転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4146話

「え? マジでか?」

 

 ニナに向かって、思わずそう尋ねる。

 それだけニナの口から出たのは俺にとって驚く……いや、驚くというのとは少し違うな。

 とにかく、歓迎すべき事だったのだから。

 

「ええ、所長から連絡があったわ。ビームサーベル兼ビームガンは腕に装備する事が出来るように設計し直したそうよ。勿論、腕の外側に装備する機関砲についてもそのままという形で」

「それはつまり、どちらも同時に使えるようになったという認識でいいのか?」

 

 実際のところ、ビームサーベル兼ビームガンと機関砲をどちらも試作4号機に……いや、正確には試作4号機をベースに開発しているMSに装備させるのは難しいものではなかった。

 だが、この場合問題だったのは装備位置によって両方の武器を同時に使う事が出来ないというもの。

 腕の外側に機関砲、内側にビームサーベル兼ビームガンを装備しているとなると、MSのマニピュレータに命中する可能性があったのだ。

 マニピュレータ部分を一直線に伸ばせば、恐らくマニピュレータに命中したりはしなかっただろうが、それでも何があるか分からない以上はそもそも命中しないように設計しておいた方がいい。

 そう思い、クレナに要望していたんだが……まさか、こうも早くやってくれるとは思わなかった。

 

「感謝しなさいよ。所長だって他にも色々と仕事がある中で、こうして設計変更をしてくれたんだから」

「分かってるよ。……それにしても、どうやって俺の要望を叶えたんだ?」

 

 俺からの要望は、腕に装備した双方の武器が干渉しないようにして欲しいというものだった。

 設計変更するしかないというのは間違っていないが、具体的にどういう風にしたのかは気になるところだった。

 だが、そんな俺の疑問にニナはあっさりと答える。

 

「簡単な事よ。腕の装甲を当初の予定よりも厚くしたの。これによって、防御力が増したし、機関砲の装弾数が増えるという副次効果もあったわ。……もっとも、その為に腕の動きが当初の設計よりも少し遅くなってしまったらしいけど」

「……そうか」

 

 ニナの説明に、俺はそう答える。

 装甲が厚くなった分、腕の動きが鈍くなるというのはそうおかしな事ではない。

 いや、寧ろ当然の流れですらあるだろう。

 俺の要望を叶える為にはそうするしかなかったと言われれば、俺としてもそれを受け入れる必要があった。

 まぁ、MSの戦闘というのは射撃と格闘では射撃の割合の方が圧倒的に多い。

 そう考えれば、ビームサーベルを振るう動きが少し遅くなったとしても、そう難しい問題ではない筈だ。

 近接戦闘になったらなったで、それに対応すればいいだけなのだが。

 腕を振るう速度が少し遅くなるとはいえ、それが致命的なまでに遅いという訳でもないだろう。

 であれば、敵の攻撃にタイミングを合わせて、ビームサーベルを振るうといったようにすればいい。

 それに腕にある隠し武器……隠し武器なのか? まだどういう形状なのかは分からないが、アレックスのように隠し武器となっているのなら、無理に近接戦闘をする必要もない訳で。

 敵が近付いて来たら、そこで機関砲やビームガンを撃つという選択肢もそこにはある訳だ。

 

「取りあえず、クレナには感謝していると伝えておいてくれ」

「分かったわ。……実際、所長でないとここまで素早く設計変更をするのは難しかったんだし、他にも仕事のある所長の手を煩わせたんだから、感謝しないなんて言ったら、私が許さなかったでしょうね」

 

 ニナの言葉に、だろうなと頷く。

 クレナが俺に対して報酬として渡す、試作4号機をベースとしたMS。

 その開発については、当然ながら極秘裏に行う必要がある。

 連邦軍が資金を出して開発を要請したガンダム開発計画。

 その途中でコンセプトの問題からゼフィランサスと比較した結果排除されたとはいえ、それでも試作4号機を途中まで開発するのにはガンダム開発計画の資金を使っているのだろうし、それ以外にも連邦軍が所有するMSのデータを参考にされていたりするのも間違いない。

 そうである以上、アナハイムがそれらを使って作る試作4号機……正確にはそれをベースにして作るMSだが、それをルナ・ジオンに渡すといった事を、連邦軍が知れば絶対に許可する筈もない。

