なので、マーベルの乗機をズワァースに変更しています。
「それで、結局話は上手く纏まった訳だ」
「ええ。連邦政府やコロニー公社が色々と言ってきたけど、もし私達がいなければ、このコロニーが地球に落ちていたといったところを突けば、向こうも退くしかなかったらしいわね」
他人事のようにそう言うモニクだったが、モニクの有能さをこれでもかと見せつけられた連邦政府とコロニー公社の面々には哀れみしかない。
そもそもの話、向こうにしてみれば今回の一件は完全に被害者……いや、コロニー公社の方は被害者かもしれないが、連邦にしてみれば被害者とも言い切れないか?
何しろ連邦……より正確には強硬派はキシリアと繋がっており、そこから情報を入手していたのはほぼ間違いないのだから。
ソーラ・システムがコロニーの移動コースに前もってしっかりと準備してあったのは、コロニーの落下コースについての情報を強硬派が手に入れていたからに他ならない。
……あるいは、連邦にいるニュータイプとかが、コロニーの落下コースを読んでいたという可能性も否定は出来なかったが。
もっとも、現在連邦にニュータイプがどれだけの数がいるのかは、生憎と俺には分からない。
俺が知ってるのはアムロくらいだ。
ただ、1年戦争の時にも思ったが、このUC世界には外伝作品と思しきものが多数ある。
典型的なのが、ブルーデスティニーの一件とかだろう。
また、1年戦争が終わってからも水天の涙であったり、今回の星の屑であったり。
今まで幾つものガンダム関係の世界に行ってきたが、このUC世界程に外伝作品が多い世界というのは知らない。
実際には俺が知らないだけで、色々と外伝とか続編とかがるのかもしれないが。
実際、X世界においては俺が関与した原作は恐らく2作目だった可能性が高いし。
1作目はジャミルが主人公の奴だろう。
その辺について考えても、やはり俺にとってはこのUC世界は番外編やら続編やらが多い。
そうなると、可能性として考えられるのは……このUC世界こそが、ガンダムという原作の中でメイン……もしくは王道とか、そういうものなのだろう。
つまり、この世界に可能性を感じて国を作るという判断したのは決して間違っていなかったんだろうな。
「強硬派がまた何かしでかさないといいんだけどな」
「そうね。今回は月の周辺に戦力を並べるなんて事もしてきたし。……ハワイの方でも少し動きがあったみたいよ?」
「ハワイで? ……連邦軍にしてみれば、ハワイは自分達の勢力範囲内にあるルナ・ジオンの拠点だ。その事で手を出してきてもおかしくはないか。厄介ではあるが。とはいえ、迂闊に手を出せば最悪の結果を招くだろうけど」
何しろハワイにはノリス、ガトー、ヴィッシュといった異名持ちがいる。
実際にはノリスは異名持ちではないのだが、異名持ちに相応しいだけの能力を持っているので、このグループに入っている。
他にも闇夜のフェンリル隊のようなエース部隊がいるのも大きい。
そしてハワイには水陸両用MSが多数配備されている。
もし潜水艦やら海上を進む軍艦やらがいても、水陸両用MSにあっさりと撃破されるだろう。
そうなると、残るのはミデアとかの空を飛ぶ輸送機とかから出撃する事だが……こちらの方の被害が大きくなるのは間違いない。
何しろ、ハワイにはギニアスがいる。……つまり、アプサラスが存在するのだから。
ミデアとかを使って接近しようとしても、アプサラスのメガ粒子砲で一瞬にして消滅するだろう。
他にもメギロートやバッタといた無人機もいるので、ハワイは鉄壁の防御を誇るといっても過言ではなかったりする。
「そうね。ただ、強硬派の事だから、それで被害が出たからという理由でこっちを攻めてきてもおかしくはないわよ?」
「……それが否定出来ないのは痛いな」
元々、強硬派は自分達こそが正しいといったような意識を持っている者が多い。
ましてや、デラーズ・フリートの星の屑……コロニー落としを、強硬派は止めるという手柄を挙げている。
実際にはソーラ・システムでコロニーを破壊する事は出来ず、現在あのコロニーは俺の空間倉庫に収納されているのだが。
