転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4185話

 セイラとのお茶会があった数日後、アルビオンが宇宙に上がったという事で、俺はナスカ級に乗ってアルビオンと合流しようとしていた。

 

「よろしく頼むよ、アクセル」

 

 そう言い、笑みを浮かべるのはセイラとはまた違った意味でルナ・ジオンの象徴のシーマ。

 そんなシーマの後ろには、ナスカ級を操縦するシーマの部下の海兵隊が多数いた。

 ルナ・ジオンにおけるシーマの人気は高い。

 セイラには負けるものの、それでもセイラに次ぐといった表現が相応しいかのような人気を持っていた。

 それだけに、一応指揮系統的にはルナ・ジオン軍に所属はしているものの、実質的にはもう1つの軍隊と呼ぶべき規模を誇る海兵隊には多くの者が入隊を希望していた。

 その為、選抜試験はそれなりに……いや、それなり以上に厳しく、それを合格した者達だけが海兵隊に所属出来た。

 シーマが引き連れている海兵隊の中には、そういう連中だろう若い者達の姿も多い。

 半分……とまではいかないが、3割くらいは若い者達だ。

 何故生え抜きのシーマの部下だけを連れてこないのかと言えば、後進の育成の為だろう。

 シーマは時の指輪の受信機を持っているので不老となったが、シーマの部下の海兵隊はそうではない。

 ……何人かには、シーマから時の指輪の受信機を受け取らないかと提案したらしいのだが、それは全て断られてしまったらしい。

 その理由は正直なところ分からない。

 混沌精霊となった影響で不老になった俺が言うのもなんだが、人にとって不老不死というのは永遠の夢だろう。

 まぁ、時の指輪の場合はあくまでも不老であって不死ではないので、殺されれば普通に死ぬのだが。

 それでも不老となるのは、人にとって非常に大きな意味を持つ筈だ。

 なのに、古参のシーマの部下達は全てそれを断った。

 不老になるのが怖いと思う者もいるかもしれないし、今は不老であっても将来的に不老のままというのは精神が保たないと思う者もいるかもしれないが、不老というのはあくまでも時の指輪の受信機があってのことである以上、それを外せば普通に年齢を重ねていく。

 そういう意味では、提案があったら取りあえず時の指輪の受信機は受け取って、不老になるのを止めたくなったら時の指輪の受信機を外せばいいだけだと思うんだが。

 ……まぁ、それでも提案した全員が断ってきたという事は、何らかの強い意思があってのものなのだろう。

 ともあれそんな訳で、海兵隊は不老ではない以上、世代交代を行う必要がある。

 それもあって、今回はシーマの古参の部下以外にも若い者達がある程度集められているのだろう。

 

「ああ、よろしく。……それで、これからの事だが話は聞いてるか?」

「アルビオンとかいう艦と合流するんだろう? 合流予定ポイントの座標についても聞かされてるから、問題はないよ」

「分かった。なら、任せる」

 

 そう言い、俺はシーマと共にナスカ級に乗り込むのだった。

 

 

 

 

 

 ナスカ級が月の首都であるクレイドルから出発し、アルビオンとの合流ポイントに向かう。

 そんな中、俺はナスカ級にある艦長室でシーマと2人きりの時間を楽しんでいた。

 ……とはいえ、別に甘い時間を楽しんでいた訳ではないのだが。

 いや、お互いの近況について話しているのだから、これも甘い時間ではあるのかもしれないが。

 

「てっきり、クリスとかクスコも来ると思っていたんだけどな」

「そこにモニクは入れないのかい?」

「モニクは政庁で働いている以上、さすがに無理があるだろうと思っていたしな」

 

 モニクはまさに才色兼備という表現が相応しく、MSのパイロットとしてもエース級の実力を持つが、同時に役人としてもかなりの能力を発揮する。

 そして普段は役人として働いている以上、本人が来たくても無理だっただろう。

 ……後で何らかのフォローはしておいた方がいいかもしれないな。

 オルフェンズ世界辺りに旅行に行ってみるというのも面白いかもしれない。

 ともあれ、そんなモニクに対してクリスとクスコの2人は普通にパイロットだ。

 いや、正確にはクリスはディアナのテストパイロットで、クスコはニュータイプ研究所のアルテミスに所属するパイロットなので、本当の意味でただのパイロットという訳ではないのだが。

