転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4149話

「ジャクリーヌ・シモン軍曹です」

 

 ニナがMPの誤解を解き、MPが立ち去った後、まずは自己紹介ということで、青髪のショートカットの女がそう言い、敬礼をしてくる。

 

「アクセル・アルマー中尉だ。ガンダム開発計画のテストパイロットとしてルナ・ジオンから派遣されている。……まぁ、階級は違うが、そもそも俺は連邦軍の軍人でもないんだし、公の場ではともかく、普通の時はそこまで杓子定規にならなくてもいいぞ」

 

 シモンに向かい、そう言う。

 もしこれで俺が本当の意味での軍人であれば、所属する軍は違っても階級は絶対……とまではいかないが、大きな意味を持つと認識していたかもしれない。

 ただ、今の俺はルナ・ジオン軍の名前を借りてるだけだしな。

 ……いやまぁ、士官学校を卒業して、シャドウミラーという特殊部隊に所属したりしたのを思えば、一応俺もしっかりとした軍人ではあるんだが。

 ただ、その後の諸々で一体どれだけの時間がすぎたのかを考えると、今の俺は既に軍人だった時よりも、軍人ではなくなった時間の方が長いんだよな。

 

「そう……ですか。分かりました。では、アクセル中尉、よろしくお願いします」

 

 杓子定規のままじゃないか?

 そう思ったが、シモンの様子を見ると別に俺をからかっているようには見えない。

 シモンにしてみれば、これで本当に気楽に接しているつもりなのだろう。

 生真面目な委員長タイプだとすれば、それも仕方がないか。

 

「それで、ニナ。シモンを呼んできたのはアルビオン関係か?」

「ええ。シモン軍曹はアルビオンのブリッジクルーなの。だから、アルビオンの案内をして貰おうと思って。本当はシナプス艦長に紹介をしたかったんだけど、現在会議中という事で」

 

 ニナのその説明で、戻ってくるのが遅くなった……つまり、俺がMPに怪しまれた理由も納得出来た。

 

「そうか。なら、アルビオンを案内して貰おう。……ちなみに、アルビオンの方はどのくらいの完成度なんだ?」

「え? ああ、アルビオンは既に完成しています。テスト飛行も何度か動かして、艦に特に何も問題ないのは確認ずみです。今はクルーが慣れる為に訓練をしている最中ですね」

「それはまた……ガンダム開発計画のMSよりも、その運用母艦の方が先に出来たのか」

 

 シモンの言葉にニナを見ると、そこには不満そうな様子のニナがいた。

 

「あのね、一応言わせて貰うと……アルビオンはペガサス級ということで、参考になるのはあったのよ。それに対して、ガンダム開発計画で作られているガンダムは、試作何号機と示されているように、あくまでも試作機なの」

 

 ニナの言葉は、納得出来るような出来ないような……そんな微妙な感じだ。

 いや、言ってる意味は分かる。

 それにアルビオンがペガサス級7番艦という事であれば、俺が乗ったホワイトベースを含めて6隻は参考になる艦があるという事を意味している。

 とはいえ、それはガンダム開発計画についても同様だろう。

 例えばゼフィランサスはアムロの乗っていたRX-78-2の後継機という扱いだし、サイサリスは核兵器運用MSという意味でザクⅡC型のを参考に出来る。デンドロビウムは、ジオン軍のMAや、重装フルアーマーガンダム7号機が参考になる。

 そう考えれば、そう違いはないように思えるのだが……いや、その辺について俺がどうこう考えても意味はないか。

 参考になるというのは、あくまでも俺がそう思っているだけの話で、専門知識を持っている者達が俺と同じように思えるかどうかは微妙なところなのだから。

 

「今はそういう事にしておくよ。それより、アルビオンを案内してくれるんだろう? なら、頼む」

「むぅ」

 

 俺の言葉が不満だったのか、ニナはらしくもなく頬を膨らませる。

 その頬を指で突いてみたいと思ったのだが、それをやると、それはそれでニナが怒りそうなので止めておき、シモンに案内をされてアルビオンに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ペガサス級か。……なるほど」

 

