転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4227話

「なるほどね。……アクセル、このコロニーの使い道だけど、私に任せてくれるかい?」

 

 ナスカ級がコロニーの宇宙港に入ってきて、そこで俺はシーマに軽く事情を説明した。

 今はこのコロニーも俺が設定した宙域に向かって移動を始めているので、取りあえずこのコロニーが地球に落ちる心配はない。

 だが、もう1基のコロニーについてはまだソーラ・システムが発射されていないこともあってか、こちらと同じように移動先を変更するか、あるいはソーラ・システムで破壊するようにサポートする必要がある。

 とはいえ、このコロニーの件が問題なくなっただけでも大きい以上、そこまで長い時間ではないが、多少ならシーマと話をする時間があった。

 そんな中でシーマが口にした、コロニーを任せるという言葉。

 それが気になり、詳しく……は無理だが、簡単にだが話を聞く事にする。

 

「構わないけど、理由は教えて貰えるんだよな?」

「ああ。……実は、ラビアンローズを守っていたのはゲール達だった」

「それはまた」

 

 ゲールはシーマの古馴染みだ。

 そんな相手と戦う事になったのだから、シーマの様子がおかしいのは理解出来た。

 もっとも、シーマの様子がおかしいと感じられたのは、俺だからなのだろうが。

 シーマと同じく俺の恋人達以外、あるいは1年戦争時代からの部下くらいしか、シーマの異変には気が付いていなかっただろう。

 

「……ゲールの奴も安心して死んだから、後悔はない……とは言えないけど、そこまで引きずってはいないよ。ただ、ゲールから死ぬ前に茨の園の情報を貰ったんだよ」

「茨の園?」

「ああ、サイド5……いや、旧サイド5の暗礁宙域にある、デラーズ・フリートの本拠地だよ。何でも壊れたコロニーの残骸を使って作った拠点らしい。……そしてここに、普通に使えるコロニーがある」

「なるほど」

 

 シーマの言いたい事は理解出来た。

 何でゲールがシーマに茨の園についての情報を渡したのかは、分からない。

 分からないが、宇宙で使える拠点が増えるというのは決して悪い事ではないだろう。

 宇宙における拠点というのは、多ければ多い程にいい……とまでは言わないが、それでもある程度の数は必須となる。

 特に連邦軍で強硬派が強い影響力を持っている以上、何かあった時の為にしっかりとした戦力が必要となるのは明らかだ。

 であれば、デラーズ・フリートが使っていた茨の園はルナ・ジオンにとって重要なのは間違いない。

 それに……デラーズ・フリートの本拠地という事であれば、ドラッツェの生産ラインも残っているだろう。

 ドラッツェはザクⅡF2とガトルのニコイチのMSで、正式には新型MSという訳ではない。

 使い道という点でも……まぁ、ぶっちゃけルナ・ジオンにおいてはそうないだろう。

 ガトルを使っているだけあってドラッツェは高い機動性を持つが、高機動という事であればルナ・ジオンにはヅダがあるしな。

 以前の、ルナ・ジオンが改修する前のヅダなら、ザクⅡF2をベースとして使われているドラッツェの方が信頼性でも高かったんだろうが……今のヅダはルナ・ジオンで改修され、しっかりと信頼出来るMSになってるしな。

 その高い機動性を活かして偵察や狙撃といった特殊な仕事を任されている。

 もし茨の園でドラッツェの生産ラインを確保したとしても、俺達がドラッツェを採用する事はないだろう。

 なら、何故ドラッツェの生産ラインが欲しいか。

 それは単純に、資料的な意味でだ。

 また、その生産ラインを作り替え、ガルバルディβやギャン・クリーガー、ヅダの生産ラインにしてもいい。

 ともあれ、茨の園をそうして新しく使えるようにするには、このコロニーが必須というのがシーマの意見だった。

 

「分かった。ただ、それを全て俺達だけで決めるのはどうかと思う。セイラとか、ルナ・ジオンの上層部にもしっかりと話を持っていって、それで許可を貰ってくれ。それで許可を貰えたのなら、俺としては構わない」

「……悪いね。じゃあ、取りあえずこのコロニーは私達が月まで運ぶよ。けどそうなると、もうこの戦いに関与は出来ないけど……大丈夫かい?」

「全く問題がないかと言えば、それは微妙なところだ。けど、既にこうして地球に落ちる筈だったコロニーは1基確保したし、もう1基もソーラ・システムを使って対処するつもりらしいから、何とかなるとは思う。それに……しっかりと補給と整備はして貰ったしな」

