転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4173話

「は? そうなのか?」

「ええ、そうよ。……というか、アクセルが知らなかったのは少し驚きね」

 

 俺の言葉に、ジム・カスタムのコックピットに乗り込んでシステムの設定を弄っているニナが言う。

 俺はそんなニナの言葉に驚くと同時に納得する。

 

「このジム・カスタムが、ガンダム……RX-78-2よりも高性能とはちょっと驚いたな」

 

 そう、それこそが俺がニナから聞いて驚いた事だった。

 ジム・カスタムは特長がないのが特徴と称される事が多い汎用型MSで、俺にとってはそれ以外だとジム系の中でも最も性能の高い機体という認識だったのだが……ニナが俺用にコックピットの設定を弄りながら教えてくれた内容は、驚くべき内容だったのだ。

 ……というか、そうなるとジーラインの立場ってどうなるんだ?

 ジーラインは、それこそRX-78-2と同じ性能を持ったMSとして開発されたと思うんだが。

 もっとも、ジーラインが全ての面でジム・カスタムに負けているかと言われると、決してそういう事はない。

 具体的には、換装機能がある。

 ジーラインは標準の状態の他に、汎用性を強化した純粋な性能アップのスタンダードアーマー、高機動型のライトアーマー、近接戦闘に特化したアサルトアーマーといった具合に、換装が可能となっている。

 そういう意味では、換装して自分の得意な戦闘方法でなら、ジム・カスタムを相手にしても有利に戦えるだろう。

 後は、純粋にガンダムの量産型として作られただけあって、ポテンシャルも高い。

 ガンダム以上の性能を持つジム・カスタムも十分に強いが……うん、ジーラインも決して負けてはいないだろう。

 

「そもそも、MSの技術は日々進化してるのよ? そう考えると、1年戦争の中で連邦軍が総力を結集した高性能MSとはいえ、4年前の機体ともなれば性能は段違いなのは間違いないでしょう? ……もっとも、装甲という意味ではガンダムよりも劣るけど」

「まぁ、だろうな」

 

 ガンダムの装甲はルナ・チタニウムだ。

 それに比べて、ジム・カスタムはチタン・セラミック複合材だ。

 ルナ・チタニウムは性能では突出してるが、同時にコストもかなりのものとなってしまう。

 ましてや……1年戦争当時、それこそガンダムが動き始め、俺がホワイトベースに乗っていた頃なら、ジオン軍のMSはザクマシンガンのような実弾兵器で、ルナ・チタニウムの装甲は近距離で攻撃されてもダメージを負う事はなかった。

 しかし1年戦争も後半となると、ゲルググのようにビーム兵器を持つMSがジオン軍でも使われるようになる。

 そしてルナ・チタニウム製の装甲は、実弾兵器に対しては強力な防御力を持つが、ビーム兵器に対しては、それこそジムやザクと同じ装甲程度の防御力しか持たない。

 であれば、ガンダムが開発された当初はともかく、ビーム兵器がそれなりに広まった中でルナ・チタニウム製の装甲というのは、そこまで大きな意味はないだろう。

 

「あ、いや、でもジム・カスタムの武器はビームライフルじゃないんだよな」

「そうね。恐らくは信頼性重視といったところでしょう。一応、ジム・カスタムでもビームライフルは使えるのだし。……さて、これでいいわ。あくまでもパワード・ジムの時の数値を参考にしての設定だから仮のものだけど……これでまた何か問題があったら、その時はその時でまた設定を変更するわ。モーラ達に関節部分も弄って貰ったから、恐らくそこまで問題はないと思うけど……地上で動かす以上、宇宙の時のようにはいかないわよ?」

「だろうな。それは分かっている」

 

 無重力の中で移動する宇宙空間に対して、地上では脚部にMSの全重量が掛かる。

 実際、1年戦争の時もMSは脚部の故障がかなり多かったらしいし。

 特に砂漠とかでは、余計に脚部の故障が顕著だったらしい。

 シーリング……いわゆる関節部分とかに砂が入らないような処置をしても、どこからともなく砂が入ってきて、それが原因で故障するとか。

 ここがアフリカ大陸である以上、最も有名なサハラ砂漠以外にもカラハリ、ナミブ、ダナキルといった砂漠がある。

 そういう場所を探索するような事になったら、メカニック達が大変な事になりそうだな。

 

「俺も1年戦争の時には地球で戦ったりもしたしな。そういう意味では、地球での戦いにもそれなりに慣れてるんだよ。……ん?」

 

