気になる方は「ガーベラ・テトラ改」で検索してみると、どういう機体なのか画像で見られます。
マイナーなMSなので知らない人も多いかもしれませんが、知らない人は是非調べてみて下さい。
かなり格好いいMSなので。
前話で出て来たのは、設定の奴に幾らか追加で改修されていますが。
この話の件で転生とらぶる1の設定集を追加しました。
https://syosetu.org/novel/179815/1.html
面白いと思ったら、評価の方よろしくお願いします。
「それで、次に案内するのはどこなんだ?」
ガーベラ・テトラ改の……正確にはまだ作っている途中だったが、ともあれガーベラ・テトラ改の見学を終えた俺は、クリスに引っ張られてまた別の場所に向かっていた。
次の戦い……デラーズ・フリートにとっては恐らく……いや、確実に乾坤一擲の戦いとなる、コロニー落としを巡っての戦い。
それを止めるの為の戦力として用意された機体らしいが、ガーベラ・テトラであっても正直戦い抜けるとは思う。
ガンダム開発計画によって開発され、それを改修されて作られたガーベラ・テトラはそれだけの性能を持つMSなのは間違いない。
特にショルダー・スラスター・ポッドは秀逸の出来だ。
ガーベラ・テトラ改ではそのショルダー・スラスター・ポッドを改修して、更にはサイサリスのフレキシブル・スラスター・バインダーを組み合わせたりしていたので、よりMSの性能は高くなっているだろう。
だが、幾ら性能の高いMSであっても、それが使えなければ……完成していなければ、意味がない。
そんな感じの事をクリスに言ったところ、今こうして俺は次の場所に案内されていた訳だ。
「ふふっ、お楽しみよ。……もっとも、アクセルはもうこの件については聞いている筈だから、それを思い出せばいいだけだけど」
「……俺が?」
クリスの言葉から考えると、そこには間違いなく何かがある筈だった。
とはいえ、それが具体的に何なのかは俺にも分からない。
ただ、クリスがこういう事で嘘を言うとは思えない。
それはつまり、違いなく何かがあるという事を意味していた。
そうして悩むが……俺が答えに辿り着く前に、クリスは足を止める。
「残念だけど、時間切れね。答えはこの中にあるわ」
そう言い、ガーベラ・テトラ改の格納庫に入る時と同様……いや、それ以上に厳しいセキュリティを解除し、扉を開ける。
クリスは俺に部屋の中に入るように促す。
そんなクリスの様子に、俺は素直に格納庫の中に入ると……
「これは……凄いな」
格納庫は、ガーベラ・テトラ改が収納されていたのよりも大きい。
そこにあるのは、MS……ではなく、MA。
緑色をベースとしたカラーリング。
そのカラーリングに目を奪われながらも、改めてその機体を確認していく。
イメージとしては……羽根を広げた蝶といったところか?
優美という表現が相応しい。
まるで、セイラ率いるルナ・ジオンの精神が形になった……という表現は、俺らしくはないか。
ただ、優美だから弱そうに見えるかと言えば、それは違う。
優美でありながら凶悪さをも感じられる機体だった。
また、そのMAの全体像を改めて見てみると、そこにはどこか既視感に近いものがある。
……いや、これは既視感じゃないな。見覚えが?
そう思った時、理解した。
「ゼロ・ジ・アール?」
「正解。これはアクシズで開発されたゼロ・ジ・アールの後継機、ノイエ・ジールよ」
「あー……あー、あー、あー、あー」
クリスの言葉で思い出す。
そう言えば、アクシズから新型のMAをルナ・ジオンに……より正確には俺に献上する為に艦隊が派遣されていて、もうすぐ到着するとか何とか聞いた気がする。
その時にノイエ・ジールという名称を聞いたのかどうかはちょっと思い出せないが。
「なるほど、これがあの……言われてみれば、ゼロ・ジ・アールより随分と洗練されたように思えるな」
ガーベラ・テトラ改がガーベラ・テトラと比べて洗練された形になったように思えたのと同様、このノイエ・ジールもまたゼロ・ジ・アールと比べると洗練された機体になっているように思える。
特に大きいのは、ゼロ・ジ・アールでは機体の各所に装備されていたビーム砲が、軍艦のビーム砲の砲塔をそのまま移植したかのような物だったのに対し、ノイエ・ジールは違う。
まぁ、砲塔型も外見に少し違和感があるものの、射角がある程度自由になるという点ではかなり便利だったが。
このノイエ・ジールは、そういう砲塔型のビーム砲はない。
となると、一方向にしか攻撃出来ないのか?