 

「クリスはモニク程じゃないけど、真面目な性格をしてるしね。クスコは……本人は来たかったようだけど、アクシズからの情報もあって研究が活発化しているから、その影響だろうね」

「……アクシズからの情報? ノイエ・ジール関係か?」

「ああ、それについてはもう聞いていたんだね。正確には、そのノイエ・ジールに使われている技術がニュータイプ研究に使えるかもしれないという事らしいよ」

「ノイエ・ジールはニュータイプ用MAじゃなくて、普通のMAだろう?」

 

 ニュータイプ用のMA……ビットとかを使えるMAというのは、当然ながらニュータイプが乗る必要がある。

 そして俺はニュータイプではない。

 念動力はニュータイプの上位互換的な能力ではあるが、それもあってかサイコミュは念動力には反応しないしな。

 微妙にダンバイン世界のオーラコンバータを想像してしまうのは、俺の気のせいという訳ではないと思いたい。

 

「そうらしいね。けど、忘れたのかい? アルテミスの中でもシムスは特に有線式ビーム砲についての権威なんだよ」

 

 シムスというのは、ブラウ・ブロを開発した研究者だ。

 そしてブラウ・ブロの有線式ビーム砲は、その後でサイコミュ試験用ザク、サイコミュ高機動試験用ザクを経由し、最終的にはジオングへと辿り着いた。

 また、この有線式ビーム砲の凄いところは、エルメスのビットと違ってニュータイプではなくても使えるという事だろう。

 実際、ブラウ・ブロはニュータイプではない者達……いわゆるオールドタイプが複数人で操縦して普通に有線式ビーム砲を使っていた。

 ジオングも実際にはシャアだけで操縦していたが、頭部と胴体の2つにコックピットがあり、それを使えばニュータイプではなくてもジオングを動かせたらしい。

 つまり、操縦技術や頭の動かし方によっては、オールドタイプであっても有線式ビーム砲を使える訳だ。

 有線式という名称通り有線である以上、無線式のビットと違って自由度は低いし、射程も有線の関係でビットと比べると短くなる。

 そういう意味ではどうしても無線式のビットに比べれば劣るのは間違いない。間違いないのだが、やはりニュータイプ以外であっても使えるというのは非常に大きいのも事実。

 実際、有線式ビーム砲の権威とでも呼ぶべき人物だからこそ、シムスはアルテミスにおいて大きな権限を持っている。

 

「つまり、ノイエ・ジールには有線式ビーム砲がある訳か」

「恐らく、だけどね。もっとも、もしかしたら似て非なる物である可能性も否定出来ないよ」

 

 シーマの言葉に、なるほどと頷く。

 ちなみにゼロ・ジ・アールの時は、基本的にビーム砲は全てが固定式だった。

 いや、軍艦の砲塔をそのまま移植したのか、基部が動いて射角を広く取れるようになるというのはあったが、有線式ビーム砲ではなかった。

 それがノイエ・ジールになって有線式ビーム砲、あるいはシーマが言うように似て非なる物となっている可能性は十分にあった。

 

「そういう意味では、ノイエ・ジールは楽しみだな。……これでガーベラ・テトラがなければ、ノイエ・ジールが来てからアルビオン隊と合流というのもありだったかもしれないんだが」

「それもありかもしれないね。具体的にいつ到着するのかは分かってないけど、それでも数日……どんなに遅れてももう10日も掛からないって話だったし」

 

 そんなにすぐだったのか。

 そうなると、やっぱり一度月にいた方がよかったのかもしれないな。

 

「まぁ、もう出発してしまったし、それにガーベラ・テトラの件もあるしな」

 

 一応ある程度の訓練は行ったものの、実戦はまだやっていない。

 そうなると、ノイエ・ジールがあっても、まずはガーベラ・テトラを使おうと考えるのは、そうおかしな話ではない。

 

「アクセルならそう言うと思ったよ。……もしアクセルがノイエ・ジールに乗るのなら、私がガーベラ・テトラに乗ってもいいと思ったんだけどね」

「へぇ……そんなに気に入ったのか?」

 