 アルビオンの中を見て回りながら、そう呟く。

 俺が乗っていたホワイトベースと比べても、同型艦だと言われれば納得出来る様子ではあった。

 もっとも、ホワイトベースは良くも悪くも民間人が多かったので、緩い雰囲気があったが。

 ……実際には、サイド7を脱出した後でジオン軍との戦いの連続だったので、緩いと言える程に緩いものではなかったのだが。

 ただ、それでも軍人だけのアルビオンと比べると雰囲気が違うのは明らかだ。

 もっとも、今はまだアルビオンはこうしてドックの中にいるので、クルーも基本的にはフィフス・ルナにある自分達の部屋で寝泊まりをしているのだと思うが。

 これがフィフス・ルナから出撃して、アルビオンの内部で寝泊まりするようになれば、また少し雰囲気も違ってくるのかもしれないが。

 

「どう?」

 

 アルビオンの通路を歩きながらニナがそう聞いてくるが……

 

「どう、と言われてもな。こうして少し見ただけで何か分かったりとか、そういうことはないな。それこそ実際に乗ってみれば、色々と分かるような事もあるかもしれないが」

「なら、アクセル中尉に関係しそうな場所……格納庫に行ってみますか? 勿論、まだMSは搬入されてませんが、メカニックの方々はいますよ」

「いいのか? 軍艦の……それも格納庫なんて、重要機密の1つだろうに」

 

 MSをどのように運用するのか、どういう風に待機させておくのか。

 メカニックの技量は。

 それ以外にも様々な理由から、格納庫の中というのは非常に重要な意味を持つ。

 そんな格納庫に俺を案内するというシモンにそう尋ねるが、シモンは問題ないと頷く。

 

「はい。シナプス艦長から許可は貰ってますので」

 

 どうやら問題はないらしい。

 艦長……シナプスだったか。そのシナプスは聞いた話だと何らかの会議に出ているらしいが、俺を格納庫に案内してもいいという許可は貰っているらしい。

 当然か。

 艦長の許可もなく、部外者――ガンダム開発計画のテストパイロットだが――をアルビオンの中に入れる訳にもいかないだろうし。

 シナプスは自分で案内する事は会議で出来ないが、シモンが案内をする許可は出したのだろう。

 そして許可をした中には、格納庫についても入っていたと。

 

「分かった。なら、頼む」

「シモン軍曹、モーラもいるかしら?」

「ええ、いますよ」

「そう、よかった。アクセルの事を紹介しておきたかったから。……アクセル、覚悟するのね」

 

 そう言い、意味ありげな視線を向けてくるニナ。

 何だ?

 今の話の流れからすると、そのモーラという人物がニナの様子に何か関係しているようだが……

 まぁ、その辺については実際に行ってみれば分かるか。

 そんな訳で、俺はニナとシモンと共に格納庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「あんたが、アクセルかい。……こんな身体で、よくあんな操縦が出来るね」

 

 格納庫で俺達を待っていたのは、大柄な女だった。

 豪快……もしくは姐御肌か?

 どこかシーマに通じるところがあるような、ないような。

 まぁ、姐御といった存在として考えても、この大柄な女がシーマに匹敵するとは思えなかったが。

 何しろシーマの姐御肌というのは、本人の資質や性格もあるが、1年戦争中に捨て駒として使い続けられたのがそういう風になった原因でもある。

 そういう意味ではこのモーラという女はそこまで姐御的な存在になっていないので、幸運な一面があるのも事実なのだろう。

 

「アクセル、この人がモーラ……モーラ・バシット中尉よ」

 

 どうやらこの女がニナが俺に会わせたかった人物らしい。

 姐御だという意味ではシーマと同じだが、美人という表現が相応しいシーマとは違い、モーラは愛嬌のある顔立ちはしているものの、決して整っているという訳でもない。

 もっとも、この辺の感覚は人それぞれだろうから、これがいいと思う者も相応にいてもおかしくはないだろうが。

 

「操縦ってことは、俺が計測したパワード・ジムのデータでも見ていたのか?」

 

 基本的にパワード・ジムの整備や新型パーツの取り付け、俺の操縦で取ったデータの扱いといったものは、ガンダム開発計画に関わっているアナハイムのメカニック達が行っていた。

 そういう意味ではモーラが関わる要素はあまりなかったのだが……ただ、アルビオンのメカニックとなれば、出港した時にはモーラ達がゼフィランサスやサイサリスの整備や修理を行う筈だ。

 その辺の事情を考えれば、パワード・ジムのデータとかについて知っていても、おかしくはない。

 

「ああ、そうだよ。……正直なところ、あんなデータを取るってんだから、あたしよりも大きな奴じゃないかと思ってたんだけどね」

 