 それでもアナハイムがそういう手段に出たのは、優れたテスパイロットを欲した……というのもあるが、それ以上にルナ・ジオンに対してのゴマすりだろう。

 賄賂……というのは少し違うかもしれないが。

 月に本社のあるアナハイムにしてみれば、ルナ・ジオンとの関係を悪化させる訳にはいかないのは勿論、可能な限り友好関係を結ぶ必要がある。

 その為に、アナハイムとはMSを開発したらそのデータと実機をルナ・ジオンに……実際にはその上にいるシャドウミラーに引き渡すようにという契約を結んでいる。

 勿論これは一方的に搾取をするという訳ではなく、その代価としてシャドウミラーがキブツで生みだした資源を安値で引き渡すという事にもなっているのだが。

 ともあれ、アナハイム的にはそんな諸々の事情もあって、ルナ・ジオンと敵対するという選択肢はない。

 それでも色々とシャドウミラーには表沙汰に出来ないこともあり、こうしてフィフス・ルナに新たな工場を作っているのだが。

 

「ともあれ、ビームガンについてはそれでいいとして……他に何かあるか?」

「ええ、以前ガンダム開発計画のコードネームを教えたでしょう?」

「ゼフィランサス、サイサリス、デンドロビウムだろう?」

「ええ。それで試作4号機にも当然ながらコードネームはあったのよ。コードネームはガーベラ。キク科のハナグルマという花の事で、花言葉は神秘」

「……なるほどとは思うが、それを聞いてどうしろと?」

 

 いやまぁ、試作4号機の名称がガーベラだと知ることが出来たのは大きい。

 大きいが、言ってみればそれだけでしかないのも事実。

 それを聞いて、俺に一体どうしろと?

 

「話は最後まで聞きなさい。それで試作4号機をベースにしたMSの名称も決定したわ。ガーベラ・テトラよ」

「ガーベラ・テトラ? ……ガーベラってのは試作4号機をそのまま持ってきたんだろうが、テトラってのはどういう意味なんだ?」

「ギリシャ語で4という意味よ」

「それはまた……随分と皮肉っているな」

 

 試作4号機の通称がガーベラで、その試作4号機をベースに開発したMSの名称がガーベラ・テトラ……開発のベースとなったガーベラに、ギリシャ文字で4か。

 どこからどう考えても、皮肉っているようにしか思えない。

 ただ……

 

「皮肉ってるのはともかく、それはそれで大丈夫なのか?」

「何がかしら?」

「連邦軍、特にコーウェンに対してだよ。ガンダム開発計画について知っていれば、途中で破棄された試作4号機について知っていてもおかしくはない。そうなると、ガーベラというのも知ってる可能性が高い訳で、そんな中ガーベラ・テトラというMSが現れたら……怪しいと思わないか?」

「思うかもしれないけど、ガーベラ・テトラの外見からすると、試作4号機は想像出来ないでしょうね。ガンダム系の外見ではなく、曲面を多用したジオン系の外見になるし。それに第2研究事業部がその辺も担当しているらしいから、いわゆる……こう、偽物っぽい感じにはならないと思うわよ」

 

 第2研究事業部というのは、サイサリスを開発しているところだな。

 元ジオン公国の兵器メーカーからアナハイムが引き抜いた者達の集まりだ。

 そういう意味では、ニナが言うように曲面を多用したMSの外見だとしても、偽物っぽくは思えないだろう。

 こういうのは、やっぱり本職じゃないと微妙に偽物っぽく見えるんだよな。

 勿論、全員が全員そういう風に思う訳ではないのだが、それでも偽物っぽく見えるのも事実。

 

「なら、いいけど。そうなると、名称が偶然似ているだけ……それで通ると思うか?」

「さぁ? 私に聞かれても、残念だけどそれは分からないわね。勿論上手く行く可能性もあるから、その辺については何ともいえないけど」

 

 いや、ガンダム開発計画の関係者として、それはどうなんだ?

