転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4174話

 次々に飛んでくるビーム。

 まずは俺のジム・カスタムとノリスのグフ・カスタムの攻撃が届かない場所から一方的に攻撃をするという考えからの行動なのだろう。

 こっちの反撃がないうちに出来れば俺とノリスを撃破したい、それが無理でもどちらか1機だけでも撃破したい、あるいは撃破は無理でもダメージ判定を与えたい……そんなところか。

 だが、俺は異名持ちだし、ノリスも異名はないものの、操縦技術は異名持ちであってもおかしくはないくらいのものがある。

 盾となるような障害物がない中でも、俺とノリスの機体は次々に飛んでくるビームを回避していく。

 それにしても……このビームのタイミングとビームの通る場所で、アデルとキースのどっちが撃っているのかすぐに分かるな。

 そんな風に思いつつ、より距離を縮めていくと、そこにゼフィランサスのビームライフルが交ざり、更に進むとジム・カスタムのジムライフルの弾丸が目立つ。

 敵の攻撃の層が厚くなってきたが、それはつまりこちらからの攻撃が届くという事も意味しており……

 

「腕、足……頭部、胴体」

 

 俺の操縦するジム・カスタムのジムライフルから放たれたペイント弾が、ウラキの操縦するゼフィランサスに次々と着弾していく。

 模擬戦のシステムがゼフィランサスを撃破扱いと判断する。

 ……ニナに文句を言われそうな気がするな。

 ペイント弾が何発も命中し、ゼフィランサスの装甲に幾つも赤い花を咲かせたのを見ながら、そんな風に思う。

 これが模擬戦である以上は当然なのだが、ウラキはまだゼフィランサスを乗りこなしてはいない……いや、この場合は単純に操縦技術が未熟だという事か。

 モンシアが自分がゼフィランサスに乗りたいと口にしていたが、もし今モンシアがゼフィランサスに乗っていれば、もう少し保ったのは間違いないだろう。

 もっとも、原作主人公であるウラキの方が最終的にはきちんとゼフィランサスを乗りこなせるようになるのだろうが。

 そんな事を考えていると、ノリスのグフ・カスタムが敵に向かって突っ込む。

 なるほど、ギニアスが手を入れただけあって、その機動力は間違いなく通常のグフ・カスタムよりも上昇している。

 というか、これ……もしかしたらの話だが、動力炉も標準の物から特注の物に変えてるんだろう。

 元々MSの動力炉については、ゾックの動力炉を通常のMSでも使えるように改修したりといったようにしたのがギニアスだ。

 ルナ・ジオンの中でもギニアスは動力炉の専門家と呼べるくらいに高い技術を持っている。

 であれば、ギニアスが信頼する腹心のノリスの操縦するグフ・カスタムを改修する際に、動力炉を交換しないという選択肢はない。

 つまり……恐らく、ノリスのグフ・カスタムはビーム兵器を使おうと思えば使えるのだろう。

 それでもビーム兵器を使っていない理由は、単純にノリスがビーム兵器を好まないからか、もしくはケンプファーのようにビーム兵器に使う出力を機体の出力に向けているのか。

 ……まぁ、ケンプファーの場合は正確にはビームライフルは使っていないが、ビームサーベルは使ってるのだが。

 ともあれ、ノリスのグフ・カスタムは真っ直ぐ敵に向かって突っ込んでいく。

 俺はそれを後ろからジムライフルで援護しつつ……当然ながら俺もまたその後に続く。

 当然ながら向こうも数で勝るが故に、そんなこっちの行動を黙って見ているといった事はしない。

 次々に俺やノリスの機体に向けて攻撃してくるが……

 

「甘いんだよな」

 

 ここは地上で、宇宙空間程に自由に機体を制御出来る訳ではない。

 しかし宇宙空間と違って地面という強固な足場となる場所があるのは間違いなく、だからこそ俺の操縦するジム・カスタムは地面を足場にして、スラスターをこまめに使う事によって、敵の攻撃を回避していく。

