転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4199話

 模擬戦が終わり、ナスカ級とアルビオンは月に戻った。

 俺はメカニックと、ついでにディアナにもガーベラ・テトラ改についての要望を送る。

 そうして1日の休憩の後、ソロモンに向かって出発する。

 こちらに入ってきている情報によれば、既にソロモンにはかなりの連邦軍の戦力が集まっているらしい。

 それはつまり、軍艦も多数集まっているという事だ。

 これから観艦式をやると考えれば、軍艦が大量に集まるのも分からないではないが。

 

「連邦軍にしてみれば、そうして敵を……デラーズ・フリートを誘き出そうとしてるんだろうね」

 

 ナスカ級のブリッジで、シーマがそう言う。

 それについては既に全員が納得していたので、シーマの言葉を聞いても特に驚くような事はない。

 

「それで、デラーズ・フリートは動いてると思うか?」

「モニクから聞いた話が本当なら、間違いなく動くだろうね」

 

 シーマは1年戦争中はキシリアの配下だったので、ギレン派のデラーズについては詳しく知らない。

 俺は1年戦争が終わってペズンを接収しに行く時に遭遇した事があったと思う。

 ただ、それでも少し通信で会話をしただけなので、詳細な性格を把握する事は出来なかった。

 まぁ、ギレン信者だというのは分かったが。

 

「なら、キシリアの視点から見た場合はどうなる?」

 

 今まで何度も考えてはきたのだが、それでも何故キシリアとデラーズが手を組んでいるのか、その理由が未だに分からない。

 双方共に相手を利用しようとしているだろうとは思うが。

 ただ……そのような状況であっても、それでも素直にデラーズがキシリアと手を組むとは思えない。

 ギレン信者のデラーズにしてみれば、キシリアは自分の信仰の対象を暗殺した、どれだけ憎んでも憎み足りない相手なのだから。

 それでもこうして手を組んでいる以上、そこには間違いなく何か理由がある筈だ。

 ……まさか、キシリアがデラーズに降伏したとか、あるいはその逆とか、そういうのはまずないだろうし。

 

「自分で動く……というよりは、デラーズを使って何らかの謀略を考えているだろうね。……問題なのは、それが何なのか分からない事だけど」

 

 キシリアが企んでいる何か、か。間違いなくこっちにとっては嬉しくない事だろう。

 問題なのは、それが何なのかだな。

 

「いっそ火星まで向かってキシリア達の拠点に被害を与えるというのはどうだ?」

「……本気かい? そうなると、間違いなく連邦を刺激する事になるよ?」

 

 何故キシリアの拠点に攻撃するのが連邦を刺激する事になるのかは分からないが、それも政治だろう。

 それに現在連邦内部で力を持っている強硬派にしてみれば、キシリア派は自分達で潰したい筈だ。

 それを横から獲物を奪われれば、それこそ暴走してもおかしくはない。

 

「……そうだな。止めておくか。とはいえ、いつまでもこのままにするって事は出来ないだろうけど」

「残念だけど、向こうはこっちに手を出してはこないんだよ。その為、動くのは難しいだろうね」

 

 シーマが言うように、キシリア派がルナ・ジオンに攻撃をすれば、それを理由に大々的に介入する事も出来る。

 だが、キシリアもデラーズもそれが分かっているのか、月に対してはちょっかいを出してこない。

 その為……いやまぁ、それ以外にも理由はあるのだが、とにかく現在ルナ・ジオンから出せる戦力は、ガンダム開発計画に関係していた俺と、俺が乗るナスカ級と、その艦長でもあるシーマ達くらいとなる。

 

「ともあれ……」

「シーマ様、アルビオンから連絡です。どうやら敵を発見した模様!」

「はぁ? アルビオンは現在補給を受けていた筈だろう? なのに敵を見つけたのかい?」

 

 アルビオンで使うエネルギーや酸素、水の類は月で補給されたが、アルビオン用、そしてMSが使う武器弾薬、それにジム・カスタムやジム・キャノンⅡの補充パーツとかは、連邦軍の方で用意する事になる。

 武器弾薬ならルナ・ジオンでも用意出来るのだが、連邦軍にしてみればそれをルナ・ジオンに頼るのはプライドが許さないのだろう。

 そんな訳で、現在アルビオンは補給を受けている最中だった。

 勿論、そういう武器弾薬、パーツといった補給だけではなく、アルビオンに乗っている者達に手紙を届けたりとか、そういうのもあるらしいが。

 とにかく、そんな状況でアルビオンが敵を見つけるというのは……

 レーダーの性能ではナスカ級よりもアルビオンの方が上なのだろう。

 それが少し面白くなかったが、それでも敵を見つけたのは間違いない以上、こっちのやる事は決まっている。

 