 そうも思ったが、改めて考えてみるとガーベラ・テトラはガンダム開発計画の機体ではないんだよな。

 あくまでも試作4号機をベースに作ったMSである以上、全く関係がないとは言えないが。

 

「ガーベラ・テトラ、か。……まぁ、悪くない名前なのは間違いないか。後は実機が完成するのを待つだけだな。それが具体的にいつになるのかは分からないけど」

「その辺については、待っていて欲しいとしか言えないわね。……それでも他の機体よりも極端に遅くなるという事はないと思うわ」

 

 ニナの言葉に、だろうなと頷く。

 アナハイムにしてみれば、出来るだけ早く報酬のMSは渡した方がいいだろうし。

 もしこれで実はガーベラ・テトラをルナ・ジオンに譲渡しないなんて事になれば、その時はその時でアナハイムに大きな被害が出るのは間違いない。

 

「出来るだけ早くガーベラ・テトラが譲渡されるように願っているよ」

 

 そう言う俺の言葉に、ニナは真剣な表情で頷く。

 アナハイム所属のニナだけに、アナハイムがルナ・ジオンと敵対した時にどうなるのか、容易に想像出来ているのだろう。

 そうして俺は暫くニナとガーベラ・テトラについての話を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 ガンダム開発計画は、時間が経つに連れて次第に完成に近付いていく。

 0083の8月になると、ゼフィランサスも既に8割程は完成していた。

 ちなみに、その間にオルフェンズ世界の火星連合の代表についてはクーデリアがなる事に決定している。

 既にギャラルホルンも火星からは撤退を完了しており、火星は完全に独立した形となる。

 もっとも、ギャラルホルンがいなくなったからといって、火星が寂れているかと言えば、そうではない。

 寧ろ異世界間貿易が行われるようになり、地球からも多くの者達が火星にやって来るようになり、かなり賑わっていた。

 正直なところ、本当にそれでいいのか? と思ったのだが、ギャラルホルンにしてみれば火星に戦力を残す余裕がない以上、仕方がない事なのだろう。

 また、現在ギャラルホルンを率いている3人のうち、主導権を持っているマクギリスが、シャドウミラーと敵対したいとは思っていないのも、この場合は大きい。

 そんな訳で、オルフェンズ世界では政治的に大きく動きはしたものの、それによって火星に被害を与えるという事は今のところ起きていない。

 正確には未遂はあったのだが、それを暴いた結果、それを企んだ会社……ドルトカンパニーとの異世界間貿易は行われない事になった。

 ドルトカンパニーにしてみれば、大打撃という言葉ですら生易しい、そんな状態なのは間違いない。

 とはいえ、自業自得である以上はそれに対してどうこうと言おうとは思わないが。

 そんなオルフェンズ世界での騒動も大分治まってきており、それによってクーデリアも毎日ではないにしろ、数日に一度はホワイトスターにある俺の家に泊まりに来られるようになった。

 ちなみにクーデリアが来れば当然のようにフミタンも来るのだが、何がどうなったのか、家でメイドのような事をしている。

 とはいえ、元々うちには家事が得意な者もいるので、そこまで急がしくはないが。

 寧ろ、ルリやラピスの世話というか、相手をしてくれるのが俺としては嬉しい。

 そんな訳で、今は特に問題らしい問題は……UC世界だと、ジオン軍の残党が活発になっているくらいか。

 連邦軍や……ジオン共和国軍も、ジオン軍残党の動きに何かを感じているのか、あるいは察知しているのだろう。

 色々と動いてはいるようだったが、今のところ実際に何かが起きたという訳ではない。

 いやまぁ、こっちとしてはそれはそれで楽だからいいんだが……何も見つけられないというのは、どうかと思う。

 もしくはそこまで尻尾を出さないジオン軍残党を褒めるべきか。

 そんな中、ルナ・ジオンは特に忙しくするでもなく、我が世の春を楽しんでいた。

 月とサイド3の間にあるデブリ帯には結局ジオン軍残党や海賊の拠点となるような場所はないとはっきりとし、それによって現在月のジャンク屋の多くがデブリ帯まで移動し、岩塊やMSや戦闘機、軍艦の残骸とかを入手しては、シャドウミラーに持ち込んで金を稼いでいた。

 デブリ帯1つでこうも好景気になるのなら、もっと早くやっておけばよかったと思う。

 まぁ、こういう風になるとは思っていなかったのだろうから、それは仕方がないのだろうが。

 ともあれ、UC世界の地球圏に不穏な空気が流れる中……

 

『アクセル、いい? そのコアファイターⅡはまだ1機しかないんだから、注意して飛ばしてね』

 

 ニナの通信に俺は頷く。

 

「もう何度も聞いてるよ。……さて、それじゃあ行くか。まずは適当にフィフス・ルナの周辺を飛べばいいんだな?」

『適当にじゃなくて、コースに従ってよ』

「そうだったな。……アクセル・アルマー、コアファイターⅡ、出る!」

 

 その言葉と共に、俺はコアファイターⅡで出撃するのだった。

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