転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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前話のラスト、少し変えました。
キマイラ隊の扱いについてです。
気になる方は最後だけでもいいので読み直して下さい。


4167話

 シナプスとの話を終えると、俺は艦長室の前で待機していたノリスと共に艦内を歩いていた。

 俺とノリスもこのアルビオンに乗るという事で、そうなると当然ながら部屋を貰える。

 そうして貰った部屋に向かっていたのだが……その途中、騒がしい声が聞こえてくる。

 面倒事か?

 そう思ったが、わざわざ遠回りしようとは思わないし、何よりこれからアルビオンでニムバスの奪ったサイサリスを追撃するという事を考えれば、仲間同士で争っているのはどうかと思う。

 とはいえ、実際問題パイロットの中にモンシアがいると分かれば……あ。

 そこまで考えて、何となく聞こえてくる騒動の理由を想像出来た気がする。

 ノリスを引き連れて声のした方に向かうと……予想通り、そこにはモンシアの姿があった。

 モンシア以外に、ベイトとアデルの姿もある。

 そんな面々がここで何をしているのかと言えば、予想通りそこにはコウの姿があった。

 ゼフィランサスを操縦し、機体は損傷を受けたものの、それでも生きて帰ってきたコウは、モンシアにとって決して好ましい相手ではない。

 そしてモンシアの性格を考えれば、ここでコウに絡まないという選択肢はなかったのだろう。

 少し意外だったのは、コウの側には眼鏡を掛けた男……バニングから少し聞いた話から想像すると、恐らくはあれがコウの同僚であるキースなのだろう。

 そのキースと、これまた意外なことにニナの姿もそこにはあった。

 

「てめえの実力を見せてみろ! てめえなんぞにガンダムは勿体ねえんだよ!」

「……何をしろと仰るんですか?」

「模擬戦だよ、模擬戦。ジオンの騎士を相手に戦ったその実力を俺に見せてみろよ。そうしたら納得してやらあ」

「でも、ガンダムは現在修理中です」

「そのくらい、どうにかしやがれ! それとも何か? お偉いガンダムのパイロット様は、何もかも万全な状態じゃなきゃ、どうにも出来ねえってのか?」

「モンシア中尉! 無茶を言わないで下さい!」

「ニナさん、ニナさんには、本当のMSパイロットの実力を見せたいんですよ。こんな士官学校出たての少尉様なんか、実戦では役に立ちません。今度ジオン軍残党と戦ったら、本当に撃破されてしまうかもしれませんぜ?」

 

 ニナがモンシアを止めようとするが、それに対してモンシアは言い返す。

 この辺は、1年戦争以来のベテラン、それも不死身の第4小隊という異名を持つからこそ、コウにゼフィランサスを奪われたのが我慢出来ないのだろう。

 ……あるいは何気にモンシアはバニングに懐いているので、一連の騒動でバニングが足を骨折するという大怪我をしたのも、気に食わないのかもしれない。

 とはいえ、だからといってこのままにしておくと、モンシアの口車に乗った――この表現が正しいのかどうかは分からないが――コウが、まだ修理中のゼフィランサスを持ち出すという可能性は十分にあった。

 仕方がない。やっぱりここで介入した方がいいか。

 

「その辺にしておけ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、モンシアの表情が固まる。

 過去の色々……具体的には裸踊りのモンシア事件によって、モンシアは俺に逆らう事は出来ないしな。

 

「アクセル……聞いてたのか。っていうか、いつの間にここに来たんだよ!」

 

 そう言い、驚きながら俺を見るモンシア。

 別に俺は気配を消したとか、そういう事をしていた訳ではない。

 普通に、本当に普通に通路を歩いて来ただけだ。

 

「アクセル!」

「ふんっ!」

 

 俺を見たニナが助かったといった様子で声を上げると、モンシアが不愉快そうに鼻を鳴らす。

 俺には逆らえないものの、自分が狙っている……言い寄っているニナが俺と付き合っているのが面白くないんだろう。

 実際にはモンシアの扱いに苦慮したニナとモーラによって、そういう風に見せているというだけなのだが。

 つまり、偽装結婚ならぬ偽装恋人といった感じで。

 ……もしかして、ゼフィランサスの件でモンシアがウラキに絡んだのは、その辺の理由もあったりするのかもしれないな。

 それだけに、このままにしておく訳にはいかないのも事実。

 

「モンシア、俺の言葉が聞けないのか? そうなると、また裸踊りでもして貰う事になるが?」

「裸踊り……? コウ、何の事か分かるか?」

「いや、分からない」

 

 俺の言葉にキースとウラキがそんな会話をしてるのが聞こえてくる。

 どうやら裸踊りのモンシアという異名……恥という異名で、恥名とでも呼べばいいのか?

