸収したのだから、更に戦力も上がっている。

 そして……これは今更、本当に今更の話なのだが、プルーマと一緒に見つかったガンダム・フレーム……ガンダム・フラウロスがこっちにくるらしい。

 このフラウロスは一応所有権はシャドウミラー……というか、俺にある。

 この辺は今回の契約で明確になっている。

 ただし、フラウロスは鉄華団で使用するというのを条件にしてるが。

 というか、最後の戦いが終わってから修復が完了するってのは……どうなんだ?

 いやまぁ、ジャスレイの件であったり、異世界間貿易であったり、最終決戦に参加したりと、テイワズが忙しかったのだから、仕方がないのかもしれないが。

 最終決戦に間に合わなかったというのなら、最後のはちょっと違うか。

 

「……頑張りたいとは思います」

「何かあったら、こっちもすぐに力を貸すから、安心しろ。このオルフェンズ世界は俺にとっても思い出深い場所だしな」

 

 何だかんだと4年近くもいたのだ。

 また、マーベルやシーラと再会出来た場所でもある。

 だからこそ、俺としてはこのオルフェンズ世界に思い入れのようなものがあるのは当然の事だった。

 

「ありがとうございます。兄貴の手を煩わせないように、出来る限りやってみます」

 

 そうオルガが言い、これで無事にオルフェンズ世界の諸々は終わったのだった。

 ……もっとも、実際にはまだ色々と決めるべき事とかもあったりするのだが、その辺については俺が直接出るのではなく、政治班が頑張る事なので、俺には関係ない。

 いや、関係ないというのはちょっと違うか?

 ただ、それでも俺が何かをやるという訳でもない以上、そんなに間違ってはいないと思うが。

 

「ああ、頼む」

 

 そう言い、俺は部屋を出てクリュセに向かったのだが……

 

「うわぁ……」

 

 アドモス商会の前には、数十人……いや、100人を超える者達が集まっていた。

 何を目的にした者達なのかは、考えるまでもないだろう。

 異世界間貿易を求めて来た者達だ。

 今まで、このオルフェンズ世界では一切なかった異世界との接触。

 それを考えれば、少しでも早く自分も異世界間貿易に参加して、その利益が欲しい。

 そのように思ってもおかしくはない。

 それが目の前の光景だった。

 ……そう考えると、この人数もかなり少ないのかもしれないな。

 これは正面から入るのは無理なので、影のゲートを使って建物の中に入る。

 

「ふざけるな! てめえ……俺が誰なのか、分かってるのか!?」

 

 影のゲートから出た瞬間、そんな怒声が聞こえてきた。

 何だ? と思って声のした方に視線を向けると、強面の男がアドモス商会の職員に向かって怒鳴りつけていた。

 だが、その職員は強面の男に怒鳴られているにも関わらず、全く驚いた様子もなく口を開く。

 

「申し訳ありませんが、誰が相手であろうと条件は一緒です。アドモス商会を通さずに異世界間貿易は出来ません」

「てめえっ!」

 

 強面の男は、自分の脅しが通じないことに苛立ちを覚えたのだろう。

 拳を振り上げ……

 

「ぎゃっ!」

 

 その瞬間、何かが飛んできて男に命中する。

 そして床に倒れた男は、身体を震わせ始めた。

 周囲で見ている者達は一体何があったのか理解出来ない様子だったが……そこに量産型Wが姿を現し、男を軽く持ち上げるとその場から立ち去る。

 一体何が起きたのか、あの場所にいた者達……特に異世界間貿易をやる為に集まってきた者達は、理解出来ないだろう。

 あれは、量産型Wが使える魔術、ガンドだ。

 凛が使えば、そのガンドは下手な銃弾よりも高い威力を持つので、物理的な――魔力を使ってだが――兵器として利用出来る。

 だが、本来ガンドというのはそういうものではない。

 簡単に言えば、相手を病気にするといった魔術なのだ。

 魔術を使える量産型Wだが、使える魔術はガンドだけだ。

 また、その威力も凛のように物理的な破壊力を持つガンドではなく、ガンド本来の能力……相手を病気にするといった効果のガンドだ。

 とはいえ、そういうガンドがこの場には相応しいのだろう。

 凛の使える威力のガンドが放たれれば、相手は大怪我をする。

 ここがアドモス商会の中でなければそれでも構わないのだが、ここでは不味い。

 それこそ異世界間貿易に参加しても問題ない相手、優秀な会社が、手を引いてしまう可能性があったのだから。

 そんな訳で、量産型Wの行動はこれ以上ない程に正しかったのは間違いない。

 そして……量産型Wによって運ばれていく男の姿に、建物の中にいた者達が見るからに大人しくなる。

 ここで自分も騒げば、先程の男と同じ目に遭うと理解したのだろう。

 

「では、次の方どうぞ」

 