 そんな俺とノリスの行動に真っ先に焦ったのは、ジム・キャノンⅡの1機。

 恐らくキースの乗っている方だろう。

 これだけ集中攻撃されても全く攻撃が命中するような事がないというのは、キースにとって完全に予想外だったのだろう。

 攻撃をしても命中しないというのは、モンシア達も同じだったが、モンシア達は1年戦争で俺の戦いを見た事がある。

 その為、自分達の攻撃が次から次に回避されても、驚きはしているのだろうが、それでもMSの操縦でミスる程ではない。

 次から次に撃たれる弾丸やビームを回避しながら進んでいくと、ノリスのグフ・カスタムが今まで以上に速度を上げて、一気に前に出る。

 モンシア達にしてみれば、この状況でなら自分が攻撃されると思ったのだろうが……グフ・カスタムは、モンシアとベイトのジム・カスタムを回避するように動き、その奥にいる2機のジム・キャノンⅡに向かう。

 ベイトが咄嗟に自分達を抜いていったグフ・カスタムの背後から攻撃しようと振り向くが……

 

「俺を忘れるな」

 

 その呟きと共にジムライフルのトリガーを引き、ペイント弾がベイトのジム・カスタムの背中に次々に命中する。

 当然のようにベイトのジム・カスタムは撃破扱いとなり、これで残るは3機……いや、2機。

 グフ・カスタムの3連マシンキャノンによってキースのジム・キャノンⅡの装甲に次々と赤い花が咲き、最後にヒートサーベルの一撃をコックピットに命中し、撃破扱いとなる。

 わざわざヒートサーベルを使って追撃をしたのは、ジム・キャノンⅡはチョバムアーマーを装備しているからだろう。

 正確にはアレックスのように外部から装甲を装備してるのではなく、最初からチョバムアーマーが組み込まれているといった形だが。

 ともあれ、それによってジム・キャノンⅡは一般的なMS……この場合はジム・カスタムと比べるのが手っ取り早いが、そのジム・カスタムよりも厚い装甲、つまり高い防御力を持っている。

 ノリスのグフ・カスタムは次にアデルのジム・キャノンⅡに狙いを定め、ヒートサーベルを振るうが……さすがは不死身の第4小隊に所属してるだけあって、アデルはビームサーベルでヒートサーベルの一撃を受け止める。

 これは素直に褒めてもいいところだろう。

 いいところだろうが……アデルが反応出来たのは、そこまでだった。

 グフ・カスタムの太刀捌き――という表現が正しいのかどうかは分からないが――によって、アデルの操縦するジム・キャノンⅡのビームサーベルはそれに対応出来ず、次の瞬間にはビームサーベルをすり抜けるようにしてヒートサーベルの突きがコックピットに触れ……そこで動きが止まって、アデル機が撃破という扱いになる。

 それを視界の片隅で確認しつつも、ジム・カスタムを操縦するのは止まらない。

 至近距離となった為だろう。

 ジムライフルがあっても、既にここでは役に立たないと判断し、ビームサーベルを抜いて斬りかかってくる。

 俺はそれを受けるのではなく、一度距離を取る。

 次の瞬間、俺が操縦するジム・カスタムのいた場所を、モンシアのジム・カスタムの頭部バルカンから放たれた弾丸……ペイント弾が通りすぎる。

 遠くで地面に青いペイント弾の花を咲かせたのだろうと思いつつ、スラスターを使って移動し、空中で機体の手足を使ったAMBAC機動を行い……俺の着地した場所は、モンシアのジム・カスタムの真横。

 モンシアはその事に気が付くと咄嗟にビームサーベルによる横薙ぎの一撃を放とうとするが……その前に、俺の放ったビームサーベルの一撃がモンシアのジム・カスタムのコックピットに触れ、それで模擬戦は終了するのだった。

 

 

 

 

 

「パープルトンさん、その……本当に僕が1人で洗うんですか?」

「当然です。私のガンダムを汚した責任はしっかりと取って貰います。ウラキ少尉がもっとしっかりと操縦出来ていれば、ここまで機体が汚される事はなかったんですから」

 

 アルビオンの格納庫で、ウラキとニナの様子を見ながら模擬戦で勝利してよかったと、つくづく思う。

 モンシア達も機体の汚れを洗ったり、あるいは機体が汚れていない場合はバニングの命令によって腕立てをさせられたりしている。

 バニングにとっても、この模擬戦で俺とノリスに勝利出来るとは思っていなかっただろう。

 だが同時に、ここまで一方的に負けるようなことがないだろうとも思っていたのだろう。

 普通に考えれば、そのように思ってもおかしくはないのかもしれないが。

 とはいえ、それでも俺にとってはそれなりに楽だったのは間違いないのだが。

 

「アクセル中尉、不死身の第4小隊の方はともかく、残り2人も今回の件に本当に参加させるつもりなのですか?」

 