 Gに耐えるという意味では、一般的に考えると筋肉で身体を……血管を締め付けて対策をする。

 そういう意味では、モーラの言葉も決して間違ってはいないのだろう。

 だが、生憎と俺はそもそも物理法則を無視出来る……魔法生物とも呼ぶべき、混沌精霊だ。

 そうである以上、GについてはMSにどんなに激しい動きをさせても問題はない。

 もっとも、別に混沌精霊じゃなくても魔力や気を使った身体強化があれば、Gはどうにか出来るのだが。

 それが無理なら、マクロス世界のISCでどうにかするとか。

 ……どちらもこのUC世界においてはどうしようもないけど。

 

「こういう外見でがっかりしたか?」

「いや、そうでもないね。寧ろこんな身体で一体どうやったらあんなデータを出せるのか、興味津々だよ」

 

 それは喜んでいいのかどうか……微妙なところだ。

 ともあれ、シモンと違ってこうして気楽に接してくれるのは俺としても助かる。

 俺と同じ中尉という階級だからこそなのかもしれないが。

 

「そうか。とはいえ、どうやっているのかと言われても、あまり教えられるような事はないけどな」

 

 連邦軍のMSパイロットにしてみれば、完全ではないにしろGを無視出来るというのは大きな意味を持つだろう。

 それが出来るようになれば、一足飛びにエースパイロットになれる……とまではいかないものの、いざという時に生き残れる可能性はかなり高くなるのだから。

 MSのパイロットの常識があれば、後ろから追われている中でGを無視してその場で即座に反転とか、そういうのは想像も出来ないだろう。

 そういう意味では、パイロットの生存に強く影響してくるのは間違いない。

 ……とはいえ、ルナ・ジオン軍の中でもそういうのが出来る奴は殆どいないしな。

 中には体質的に高い耐G能力を持っている奴とかもいるし、そういう連中は出来るかもしれないが……絶対数が少ないのはどうしようもない。

 そういうのなら、寧ろパイロットスーツの方でどうにかした方がいいだろうとすら思う。

 ……そうなるとそうなったで、コックピットの中で動きにくかったりするのかもしれないけど。

 

「そうなのかい? それは残念だね」

「思ったよりもあっさりと諦めるんだな」

 

 モーラの様子から、表面だけで諦めている……という訳ではないのは、明らかだ。

 勿論、実際には表情に出していないだけで、こっちから何かを引き出そうと狙っている……そんな可能性は否定出来ないが。

 ただ、俺はその手の事を読むのが苦手ではない。

 今まで多くの者達に会ってきたというのもあるが、それ以外に念動力とかも働いているのだろうし、他には混沌精霊としての力とか、そういうのもあるのかもしれない。

 ともあれ、本心を隠してるような奴とか、そういうのは把握しやすいのは事実。

 

「ここで無理をして話を聞こうとしても、意味はないでしょうしね」

「そういうタイプなら、俺としても付き合いやすいから助かる」

 

 そうして一通りの挨拶が終わると、このアルビオンについての話となる。

 

「ペガサス級だけあって、性能が高いのは間違いないよな。……いっそ、連邦軍でもアルビオンを……いや、アルビオンとまではいかないが、ペガサス級を量産したらいいんじゃないか?」

「あっはっは。そうだね。あたしもそう思うよ。ただ……」

 

 最初は豪快に笑ったモーラだったが、すぐに残念そうな表情を浮かべる。

 

「アクセルも知ってるだろうけど、現在行われている連邦軍再編計画では大艦巨砲主義の人達が多くてね。アルビオンとはまた違う軍艦も開発はされたんだけど、それはMSの運用能力がない、純粋な軍艦なんだよ」

 

 ああ、これについては誰かから聞いたな。

 俺にしてみれば、とてもではないが信じられないというのが正直なところだが。

 現在のこのUC世界において、MSの運用を考えない純粋な軍艦というのは一体どんな役に立つのかと、そう思ってしまう。

 いやまぁ、それでも最新鋭の軍艦である以上は全く役に立たないって訳ではないのだろう。

 だが……そう、それでもやはり、とてもではないが今の時代に合っている軍艦だとは到底思えないのも事実。

 連邦軍は1年戦争でもMSの運用性について疑問視する者が多かった。

 それこそ1週間戦争やルウム戦役が終わった後でも、だ。

 連邦軍の軍人の質の低さに、思わず呆れるのだった。

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