そうも思ったが、ノイエ・ジールを開発した者達がその辺りについて考えていないとは思えない。
だとすれば、何か別の理由があるのだろう。
「性能については……そうね。私も仕様書をざっと読んだだけだけど、聞いてみる?」
「ああ、頼む。何があったのか知りたい」
「まずはスペックから説明するわね。頭頂高が76.6m。本体重量が198.2t。全備重量が403.5t。装甲材質はチタン合金セラミック複合材。出力75800kw。推力1938000kgといったところね」
「……まさに、MAって感じだな」
クリスの説明に、改めてノイエ・ジールに視線を向ける。
特に目を引くのは、出力だ。
現在のMSの出力が1000から2000kwといった事を考えると、このノイエ・ジールの出力が一体どれだけのものなのかが分かりやすいだろう。
いやまぁ、MSと一口に言っても色々と違いはあったりするが。
実際、水陸両用MSの出力は基本的に高いし。
ただ、一般的なMSとなると大体そんな感じだ。
そして出力が高ければ、当然ながら多数の武器であったり、あるいは機体の動きが素早くなる。
勿論、頭頂高が76m以上……80m近い巨大さだ。
単純にMS用の動力炉を複数内蔵するといった事も出来るだろう。
あるいは、ノイエ・ジールがアクシズにとって最新鋭MAであると考えれば、動力炉も最新型の物を使っていてもおかしくはない。
特にアクシズはルナ・ジオン傘下の組織となる。
そうなると、当然ながらルナ・ジオンの技術が提供されてもおかしくはない。
そしてルナ・ジオンには、ギニアス・サハリンという動力炉の第一人者がいる。
その辺りの技術がアクシズに流れたと考えれば、それによってノイエ・ジールの動力炉を構成されていると考えてもおかしくはない。
あるいは、MAという点ではノイエ・ジールとアプサラスは同じだ。
その辺りで情報交換をしていても、俺は特に驚いたりはしない。
「性能だけじゃなくて、武器もMAって感じよ?」
自信満々といった様子のクリス。
別にクリスがノイエ・ジールを開発した訳ではないのだが、それでも俺に説明出来るのが嬉しいのだろう。
気分良く説明しているクリスの言葉をわざわざ遮る必要もない。
その為、俺はクリスの言葉を素直に聞く。
「まず、ノイエ・ジールの最大の武器であるメガカノン砲。胴体の中央部に装備された、ノイエ・ジール最大の火力を誇る武器よ」
「……なるほど」
有り余る程の出力を存分に使って行うノイエ・ジール最大の火力か。
ゼロ・ジ・アールを操縦した経験からすると、MSは勿論、軍艦……戦艦であろうとも、数隻纏めて撃破出来るだけの威力があってもおかしくはないな。
「次に特徴的なのは、有線クローアームよ、これはアクセルが好みそうな複合兵装になるわね、掌の部分にメガ粒子砲の砲口があって、ブラウ・ブロのように使う事も出来るし、ビームサーベルとしても使用可能よ。また、先端のクローそのものが非常に強力な武器となっていて、ルナ・チタニウム合金の装甲であっても握り潰せるだけの威力を持っているわ」
「それは……素直に凄いな。というか、ブラウ・ブロのように有線でビーム砲を使うとなると、シムス辺りがそれを知ったら興味を抱くんじゃないか?」
兵器開発メーカーであるディアナではなく、ニュータイプ研究所のアルテミス。
シムスはそのアルテミスに所属する研究者で、ニュータイプ用MAのブラウ・ブロの開発者でもある。
純粋にニュータイプ用MAとなると、エルメスという一種の完成形がある。
勿論、エルメスも今となっては色々と改良点はあるが。
具体的には機体がちょっと大きすぎるとか、敵に近付かれた時の為の装備が必要だとか。
とはいえ、ニュータイプ能力でビットを使い、遠距離から攻撃出来るというのは非常に大きい。
そういう意味では、改善の余地はあるものの、コンセプト的には既に完成していると言ってもいい。
だが……同時に完成しているMAだけに、必要とされるニュータイプ能力は高い。
セイラは問題なく扱えるだろうし、俺との接触だったり抱かれたりだったりで、こちらもニュータイプ能力が強化されたクスコなら問題なく使えるだろう。
だが、マリオンになると……使えはするが、使いこなすのは難しいかもしれない。