 ウラキがニナに指示されてゼフィランサスを洗っているのを見ていると、俺の側にいたノリスが不意にそう聞いてくる。

 ノリスにしてみれば、ウラキとキースはとてもではないがこれからの戦いでやっていけるようには思えないのだろう。

 実際、ウラキもキースもまだ操縦技術は未熟だ。

 ウラキはゼフィランサスの性能を引き出せているようだが、それと操縦技術というのは似ているようで違う。

 MSを使った戦いの中では、乗っているMSの性能を引き出す事もそうだが、敵と戦うという意味での操縦技術も必要になる。

 ウラキとキースは、その辺がまだまだだった。

 ノリスにしてみれば、ここで降ろした方がいいのではと思ってもおかしくはない。

 おかしくはないのだが、だからといってそれを受け入れる事が出来るかと言われれば、微妙なところだろう。

 原作主人公なのだから。

 ……まぁ、それで言うのなら原作主人公はあくまでもウラキであって、キースは原作キャラであっても、原作主人公ではない。

 そういう意味では、キースが無理にこの追撃戦に参加する必要はないのだが……

 

「今回の件で俺達はあくまでも協力者でしかない。指揮権はシナプスやバニングにある。そして、その2人が問題ないと判断したのなら、俺がそれに対して何か言うつもりはない」

「ですが、あのような腕では……」

 

 そこまで言って言葉を切ると、ノリスは首を横に振る。

 このままだとキースは死ぬ可能性が高いと、そう言いたいのだろう。

 実際、その言葉は俺にも分からないではない。

 ないのだが……

 

「キースは問題ないと思うか?」

 

 俺とノリスが話している途中、モンシア達に対する説教を終わらせ、腕立てを命じたバニングがこっちに近付いてきたので、そう尋ねる。

 

「ウラキもキースも、今はまだひよっこだろう。それもまだ尻尾に卵の殻がついたような。だが……トリントン基地でテストパイロットをやっていた事からも分かるように、見込みは十分にある」

 

 これは少し予想外だったな。

 いや、バニングがウラキとキースを買ってるのは分かっていたが、俺が予想した以上に買ってるらしい。

 

「普通の……こう言ってはなんだが、その辺にいるジオン軍残党を相手にするのなら、それでも構わないとは思う。けど、俺達が追っているのはただのジオン軍残党じゃない。ジオンの騎士の異名を持つニムバスだぞ? ……ましてや、ニムバスの後ろにはキシリアがいる」

 

 ザビ家の人間として、1年戦争を生き残ったキシリア。

 当然ながら、その戦力はニムバスだけではないだろう。

 キシリア率いる突撃機動軍は特殊部隊を多数持っていたので、俺が知らない隠し球を持っていてもおかしくはない。

 だとすれば、モンシア達は問題ないとして、ウラキは……まぁ、ゼフィランサスに乗ってるし、原作主人公だというだけあって恐らくは大丈夫だろうが、キースは死んでしまう可能性が高い。

 

「そうかもしれん。だが、しっかりと訓練をすれば生き延びる事も出来るだろう。俺の足が治ったら、厳しく訓練をする予定だ。その前に、モンシア達に訓練をして貰おうと思ってるがな」

「……まぁ、バニングがそう言うのなら、俺はこれ以上何も言わないが」

 

 実際、この一件については俺がどうこう言うつもりはないし。

 バニングの人を見る目や、部下を鍛え、導く手腕は実際に相応のものなのは間違いない。

 だからこそ、1年戦争の時に不死身の第4小隊の異名を持つようになったんだろうし。

 ……まぁ、裸踊りのモンシアという異名で呼ばれるようになったモンシアを哀れに思い、それをどうにかするべくして、今のような感じになったのも間違いはないだろうが。

 

「一応言っておくが、何かあった時に助けられるのなら、俺もノリスもウラキやキースを助けると思う。だが、それはあくまでもそういう余裕があった時だけの話だぞ?」

「分かっている。それで十分だ。俺も、やるべき事を放っておいてウラキやキースを助けてくれとは言わんよ」

 

 そんなバニングの言葉に、そういう事なら……と俺は取りあえず頷く。

 

「ということだが、ノリスはこれで納得出来るか?」

「……納得しましょう」

 

 俺の指示だからか、本人は完全に納得した様子ではないものの、それでも俺の言葉にそう返すのだった。

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