転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4232話

 ソーラ・システムの威力は、それこそコロニーレーザーのソーラ・レイに匹敵するものがある。

 そんな光の一撃を受けるも……光の中で、俺は普通に宇宙空間を漂っていた。

 パイロットスーツそのものは既に消滅したので、現在の俺は普通の……いつも通りの服装となっている。

 それにしても、やってくれる。

 バスクの仕業か、あるいはジャミトフか。

 バスクは俺の事が気に入らなさそうだったので、コロニーと纏めて俺を殺す機会があれば見逃したりはしないだろう。

 ジャミトフは別に俺に恨みがある訳ではなさそうだったが、地球に向かうコロニーを破壊するついでに、俺を……ルナ・ジオン軍の中でも明らかに腕が立ち、ノイエ・ジールという圧倒的な性能のMAを任されるエースパイロットを殺せる機会があれば、それを見逃すつもりはなかったという事か。

 どっちの仕業か分からないし、あるいはこの2人以外の仕業という可能性もあるものの、とにかくこの機会に俺を一緒に葬ろうとしたのは間違いない。

 ただし今回の一件を企んだ者にとって予想外だったのは、俺がただの人間ではなく混沌精霊であり、物理的な攻撃は一切効かないと知らなかった事だろう。

 魔力や気といった攻撃ではない、ソーラ・システム……分かりやすく言えば虫眼鏡や鏡で太陽の光を一点に集めたものの、大規模版。

 それを使われても、俺にとっては全く問題ない。

 それこそサイサリスが使ったアトミックバズーカの中心点に生身でいても、俺は普通に生き残れる。

 そういう意味では、今回の攻撃は無意味だった訳だ。

 ……ああ、いや。完全に無意味かと言われれば、そうでもないか。

 ソーラ・システムの発動に気が付いたのが発射寸前だった事もあってか、ノイエ・ジールは何とか空間倉庫に収納したものの、エリックが乗っていたオーキスはソーラ・システムの光によって既に爆散している。

 それにしても……眩しいな。

 コロニーを焼く程の光の中にいるので、その眩しさは並大抵のものではない。

 普通の人間なら一発で失明してもおかしくはない……いや、それ以前に肉体そのものが瞬時にして消滅……焼滅してしまうか。

 とはいえ……さて、この状況からどうしたものだろうな。

 落とし前といきたいところだが、寧ろ今ここでそういう事はせず、後からしれっと俺がまだ生きているというのを見せつけた方がバスクやジャミトフにとってはプレッシャーになるだろう。

 それもちょっとやそっとのプレッシャーではなく、強烈な……どうしようもない程のプレッシャーに。

 今ここで下手に無事な様子を見せるよりも、そっちの方がいいのは間違いないだろうし。

 とはいえ、そうなるとそうなったでどうやってルナ・ジオン軍と合流するかだよな。

 今この場で俺は死んだという事になっている以上、ノイエ・ジールを出して移動する訳にはいかないと思うし。

 かといってニーズヘッグを出すのも、それはそれで不味い。

 影のゲートを使えればいいんだが、影のゲートは宇宙では使えない。

 となると……あれ? もしかして、俺は生身で月まで戻る必要があるのか?

 いや、ここは地球の側だし、ペズンに向かった方が手っ取り早いか。

 そんな風に思っていると……

 

「え? ……マジか」

 

 ソーラ・システムの照射によって燃やされたのだろうと思っていたコロニーが、爆煙の中から姿を現したのだ。

 それはつまり、ソーラ・システムの一撃でもコロニーは破壊されなかったという事を意味している。

 ……仕方がない、か。

 このままコロニーを地球に落とせば、ハワイにも大きな被害がある可能性がある。

 そうならないようするには、やはり俺がコロニーをどうにかする必要があるだろう。

 というか、ソーラ・システムならコロニーを破壊出来ると思って強硬派もここまで準備をしたんじゃないのか?

