転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4214話

 ノイエ・ジールの説明を聞いた俺は、早速試してみる事にした。

 一応ノイエ・ジールをアクシズからの先遣艦隊から受け取ったディアナは、俺用に調整はしたらしい。

 ただ、それはあくまでも推測による設定でしかない。

 実際に乗ってみて、ここがこう、この数値はこう、反応速度について……といったように、様々な数値を設定する必要がある。

 これでMSなら、設定を決めるのもそこまで難しくはないのだろう。

 だが、これはMA……それも最新鋭のMAである以上、俺に合わせてしっかりと設定する必要があった。

 ディアナの面々にとってせめてもの救いは、俺が以前ゼロ・ジ・アールに乗っていた時のデータが残っていた事だろう。

 勿論、ノイエ・ジールとゼロ・ジ・アールでは、その性能は大きく違う。

 違うのだが、それでも基準となるデータがあるのとないのとでは、設定する時の効率が段違いだ。

 そんな訳で、現在ノイエ・ジールの各種設定の数値はゼロ・ジ・アールをベースにしてディアナの技術者達が算出したものとなる。

 俺にしてみれば、それで大体は動かせるので問題はないのだが……ディアナの技術者やアクシズから派遣された技術者達も、現在の最新鋭MAであるノイエ・ジールのデータ収集は是非とも行いたいと思っており、だからこそ最善な数値を設定したいと考えるのは分からないでもなかった。

 

「じゃあ、始めるぞ。アクセル・アルマー、ノイエ・ジール……出る!」

 

 そう言うと同時に、ノイエ・ジールのスラスターを噴射し、移動を始める。

 ノイエ・ジールの巨大さを考えれば、ナスカ級での運用は出来ない。

 それこそグワジン級やドロス級でもなければ、使うのは不可能だろう。

 だからこそ、基本的にはナスカ級の中ではなく外でケーブルで牽引する形で運ぶ事になる。

 ……宇宙用MAでよかったな。

 これがもし地上で使うとなれば、牽引するのも一苦労だった筈だ。

 あるいは、アプサラスと同じように基地から直接飛び立つような感じになるのかもしれないな。

 そんな風に思いながら、俺はノイエ・ジールを操縦しながら宇宙空間を飛ぶ。

 

『アクセル、調子はどう?』

 

 映像モニタにクリスの顔が表示され、そう聞いてくる。

 その表情に心配の色はない。

 混沌精霊なので、もし万が一にもノイエ・ジールが何らかの不具合で爆発した場合であっても、俺は無傷で脱出すると理解しているからこその言葉だろうが。

 

「そうだな、問題ない。加速性は秀逸だよ。ただ……」

 

 そこまで言い、ノイエ・ジールの各種スラスターやAMBAC肢を使って細かく動くが……

 

「運動性という意味では、ガーベラ・テトラには及ばないな」

『比べる相手が悪いわよ』

 

 俺の言葉に、呆れたようにクリスが言う。

 そう言われればそうか。

 MS……しかもコスト度外視の最新鋭MSのガーベラ・テトラとノイエ・ジールでは、方向性が違いすぎる。

 シュツルム・ブースター・ユニットの件を考えると、加速力という点では同じような感じがしないでもなかったが。

 

「そうだな。実際、ノイエ・ジールもその気になればガーベラ・テトラと同じくらいの運動性は出せる……と思うし」

 

 ただ、その場合はスラスターとかに結構な負担を掛けたりしそうなので、機体の消耗が激しい事になりそうだが。

 

『アクセルなら出来るでしょうけど、今は止めておいてね。まだ実戦らしい実戦もしていないのにいきなりそういうことになったら、開発者達が泣く……いえ、絶望するでしょうから』

「……そうだな。止めておく」

 

 ノイエ・ジールがゼロ・ジ・アールの発展系だと考えると、つまりノイエ・ジールの開発メンバーというのは、ゼロ・ジ・アールの開発メンバーがそのままスライドしてきた可能性が高い。

 ゼロ・ジ・アールの件でそれなりに恩を感じている身としては、そのような者達を悲しませたいとは思えなかった。

 それに有能な者達である以上、ノイエ・ジールの更に後継機を作ってくれるかもしれないのだから。

 

「さて、運動性の話については置いておくとして……少し機体を動かしてみるから、データの方を頼む」

『任せて』

 