ただ、そんな事は強硬派には分からない。
最初の照射……しかも俺とエリックを巻き込む為にわざわざ照射するという事をして、その結果コロニーは相応のダメージは受けたものの、それでもまだ普通に存在していた。
俺達を殺そうとしたバスクには苛立ちを覚えるが、同時に最初のソーラ・システムのお陰でコロニーを収納出来たのも事実。
そういう意味では、もしかしたら感謝しないといけないのかもしれないが……とてもではないが、バスクにそんな思いは抱けない。
ともあれ、あのコロニーの一件について知ってる者は本当に少数だけだ。
その為、ジャミトフやバスク率いる強硬派は世間的に見てコロニー落としを防いだ英雄として祭り上げられている。
……これって、実は最初に俺がコロニーを1基確保したのも影響してるんだと思う。
連邦軍としては、自分達ではなく仮想敵国のルナ・ジオンに……それも大量の部隊を派遣した連邦軍と違い、ナスカ級1隻のルナ・ジオン軍に大きな手柄を挙げられたのだから。
連邦軍にとって……そして強硬派としては、そうなるともう1基のコロニーを破壊した一件を持ち上げる必要があった。
少し詳しく調べれば、ソーラ・システムによってコロニーが破壊されたとしても、その残骸がどこにもないという事に疑問を抱いてもおかしくはないのだが。
まさか連邦軍ではあっても、誰もそこに疑問を抱かないという事はないだろうし。
……そうなったらそうなったで、ちょっと面白いような気がするけど。
「強硬派の件はともかく……そう言えば、アルビオン隊がどうなったのかは知ってるか?」
これ以上強硬派について話していても不満を抱くだけなので、話題を変える。
アルビオン隊については、ちょっと気になっていたところだったし。
ウラキは現在もソロモンでの戦いで負った怪我の為、クレイドルの病院で入院中なのは知ってるんだが。
ただ、それ以外のアルビオン隊……それこそバニング率いる不死身の第4小隊とか、キースとかがどうなったのかは気になる。
最後の戦いにおいては、シーマ達と一緒にラビアンローズの解放に向かい、その結果としてラビアンローズを取り戻したものの、その後はシーマ達はこっちに援軍に来たが、アルビオン隊はいざという時の為にラビアンローズの守りについていた筈だ。
その後は結局星の屑が失敗に終わり、俺はそのまま月に戻ってきた。
その為、ラビアンローズに残ったアルビオン隊の面々がどうなったのか、分かってないんだよな。
「アルビオン隊は現在強硬派によって軟禁状態にあるわ」
「は?」
モニクの口から出たのは、完全に予想外の言葉。
いや、だが……考えてみれば、そんなにおかしな事ではなかったりするのか?
アルビオン隊はコーウェンの直轄部隊であり、そのコーウェンもガンダム開発計画の一件で失脚した。
また、アルビオン隊はルナ・ジオン軍であるシーマ隊と一緒に行動していたのも、強硬派にしてみれば思うところがある理由だろう。
「強硬派を今回の一件のヒーローとした以上、アルビオン隊は邪魔な訳だ」
「そうなるでしょうね」
「それで、アルビオン隊はこれからどうなる? まさか、死ぬまでずっと軟禁するなんて訳にはいかないだろう?」
「でしょうね。それなら、何らかの理由を付けて軍刑務所に送るなり、いっそ処刑してしまった方が手っ取り早い筈よ」
普通ならそこまでするか? と思うものの、強硬派……特にバスクの事を考えれば、そういうのを普通にやってきそうなんだよな。
ソーラ・システムで実際にそういうのをやってるし。
「だとすれば、何の為に軟禁をしてるんだ?」
「幾つか考えられるけど……まず確実にやってるのは、シーマ達と一緒に行動した事によって入手したデータを欲してでしょうね」
「ああ、なるほど」
ルナ・ジオン軍で採用されている戦力。
一般パイロット用のガルバルディβに、指揮官やエースが使うギャン・クリーガー、後は最新鋭の巡洋艦のナスカ級。
そして俺が操縦していた、ガーベラ・テトラとノイエ・ジール。
あ、いや。でもノイエ・ジールはアルビオン隊と一緒にいる時は使ってないか?
