転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4142話

 オルフェンズ世界での火星連合の件については、順調に話が進んでいるらしい。

 クーデリアは最初自分が代表になるのは断ろうとしたらしいのだが、革命の乙女として名高いクーデリア以上に代表に相応しい人物はいなかった。

 中には自分が代表になりたいと、クーデリアはまだ若いから経験不足だろうと主張した者もいたのだが、その人物の背後は真っ黒で、それが暴露されてしまった。

 それが理由となって、他にも立候補する者はいたが、皆がそれを取りやめた。

 ……露骨だよな。

 もっとも、クーデリアの後ろ盾にはシャドウミラーや鉄華団、それに武器商人のノブリスもいる。

 このノブリス、ラスタルからの要望を蹴って俺達に知らせたという事でそれが認められ、かなりの影響力を持つようになっている。

 現在の資産も、既に以前……俺達やテイワズを騙して落とし前を付けられた時と同等、あるいはそれ以上のものになっているらしいし。

 何気にこれは凄い事だよな。

 俺達と敵対したのに、それでもこうして復活しているのだから。

 ともあれ、そんな訳でクーデリアに対抗しようとする者もおらず、今となっては既にクーデリアが火星連合の代表になるのは既に既定路線らしい。

 

「ちょっと、アクセル。折角案内したのに、話を聞いてないの!?」

 

 火星連合やクーデリアについて考え事をしていると、不意にそんな声を掛けられて我に返る。

 

「ん? ああ、悪い。……とはいえ、MSが作られているところを見てもな。俺はあくまでもパイロットであって、メカニックとかじゃないんだから」

 

 そう言いつつも、MS……ゼフィランサスを見る。

 もっとも、そのゼフィランサスはまだ作られている最中で、それこそガンダム系のMSかどうかというのも、今のままでは理解出来ない。

 

「これを見て、素晴らしいと思わないの?」

「……いやまぁ、独特な迫力があるのは否定しないけど」

 

 完成したMSを見る事は多いが、こうして製造途中のMSというのはあまり見る機会はない。

 格納庫とかで装甲を外して整備をしたり、部品を交換したりとかしているのは見る機会も多いが、MSを作っているのとはやっぱり違う。

 

「でしょう? これで私のガンダムが出来るのよ!」

「いや、だから連邦軍のガンダム開発計画だろう? もしくはルナ・ジオンに譲渡する為の」

 

 そう言うも、ニナは全く話を聞いていない。

 

「ごめんさい、アクセル中尉。ニナのこういうところは、その……慣れてとしか」

 

 ニナの様子に呆れ、次に申し訳なさそうな様子でポーラが俺に向かってそう言ってくる。

 

「まぁ、ニナのMSオタクについては以前から知っていたしな」

「……ふん」

 

 俺の言葉が面白くなかったのか、ニナは不満そうな様子でゼフィランサスに視線を向ける。

 

「とにかく、ゼフィランサスが完成するまでは、もう俺にはやるべき事がないしな。あってもシミュレータくらいか」

 

 既にパワード・ジムは地球に移送されている。

 オーストラリアのトリントン基地で使われているらしい。

 ……オーストラリアか。

 1年戦争中、ヴィッシュを助ける為にオーストラリアに向かったな。

 後は、奇跡の子供達の一件か。

 

「そのシミュレータが大きな意味を持つのは分かるでしょう?」

 

 俺の呟きにそう関してくるニナだったが、俺が最初にフィフス・ルナに来た時は、シミュレータでは本当の実力が分からないと言って、実機を使った模擬戦をやらせた人物だとは思えないな。

 実機の模擬戦で実力を見せつけたお陰で、ニナも俺の腕を疑うという事はもうなくなったのだが。

 

「そうだな。俺もそれは否定しないよ。……ちなみに話は変わるけど、ゼフィランサスを開発するのに連邦軍のMSデータを使ったのは分かったが、ジオン軍やルナ・ジオン軍のMSのデータは使わなかったのか?」

 

 これは、以前から気になっていた事だ。

 勿論、ガンダム開発計画……つまりガンダムを作る以上、連邦系MSのデータが重要なのは分かる。

 だが、ジオン系やルナ・ジオン系のMSも、参考になるのではないか。

 そう思うのは、きっと俺だけではないだろう。

 

