転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4175話

 模擬戦か終わってから数日……現在アルビオンは、必死になってニムバスの、より正確にはニムバスが奪取したサイサリスと、それを匿っているジオン軍残党の拠点を探していた。

 とはいえ、当然ながらそう簡単には見つからない。

 アフリカ大陸の広さを思えば、アルビオン隊以外に他にも幾つかの部隊が探索を行ってはいるが、それでも全然足りない。

 それこそ、連邦軍で動かせる戦力をアフリカ大陸に集中すればいいのだろうが……残念ながら、ジオン軍残党が他で何か動くのを警戒しているのか、それとももっと別の理由、具体的にはサイサリスがジャブローに突っ込んで来た時の護衛の為なのか。

 とにかく、アフリカ大陸の探索にはそれなりに戦力を出しているものの、それでも限られた戦力だけなのは間違いない。

 ましてや、アルビオンで上空から偵察出来るのは、ウラキの乗っているコアファイターⅡだけ。

 一応予備のコアファイターⅡもあるから、2機体制で偵察はしているものの……残念ながら、俺はそっちには関わっていない。

 既にゼフィランサスは連邦軍に納入されたという形になってる以上、ルナ・ジオン軍からの協力者という扱いである俺は、ゼフィランサスに乗ったりは出来ない。

 いやまぁ、どうしようもない時の不可抗力だとか、そういうのなら乗れたりするかもしれないが……結局はあまり期待出来ないのも事実。

 そんな訳で、今の俺に出来るのは、ただ待つ事だけだった。

 

 

 

 

 

「ニナ? こんな場所にいるのは珍しいな」

 

 アルビオンの中にある展望室……というのは少し大袈裟かもしれないが、外の景色を見る事が出来る場所に、ニナの姿があった。

 

「あら、アクセル。珍しいかしら。どこまでも広がるこの大地を見ているのは、それだけで目を奪われるのだけど。……これがサイサリスの捜索を行っているのじゃなければ、最高だったんだけど」

 

 複雑な表情でそう返してくるニナ。

 ああ、そう言えばニナはスペースノイド……それもルナリアンだったな。

 そんなニナにしてみれば、地平線という言葉は知っていても実際に自分の目でそれを確認するのは、これが初めてだったのだろう。

 俺にとってはそれなりに見慣れている光景であっても、それを見た事がない者にしてみれば、それは違うのだろう。

 

「ニムバスの件がなければ、それこそもっと色々と見て回ることが出来たりしたんだろうけどな。アフリカにも観光してみるべき自然というのはあるだろうし」

「あら、アクセルはアフリカ大陸に詳しいのかしら?」

「そこまで詳しいって訳じゃないけど、有名どころは知ってるな」

 

 そう言い、俺はアフリカの観光名所とでも呼ぶべき場所についてニナに説明する。

 世界最古の砂漠とも言われるナミブ砂漠、高さ100m以上、幅は2km近い世界最大級の滝であるビクトリアの滝、3大ピラミッドの1つカフラー王のピラミッド、マサイ語で神の山と呼ばれるオルドイニョレンガイ火山。

 ぱっと思いつくだけでも、これだけの大自然がある。

 ……とはいえ、これはあくまでも他の世界とかで知った知識とかも多いので、このUC世界についても正しいかどうかは分からないが。

 何しろこのUC世界では1年戦争の時のコロニー落としの影響によって、地球が大きな被害を受けている。

 そう考えれば、これらの自然環境にも大きな影響を与えていてもおかしくはなかった。

 

「凄いわね。……どれも見てみたいとは思うわ」

 

 俺の説明に、目を輝かせるニナ。

 もっとも、すぐに現在の状況を思い出して、残念そうな表情になるが。

 

「まぁ、見るとしてもサイサリスの件が解決したらの話だけど」

「だろうな。……お。ウラキが戻ってきたぞ」

 

 外の様子を見ていると、コアファイターⅡがアルビオンに向かってきたのが見えた。

 

「本当ね。……ウラキ少尉が疲れているようなのだけど」

「まぁ、コアファイターⅡに乗れるのは今のところウラキだけだしな」

 

