転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4207話

『なるほどね。なら、アクセルがいた場所にはこっちから戦力を向かわせるよ。それとメギロートとバッタも残して貰えるんだろう?』

 

 映像モニタに表示されたシーマの言葉に頷く。

 

「そうなるな。シュツルム・ブースター・ユニットを使えばバッタはついてこられないだろうし。メギロートは一緒に来られるかもしれないけど、バッタだけを残すのもちょっとな」

 

 メギロートの機体性能はかなり高い。

 だが、バッタはそこまで高くはなく、デラーズ・フリートの兵士であれば撃墜するのも可能だろう。

 無人機故の挙動は最初戸惑うかもしれないが、慣れれば対処は可能だ。

 だからこそ、メギロートとバッタは一緒に動かした方がいい。

 もっとも、バッタの数がもっと多い……それこそ100機、200機といった数で運用出来るのなら、また話は違ってくるだろうが。

 それが無理な以上、やはりメギロートとバッタは一緒にした方がいいのだ。

 

『そうなると、アクセルだけ……ガーベラ・テトラだけになるけど、大丈夫かい? アクセルの事だから、心配するような事はないかもしれないけどね』

「何とかなるだろうから、その辺については心配いらない。ただ、俺がいた場所に20機ものMSを派遣してきた事を考えると、俺がいなくなったと気が付かずに、また大量のMSを派遣してくる可能性はある」

『……なるほど。そうなると私が行った方がいいね』

「だろうな、頼む」

 

 シーマの様子を見る限りでは、最初は部下を派遣するつもりだったのだろう。

 だが大量のMSが来るかもしれないとなれば、シーマ本人が出る必要があると判断したらしい。

 もっとも、デラーズ・フリートにまだ20機、あるいはそれ以上のMSを派遣出来るだけの余裕があるかどうかは微妙なところだが。

 それでも数が多い可能性がある以上、ギャン・クリーガーを操縦するシーマという戦力を派遣するのは悪い話ではなかった。

 

『ああ、任せて貰おうか。……このお礼は今度たっぷりとして貰うよ』

「そうだな。俺もそれを楽しみにしてるよ」

 

 そう言い、通信を切る。

 これで俺が守っていた宙域が抜かれるような事はない。

 後は、俺がガーベラ・テトラでサイサリスのいる場所に向かえばいいだけだが……

 

『アクセル中尉、ビームマシンガンは使えません』

 

 シーマに代わり、メカニックが映像モニタに表示される。

 シュツルム・ブースター・ユニットの装備が進められている間にビームマシンガンの様子を見て貰っていたのだが……その答えが、今の言葉だった。

 

「やっぱり駄目か?」

『はい。冷却が完了するまでは……もしくは、もっと時間があればビームマシンガンの砲身をそのまま交換するといった事も出来たのですが』

 

 悔しそうに言うメカニック。

 予備のビームマシンガンとかがあればよかったのだが、生憎とナスカ級にそれを積んでいない以上は仕方がない。

 

「無理なものは仕方がない。……ガルバルディβのビームライフルなら予備はあるか?」

『はい、そちらでしたら。……シェキナーでなくてもいいのですか?』

 

 メカニックがそう聞いてきたのは、シェキナーが極めて強力な複合兵装だからだろう。

 メガビームランチャー、ジャイアントガトリング、マイクロミサイルランチャーを1つに纏めているだけあって、非常に強力なのは間違いない。

 間違いないのだが、それだけの武装を1つに纏めている以上、どうしても大きくなってしまう。

 サイサリスとの戦いを考えると、取り回しが悪く使い慣れていないシェキナーを使うよりも、ガルバルディβが使っているビームライフルを使った方がいい。

 とはいえ、こちらはこちらで問題があるのだが。

 

「構わない。後はガーベラ・テトラに装備されている予備のEパックの取り外しを頼む」

 

 そう、ガルバルディβのビームライフルは旧式だ。

 いやまぁ、Eパック方式のビームライルフルはまだその技術が出来たばかりの試作品と考えれば、通常の……充電方式のビームライフルを旧式とは言えないのかもしれないが。

 旧式の……あるいは現行のと表現した方がいいのかもしれないが、とにかく充電方式のビームライフルを使うのなら、Eパックはいらない。

 ガーベラ・テトラに装備させておいても、邪魔になるだけだ。

 であれば、取り外して多少なりとも機体の重量を軽くした方がいい。

 メカニックもその辺りについては言われなくても分かっているのか、即座にガーベラ・テトラのEパックを取り外しに掛かる。

 幸い……幸い? 先程の戦闘で一度Eパックを交換していることもあり、ガーベラ・テトラが持っているEパックも決して多くはない。

 その為、Eパックの除去はすぐに終わり……

 