 シーマはギャン・クリーガーで十分に満足してると思っていたんだが。

 実際、ギャン・クリーガーはジム・カスタムと比べても同等以上の性能を持っている。

 それはギャン・クリーガーとジム・カスタムの双方に乗った俺が一番よく理解していた。

 とはいえ、ギャン・クリーガーは基本的に宇宙での運用を前提としている。

 ギャン・クリーガーの武装であるビームランスはともかく、シェキナーは地上ではかなりの重量があって扱いにくいし。

 ただ、そのシェキナーはジム・カスタムの持つ武器とは比べものにならない威力を持つ複合兵装なので、純粋に攻撃力という点ではギャン・クリーガーの方が上だ。

 ……いや、シェキナーがなくても、ギャン・クリーガーはビームランスというビームサーベルよりも強力な格闘兵装があったり、ビーム砲付きのシールドを持っていたりする。

 そう考えると、シェキナーがなくてもギャン・クリーガーの方がジム・カスタムより攻撃力は上かもしれないな。

 もっとも、エース用の機体として設計されたギャン・クリーガーとは違い、ジム・カスタムはあくまでも汎用性を最優先にした形だ。

 特長がないのが特徴と言われるのが、ジム・カスタムというMSをよく表しているだろう。

 

「ああ、あの機動力は慣れない奴には荷が重いかもしれないけど、使いこなせるのならかなり強力な武器となるよ。それに腕部の110mm機関砲も相手の不意を突いた上で致命的なダメージを与えられるし。もっとも、相手の不意を突くという意味では、ビームガンの方が大きいだろうけど」

 

 シーマの言うビームガンというのは、手首の内側に装備したビームサーベル兼ビームガンの事だろう。

 実際、相手の不意を突くという意味では悪くない武器なのは事実だ。

 唯一にして最大の難点は、現在の技術レベルではビームガンの威力はかなり弱いという事だろう。

 それこそ近距離で使わないと攻撃力に期待出来ないといった程度の武器でしかない。

 これでもっと技術力が上がれば、ビームガンでもビームライフル並……とまではいかないが、それに近い攻撃力を有するようになるんだろうけど。

 いっそ、シャドウミラーの技術を……そう思わないでもなかったが、そうなるとUC世界での技術発展が阻害されそうなんだよな。

 ディアナがSEED世界の兵器メーカーと共同で兵器開発をしてる時点でそれはどうなんだと思わないでもないが。

 ともあれ、それはそれという事にでもしておくか。

 

「ビームガンのアイディアは俺が出したものだけど、それは悪くなかったみたいだな」

「そうだね。もっとも技術的にはまだ未熟だから、これから先の発展を待つ必要もあるんだろうけど」

 

 この辺りの技術的な発展は、そう遅くないうちにありそうな気がしないでもない。

 あくまでも俺の予想としてはそうなるということである以上、本当にそうなるのかどうかは分からないが。

 ……いっそ、セイラを通してディアナにその辺の技術を集中的に進めるように指示をだしてみるのもありか?

 そう思ったが、そうなればそうなったで他の技術の発展が遅れたりもしそうなんだよな。

 

「そこまで気に入ったのなら、ディアナで本格的に量産してみてもいいのかもしれないな。ギャン・クリーガーも悪い機体じゃないが、総合性能ではガーベラ・テトラよりも劣るだろうし」

 

 それに幸いな事に、ガーベラ・テトラはガンダム開発計画の機体……具体的には試作4号機をベースに開発された機体だというのは、外見からでは分からない。

 なら、量産をしても問題はないだろう。

 

「どうだろうね。私みたいに好む者は好むだろうけど、ギャン・クリーガーの方が好みだというパイロットもいるかもしれないよ?」

「その辺は使い分けといった感じになるだろうな」

 

 ルナ・ジオン軍として考えれば、使用するMSの機種は少ない方がいいのは間違いない。

 整備性とか予備パーツの件とかを考えると、尚更だろう。

 しかし、同時に軍として考えた場合、メカニックの技量を上げるという意味では多種多様な方がいいのも事実なのだ。

 

「まぁ、その辺の詳しい話はこの騒動が終わってからになるさね。……ああ、けどディアナの技術者達がアクセルの操縦データをベースにしてガーベラ・テトラを改修するといった事を考えていたみたいだよ?」

「へぇ、それは楽しみだな。具体的にどういう機体になるのかは俺には分からないが」

 

 ガーベラ・テトラの改修機……それはつまり、ガーベラ・テトラ改といったところか。

 それがどんなMSになるのか、楽しみにしながら俺はシーマと話を続けるのだった。

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