 ジム・カスタムとジム・キャノンⅡは、どちらもコアファイターは装備されていない。

 それでもMSのパイロットとして、戦闘機とかにも乗る訓練は一応してるだろうから、乗ろうと思えば乗れるんだろうが……シナプスとバニングはそれを許可していなかった。

 そこには色々な理由があるのだろう。

 例えば、あくまでも乗れるのは一応である以上、操縦ミスをする可能性があるという事。

 また、MSではなくコアファイターⅡの操縦である以上、ジオン軍残党と遭遇した時に咄嗟の対処が上手くいくとは思えない事。

 単純に何らかの問題を起こすかもしれないという不安。

 そんな諸々についての不安からの判断だった。

 何しろ、現在アルビオン内部の雰囲気は決して良くはない。

 既にアフリカでニムバス達を捜し始めてから数日が経っているのに、何の成果もないのだから。

 勿論、アフリカ大陸の広さを思えば、それはある意味で当然の結果ではあるのだろう。

 連邦軍からもアルビオン隊以外に幾つもの部隊を出しているとはいえ、その数はどうしても限られている。

 だからこそ、アルビオン隊がそう簡単にニムバス達を見つけられなくてもおかしくはない……いや、それは寧ろ当然であると言ってもいい。

 とはいえ、それは他の面々も分かっている。

 分かっているだろうが、それでも結果の出ない作業を延々とこなすのは精神的な消耗を強いるのも事実。

 こうなると、オービルを刺激してみるのもありかもしれないな。

 あくまでも状況証拠……いや、状況証拠にすらなっていない、半ば俺の勘によるものではあるが、俺の中でオービルは限りなく黒に近い灰色だ。

 そうである以上、オービルは恐らくジオン軍残党の拠点を知っている……あるいは実際にその場所は知らなくても、向こうとの連絡手段は持っている筈だ。

 どうにかしてそれを知ることが出来れば、そこからニムバスが現在いる場所を見つける事も出来る……かもしれない。

 あくまでもかもしれないで、実際にそれが本当に出来るかどうかは分からないのだが。

 

「ニナ、オービルって現在どこにいる?」

「え? 格納庫でコアファイターⅡの予備機の様子を見てる筈だけど」

 

 俺がいきなりオービルについて聞いたのを不思議そうな様子のニナ。

 格納庫か。なら、一応上に話を通すのを知られるような事はないか。

 

「これは証拠も何もない、あくまでも俺の勘に近いものだが……恐らくオービルはジオン軍残党と繋がっている。ジオン軍残党のスパイとしてアナハイムに潜入していたのか、それとも小遣い稼ぎで内部の情報を売っていたのか。その辺の詳細までは分からないが」

「……本気で言ってるの?」

 

 ニナは先程までの、アフリカについて話していた時とはまるで違う、真剣な表情で……それでいて、微かにではあるが俺を責めるような視線を向けてくる。

 無理もないか。

 ニナにしてみれば、オービルは一緒にガンダム開発計画を進めてきた同僚だ。

 それだけに、オービルを疑うなどいう思いはどこにもなかったのだろう。

 あるいは心のどこかでそう思っても、それを無意識に否定していたのかもしれない。

 

「本気だ。とはいえ、あくまでもこれは俺の勘でしかない。そうである以上、もし違っていたら謝罪する。いや、謝罪じゃすまないかもしれないけどな」

「……そうね。オービルはガンダム開発計画の一員として、今までしっかりと頑張ってきてくれたわ。私はその態度に裏があったとは思いたくない」

 

 ニナはそれなりにキツイ性格をしてるが、同時に優しさもしっかりとある。

 だからこそ、ここで自分の仲間――と思っている人物――が怪しまれているという事に、疑問と不満を抱いているのだろう。

 

「ニナの気持ちは分かる。だが、幾つもの状況がオービルを怪しいと言ってるのも事実だ。そもそも、ニムバスは何でアルビオンがトリントン基地に到着し、サイサリスの核弾頭を装備したのを見計らったかのように、侵入した?」

「それは……」

 

 その辺については、恐らくニナも疑問は抱いていたのだろう。

 まさかこの状況を偶然で片付けようとは思わないだろうし。

 

「違っていたら違っていたで、オービルの無実が証明される。そうなればこれからは疑われなくなるんだから、悪くないとは思わないか?」

 

 俺の言葉にニナは渋々と……本当に渋々とだが頷くのだった。

 

 

 

 

 

「あれ? バニングはいないのか?」

 

 アルビオンのブリッジにやって来ると、そこにはシナプスの姿しかなかった。

 いや、勿論シモンを始めとしたブリッジクルーはいるのだが、ここ最近はバニングもよくブリッジに姿を見せているのだが、そのバニングの姿がなかった。

 

「うむ。……格納庫で問題が起きてな」

 

 苦い……心の底から苦い表情を浮かべ、シナプスが言う。

 シナプスにしてみれば、何か余程の事があったらしい。

 そんなシナプスの姿を見て、先程コアファイターⅡが帰ってきたのを思い出す。

 もしかして、モンシアがまたウラキに絡んだか?