『アクセル中尉、準備終わりました! シュツルム・ブースター・ユニットの方も問題ありません! ただ、ガーベラ・テトラの実機で使うのは初めてなので……』

 

 申し訳なさそうにメカニックが言ってくる。

 メカニックにしてみれば、本来ならシュツルム・ブースター・ユニットはもっとしっかりとテストをやりたかったのだろう。

 とはいえそんな時間もなかったし、何よりシュツルム・ブースター・ユニットは基本的に使い捨てだ。

 回収すれば再利用は出来ると思うんだが。

 ともあれ、戦場に到着したら、シュツルム・ブースター・ユニットは排除する。

 あんなのをつけて戦闘をするのは、ちょっとな。

 実際にやってみれば出来るような気がしないんでもないんだが、それでもやらないのならそっちの方がいいのは間違いないが。

 

「気にするな。いざとなったら途中で排除するから。それじゃあ、出撃するから離れてくれ」

『ご武運を』

 

 メカニックがそう言い、ガーベラ・テトラは電磁カタパルトのある場所に向かう。

 シュツルム・ブースター・ユニットを装備したまま電磁カタパルトを使えるってのも、ある意味で凄いよな。

 さすがにMA……ゼロ・ジ・アールとかビグ・ザムとか、アプサラスとか、そういうのは使えないが、このくらいのシュツルム・ブースター・ユニットを装備したガーベラ・テトラであれば問題はないらしい。

 

「アクセル・アルマー、ガーベラ・テトラ……出るぞ!」

 

 その言葉と共に電磁カタパルトによりガーベラ・テトラが射出され、宇宙空間に出た瞬間にシュツルム・ブースター・ユニットを起動させる。

 もの凄い速度で宇宙空間を移動するガーベラ・テトラ。

 これが普通のMSであれば推進剤の量が気になるところだが、シュツルム・ブースター・ユニットは推進剤も中に入っていて、今はそれを消費している。

 勿論、ずっと使い続けていれば推進剤はなくなる訳だが。

 それでも、S-0の暗礁宙域に到着するまでは保つ筈……そう思った瞬間、どこからともなく、オープンチャンネルで途切れ途切れにだが通信が入ってくる。

 

『ソロモン……ジオンの騎士たる我、ニムバス・シュ……キシリア様の名の下……愚劣なる連邦軍再……その罪を知れ!』

 

 ミノフスキー粒子の影響であったり、単純に距離が離れている為だったり、とにかく全てを聞き取る事は出来なかったものの、それでもその声が誰のものなのかは、容易に理解出来た。

 というか、完全にではないが名前が聞こえてきていたし。

 ただ……これは、不味いんじゃないか?

 オープンチャンネルでこのような事を言ってるのだから、これはつまり特定の誰かに通信を送っている訳ではなく、通信が届く範囲にいる者達全員に対して自分の声を聞かせようとしているのだろう。

 ……デラーズが演説をした時は、きちんとした施設があったからこそ全世界に通信を送る事が出来たのだろう。

 だが、今のニムバスはサイサリスに乗っており、そこまで広範囲に通信を送る事は出来ない。……ミノフスキー粒子の影響もあるしな。

 それでもソロモンという言葉を出した以上、ソロモンの観艦式に参加している者達に対して通信を送っているのは間違いない。

 俺がそう思った瞬間、眩い……眩しすぎる光がソロモンの方に生み出される。

 夜中の夜明けといった表現が相応しい、そんな光景。

 ここは宇宙空間だし、時間的には真夜中という訳でもないのだが。

 ただ……それでも何が起きたのかは理解出来た。

 先程のオープンチャンネルの通信と、そしてニムバスが乗っているサイサリス。

 光が見えたのが、ソロモンのある方向。

 そうなると、何か起きたのか予想するのは難しい話ではない。

 

「やりやがったな」

 

