精神コマンドの加速を使い、デンドロビウムの隣まで移動したノイエ・ジール。
一瞬……本当に一瞬だったが、ノイエ・ジールの挙動に驚き、デンドロビウムの動きが鈍る。
それを見逃さず、ノイエ・ジールをデンドロビウムに取り付かせてサブアームを展開する。
4本のサブアームは、機能としては有線クローアームの劣化版的な感じだ。
サブ、という名称からその辺が容易に想像出来るだろうが。
有線ではないし、先端にルナ・チタニウム合金ですら握り潰す程の威力もない。
だが、ビームサーベルを展開出来るし、メガ粒子砲も撃てる。
……まぁ、どちらにせよ有線クローアームと比べれば威力は落ちるのだが。
それでもこの状況では全く問題なかった。
デンドロビウムに残っているコンテナを押さえつけるようにサブアームを展開する。
これにより、デンドロビウムは動くことは出来るが攻撃は出来ない。
……いや、オーキスを捨てて脱出し、ステイメンとして行動した場合は話は別だが。
そうなるよりも前に、接触回線で通信を送る。
「聞こえるな? エリック・マンスフィールド」
『何の用件だ』
へぇ、この状況でも冷静だな。
ジオン軍のエースパイロットの1人だった事を思えば、それは分からないでもないが。
とはいえ、この状況ではこっちにとってやりやすいのも事実。
「降伏しろ。そうすれば悪いようにはしない。既にデラーズも死んだ。このままお前が頑張っても、無駄死にだと思うが?」
『断る。私は既に主を失った身だ。そして次の主としてデラーズ閣下を選んだのだ。そのような事は一度で十分。二度目はない』
即座に、それこそ一瞬の躊躇もなくそんな返事がくる。
映像モニタに表示されているエリックはパイロットスーツを着ている為、ヘルメットで顔の全てを見る事は出来ないものの、それでも涼しげな美貌という表現が相応しい。
しかし、その顔立ちとは裏腹に高い忠誠心を持ってるらしい。
そんなエリックにしてみれば、ギレンに強い忠誠心を持っていたのだろう。
そうでなければ、親衛隊のMS隊隊長などという立場につくのは不可能だろうし。
だというのに、キシリアの暗殺を許してしまい……そしてギレンの志を継いだ――のかどうか、俺にしてみれば微妙なところだが――デラーズに忠誠を誓い、そのデラーズも死んだ。
そしてルナ・ジオンはジオン・ズム・ダイクンの正統な後継者であるセイラが、アルテイシアが建国はしたものの、エリックの忠誠心の向かう先はやはりギレンという個人なのだろう。
これが例えばギレンではなくザビ家であれば、ギレンを暗殺したキシリアは論外としても、ガルマがいる。
あるいは、アクシズまで行く必要はあるが、ドズルの娘であるミネバもいる。
そう考えれば……いや、ここはいっそキシリアの件で突いてみるか?
「お前のその行動が、キシリアの目的に繋がっているとしてもか?」
『……どういう事だ?』
「これはあくまでも俺の……もしくはキシリアについて詳しい人物の予想だが、今回デラーズ・フリートが行った星の屑にキシリアが協力した目的は、星の屑が失敗した後でデラーズ・フリートの残存戦力を吸収し、自分達の戦力を拡充する為。……違うか?」
『……』
俺の言葉に沈黙するエリック。
知っていて黙っているのか、それとも理解出来ないからこそ黙っているのか、もしくはそれ以外の何かか。
ともあれ、そうしているのは間違いなく、だからこそ説得が上手くいきそうな気がしないでもない。
「そもそも、連邦軍がソーラ・システムをこうしてタイミング良く、そしてコロニーの通る場所も理解しているかのように準備されてたのは何故だ? 前もってコロニーがどこを通るのかを知ってたからではないのか?」
『……』
再びの沈黙。
そんなエリックを見ながら、俺は言葉を続ける。
「連邦軍はキシリアと繋がっていた。そう考える方が正しいと思わないか?」
もっとも、本当に手を組んだといった訳ではなく、キシリアが情報提供をして連邦軍を動かした……つまり、キシリアが連邦軍を利用したというのが正しいのだろうが。
とはいえ、連邦軍側もその辺については承知の上で今回のような行動に出たと考えた方がいい。
「そして星の屑を失敗させ、デラーズも死んで行き場をなくしたデラーズ・フリートの兵士達を自分達の派閥に戦力として組み込む」