「ジオン系やルナ・ジオン系? 勿論参考にはしてるわよ。ただ、それが表に出にくい場所なだけで。ただし、参考にしてるのはジオン系のMSだけだけど」

「ルナ・ジオン系は?」

「……あのね、いい? 連邦軍にとって、ジオン軍は1年戦争の時には敵だったのよ。その為にMSを鹵獲したり、金を払って横流しして貰ったりは出来たわ。けど、ルナ・ジオンは連邦軍の友軍という扱いだったでしょう?」

「まぁ、それは否定しない」

 

 実際にはダイクン派の国である以上、連邦軍の友軍という訳ではない。

 ただし、ジオン軍が色々とやらからしたりしたので、結果として連邦軍の味方といった感じになったのも事実だ。

 ……ただし、強硬派とか、あるいは裏で何かを企んでいた連中は、色々と動いてはいたみたいだが。

 結果として、ルナ・ジオン軍で使っていたMSが何機か連邦軍に渡っていてもおかしくはないと思う。

 とはいえ、ルナ・ジオン軍で使われていたMSは、1年戦争の時はヅダと高機動型ギャンがメインだった。

 どちらもルナ・ジオン軍が運用したMSではあるが、開発とかはジオン軍にいた時にされていたものとなる。

 勿論そのままという訳ではなく、ジオン軍では採用されなかったギャンを強化したり、ヅダも速度に耐えられる強度にした上で、装備の換装によって色々な特性を得られるようにした。

 そういう意味では、完全にジオン軍系という訳ではなく、ルナ・ジオン系と呼んでも間違いではないかもしれない。

 だが、現在の主力であるガルバルディβやギャン・クリーガー、またMSではないがMSの運用艦となるナスカ級とかはルナ・ジオン系と言ってもいいだろう。

 

「だから、ガンダムに見えるようにする必要があって、外装の面では連邦系の影響が大きいのよ。ただ、宇宙用と地上用を換装する事で使い分けるというのは、ヅダの影響を受けていると言ってもいいかもしれないわね」

 

 そう言うニナだったが、それはちょっと厳しいような気がする。

 装備の換装という意味では、例えば俺が乗っていたガンダム7号機とかでも採用されていたんだし。

 まぁ、その辺で突っ込んでも、妙な騒動にならないとも限らない。

 

「取りあえず、ゼフィランサスの組み立てが始まったのは嬉しい限りだが……サイサリスの方はどうなんだ?」

 

 試作3号機のステイメンはラビアンローズで開発されているので、現在具体的にどこまで進んでいるのかは分からない。

 だが、このフィフス・ルナで開発されている、もう1つのガンダム開発計画関連の機体である、試作2号機……サイサリスがどうなっているのかは、気になるところだった。

 

「見て来る? テストパイロットのアクセルなら、見に行っても問題ないと思うわよ?」

 

 あっさりとそう言ってくるニナ。

 一応、ニナもサイサリスの開発には関わっている筈だが、ゼフィランサスに比べると、どうしてもこう……そこまで熱がないというか、とにかくそんな感じだ。

 勿論、ゼフィランサスの場合はニナが全面的に協力している……それも半ば趣味でやっている一面があるから、かなりのめり込んでいるのは事実なのだろうが。

 MSオタクの面目躍如だな。

 

「そうだな。見てもいいのなら見てみたい」

「分かったわ。じゃあ……ニック、ちょっといい?」

 

 ニナが通りすがりにメカニックの男にそう声を掛ける。

 その男はこっちを見ると、一瞬、本当に一瞬だけ眉を顰めるが、それでもすぐに笑みを浮かべて近付いて来た。

 

 ……まぁ、無理もないか。

 自分で言うのもなんだが、俺は決してアナハイムのメカニック達に好かれている訳ではないのだから。

 勿論、全員が嫌っているのではなく、友好的に接してくる相手もいる。

 あるいは今の10代半ばの外見で侮っていたが、シミュレータや実機の模擬戦、あるいはパワード・ジムの操縦で実力を認めて友好的に接してきてくれる相手もいる。

 だが、それでも決して俺を嫌っている……あるいはそこまでいかなくても、あまり好ましく思っていない者がいるのも事実。

 ニックと呼ばれた男は、どうやらそちら側らしい。

 ニナはそんなニックの様子に気が付いてはいないようだったが。

 

「ポーラ、あのニックってのは優秀な人物なのか?」

「ええ。ガンダム開発計画に関わっている時点で、それは分かるでしょう?」

 