 話している途中で、松葉杖を突いたバニングがこちらにやって来るのが見える。

 まだ治っていないのに、無理をしてるな。

 そんな風に思いつつ、その場から飛び降りようとし……そう言えばここは宇宙空間でもないし、ましてや俺が混沌精霊であるというのも知られていない以上、それを見せる訳にはいかず、きちんと専用の機械を使って床に下りる。

 ……俺が混沌精霊であると示せば、それこそアルビオンごと影のゲートでオーストラリアからアフリカまで瞬時にやって来る事も出来たんだが。

 

「アクセル、ちょっといいか? アクセルもその機体は初めてだろうし、調整もある程度終わったんだろう? なら、ちょっと慣らしを兼ねて模擬戦でもやらないか?」

「模擬戦を? とはいえ、バニングはその足だと模擬戦は出来ないだろ?」

「モンシア達とだよ」

「……まぁ、機体の慣らしにはいいか」

 

 モンシアの名前に、ジム・カスタムのコックピットの中で微妙に顔を顰めているニナを見ながら、そう言う。

 モンシアはトリントン基地を出発してからも、懲りずにニナに言い寄っているらしい。

 以前、ニナはモンシアに……あるいは他の面々にもかもしれないが、とにかく言い寄られないように俺と親密なところを見せつけた。

 正確には付き合っていると明言した訳ではないが、それを匂わせた形だ。

 だからこそ、それでも諦めないモンシアはある意味で立派だとは思う。

 執念深いと言い換えてもいいのかもしれないが。

 モンシアにしてみれば、ニナに言い寄る度に嫌われており、今ではこうして名前を出しただけで顔を顰められているんだが……その辺、理解しての行動なのか?

 多分、気が付いていないんだろうなとは思うが。

 

「ニナ、機体を使う」

「ええ。……言っておくけど、私が調整した機体で負けたら、承知しないわよ?」

 

 特にモンシアには。

 言外にそう言うニナの言葉に、モンシアも災難だなと思いながら頷く。

 

「任せろ。俺が負けるなんて事は、まずないから」

 

 そうして模擬戦が行われる事になったのだった。

 

 

 

 

 

『おいおい、アクセル。幾ら何でも初めて乗る機体で倍以上の相手と戦うってのは、どうなんだよ?』

 

 映像モニタに表示されたベイトが、呆れた様子でそう言ってくる。

 まぁ、無理もないか。

 何しろこの模擬戦は、ベイトが言ってるように俺とノリス対それ以外の全員。

 具体的には、モンシア、ベイト、アデル、コウ、キースの5人。

 キースはジム・キャノンⅡを受領したばかりなので、正直なところそこまで警戒すべき相手ではない。

 ウラキも……まぁ、原作主人公でゼフィランサスに乗ってるとはいえ、それを込みで考えてもまだ機体に慣れていないし、腕も未熟だ。

 ウラキとキースは半人前なので2人でモンシア達1人分くらいの戦力と考えれば、実質的には2対4といったところか。

 

『それに、アクセルのジム・カスタムはともかく、ノリスだったか? そいつのMSはグフじゃねえか。1年戦争の時のMSで、俺達を相手にどうにか出来ると思ってるのか?』

 

 続けてモンシアがそう言ってくるが……

 

「一応言っておくが、ノリスは異名こそないが、操縦技術という意味では間違いなく一級品だぞ? それこそ、ソロモンの悪夢と呼ばれたガトーに負けないくらいにな」

『マジか』

 

 モンシアが俺の言葉に驚きの表情を浮かべ、ジム・カスタムの頭部を動かす。

 俺のジム・カスタムの隣に立つグフ・カスタムの様子を確認してるのだろう。

 ……もっとも、外見上だけは1年戦争の時のグフ・カスタムと違わない。

 ギニアスが色々と手を加えているという話だったが、それについては恐らく内部の機器に対してのものだろう。

 というか、一応不死身の第4小隊もソロモンやア・バオア・クーでの戦いに参加したんだから……ああ、でもあの時のノリスはグフ・カスタムに乗っていなかったか。

 そもそもグフ・カスタムは地上用のMSだし。

 

「そういう事だ。そんな訳で、油断をすれば負けるのはそっちだぞ」

 

 これについては、あるいは俺抜きの、ノリスだけで戦っても、もしかしたらノリスが勝つかもしれない。

 不死身の第4小隊と、小隊での異名を持つモンシア達だが、それは言ってみればあくまでも小隊での話で、個人ではない。

 いやまぁ、それでもその辺のベテランパイロット以上の操縦技術は持ってるだろうが。

 ただ、この場合は相手が悪いとしか言いようがない。

 