 とにかく、その件については何も知らないらしい。

 

「まぁまぁ、アクセル。その辺にしておいてくれよ。俺達がどんなに頑張って不死身の第4小隊って呼ばれるようになったのかは、アクセルも分かってるだろう?」

 

 ベイトが取りなすように言ってくるが……

 

「それなら、俺が乗るアルビオンで妙な問題を起こさないで欲しいんだがな」

 

 ベイトはモンシア程ではないが、色々と問題を起こす。

 それでいながら、この3人組の中ではリーダー格だったりするんだよな。

 どうせなら、この2人の外付け良心と呼ぶべきアデルがリーダーだと、俺にとってはやりやすいんだが。

 

「アクセルが何を言っても、俺はこいつを認める事は出来ねえからな!」

 

 へぇ……この状況でもモンシアが俺に逆らうというのは、少し意外だったな。

 何でそこまでウラキを敵視するのか。

 やっぱりゼフィランサスに乗ったというのが面白くないのか?

 

「アクセル、どうにかならない?」

 

 こっちに近付いて来たニナが、俺に向かってそう言ってくる。

 ……モンシアの視線が向けられていると、ニナも気が付いている為だろう。

 そう言いながら、ニナは俺の手を握ってくる。

 それもただ手を握るのではなく、いわゆる恋人繋ぎと呼ばれるような繋ぎ方だ。

 ちょっとやりすぎじゃ?

 そう思わないでもなかったが、それだけ今のニナにとってモンシアは好ましくないのだろう。

 女というのは、男の視線には敏感だと言われている。

 それが実際正しいのは、それこそ20人以上恋人がいる俺にしてみれば、ある意味で当然のことではある。

 つまりニナも、モンシアの視線が自分の胸や腰、足といった部分に向けられているのは気が付いているのだろう。

 ……いやまぁ、俺が見てもモンシアは舐めるような視線をニナに向けているのだから、ニナが気が付いていない筈ないだろうが。

 だからこそ、ニナはモンシアを諦めさせるようにこうして俺との関係を見せつけているのだろうが、それはある意味で逆効果だ。

 モンシアのウラキを睨み付ける視線がより一層強くなり、ベイトはそんな様子を面白そうに、そしてアデルは困った様子で見ている。

 少し意外だったのは、何故かキースまでもが俺とニナの様子を見てショックを受けた様子を見せていた事だろう。

 もしかして、キースもまたニナを口説こうと思っていたとか?

 今更ながらに気が付いたんだが、ガンダム開発計画の原作における主人公がコウだとしたら、もしかしてヒロインはニナだったりしないか?

 でもって、モンシア達は……原作キャラなのかどうか。

 1年戦争の時に俺と接触したが、実は1年戦争の原作ではなく、このガンダム開発計画の原作で出てくる人物だったのかもしれないな。

 とはいえ、コウの様子を見る限りだとモンシアやキースと違って、ニナに好意を……男女間の好意を持ってるようには思えない。

 MSオタクだけに、メカニックとしての好意は持ってそうだが。

 

「ねぇ、アクセルってば」

 

 ニナが俺の様子に不満そうに言う。

 そんなニナを見て、今の状況を思い出す。

 

「実機で模擬戦をやるのは、ゼフィランサスの修理状況を見ても駄目だな」

「アクセル!」

 

 俺の言葉に納得出来ないといった様子でモンシアが叫ぶ。

 それを気にせず、言葉を続ける。

 

「つまり、実機じゃなければいいんだ。ならシミュレータを使えばいい。……ニナ、シミュレータにゼフィランサスのデータを入力出来るか?」

「え? ええ、まぁ……やろうと思えば出来るけど」

「なら頼む。……これでどうだ?」

 

 ニナに頼んでからモンシアとウラキを見る。

 

「ふんっ、シミュレータで何が分かるってんだよ」

「バニングに話を通した方がいいか?」

「ああああああ、くそっ! 分かった! 分かったよ! シミュレータでやってやらぁっ! おい、ウラキだったな! おら、来い!」

「あ、ちょっ、中尉!?」

 

 ウラキはまだ俺の言葉に頷いた訳ではなかったのだが、それでもモンシアに引っ張られていく。

 

「ちょっ、おい、コウぅ……」

 

 そしてキースは情けない声を出しながら、モンシアとウラキを追う。

 うーん……これ……いやまぁ、この件について俺がどうこう言うのはどうかと思うから、言わないが。

 