 サイサリスの最大の特徴たる、アトミックバズーカ。

 核攻撃がソロモンで行われたのは明らかだった。

 これを知れば、恐らくニナは悲しむだろう。

 自分が開発した……実際にはサイサリスを開発したのは第2研究事業部の者達で、ニナはそこまで本格的にサイサリスの開発に関わっていた訳ではない。

 だが、それでも開発に関わっていたのは間違いなく、それによって観艦式に参加していた者の多くが死んだのだから、ニナにショックを受けるなという方が無理だった。

 

「ともあれ、そうなるとこれからどうするか。……取りあえずソロモンの方に向かうべきだな」

 

 シュツルム・ブースター・ユニットを制御し、進行方向をソロモンに向ける。

 シュツルム・ブースター・ユニットは機体に高い機動力を与えてくれるという意味では非常にありがたい装備だが、進行方向とかを変えるのがショルダー・スラスター・ポッドとかと違ってちょっとやりにくいんだよな。

 とはいえ、それでも今はまずソロモンに……より正確には、ソロモンでアトミックバズーカを撃ったサイサリスを追う必要があった。

 アトミックバズーカ……より正確にはそれに使った核融合弾は1発だけしかない筈なので、こうして観艦式に使った以上、サイサリスはもう脅威ではない。

 サイサリスもガンダム開発計画で開発された最新鋭MSである以上、高性能な……それこそ、この0083においてトップクラスの性能を持つMSなのは間違いないので、純粋にMSの性能として考えても厄介なのは間違いないのだが。

 ただ、それでも……そう。それでも核攻撃用に開発されたのは間違いない以上、その最大の利点がもう使えなくなったのは大きな意味を持つ。

 ……もう、核兵器を持ってないよな?

 デラーズ・フリートだけで考えれば、それでもおかしくはない。

 だが、キシリアがデラーズ・フリートに協力していると考えると……本当に核兵器を持っていないかどうかというのが分からないのも事実なんだよな。

 何しろキシリアだけに、何をやっても不思議ではないという不安がそこにはある。

 そんな事を考えつつ、シュツルム・ブースター・ユニットを最大で……そこに入っている推進剤を全て使っても構わないと考え、ソロモンの方に向かう。

 ニムバスの操縦するサイサリスに追いつく為に。

 とはいえ、実際にはどの方向にニムバスが逃げているのかが分からない以上、こちらとしても具体的にどこを目指すべきなのかは分からない……分からない? いや、違うな。

 確かにニムバスの操縦するサイサリスがどこにいるのかは、俺にも分からない。それは事実だ。

 だが、この世界は原作のある世界であるのも、また事実。

 いわゆるメタ的な考えではあるが、この世界に原作があり、ウラキという原作主人公がいて、ニムバスという敵キャラがいる。

 そのニムバスがサイサリスでソロモンの観艦式を襲撃し、それが成功して逃走。

 そしてウラキが機動性が高いフルバーニアンに乗っている事を考えると……

 

「フルバーニアンのいる場所に、ニムバスがいる」

 

 そう予想する。

 ……原作において、ソロモンで行われている観艦式がどうなったのかは分からない。

 あるいは俺が介入した結果、何らかの影響によって観艦式の襲撃を阻止する事に失敗した。そんな可能性も否定は出来ないのだから。

 勿論、それはあくまでも原作の話であって、俺が……そしてシャドウミラーがこの世界に介入した以上、話は大きく変わってくる。

 そう考えると、原作云々というのを考えるのがそもそも間違っているのかもしれない。

 とはいえ、それは今更の話だしな。

まずは敵のいる場所……ニムバスのいる場所に向かい、少しでも早く遭遇する必要がある。

 原作の事を考えれば、既にウラキがニムバスと戦っている可能性がある。

 原作知識は既に俺にはないが、原作という存在がある事を思えば、恐らく……本当に恐らくだが、ウラキがニムバスに勝つだろう。

 ……本当に勝てるのか?

 一瞬そんな風に思ったのは、実際のウラキの操縦技術を知ってるからだろう。

 ウラキはMSの性能を引き出すという意味では、間違いなく高い技量を持っている。

 だが同時に、純粋な操縦技術という点では決して高くはない。

 これでウラキがニュータイプであれば話は多少なりとも違ったのかもしれないが、ウラキは典型的なオールドタイプだしな。

 そんな風に思いながら進んでいると……

 

「見えた!」

 

 映像モニタに、予想通りフルバーニアンとサイサリスが戦っている光景が映し出されるのだった。

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