自分で言っておいてなんだが、もしこれが事実だった場合、俺がデラーズを殺したのもキシリアの計算通りという事になるのかもしれないな。
とはいえ、キシリアにしてみれば俺がデラーズを殺さずとも、誰かがデラーズを殺していたのは間違いなかったのかもしれないが。
あるいは、連邦軍に情報を流した代価としてデラーズを殺すというように思っていた可能性も否定は出来ない。
「ギレンの親衛隊だったお前が、そのギレンを暗殺したキシリアのいいようにやられて、それでも構わないのか?」
『……構わん』
「は?」
エリックの口から出た言葉は、俺にとっても完全に予想外だった。
まさか、ここまで説明した上で構わんといった言葉が出て来るとは思わなかった。
『構わんと、そう言った。確かにあの女狐のいいようになるのは面白くはない。だが、だからといって私にまた主君を変えろというのは、聞けない話だ』
「……それでいいのか?」
エリックが言いたいのは、つまりキシリアにいいように利用されても、自分の美学を通せるのならそれでいいという事だ。
もしルナ・ジオンに来れば、いずれキシリアを倒す機会はある。
それが具体的にいつになるのかは、俺にも分からない。
分からないが、まさかキシリアがこのまま歴史の闇に消えていくといった事はまずないだろう。
その時、キシリアを倒すチャンスがあるのに、エリックはそれを選ばないと言ってるのだ、
『このまま醜く生き延びるよりは、ここで死んだ方がいい。マイ・ハイネスも既にいないのだから、私がこのまま生き続ける必要はないだろう』
マイ・ハイネス?
ハイネスというのは……何だったか。そう、至高の方とか、そういう意味を持つ言葉か。
分かりやすいのは、ギアス世界だろう。
上司に向かって返事をする時は、『イエス・マイ・ロード』だが、皇帝に対して返事をする時は『イエス・ユア・マジェスティ』で、皇族に対する時が『イエス・ユア・ハイネス』だった筈だ。
そういう意味では……え? あれ? 何だ? その理論からだと、ギレンの親族に対するのがハイネスになる。
だが、エリックはキシリアとかガルマとかミネバといったザビ家の者にはつかず、デラーズに協力していた。
「ハイネス……それは誰を意味している? まさか、ガルマとかじゃないよな?」
『さて、どうだろう……な!』
その言葉と共に、デンドロビウムのMSの部分、ステイメンがオーキスから脱出する。
そして素早くこちらに突っ込んで、ビームサーベルを振るおうとしてきた。
なるほど、サブアームでデンドロビウムを捕らえていた状態だったので、そこから脱出したステイメンなら当然ながらノイエ・ジールのすぐ側になる。
そしてビームーサーベルはIフィールドを無効化出来る。
正確には、Iフィールドの内側でビームサーベルを使うので、Iフィールドの効果がないという事なのだが……
「甘い」
コックピットで素早く操作し、サブアームの一本にビームサーベルを展開し、ステイメンのビームサーベルを受け止める。
エリックにとってそんなノイエ・ジールの行動は予想外だったらしいが、既にオーキスを捨ててステイメンとなった……MAの強力な攻撃力は使えない事になる。
つまり、ここでノイエ・ジールを倒さないとどうしようもない。
もしここでノイエ・ジールを倒せれば、またオーキスと合体してデンドロビウムになり、ソーラ・システムを……あるいはこの作戦を指揮しているバスクの乗っている軍艦を撃破しようとしてもおかしくはない。
しかし、それはあくまでもノイエ・ジールを倒せたらの話だ。
ここでノイエ・ジールを倒せなければ、地球に落ちようとしているコロニーはソーラ・システムによって破壊され、星の屑は……デラーズ・フリートの全戦力を使って行ったこのコロニー落としは失敗に終わる。
だからこそ、エリックは意地でも俺を倒そうとしてるのだろう。
とはいえ、デンドロビウムから出たのは悪くない判断だったが、それはつまり俺がデンドロビウムに注意しなくてもよくなったという事を意味してもいる。
デンドロビウムを自爆させたり、あるいは遠隔コントロールでノイエ・ジールに攻撃してきたりといった可能性もあるので、本当の意味で問題がなくなった訳ではないが……それでもステイメンの方に意識を向けられるのは、俺にとっては大きい。
もっとも、エリックのようなエース級が操縦するステイメンだ。
デンドロビウムとしての行動が基本であっても、ステイメンの性能も純粋に高い。