 

 現在、ノイエ・ジールは補給と整備が行われている。

 推進剤とか、ミサイルとか。

 後は俺が操縦したという事で、機体の色々な部分に負荷が掛かっていないかといったように、調べている。

 勿論、整備の方は厳重に行っている訳ではない。

 時間がないので簡易的な整備だけだが、それでも何もやらないよりはいいのは間違いなかった。

 

「だと、いいんだけどね」

「……何か不安な点があるのか?」

 

 シーマの様子に何かがあるのかと尋ねるが、シーマは微妙な表情で口を開く。

 

「デラーズ・フリートの演説を思い出すと、素直にこれで終わるとは思えないんだよね」

「……まぁ、そう言われると俺も否定は出来ないが」

 

 ギレン信者のデラーズだが、それだけなら問題はない……いや、あるが、そこまで大きな問題ではない。

 だが、そのギレン信者のデラーズに高いカリスマ性があるのが、今の場合は大きな問題だった。

 もっとも、そのデラーズも俺が殺したので、これからの事は心配しなくてもいい……とはならない。

 英雄は死んだ後の方が使い勝手がいいというのは何かで見た言葉だが、それはこの場合も同じだ。

 デラーズが死んだからこそデラーズを英雄視し、活動するジオン軍残党とか普通にいそうなんだよな。

 

「それでも何とかするしかないだろ」

「だろうね。……じゃあ……ああ、いや。その前にアクセルにはまだやる事があったね」

「やる事? ……あー……うん」

 

 言葉の途中で、離れた場所からこちらを気にしているニナとルセットの姿を確認し、シーマの言いたい事を理解する。

 先程の通信でも、ルセットはデンドロビウムについて聞きたがっていた。

 ルセットにしてみれば、自分の開発したデンドロビウムを直接乗ってではなく、戦った相手として俺がどのように思ったのか気になったのだろう。

 ニナの方は……うん。まぁ、今の俺とニナの関係は本当に微妙な感じだ。

 友達以上恋人未満といったところか?

 ニナが俺の現状を受け入れればすぐにでも恋人になれるのだが、ニナは今はまだその辺について完全に納得出来てはいない。

 その為、微妙な関係なのは間違いなかった。

 

「じゃあ、頑張りな。私はコロニーについて報告を受けてくるから」

 

 そう言い、シーマはその場を立ち去る。

 ……こうしている今も、もう1基のコロニーは地球に向かって進み続けている。

 そんな中でこうしてゆっくりしていてもいいのか? という思いはあったが、ノイエ・ジールの補給と整備が終わらないと出撃出来ないの間違いないし、阻止限界点まではまだ余裕があり、ソーラ・システムもあると考えれば、こっちにはまだ余裕があると思ってもいいのかもしれない。

 

「アクセル中尉、デンドロビウムはどうだったかしら?」

「ちょっ、ルセット……ああ、もう。ごめんねアクセル。悪いけど、ちょっとルセットに付き合ってくれる?」

 

 ルセットが勢いよく聞いてくるのを止めようとしていたニナだったが、やがて止めるのが不可能だと判断したのか、諦めた様子でそう言ってくる。

 気分転換にはいいかと思い、俺はそんなニナの言葉に頷く。

 

「分かった。とはいえ、あまり時間は取れないけど、それで構わないか?」

「ええ、勿論。それで、アクセル中尉。デンドロビウムはどうだったの?」

「……そうだな。パイロットの技量もあるんだろうが、悪くないとは思った。ただ、気になる点もあるな」

「それは?」

「Iフィールド発生器だ。デンドロビウムの場合は機体の左側前方にこれ見よがしに巨大なIフィールド発生器があっただろう? あれは見るからに弱点って感じで狙いやすい。……実際、俺も有線クローアームを使ってそこを潰したしな」

「……ノイエ・ジールもIフィールドは持ってるのよね? そっちはどうなの?」

 

 どうやらルセットはノイエ・ジールについてはそれなりに勉強しているらしい。

 ただ、Iフィールドの存在について知っていたという事は、Iフィールド発生器がどういう風に設置されているのかを知っていてもおかしくはないと思うんだが。

 