実際に試した訳ではないので、もしかしたらそれでも普通に使えるかもしれないが。
ともあれそんな訳で、無線のビットを使いこなすとなると非常に高いニュータイプ能力が必要となる。
だが、それとは違いブラウ・ブロやジオングのような有線ビーム砲の類は、ニュータイプ能力が低くても使用は出来る。
それどころか、ブラウ・ブロは有線ビーム砲を専門に動かす者がいれば、ニュータイプではなくても普通に使う事が出来る。
そういう意味で、有線は限界はあるものの、使い勝手という点は非常にいい。
だからこそ、シムスもこの有線ビーム砲を発展させようとしているのだが、今のところ進展はない。
いや、実際にはあるのかもしれないが、俺の耳に入るだけの大きな進展はない。
そんなシムスにしてみれば、ノイエ・ジールの有線クローアームはかなりの驚きだろう。
それこそ、これをベースに新たなシステムを開発してもおかしくはないくらいに。
「もうデータを入手して、研究してるらしいわよ」
「あ、やっぱり」
クリスが若干の呆れと共にそう言ってくる。
「ただ、この有線クローアームも難点があるわ。ニュータイプじゃなくても制御出来るけど、基本的にはコンピュータによる補助が必要なのよ」
「補助って事は、完全にコンピュータによる制御って訳じゃないんだな?」
「え? ええ。まぁ、そうね。その辺は技術力不足というのもあるんでしょうけど」
「そうなると、コンピュータによる補助は最低限で、実際にはほぼ全てを手動で動かす事も可能なのか?」
「……出来るけど、かなり難しいわよ?」
「実感があるな」
「少し試してみたから」
そう言いつつ、クリスは難しい表情になる。
その言葉通り、実際に試してみたところ、難しかったらしい。
……シーマだけではなく、クリスもまた魔力や気の訓練をホワイトスターで行っている。
つまり完全ではないにしろ、身体強化は出来ている訳で……ガーベラ・テトラのような加速力のあるMSに乗っても、それによって怪我をするといった事はない筈だ。
もっとも、今回問題になっているのは有線クローアームの手動操作……つまり、マニュアル操作だ。
魔力や気で身体強化をしても、マニュアル操作に必要なのは身体強化ではく、並列思考的な能力となる。
この手の能力も訓練をすればある程度使えるようになったりするので、そういう意味では絶対に無駄という訳でもないのだが。
「この手の兵器は一種の慣れもあるしな」
実際、俺の場合は並列思考もそうだが、何よりもニーズヘッグ……いや、それ以前のアシュセイヴァー、グロウセイヴァーの時からこの手の兵器を使っているというのが大きい。
似てはいるものの、システム的に別物なのも事実だが。
ファントムとかと全く同じように使うのは不可能だが、同時にその経験が全く使えないのかと言えば、それは否だ。
そういう意味でも、有線クローアームは俺に合っている武器なのは間違いない。
「凄いわね」
「まあな。それで、他の武器は?」
「色々とあるわよ。まず、偏向メガ粒子砲が9門。これは両肩の部分を中心に装備されていて、ある程度の射角を付けて撃つ事が出来るわ」
「……なるほど」
ゼロ・ジ・アールの時には砲塔型のビーム砲……メガ粒子砲があったが、それが進化した形か。
まぁ、砲塔型はどうしても目立つし、敵の中に相応に腕の立つ者がいた場合、そこを狙われる可能性もある。
そういう意味では、装甲の外側にある砲塔型と違い、内蔵されて狙われにくくなった偏向メガ粒子砲というのは十分にありなのだろう。
「後は偏向メガ粒子砲じゃないけど、普通のメガ粒子砲が6門。胴体、肩、後部スカート部とかにもあるわね」
「……全身にメガ粒子砲か」
「ええ。大きいだけに、どうしてもその辺の対応は難しいのよ。それと武器は他にも、現在は肩部分に収納されているけどメガ粒子砲とビームサーベルを展開出来るサブアームが左右2本ずつの合計4本。後は、機体後部の大型ミサイルランチャーと機体左右の小型ミサイルランチャーがあるわね。それとビグ・ザムでも使われたIフィールドを左右の肩のバインダーに1基ずつ、背面のテール・バインダーに2基ずつで合計4基あって、機体全体をIフィールドで覆う事が可能になっているわ」
何故か自慢げに言うクリスだったが、実際にその言葉は俺を驚かせるには十分な内容だった。