 なのにコロニーが壊れなかったのは……エリックがデンドロビウムでコントロール艦を多数破壊したり、ミラーを破壊したりしたのが影響して、ソーラ・システムの威力が当初の予定通りに出なかったのか。

 はたまた……正直なところ、これはないだろうと思ってはいるが、ソーラ・システムを使ってエリックと俺と、デンドロビウムとノイエ・ジールをコロニー諸共纏めて消し去りたかったから、ソーラ・システムの方がまだ万全ではなかったのに照射したという可能性もあるのか。

 普通ならこの状況でそんな事をやるか? と思うのだが、今回指揮を執っているのはバスクだしな。

 バスクの性格についてそこまで詳細に知ってる訳ではないが、少し通信で話した程度だと、典型的な強硬派といった感じだ。

 それこそ気に食わない俺やエリックを殺す為なら、ソーラ・システムが万全の状態でなくても照射しろと命じても、そういうものかもしれないと納得してしまう感じで。

 それでコロニーの阻止を失敗したら、どうするのか。

 その辺は自分には関係ないとか、そういう風に思っているのかもしれないな。

 少し話しただけだが、バスクなら普通にそういう事を思ってそうだ。

 ……バスク、問題かもしれないな。

 星の屑の対抗策として用意されたソーラ・システムの指揮を任されているという事は、それはつまりジャミトフの、あるいはジャミトフよりも更に上がいるのかもしれないが、とにかくその人物に能力を認められたという事になる。

 場合によっては、これから強硬派の中でバスクの存在感が今より強くなってもおかしくはない。

 そうなった場合、悲劇が起きるのは容易に想像出来る。

 それこそソーラ・システムで月を、あるいはサイド3を狙ったりとかしても俺は驚かない。

 実際にそういう事をしようものなら、こちらも相応の対処を取るだろうが。

 ただ、サイド3の場合はちょっと難しいだろうな。

 一応連邦とは違う別の国という扱いになってはいるが、実際には連邦の属国のような存在だし。

 事実、防衛戦力として用意されているMSも、1年戦争時代の旧式のMSだ。

 ……もっとも、1年戦争時代のMSとはいえ、ゲルググJとかは今でも一線級で通じる性能を持ってはいるのだが。

 ただ、それも相応の技量を持つパイロットが使っての事。

 それにルナ・ジオンは勿論、連邦軍でも1年戦争が終わって新型のMSとかも開発されている。

 ……あれ? ルナ・ジオンは新型のMSは……エースと指揮官が使うギャン・クリーガーは高機動型ギャンの改修型だし、一般パイロットが使うガルバルディβはガルバルディαの改修型だ。

 高機動型ギャンは1年戦争でも使われていたし、ガルバルディαは……一応完成はしていたものの、1年戦争では使われなかったんだったか?

 また、ガルバルディαと同じくペズンで開発されていたアクト・ザクもバーニィの専用機として使われてはいるものの、これは試験機的な感じだしな。

 ……こうして考えると、1年戦争終了後に本当の意味で1から作られたMSというのはなかったりしないか?

 MSじゃなくて巡洋艦だが、ナスカ級は1から作ったというのに入るか?

 そう思ったが、そもそもナスカ級の設計図をシャドウミラー経由で入手して、それをUC世界風に改修というか、アレンジというか、そんな風にした感じだから、これも1からというのは微妙に違う気がする。

 そうなると、ゼロ・ジ・アールやノイエ・ジール、ガーベラ・テトラ……といった諸々だが、これは正確にはルナ・ジオンじゃなくてアクシズだったり、アナハイムだったりだし。

 もっともアクシズはルナ・ジオンの下部組織だし、アナハイムも月の企業と考えれば、……うん、やっぱりちょっと無理があるな。

 それなら、ハワイはどうだ?

 そう思ったが、ハワイでは基本的に1年戦争時代の水陸両用MSや、他の世界で使われていた水陸両用MSを主戦力としてる。

 あ、でもアプサラスの次世代機の技術立証試験機として、リプサラスがあったな。

 次世代機の技術立証試験機とはいえ、今までのアプサラスの中では最高の性能を持つのは間違いない。

 ……いや、今はそういうのを考えている場合じゃないな。

 既に月に戻ってジェネシスとかを持ってくるような余裕はない。

 いや、持ってこようと思えば出来るだろうが、持ってきました、はい発射といった事は難しい。

 なので、ジェネシスを始めとした戦略兵器を持ってくるの駄目。

 となると、ニーズヘッグか?

 ニーズヘッグの武器なら普通にコロニーを破壊する事は出来るが……ここでニーズヘッグを出すのは、それはそれで問題なんだよな。

 何しろ、このUC世界においてニーズヘッグは非常に有名だ。

 1年戦争の時に月を占領していた突撃機動軍を、ニーズヘッグ1機だけで倒したしな。

 しかも極力殺さないようにして。

 そんな訳で、ここでニーズヘッグが出てくると、もの凄い問題となる。

 自業自得と言われればそれまでだが。

 そうなると……やっぱり空間倉庫か。

 こちらについては、連邦軍でも知ってる者は……知ってる者は、どうだった?