 シミュレータを使った模擬戦で、モンシアはウラキが勝ったらゼフィランサスのパイロットとして認めると言った。

 言ったのだが、それを言った本人はその事を忘れたかのように、この数日何度もウラキにちょっかいを出していた。

 もっとも、そのちょっかいの方法にも問題があるらしく、モーラに鉄拳制裁をされたりしていたのだが。

 それでも懲りないんだから、モンシアはある意味凄いよな。

 ……ただし、それが原因でモンシアが目当てのニナには余計に毛嫌いされているようだが。

 モンシアはその辺りについて気が付いているのかいないのか。

 モンシアの性格を考えれば、それを理解した上でもウラキにちょっかいを出しそうだが。

 

「モンシアか」

 

 モンシアか? ではなく、モンシアか。

 それは断言だったが、それを聞いたシナプスの様子から、決して俺の思い違いという訳ではないのだろう。

 そうなれば、バニングがここにいないのも理解は出来る。

 まだ足が治っていないバニングだったが、それでもMS隊の隊長であるのは間違いない。

 そうなると、モンシアとウラキの騒動の皺寄せは、結果としてバニングに行くことになる訳だ。

 

「バニングがいないのは残念だが、少し相談したい事がある。上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、現状の打破が出来るかもしれない」

「……ほう。話を聞かせて貰おう」

 

 俺の言葉に、シナプスは先程の疲れた表情から一変し、真剣な表情で視線をこちらに向けてくる。

 それだけシナプスも現在の状況をどうにかしたいと思ってはいるのだろう。

 

「ちょっとデリケートな話題が含まれているから、ここだとちょっとな。艦長室で話してもいいか?」

「ふむ……」

 

 俺の言葉にシナプスはブリッジを見回し……

 

「構わんよ。何かあったら私の部屋に連絡を頼む」

 

 シナプスの指示に、ブリッジクルーはそれぞれ頷く。

 

「では、行こうか。何を聞かせて貰えるのか、楽しみにしているよ」

 

 そう言い、艦長室から出ようとしたところで、不意にブリッジの扉が開く。

 そこにいたのは、バニング。

 シナプスから聞いた話だと、モンシアとウラキの問題を仲介する為に格納庫に向かった筈だったのだが。

 しかもその手には何かを持ち、真剣な……いや、深刻な表情をしている。

 そんなバニングの様子をシナプスも気が付いたのだろう。

 訝しげな表情で口を開く。

 

「バニング大尉、どうかしたのかね?」

「いえ、少し艦長に相談したい事がありまして」

 

 そう言い、バニングは俺を見てくる。

 どうやら俺に聞かれたくないような事らしい。

 

「どうする? 俺の件は後回しにして、今はバニングの相談に乗るか? 現状の打破と言っても、こっちの件は確実って訳じゃないし……」

「待て。待ってくれ。現状の打破? それは今の状況の事を言ってるのか?」

 

 何故か俺の言葉に反応したのは、シナプスではなくバニング。

 

「ああ、その件でちょっとバニングに相談があったんだが」

「……すまないが、アクセルも一緒に来て欲しい」

 

 数秒考えた後で、バニングがそう言う。

 何だ? どうやら何かあったらしいのは間違いないが……まさか、モンシアが何か洒落にならない事でもやらかしたのか?

 いや、でもその場合であっても、わざわざ俺に話を持ってくるのはおかしい。

 そうなると、やっぱり何かあったのは間違いないのだろうが、それが具体的に何なのかは分からない。

 

「どうする?」

「丁度いい。これからの事を思えば、この3人で話しておいた方がいいだろう。……そう言えばアクセル、護衛はどうしたのかね?」

「ああ、ノリスなら今は自由に行動させている。アルビオンの中で何かある訳でもないだろうし」

「……アルビオンの中で何かある訳でもない、か」

 

 俺の言葉にバニングが深刻そうな表情を浮かべる。

 それが一体何なのかは気になるが、取りあえず俺達は艦長室に移動する事にした。

 ここで話す訳にはいかない内容なのは間違いないのだから。

 そして艦長室に入ったところで……

 

「これを見て下さい」

 

 バニングが1枚の書類を出すのだった。

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