「格納庫に向かう」

「ああ、そうしておくれ。他の連中にも出るように言っておくから」

「シーマは出撃しないのか?」

 

 シーマの性格を思えば、てっきりここで一緒に出撃してくるとばかり思っていたんだが、どうやら出撃しないらしい。

 それを疑問に思って尋ねると、シーマは即座に頷く。

 

「この宙域で敵と遭遇というのが少し疑問でね」

「ソロモンに向かってると考えれば、おかしくはないんじゃないか?」

 

 デラーズ・フリートの狙いがソロモンの観艦式であるとなれば……そしてジオン軍残党が色々な場所に散らばっているのを思えば、この場所でジオン軍残党と遭遇するのはおかしな話ではない。

 とはいえ、それでも色々と疑問はある。

 俺にとって宇宙空間というのは特に問題のあるような場所ではないが、俺以外の者達……このUC世界における一般人にしてみれば、宇宙空間というのは空気の存在しない場所だ。

 だからこそ、そのような場所では地球と違ってどこにでも拠点を持つという訳にはいかないのだ。

 あるいは、ムサイ級のような母艦を拠点としているという可能性もあるが……ムサイ級を始めとした母艦であっても、エネルギーや水、食料、空気といった具合に色々な物が必要だ。

 海賊をやってそれを賄うといったことも出来るが、そんな不確かな事でやっていけるとは到底思えない。

 かといって、まさか全てのジオン軍残党が小惑星基地とか用意出来たとは思えないし……そうなると、MSとかはどこかに隠しておいて、コロニーとかに紛れ込んでいたとか?

 取りあえず月では量産型Wやコバッタがいるので、そういう事は出来ないと思うが。

 とはいえ、これも絶対という訳ではない。可能性は低いものの、例えば月のどこかに誰にも見つからないように拠点を作る……いや、駄目か。

 1度や2度なら、あるいは月の周囲を守っているジェネシス、リーブラ、バルジ、ピースミリオンの目を盗んでどうにかなるかもしれないが、恒久的な拠点となると、量産型Wやコバッタの目を盗んで隠れ続けるというのは不可能だろうし。

 そう考えると、取りあえず月での心配はしなくてもいいという事になる筈だった。

 

「まぁ、とにかく……ジオン軍残党やデラーズ・フリートを見つけたのなら、逃がすという手はないな」

 

 正確に言えば、デラーズ・フリートもジオン軍残党の一種なのだが、それについては取りあえず置いておくとして。

 

「そうさね。とはいえ、私はここで船の指揮をする必要があるから、やっぱりこっちに残るよ。そっちについてはアクセルに任せるけど、いいね?」

「ああ、何かあった時の為に対処出来る戦力を用意しておく必要もあるだろうしな」

 

 敵を見つけたのは間違いないが、それが全ての戦力とは限らない。

 それこそ、見つかった敵が囮で、戦力の減ったナスカ級とアルビオンを攻撃するという可能性も否定は出来ないのだから。

 その為に、こうしてシーマをこっちに残しておくのだが。

 デラーズ・フリートがこちらの戦力をどこまで把握してるのかは、分からない。

 だが、それでもサイサリスを奪った以上、他のガンダム開発計画の機体を警戒するのはそうおかしなことではなかった。

 そんな訳で、恐らくだがデラーズ・フリートにとってフルバーニアンを運用しているアルビオンと、そのアルビオンと一緒に行動しているナスカ級は非常に邪魔な存在だと判断してもおかしくはない。

 だからこそ、ここで一気に沈めようと考えても理解は出来るのだ。

 ……もっとも、それはあくまでも向こうの考えでしかない。

 こちらが素直にそんな相手の要望に乗ってやる必要はないのだが。

 シーマと言葉を交わすと、俺は格納庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル・アルマー、ガーベラ・テトラ、出る!」

 