 いたような、いないような?

 ただ、それでも強硬派の中にその辺について知ってる者はいないだろうから、俺の仕業だとすぐには分からない筈だ。

 そんな訳で、ペズンに行く前にコロニーに向かう。

 問題なのは、コロニーの中に護衛や軌道修正用にデラーズ・フリートの兵士がいないかどうか。

 いや、いるのは間違いないと思う。

 俺が最初に確保したコロニーにもいたし。スライムで対処したけど。

 コロニーはもう阻止限界点を突破したものの、実際に地球に落ちるまではまだかなりの余裕がある。

 であれば、スライムを使う時間もあるか?

 そんな風に思いつつ、コロニーのある方に向かう。

 ソーラ・システムの一撃を食らってコロニー全体から大量の煙が噴き出ている。

 それがいい目眩ましになってくれるといいんだが。

 宇宙空間を進んでいる今の俺が見つかるかどうかとなると……正直、微妙なところだとは思う。

 ただ、周辺にはデンドロビウムが暴れた結果としてMSや軍艦、ソーラ・システムのミラー、コントロール艦の破片が浮かんでいる。

 また、よく見れば人の姿も結構あった。

 とはいえ、当然ながら人は宇宙空間では生きる事は出来ない。

 パイロットスーツ……いや、パイロットが使う以外のだと、ノーマルスーツと呼ぶんだったか? とにかくそれがあれば宇宙空間でもある程度生きる事は出来るが、俺が見る限り動いている人の姿はない。

 乗ってるMSや艦がやられた時に、その衝撃で死んでしまったのだろう。

 とはいえ、こっちに流れてきている数はまだそう多くはないが。

 ノイエ・ジールやデンドロビウムの周辺にあったそういうのは、先程のソーラ・システムの照射によって全て燃やしつくされたし。

 ただ、こうしている今も大量のデブリや死体が流れてきているので、それに紛れて動けば見つかるような事はないだろう。

 パイロットスーツを着ていないのも……まぁ、ソーラ・システムで焼かれたか、あるいは一部のエース級がMSに乗る時はパイロットスーツを着ないのを真似したパイロットと思われるか。

 俺は生身のままでコロニーに向かう。

 普通に宇宙空間を移動するだけなら、当然だがコロニーに到着するまでかなりの時間が必要となる。

 しかし、混沌精霊の俺は虚空瞬動……虚空瞬動? 宇宙空間でも虚空瞬動という表現でいいのか? ともあれ、それによって真っ直ぐコロニーに向かう。

 周囲と明らかに移動速度が違うので目立ちそうだが……あ、いや。丁度いいのがあったな。

 コントロール艦か何かの装甲板が数枚、こちらに飛んできたのを見て笑みを浮かべる。

 それを手にし、盾……というか、目眩まし代わりにしながらコロニーに向かう。

 これなら見つかっても、俺だと認識出来ないだろう。

 別の方向……装甲板がない方向から見られると危険かもしれないが、それでも生身の人間の死体が装甲板にくっついているだけだと、そんな風に認識される筈だ。

 もしかしたら違和感を抱く者もいるかもしれないが、その時はその時で何とかしようと思えば出来ると思う。

 半ば成り行きに任せつつ宇宙空間を進み続け、やがてコロニーに到着する。

 すると、ちょうどそのタイミングで再度ソーラ・システムの照射が行われる。

 何だ? 連射出来たのか?

 そうも思ったが、放たれたソーラ・システムの威力は先程と比べると明らかに弱い。

 これは……かなり無理をしたのか?

 いや、当然か。

 既に阻止限界点を突破している以上、コロニーを動かして地球に落とさないようにする訳にはいかない。

 先程ノイエ・ジールとデンドロビウムを纏めて殺そうとして急いで照射したので、コロニーはダメージは受けたものの、崩壊はしなかった。

 だからということで急いだのだろうが……

 俺にとっては悪くない。

 再度のソーラ・システムの照射によって、コロニーの周囲には爆煙がある。

 その爆煙に紛れながらコロニーをスライムで調べ……あれ? デラーズ・フリートの護衛とか最終調整をする人物がいないな?

 やっぱりこれまでの戦いの影響だったり、最初のソーラ・システムの照射によって死んだのか?

 そう思いながらも、俺は爆煙に紛れながらコロニーを空間倉庫に収納するのだった。

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