コロニー落としを止める為にデラーズ・フリートを相手に存分に戦ったので、連邦軍の方ではしっかりとデータを取られていてもおかしくはないだろうが。
もっとも、俺の操縦するノイエ・ジールのデータは色々な意味で使いにくい。
具体的には、普通のパイロットならGによって重傷を負ってもおかしくはないような動きを平然と、それこそ連続して行ったりしているし。
ノイエ・ジールは巨大だが、機動性や運動性も高い。
普通のパイロットが俺と同じような操縦をした場合、それこそ死んでいてもおかしくはないだろう。
それだけ、俺の操縦は身体に負担を掛けるのだ。
物理法則に縛られない、混沌精霊の俺だから出来る操縦。
……あ、いや。でもシャドウミラーの面々なら魔力や気による身体強化で俺と同じようにGには耐えられるか。
もしくは、マクロス世界のISCを使うとか。
ただ、それはあくまでもシャドウミラーの……もしくは、シャドウミラーの下部組織であるルナ・ジオン軍でならどうにか出来るかもしれないといった技術だ。
連邦軍がノイエ・ジールのデータを入手しても、文字通りの意味で殺人的な加速に対処出来るとは、到底思えなかった。
……まぁ、それでもデンドロビウムの設計データとかそういうのは連邦軍にもあるんだし、ノイエ・ジールではなくデンドロビウム系でMA技術を発展させるという可能性は充分にあったが。
「ルナ・ジオン軍の機体データとかそういうのを欲してるのは分かった。けど、そのデータが渡されたら、それで終わりって事はないよな?」
「そうね。……実は、連邦軍の中に強硬派で独立部隊を作ろうという動きがあるんだけど、それに引っ張り込むつもりじゃないかしら」
「独立部隊? 強硬派で? ……えっと、一応聞くけど、それは冗談とかそういう事じゃなくてか?」
今まで強硬派と一口に言っても、それは連邦軍に所属する軍人達がそれぞれに名乗ったり、それによって行動したりといった感じだった。
勿論強硬派の指揮官が率いる部隊であれば、その部隊に強硬派じゃない者がいても強硬派の部隊として動いたりしてはいた。
あるいは強硬派が集まって1つの部隊を作り、行動したりもしていた。
だが……それは言ってみれば現場の判断に近い。
しかし、明確に強硬派が自分達の部隊を作るとなると、話は違ってくる。
部隊と一口に言っても、その規模は当然ながら現場の判断で強硬派が一時的に組んでいた部隊とは違うだろう。
それこそ、連邦軍という軍隊の中に別の軍隊が出来るような、そんな規模になる筈だ。
何しろ、元々連邦軍の中で強硬派はかなりの数がいた。
新しく作られるという部隊に、その強硬派全員が入るとは限らないものの、それでも強硬派の中から結構な数がその部隊に所属する事になるのは間違いないだろう。
それに……シナプスやバニング、アデルといった面々はともかく、モンシアとベイト辺りは寧ろ喜んで強硬派の部隊に所属しそうなんだよな。
そしてモンシアとベイトが強硬派の部隊に所属するとなると、その2人と小隊を組んでいるアデルも一緒に行きそうな気がする。
「シナプス達が優秀なのは間違いない。出来ればルナ・ジオン軍に引き入れたいけど、難しいか?」
「どうかしらね。ただ、アルビオン隊はコーウェン中将直轄の部隊であると考えると、強硬派の部隊での扱いは決していいとは思えないけど」
「なら、こっちに引っ張ってこれそうか?」
「……独身で家族もいないのならどうにかなるかもしれないけど、家族がいたり結婚していたりする場合は難しいと思うわ」
モニクにそう言われると、それもそうかという風に思う。
独身で家族もいないのなら、とっとと月に来るという選択も出来るだろう。
だが、家族がいたり妻や夫がいた場合、自分だけの判断で月に来るといったことは難しい筈だ。
かといってそういう者達を地球に残してルナ・ジオンに来れば、いざという時に強硬派辺りが人質にしそうだし。
「こっちでフォロー出来る限りはして、引き抜きを試してみてくれ。……もしアルビオン隊が強硬派の部隊に所属する事になれば、最悪アルビオン隊と敵対する事になりかねないし」
「分かったわ。アクセルがそう言うなら、試してみる。……それより、そろそろディアナの方に行く時間じゃない?」
モニクの言葉で、そう言えば……と、俺が今日UC世界に来た理由を思い出し、俺は仕事があるというモニクと軽いキスをしてからディアナに向かうのだった。