 クリスと短く言葉を交わしてから、俺はノイエ・ジールを宇宙空間で動かす。

 地上で使われる事は全く考えておらず、最初から宇宙用として開発されただけの事はあり、宇宙空間での操縦性は悪くない。

 ……当然ながら、機体の反応速度は俺が満足するようなものではなかったが、これはもうそういうものだと諦めるしかなかった。

 これがMSならもう少しはマシなのだが、MA……それもノイエ・ジールのような巨体となってしまうと、どうしてもその分だけ反応速度は遅くなってしまう。

 その辺は人によっても感じ方は違うのだが……俺の場合、混沌精霊としての身体能力があるので余計にそう感じてしまう。

 ただ、だからといって駄目な訳ではない。

 実際ノイエ・ジールの反応速度は遅いものの、それでもゼロ・ジ・アールと比べれば改善している。

 こういう点でも、俺がゼロ・ジ・アールやノイエ・ジールを開発したスタッフを優遇したいと思う理由だった。

 そんな風に思いながら、宇宙空間を自由自在に飛び回る。

 加速力もそんなに悪くない。

 とはいえ、ゼロ・ジ・アールと同様にノイエ・ジールもコンピュータの補助とかがそれなりに多い。

 もっとも、それがあっても普通のパイロットにはノイエ・ジールを使いこなすのは難しそうだったが。

 ただ、その辺については俺の場合は別だ。

 なので、機体制御をしつつ、少しずつコンピュータの補助を切っていく。

 そして30分程の間宇宙空間を飛び続けた結果……

 

『呆れたわね』

 

 その言葉通り、クリスの呆れた表情が映像モニタに表示されていた。

 現在、俺はノイエ・ジールをコンピュータの補助がない状態で操縦している。

 実際には普通にMSを操縦する時に必要なくらいの補助は当然ながらしているのだが。

 しかし、それはつまりノイエ・ジールをそのような状況で操縦しているという事を意味してもいた。

 とはいえ、俺にしてみればそこまで大変な事でもない。

 ……T-LINKシステムがあれば、操縦するのはかなり楽になるのは間違いないんだけど。

 自分でも無理を言ってるのは分かるので、その辺については何かを言うつもりはないが。

 もっともUC世界でそういう事を言えば、T-LINKシステムじゃなくてニュータイプ用のサイコミュの方に力を入れられるんだろうけど。

 

「エースパイロットならこういう事も出来るって証明されたんだから、そういう意味では悪くないんじゃないか?」

『……そうね。問題なのは実際にそれが出来るエースパイロットがどれだけいるかだけど』

「ガトーなら問題ないと思うが?」

『……何でここでガトーさんが出てくるの? それこそ、こういう時はMA隊を率いているレズナーさんが出てくるんじゃない?』

 

 不思議そうに言うクリスに、俺はそう言われれば……と思う。

 そう、何でここでガトーの名前が出たんだ?

 それこそ普通ならクリスが言うように、MA隊を率いているケリィの名前が出るのが普通だろう。

 何しろ、このノイエ・ジールは宇宙用のMAなのだから。

 もっとも、地上用のMAであれば、その時はアイナの名前が出るだろう。

 何しろ地上のルナ・ジオン軍において、MAを操縦するのはアイナなのだから。

 地上にいるルナ・ジオン軍の中でも、ガトーがトップエースなのは変わらない。

 それこそ、ノリスやヴィッシュと同等の技量の持ち主なのだから。

 だが……それでもやはり、ノイエ・ジールの操縦について、ガトーが出てくる理由は分からない。分からないけど……うん? いや、ちょっと待った。

 もしかして、これは俺の中にある原作知識に関係したりしていないか?

 俺の原作知識は、ペルソナ世界におけるニュクスとの戦いによって破壊された。

 あるいは消滅させられたといった表現の方が相応しいのかもしれないが。

 とにかくそんな感じな訳で、だからこそニュクスとの戦い以後は原作知識を使う事が出来なくなった。

 だが……それでもこの場でこうしてノイエ・ジールの操縦においてガトーの名前が出るという事は、もしかしたらガトーがガンダム開発計画の原作キャラだったのではないか。

 しかも、デンドロビウムではなくノイエ・ジールにおいて名前が思い浮かんだという事は、実はガトーはノイエ・ジールのパイロットだった可能性がある。

 ……今更の話か。

 確定ではないにしろ、俺の原作知識からすると、その可能性はある。

 あるのだが、だからといってそれがどうした? というのが今の俺の正直な気持ちだ。

 もし原作でそうではあっても、この世界においては違う。

 であれば、俺がその件についてそこまで気にする必要はない。

 