「シミュレータか。まぁ、多分モンシアが勝つだろうけど……」

「そうですか? MSの性能差は大きいですよ?」

「へぇ、じゃあ……賭けるか?」

「そうですね。……アクセルはどうします?」

 

 ベイトとアデルが会話をしながら、アデルがそう俺に聞いてくる。

 

「そうだな。じゃあ俺はウラキの勝利に賭けるか」

「……本気か? アクセルも、モンシアの野郎の腕を知らない訳じゃないだろ?」

 

 ベイトが信じられないといった様子で聞いてくる。

 実際、もし俺が原作云々について何も知らなければ、モンシア曰く士官学校出たての新米少尉に賭けるという事はしないだろう。

 それこそモンシアは1年戦争から戦ってきた歴戦のパイロットだけに、そんな中でどちらに賭ければいいのかというのは考えるまでもなく明らかだ。

 だが……俺の予想が正しければ、ウラキはガンダム開発計画の原作の主人公だ。

 それにニナから聞いた、MSに対する深い理解。

 その辺を考えると、もしかしたら……そう思うのは、きっと俺だけではない筈だ。

 とはいえ、その辺りについて説明出来る筈もないので、誤魔化す為に……

 

「MSの性能の違いが、戦力の決定的な違いになるのは珍しくはないからな」

 

 そう言うのだった。

 

「それより、ニナ。ゼフィランサスのデータの方はいいのか? ……まぁ、俺はいつまでも手を握っていてもいいけど」

「え? ……きゃっ!」

 

 何故か今まで黙っていたニナが、俺の言葉に顔を赤くして離れる。

 一瞬、一瞬だけこのまま手を握っていたらどうなったか……そう思わないでもなかったが、それをやれば間違いなくニナは顔を赤くして怒るのだろうから、止めておく。

 

「アクセル中尉、どうしますか?」

 

 ニナが離れたところで、タイミングを見計らったかのように……いや、実際に見計らっていたのだろうが、ノリスがそう聞いてくる。

 

「そうだな。……取りあえず、バニングにでも知らせるか」

「え?」

 

 そこで予想外な声を上げたのは、ニナ。

 わざわざバニングに知らせる必要があるのかと思ったのだろう。

 

「バニングも退屈してるだろうし、ウラキもモンシアも、どっちもバニングにとっては部下だ。そうなると、バニングもこの勝負は見ておきたいだろう」

 

 これが例えばMSの実機を使った模擬戦の類であれば、バニングも何とかその行動を止めようと思うだろう。

 だが、これから行われるのはあくまでもシミュレータによる訓練だ。

 そうである以上、わざわざ止める必要はない。

 もっとも俺がバニングを呼んでこようと口にしたのは、ウラキが原作主人公である可能性が高いと判断している為だ。

 だからこそ、ウラキがゼフィランサスのパイロットに相応しいと、バニングの後押しをして貰う為の一手でもある。

 ……もっとも、これでウラキがサイサリス追撃をするアルビオンにMSパイロットとして参加を希望するような事がなければ、話は別だろうが。

 とはいえ、相手はモンシアだ。

 その性格はともかくとして、MSパイロットとしての腕は相応に立つ。

 シミュレータでウラキが勝つ事が出来るかどうかは……普通に考えれば、かなり難しいが。

 これでウラキが負けたら、ゼフィランサスのパイロットの件も白紙に戻るだろう。

 あるいは本当にモンシアがゼフィランサスのパイロットになるかもしれない。

 それを込みで考えても、ここはウラキの踏ん張りどころだ。

 そんな訳で、ある意味この世界の原作の流れについてどうなるかが、これから行われるシミュレータでの訓練で決まる訳だ。

 

「そう。……まぁ、この基地にいるパイロットについて一番詳しいのはバニング大尉ですものね。それならお願いするわ。じゃあ、私はシミュレータにゼフィランサスのデータを入力してくるから」

 

 そう言い、ニナは俺の前から立ち去る。

 ……微妙に頬が赤いような気がしないでもなかったが、見間違いか何かだったのだろう。

 そんな風に思いつつ、アルビオンにある自室……ではなく、バニングに会いに行く事にするのだった。

 

 

 

 

 

「はぁ? シミュレータでモンシアとウラキが?」

「そうなる。モンシアにしてみれば、ウラキがゼフィランサスに乗ってるのは面白くないんだろうな。放っておけば実機で模擬戦をやりそうだったから、俺が口を挟んでシミュレータで決着を付けさせることにした」

「……それは感謝しかないな」

「そんな訳で、シミュレータの対戦を見に行かないかと誘いに来たんだが、どうする?」

 

 そんな俺の問いに、バニングは笑みを浮かべるのだった。

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