 ニナと話しているニックの様子に、ポーラはそう答えてくる。

 どうやらポーラもさっきのニックの様子には気が付いていなかったらしい。

 そしてニックの実力についても信用していると。

 それは実際、そこまでおかしな事ではない。

 アナハイムにしてみれば、連邦軍から……コーウェンからの依頼であるガンダム開発計画というのは、絶対に失敗させる事が出来ない仕事だろう。

 もしガンダム開発計画が無事に成功すれば、恐らくアナハイムはMS関連の事業で連邦軍と深く関わる事になる筈だ。

 アナハイムもそれを狙っているからこそ、月ではなくフィフス・ルナに支社を用意したのだろうし。

 フィフス・ルナに色々な企業が集まっているとはいえ、アナハイムのように大々的に支社を作るとなると、当然ながらかなりの資金が必要となる。

 連邦軍としても、ガンダム開発計画の一件もあってアナハイムに受けて欲しいので、ある程度優遇したりとかはしてるだろうが。

 そんな場所で働き、実際にこうしてガンダム開発計画にも関わっているのだから、あのニックというメカニックが優秀なのは間違いない。

 ……別に俺を見て眉を顰めたからといって、それだけで使えない人材だとは言うつもりもないが。

 ただ……いや、気のせいか。

 

「アクセル中尉? どうしたの?」

「ん? ああ、いや。何でもない。あのニックとかいうメカニックは初めて見たような気がしたからな」

「初めてって……彼は以前からフィフス・ルナにいたわよ?」

「そうか? なら、単純に俺が会う機会がなかったってだけなのかもしれないな」

 

 あるいは単純に俺の目に入っていなかっただけなのかもしれないが。

 そう考えていると、ニックとの話が終わったのか、ニナがこっちに視線を向けてくる。

 

「アクセル、彼がサイサリスの開発をしている場所まで案内してくれるから、一緒に行ってくれる?」

「分かった。……よろしくな」

「ああ、よろしくアクセル中尉。俺はニック・オービルだ。……まぁ、アクセル中尉なら知ってるかもしれないけど」

 

 いや、知らない。

 そう言おうかと思ったが、そう言えばニックにとっても面白くないだろうと思ったので、止めておく。

 

「それで、サイサリスの開発してる場所まで案内してくれるんだよな?」

「勿論だ、アクセル中尉はガンダム開発計画のテストパイロットなんだし。俺も最近はあっちで仕事をする機会が多いから、案内役としては悪くないと思う」

 

 あれ?

 このニックって男、さっき間違いなく……本当に一瞬だったけど、眉を顰めたよな?

 その割には、何だかこう……うん。こうして普通にやり取りをしてるのは、少し不思議に思う。

 まぁ、俺を嫌っているくらいなら、別にいいか。

 それを表情に出さないようにしてるというのも、今の状況を思えば問題はないんだろうし。

 

「じゃあ、頼む」

 

 そうして俺はニックと共にサイサリスの開発を行っている場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ゼフィランサスよりも進んでるな」

 

 その格納庫に入って俺が口にしたのは、そういう言葉だった。

 実際、目の前にあるサイサリスは、明らかにゼフィランサスよりも開発スピードが早い。

 

「まぁ、こればっかりは年季の違いってのもあるんだろうな」

 

 何故か微妙に得意な様子で言うニック。

 この様子からして、ニックはゼフィランサスよりもサイサリスの方を好ましく思っているらしい。

 スマートな外見をしているゼフィランサスと違い、こっちのサイサリスは今の時点でもゴツいしな。

 言ってみれば……ゼフィランサスは速度を重視した戦いをする戦士なのに対し、サイサリスは重装甲の鎧を身に纏った騎士といった感じか。

 とはいえ、それは仕方がない一面もあるのだろう。

 何しろ、このサイサリスは核弾頭を運用する為のMSだ。

 核爆発から機体を、そしてパイロットを守る為には、重装甲にする必要があるのだろう。

 ……ただ、少し疑問がない訳ではない。

 同じ核兵器の運用を前提としたザク……いわゆる、ザクⅡのC型がある。

 そのC型から核兵器の運用に必要な要素を取り除き、調整したのがF型だ。

 だが、C型とF型には外観上の違いは殆どない。

 つまりC型はそこまで重装甲であったりはしないのだ。

 だというのに、同じ核兵器運用を前提としたサイサリスは、何故こうも重装甲になったのか。

 それを不思議に思ってしまうのは、決して俺の気のせいというだけではない筈だ。

 もっとも、ザクはあくまでも量産型のMSなのに対し、サイサリスはガンダム開発計画の1機。つまり一品物なのだと思えば、納得するしかないのだが。

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