「こうして話していても埒が明かないし、そろそろ模擬戦を始めるぞ。各機、実弾はペイント弾かどうか、ビーム兵器は模擬戦用に調整されているか、後は模擬戦用のシステムになってるかどうかを確認しろ」

 

 いつまでもこうして話していても仕方がないので、そう指示を出す。

 ……本来なら俺はあくまでもアルビオン隊の協力者という形なので、指示を出す権限はないんだが、この模擬戦くらいはいいだろう。

 ちなみにこの模擬戦が行われるのは、アルビオンからそれなりに離れた場所で、周囲にはそれなりに岩がある程度の荒野だ。

 模擬戦をやるのには、ある意味丁度いい。

 地形を使った戦いはしにくいものの、それはつまり地形についてとかは考えず、純粋に技量の問題での勝負になるのだから。

 

『分かったよ。じゃあ……初めてくれ』

 

 ベイトの指示によって、それぞれに距離を取る。

 まさか、こうして纏まっている状態から模擬戦を始める訳にもいかないしな。

 いやまぁ、それでもやろうと思えば出来るかもしれないが……ただ、そうなるとアデルとキースというジム・キャノンⅡに乗っている2人が不利だしな。

 もっとも、同じキャノン系という意味では俺が乗っていたガンキャノンと違い、ビームサーベルを装備している分だけ、近接戦闘もきちんと出来るようになっているのだが。

 ……ガンキャノンでも一応格闘は出来たが。

 ルナ・チタニウム装甲、しかもガンダムよりも防御力は高いという事で装甲も厚いので、格闘でも結構強力だったのは間違いない。

 ああ、そう考えるとルナ・チタニウムはビーム兵器が主流となった今でも、手とか肩とか足とかに使えば、格闘用として使えないでもないのか。

 

『アクセル中尉、どう動きます?』

 

 十分に離れたところで、ノリスがそう通信を送ってくる。

 誰も通信を聞いていないからだろう。

 中尉という呼び方はあったが、その言葉遣いは完全に上に対してのものだ。

 

「どうって言われてもな、……どう動きたい?」

 

 ぶっちゃけ、俺とノリスが好き勝手に動いてもこの模擬戦は普通に勝利出来ると思う。

 ただ、それだと俺が機体に慣れるという意味では悪くないが、向こう側にとっては模擬戦をやる意味がない……訳ではないが、そんなに利益にはならない。

 

『模擬戦の意味を考えると、ニムバスが操縦するガンダムと戦うというのを想定した戦い方にするのがいいかと。それであれば、バニング大尉も満足するでしょう』

「そうだな。バニングの狙いも恐らくそんなところだろう」

 

 この模擬戦を持ち掛けてきたのはバニングだ。

 そしてバニングにとって、1年戦争の時の戦いで俺を見ている以上、俺を仮想ニムバスとするのは分からなくもない。

 

「なら、この機体に慣れる為にもそれに乗ってみるか」

 

 そう言い、どのような戦い方をするのかを決める。

 とはいえジムライフルを捨てたりはしないが。

 サイサリスの射撃武器は頭部バルカンだけだが、だからといってそこまで徹底的にそのようにする必要もないだろう。

 あくまでも動き方を模して仮想サイサリス的な感じで戦えば、それでしいだろうし。

 

「よし。じゃあ……行くか」

『は!』

 

 ノリスを率いて、俺は堂々と……それこそ、岩に隠れもせずに進む。

 スラスターを使い、1歩ずつの動きを素早く、大きくして。

 ジム・カスタムはスラスター推力もかなり高いので、跳躍して擬似的な空中戦も出来るのだが、今はそれよりも普通に移動した方が敵の攻撃を受けやすい。

 それに空中での機体制御とかよりも、今はまずこのジム・カスタムに慣れる……その特徴を掴む方が先だった。

 そんな訳で、地面を歩く……いや、走りながら敵のいる方に向かう。

 

「ノリス!」

 

 叫びつつ、機体を斜め前に跳躍させる。

 すると一瞬前までジム・カスタムのいた場所をビームが貫いていく。

 そのビームは、ゼフィランサスのビームライフル……ではなく、ジム・キャノンⅡのビーム砲だろう。

 ノリスのグフ・カスタムも俺と同様に回避の動きをしているのが分かる。

 一応模擬戦用にビームの出力は下がっている筈なんだが、これって本当に大丈夫なんだよな?

 そう思いつつ、俺は次に飛んでくるビーム砲も回避するのだった。

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