 その言葉と共にナスカ級の電磁カタパルトによって機体が射出される。

 そしてガーベラ・テトラに続くように、ガルバルディβが2機射出される。

 ナスカ級の戦力はガーベラ・テトラとギャン・クリーガー、後はガルバルディβが5機とメギロートが1機にバッタが3機だ。

 ……ナスカ級の搭載MSは9機なのに、11機? と思わないでもなかったが、メギロートはMSと同等の大きさなのでMS1機分と換算しても構わないのに対し、バッタは小型なので3機でMS1機分――正確には微妙に違ったりするが――という扱いになっていた。

 そんな訳で、戦力の多くをナスカ級に残してきた形にななるが、アルビオンからはMSが全機出撃しているとなれば、何かあった時はナスカ級の戦力でアルビオンも守る必要がある。

 そういう意味では、この状況は決して悪いものではなかった。

 とはいえ、これでアルビオンを責める訳にいかないのも事実。

 何しろアルビオンはMSが6機しか搭載出来ず、そしてMSは3機で1小隊という扱いなのだから。

 敵の反応がある以上、そこにまさか3機だけしか派遣しないという訳にもいかない。

 シナプスは決して頭が固い訳ではない。

 MSを4機と2機に分けるくらいはしてもいいと思うのだが……そうなったらそうなったで、こちらの戦力という意味でも少しやりにくいのは事実。

 なら、護衛についてはこっちに任せようと思ってもおかしくはない。

 もっとも、アルビオン単体でも相応に戦えるという自信があるのも事実だろうが。

 何しろアルビオンはペガサス級強襲揚陸艦だ。

 その性能は非常に高いので、アルビオンだけで相応の戦力として考えても問題はなかった。

 であれば、もし何か不測の事態があっても出撃したMS隊が戻ってくるまでの間は持ち堪えられると思っているのかもしれない。

 ……実際、その辺についてはどうにか出来るような気がしないでもないと思う。

 だからといって、完全に任せるといったことが出来るかどうかは、正直なところ微妙だと思わないでもなかったが、

 ともあれ、シーマが残っている以上は対処の方法もない訳ではないので、今はそんなに気にする必要はないのかもしれないな。

 そんな風に思っていると、やがて先行するアルビオンのMS隊に追いつく。

 すると、バニングのジム・カスタムがこちらに近付いて来て、手を伸ばす。

 接触回線?

 

『アクセル、指揮系統はどうする?』

 

 ああ、なるほど。それを確認したくて通信を送ってきたのか。

 

「基本的にそっちでいい。ただ、何かあった場合は独自行動をするけど」

『了解した』

 

 普通なら何かあったら指揮権を無視して行動すると言われれば、それは決して好ましい事ではない。

 だが、バニングにしてみれば俺達は……いや。俺は自由に動かした方が大きな戦力になると、1年戦争の時の経験から、そう理解しているのだろう。

 なら、最初から指揮系統を分けるなりなんなりすればいいのではないか。

 そうも思うが、あくまでも俺達の立場は援軍であり、メインはアルビオン……連邦軍だ。

 そうなると、やはりこの状況においては指揮権は向こうに任せておいた方がいいと思うのは、そうおかしな話ではなかった。

 

「それで指揮権についてはそれでいいとして、何か詳しい情報は?」

『バーミンガムの近くに敵がいるらしい』

「……バーミンガムに?」

 

 バニングからの情報に疑問を憶える。

 バーミンガム……正確にはバーミンガム級1番艦バーミンガムか。

 そのバーミンガムというのは、連邦軍再編計画において大艦巨砲主義の信奉者達が作った戦艦だ。

 大艦巨砲主義の者達のロマンが詰め込まれた戦艦だと言ってもいい。

 ただ、大艦巨砲主義の者達のロマンである以上、当然ながらMSの運用能力はないのだが。

 そういう意味ではMS母艦として使えない、時代遅れのコンセプトと言ってもいいだろう。

 だが同時に、それはあくまでもMSの運用母艦としては使えないというだけであって、それを抜きにして、純粋に戦艦……軍艦としての能力だけを見た場合、最新鋭の戦艦である以上、高性能な……最新鋭の能力を備えているのは間違いない。

 そんな最新鋭の軍艦が、離れた場所にいたアルビオンでも察知出来た敵の存在を察知出来なかったというのは……そこに違和感を抱くなという方が無理だろう。

 とはいえ、バーミンガムの性能が最高峰であっても、それを使う者達の能力が低ければ意味はない。

 大艦巨砲主義の者達の能力が低い……つまり、そういう事なのか?

 そう思うも、それでもやはり俺の中にある違和感が消える事はなかった。

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