 量産型Wの行動と、周囲の様子について全く気にせず、アドモス商会の職員が言う。

 職員が動揺していないという事は、多分だが今までにも同じような事が何度かあったんだろうな。

 それで量産型Wの行動にも慣れてしまったと。

 ただ、受付をしている何人もの職員達とのやり取りが進むと、当然ながら人が入れ替わる。

 そうなると、ガンドによって倒された者達について知らない者達だけとなり、それによってまた新たに強引にでも自分達に有利な契約を結ぼうとしたり、あるいは異世界間貿易の窓口は自分達にしろと言ってくるような者がいるのだろう。

 後で差し入れでもするか。

 そう思いながら、アドモス商会の社長室に向かう。

 

「うわ……」

 

 社長室に到着した俺が見たのは、書類の山、山、山。

 データでやり取りをしたりする事も多いのだが、それでもやはり書類は多く使われている。

 そんな書類の山が、現在俺の目の前に広がっていたのだ。

 

「あ……その、アクセル、よく来てくれました。けど、残念ですが見ての通り、今はちょっと……」

 

 書類の山の隙間から、クーデリアが顔を出してそう言ってくる。

 そんな書類の山に挑んでいるのは、当然ながらクーデリアだけではない。

 フミタンやククビータといった、クーデリアの秘書の2人もいる。

 勿論、このような書類の山が出来ているのはここだけではないだろう。

 少し見た感じでは、会社の多くで従業員達が忙しく働いていた。

 もしかしたら、アドモス商会に訪れている者達の相手をしている……さっき俺が見た者達の方が、こうして会社の中で働いている者達よりも忙しくないのかもしれないな。

 もっとも、強面の相手をしたり、賄賂を渡してきたり、それ以外にも様々な方法で自分達に有利なようにしようとする者達とやり取りをする必要がある以上、中で働いている者とはまた別の忙しさがあるのかもしれないが。

 

「どうやらそうらしいな。……一応、人は多く雇ったとか言ってなかったか?」

「どうやら予想していたよりも、異世界の存在が強烈だったようです。これで十分……とは思っていなかったのですが、それを考えた上でも予想よりも大分少なかったのは間違いないようです」

 

 クーデリアの言いたい事も分からないではない。

 異世界との貿易などという、オルフェンズ世界において初めての事態なのだ。

 そうである以上、どのくらい忙しくなるかというのを完全に予想出来る者はそうはいないだろう。

 

「そうか。仕方がないな。少しクーデリアと話したかったんだが」

「ごめんなさい」

「おや、クーデリアが謝る必要はないだろ。ここまで忙しくなるというのは予想外だったんだから。……仕方がないから、俺は帰るよ。仕事が一段落したら、また教えてくれ」

「分かりました。……暫くそちらに泊まりには行けそうにないですが……」

「それは仕方がない。その辺についても、忙しくなくなってからの話だ」

 

 アドモス商会の仕事が忙しい以上、ホワイトスターに泊まりに来るというのは無理がある。

 もっとも、ホワイトスターなら魔法球があるので、本当に疲れた時は外の1時間で48時間休める。

 そういう意味では、ホワイトスターに来た方がゆっくりと出来るんだが。

 クーデリアがそう判断したのなら、俺からは別に何も言うような事はないが。

 

「仕事、頑張れよ」

 

 そう言い、俺はその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 さて、アドモス商会でも特に何もやる事がないとなると……どうするか。

 オルフェンズ世界でやるべき事は、もう殆ど……

 

「いや、そう言えばお前がいたな」

 

 ハシュマルを見て、そう言う。

 シャドウミラーオルフェンズ世界支部は鉄華団に吸収される事になったが、当然ながらハシュマルは俺の所有物という扱いになっているので、ホワイトスターに持っていく必要がある。

 ギャラルホルンの火星支部のMS部隊が未だに離れた場所で待機しているのは、それだけハシュマルの危険さを承知しているからだろう。

 最終決戦時に、アリアンロッド艦隊の本拠地である基地をハシュマルで奇襲したというのも、この場合は入っているのかもしれないが。

 戦いが終わり、その後の調査でハシュマルが暴れた一件でどれだけの被害が出たのか調べて、それによってより脅威度が高くなったという可能性もある。

 その辺についての不安を晴らしてやるか。

 本来ならハシュマルを連れていくのにはきちんと前もって連絡をしておく必要があるのだが、その辺は事後報告でいいだろう。

 

「ハシュマル、ホワイトスターに行くからついてきてくれ」

 

 そう指示を出すと、ハシュマルが動き出す。

 そんなハシュマルを引き連れながら、俺はゲートに向かう。

 ゲートを使った転移はともかく、ホワイトスターに行ってからの移動となると……やっぱり、影のゲートを使って移動するしかないだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はゲートを守っている量産型Wに向かってゲートを起動するように指示を出すのだった。

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