『アクセル? どうしたの?』

「ん? ああ、いや。何でもない。機体を動かすのに必要な制御については問題ないから、次……有線クローアームのテストに移りたいと思ってな。そっちの方は問題ないか?」

『ええ、大丈夫よ。アクセルがやりたいようにやってちょうだい』

 

 クリスの言葉に頷くと、有線クローアームを使用する。

 最初はコンピュータ制御に任せて。

 宇宙空間を飛びながら、ある程度動き回るのを観察する。

 1分程観察すると、大体の事は分かった。

 幾つかどう動くかのパターンが設定されており、それをコンピュータの方で判断し、動かしている感じか。

 一定の実力以下の者であれば、コンピュータのパターンによる攻撃でもそれなりに効果的だろう。

 だが、それはつまり一定以上の実力の持ち主……ベテランくらいの実力の持ち主を相手にするとなると、パターンを読まれてしまってもおかしくはない。

 もっとも、それはあくまでも今の状況での話だ。

 パターンを増やし、その組み合わせのランダム性を増す事が出来れば、ベテランにも通用するだろう。

 それはつまり、ベテラン以上の実力を持つ者には通用しないという事なのだが。

 そしてジオン軍残党……デラーズ・フリートのMSパイロットというのは、最低限がベテランだろう。

 勿論、全員が確実にそうだとは言わない。

 中にはどうしても技量が足りず、新人以上ベテラン未満といった者もいる……いる……うーん、どうだろうな。

 デラーズ・フリートはMSの数が決して多くはない。

 そうである以上、MSパイロットになれるという時点で、相応の実力はあると思ってもいい筈だ。

 そうなると、やっぱりコンピュータ制御では効果的ではないだろう。

 それでも相応の攻撃手段にはなるだろうが。

 そんな訳で、コンピュータ制御の割合を少しずつ減らしていく。

 ……なるほど。これは普通の、慣れていない者にとってはちょっと難しいかもしれないな。

 もしくはブラウ・ブロで有線ビーム砲用の専用パイロットがいたように、有線クローアーム専用のパイロットでもいれば、負担は軽くなるかもしれないが。

 それこそ準エースと呼ばれるような者達では大半の者が有線クローアームをマニュアルで操縦するのは難しいだろう。

 全員が無理という訳ではなく、中には操縦技術そのものはそこまでではなくても、有線クローアームの操縦に適性のある者とかはいそうだけど。

 ともあれ、有線クローアームのコンピュータ制御の割合をどんどん下げていき……そして有線クローアームのテストをしてから1時間程経過した時、既に俺は完全にマニュアルで有線クローアームの操縦を行えるようになっていた。

 

『予想はしてたけど……一体、アクセルの頭の中ってどうなってるのかしらね』

 

 クリスのそんな言葉を聞きつつ、次に有線クローアームを使った攻撃を試す。

 普通にクローを尖らせた……ズゴックとかのクロー攻撃に近いのとか、有線によるコントロールをしながらメガ粒子砲を撃ったり、あるいはビームサーベルを展開してみたり。

 そんな感じで動かしながら、宇宙空間に浮かぶデブリを破壊していく。

 ビームサーベルは勿論強力だが、普通にクローアームによる攻撃もかなり強力だな。

 一通り有線クローアームの操縦を終えると、次に俺が行ったのは……ノイエ・ジールの特徴、ビグ・ザムの系譜である事を示すかのような、メガ粒子砲の確認だった。

 機体各所に装備されているメガ粒子砲を、オートではなくマニュアル……手動で狙いを付けて発射していく。

 俺用に調整されているという事もあり、狙いもある程度は俺の意思通りにつけられる。

 また、ノイエ・ジールの最大火力であるメガカノン砲もその威力は非常に高い。

 総合的に見て、かなり高性能なMAなのは間違いなかった。

 ゼロ・ジ・アールの上位互換といった感じか。

 ……ゼロ・ジ・アールの後継機種なのだから、上位互換なのは当然の事なのだが。

 そんな風に思いつつ、俺は思う存分ノイエ・ジールの操縦を試し……それが終わった後で、ノイエ・ジールは俺用に本格的に調整されるのだった。

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