「ノイエ・ジールの場合はデンドロビウムのように大型のIフィールド発生器を持つんじゃなくて、機体全体に小型のIフィールド発生器を分散配置している。それによって、小さなIフィールドを多数作り、結果的に機体全体を覆っている形だな」

「なるほど。……でも、そうなると色々と手間が掛からない? 整備についてもそうだし、Iフィールド同士が干渉しないように調整も必要だし」

「それは否定しない。それによって整備の手間とか機体の調整とかが必要になってくるのは間違いないからな。けど、戦いで有益なのは間違いなくこっちだ。実際、俺はデンドロビウムのIフィールド発生器が大きい上に剥き出しだったから、あっさりと狙えたしな」

「……普通なら、そう簡単に狙えるような場所じゃないんだけど」

 

 呆れと共にそう言うルセット。

 その気持ちは分からないではない。Iフィールド発生器は大きいが、Iフィールドによって守られており、ましてやデンドロビウムもずっと一ヶ所に留まっている訳ではなく、普通に動き回るのだ。

 ましてや、俺が戦った時にデンドロビウムに乗っていたのはエリック・マンスフィールドという、ジオン軍の中でも生粋のエースの1人。

 そういう意味ではルセットの気持ちも分からないではないが……

 

「何にでも例外ってのはあるのよ。ルセットも、アクセルがパワード・ジムを操縦していた時のデータとかは受け取っていたでしょう?」

 

 俺が何かを言うよりも前に、ニナがそう言う。

 そしてニナのその言葉は、ルセットを納得させるのに十分な説得力を持っていたらしい。

 

「そうだったわね。……でも、アナハイムの今の技術力だと、Iフィールド発生器を小型化して分散配置するのは難しいわ」

「でしょうね」

 

 ルセットが悔しそうに言い、ニナもまたその言葉に同意する。

 この2人は、揃ってガンダム開発計画の開発者だ。

 それだけに、自分達の技術力が劣っているというのを素直に認めるのは悔しいのだろう。

 とはいえ、実際にその点で負けてるのは事実。

 そもそもIフィールドを最初に実用化したのは、ジオン軍だ。

 そしてノイエ・ジールはそのジオン軍系統の組織であるアクシズが作ったMA。

 ……まぁ、ジオン軍系統ではあるが、今となってはアクシズを率いるマハラジャ・カーンがダイクン派なので、その正統後継者であるセイラが……アルテイシアが建国したルナ・ジオンの下部組織といった扱いになっているんだが。

 あ、でもアナハイムもジオニック社を始めとしたジオン公国の兵器メーカーから結構な人材を引き抜いていた筈だ。

 実際にはその前にルナ・ジオンが結構な人数を引き抜いているが、それでも残っていた者の中にはIフィールド系の技術を持っている奴がいてもおかしくはない。

 実際、デンドロビウムではIフィールドを使ってるんだし。

 

「ともあれ、目立つ場所に大きな標的があるのなら、それを狙うのは当然だろう? もし有線クローアームがなければ、Iフィールド発生器を破壊するのに結構な時間が必要だっただろうけど」

 

 もし有線クローアームがなければ、それこそミサイルを使うしかなかっただろう。

 俺の場合は精神コマンドの直撃という奥の手があったから、実は偏向メガ粒子砲とかでも普通にどうにかなった可能性は高いが。

 とはいえ、それはあくまでも俺が特殊だからでしかない。

 普通の……この世界のパイロットでは、そういう事は無理だ。

 あるいは、アムロのようなニュータイプなら、そのニュータイプ能力を使ってどうにか出来る可能性もないではないが。

 

「ぐぐぐ……」

 

 俺の言葉に悔しそうにするルセット。

 Iフィールド発生器を破壊されたのが、それだけルセットにとっては悔しかったのだろう。

 デンドロビウムの巨体を思えば、それも当然かもしれないが。

 ルセットにとってせめてもの救いは、現在デンドロビウムに乗ってるのがエリックだという事だろう。

 エリック程の操縦技術があれば、連邦軍……いや、強硬派に攻撃されても回避したり出来そうだし。

 デンドロビウムの巨体で、しかもIフィールドを使えないとなると、エリックであってもかなり厳しいかもしれないが。

 そんな風に思いつつ、俺はニナとルセットの2人と会話を続けるのだった。

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