それは、以前ラビアンローズでシミュレータをやった俺が十分に理解している。
それこそ宇宙と地上の両方で使えるようにしたゼフィランサスと比べて、ステイメンは宇宙用MSなので宇宙に特化している分、宇宙ではゼフィランサスよりも上だ。
フルバーニアンと比べると分からないが。
そんな事を考えつつ有線クローアームを射出し、俺は残り3本のサブアームのうちの1本を使い、ビームサーベルを展開させてステイメンに振るう。
テール・バインダーをAMBAC肢として使い、それを回避するステイメン。
だが、そこに先程射出した有線クローアームが真っ直ぐに飛んでくる。
大体俺が予想した通りの場所だったので、有線クローアームのコントロールもそこまで必要ではない。
エリックの操縦技術はその攻撃であっても何とか回避し、装甲を幾らか削る程度のダメージとなり……
「じゃあな」
その言葉と共にノイエ・ジール最大の火力を誇るメガカノン砲が発射され、ステイメンを飲み込む。
『マイ……セシリア……今、私も……』
そんな通信が聞こえ、次の瞬間ステイメンはメガカノン砲の威力の前に爆散するのだった。
「馬鹿が」
そんなエリックの姿に俺はそう呟く。
ともあれ、これでデラーズ・フリートの最大の危機……というか、危険人物は死んだ。
そうなると、後残るのはコロニーをどうするかだけだが。
そう思いながらコロニーの動きを見ると、阻止限界点を超えようとしている。
もっとも、今となってはこの阻止限界点というのも意味はない。
阻止限界点というのは、あくまでもコロニーを動かして……例えば俺がやったように、地球に命中させないように移動させる必要がある時に必要なものだ。
その阻止限界点を突破してしまうと、シーマ達に頼んだようにコロニーを移動させて地球から離れるといった事は出来なくなる。
しかし、今回はソーラ・システムを使ってコロニーを破壊する……焼いてしまう以上、阻止限界点についてはそこまで考える必要はない。
それこそ、阻止限界点を越えたとしてもソーラ・システムで焼くのなら間に合うだろう。
「あ、これはどうするかだな。……まぁ、一応貰っていくか」
ノイエ・ジールの映像モニタに、デンドロビウムが……いや、ステイメンは消滅したので、オーキスか。オーキスが映し出される。
中破に近い状態になっているオーキスだが、持っていけばディアナの方で解析でもするだろう。
解析をするのなら、出来ればステイメンのコックピットが欲しかったところだが、ステイメンはメガカノン砲によってそのまま消滅したしな。
今となってはエリックの操縦データとか、そういうのを確認する事も不可能だ。
オーキス側でも多少は……ある程度の、そんなデータの類は残っていてもおかしくはない。
というか、そうであって欲しいと思っている。
オーキスを回収すればその手のデータも入手出来るだろうから、ここはしっかりと回収しておくべきだろう。
問題なのは、強硬派がこっちの様子を注視してるのは間違いないという事なんだよな。
であれば、ここで空間倉庫に収納はせず、どこか別の場所まで運んでから空間倉庫に収納した方がいいのかもしれないな。
そう思っていると、ふと眩しさを感じ、ソーラ・システムの方に視線を向けると……
「は?」
視線の先で、ソーラ・システムの光が眩く輝き始めており、その光が一点に……地球に向かうコロニーに集中してるのに気が付く。
いや、それはいい。だが……コロニーにソーラ・システムの光が向けられているという事は、それはつまりコロニーとソーラ・システムの間にあるノイエ・ジールにも光を向けている訳で……
そして、放たれる光はより一層強くなっていく。
それはつまり、ソーラ・システムの発射準備が整い、実際に発射される寸前という事になっており……
「おい、マジか? 嘘だろ?」
咄嗟の判断でノイエ・ジールのコックピットを開いて宇宙空間に出る。
瞬間、ソーラ・システムが発射され……ノイエ・ジールを空間倉庫に収納したのと同時、俺はソーラ・システムの光に包まれるのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:1155
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:2087