転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4243話

「あ、遅いじゃない、アクセル」

 

 ディアナにやって来た俺を待っていたクリスが、不満そうに言ってくる。

 実際、約束の時間から少しオーバーしてしまった以上、クリスが不満を言うのは仕方がない。

 

「悪いな。ちょっとモニクと連邦軍の強硬派や、アルビオン隊について話していたら遅くなった」

「……そう。なら仕方がないわね。じゃあ、行きましょう」

 

 完全にではないにしろ納得した様子のクリスと共に、俺は建物の中を進む。

 向かうのは、以前にも行った場所……つまり、厳重に守られている場所だ。

 そこで指紋や静脈、声紋、眼球……他にも幾つもの厳重なチェックを通り、とある格納庫の前に到着する。

 ここでも同じように諸々のチェックを行い、大変だなと思いつつ扉が開くのを確認する。

 そうして扉が開いたところで中に入ると……

 

「これが、完成したガーベラ・テトラ改か」

 

 そこは、以前ガーベラ・テトラの設定やら調整やら諸々をやっていた場所。

 ガーベラ・テトラ改についても開発は行っていたものの……今、俺の目の前にあるのはガーベラ・テトラではなく、ガーベラ・テトラ改だけだった。

 そしてガーベラ・テトラ改は、俺の目を奪うのに相応しい魅力を持っている。

 ガーベラ・テトラも決して悪い機体ではない……いや、0083という今の時代のMSの性能を思えば、間違いなくトップクラスの性能を持つ機体だったのは間違いない。

 だが、現在俺の目の前にあるガーベラ・テトラ改という機体は、そのガーベラ・テトラがより洗練された形でそこに存在していたのだ。

 ガーベラ・テトラで一番目立ったのは、やはり両肩に直接存在したスラスター……ショルダー・スラスター・ポッドだろう。

 スラスターの部分が両肩で剥き出しになっていたこともあり、良くも悪くもガーベラ・テトラ最大の特徴となっていた。

 だが、このガーベラ・テトラ改ではショルダー・スラスター・ポッドが改良され、より洗練された形になっている。

 何と表現すればいいのか……そう、羽根に近い印象と言えばいいのか?

 そんな俺の視線に気が付いたのか、隣にいたクリスは得意げに口を開く。

 

「以前にも一度説明したけど、完成した今だからこそ改めて説明するわね。あのショルダー・バインダーは、ガンダム開発計画の集大成と言ってもいいものよ。当初はもう少し小さめだったんだけど、試作2号機……サイサリスのフレキシブル・スラスター・バインダーの性能も取り入れた結果、ああいう形になったの」

 

 クリスのその言葉に、改めてガーベラ・テトラ改に視線を向ける。

 最初に見た羽根というイメージは決して間違ってはいないが……なるほど、その羽根の印象を壊さないような形で、ガーベラ・テトラ改の肩から腕に掛けてはサイサリスのフレキシブル・スラスター・バインダーに近い形をしている。

 本来なら、フレキシブル・スラスター・バインダーというのはサイサリスの特徴である、核攻撃を行う為に作られた機構だ。

 サイサリスの使う核兵器で一番重要なのは、当然ながら核弾頭。

 迂闊に外に出しておく訳にもいかない核弾頭を守る為に、サイサリスは本来ならバックパックのある場所に核弾頭を収納していく機構を採用していた。

 だが、MSにとってメインスラスターとなるバックパックにそのような機構を用意した以上、どこか別の場所にスラスターを用意する必要があった。

 その答えが、フレキシブル・スラスター・バインダー。

 フレキシブル・スラスター・バインダーの内部にメインスラスターを用意し、重装甲のサイサリスに非常に高い機動性と運動性を与えた。

 そういう意味では、個人的にはサイサリスの最大の特徴は核兵器ではなくフレキシブル・スラスター・バインダーだと思うんだよな。

 何しろ核兵器というだけなら、C型のザクのように他にも使えるMSはいる。

 だが、フレキシブル・スラスター・バインダーは今のところサイサリスだけの機構なのだから。

 そんなフレキシブル・スラスター・バインダーをブラッシュアップして洗練させ、ガーベラ・テトラのショルダー・スラスターポッドを同様にブラッシュアップして融合、進化したのが、ショルダー・バインダー。

 肩全体と肩から腕の部分を覆うように作られたショルダー・バインダーは、見る者を驚かせる。

 当然ながらショルダー・バインダーにはメイン推進器に近いスラスターがあるが、ガーベラ・テトラは背中にサイサリスと違って核弾頭を収容する必要がないので、そちらにも普通にスラスターがある。

 つまり単純計算になるが、ガーベラ・テトラ改はサイサリスとガーベラ・テトラという、2種類のガンダム開発計画のスラスターを採用している訳だ。

 それだけで、かなりの機動性なのだろうというのは分かる。

 ……もっとも機動性が高すぎて、普通のパイロットにはとてもではないが使いこなせないだろうとは思うが。

 

「それと、こっちも以前説明したけど、改めて説明するわね。もう1つガーベラ・テトラ改で特徴的なのが……腰のテールバインダー、分かる?」

 

 クリスにそう言われ、ガーベラ・テトラ改の最大の特徴でもあるショルダー・バインダーから、腰のバインダー……テール・バインダーに視線を向ける。

 

「あれは……ステイメンに同じようなのがあったな」

 

 ステイメンのテール・バインダーは、オーキスと合体する時に使われる物であると同時に、AMBAC肢としても使える優れ物だ。

 

「そうね。ただ、こっちに回ってきた情報によると、テール・バインダーは本来ならアクセルがガーベラ・テトラに装備して欲しいって要望したんでしょう?」

「あー……そう言われるとそうだったな」

 

 以前、俺がまだフィフス・ルナでガンダム開発計画のテストパイロットをしていた時、ラビアンローズでステイメンのシミュレータを使わせて貰った。

 その時、テール・バインダーの効果がそれなりに大きかったので、ガーベラ・テトラに採用出来ないかと、ガーベラ・テトラを開発していたクレナに頼んだんだよな。

 ただ、ビームガン兼ビームサーベルの方は機体設計にそこまで影響を与えないからという事で採用されたものの、テール・バインダーを採用するとなると、ガーベラ・テトラの設計を、それこそ最初から見直さないといけないという事で結局不採用になった。

 だが、このガーベラ・テトラ改の場合は、それこそガーベラ・テトラをベースにしてはいるが、それこそほぼ最初から設計され直されているような感じだ。

 だからこそ、テール・バインダーを追加することも出来たのだろう。

 

「ちなみに、このテール・バインダーだけど、当然ながらステイメンの物をそのまま流用した訳じゃないわ。ディアナの技術者が、シャドウミラーの技術班と相談しつつ、改修したのよ」

「……シャドウミラーの技術班と?」

 

 微妙に嫌な予感がするのは、俺の気のせいではないだろう。

 シャドウミラーの技術班は決して能力が低い訳ではない。

 それどころか、天才の集まりと言ってもいいだろう。

 だが……天才の集まりだからこそ、突拍子もない事をしかねない。

 実際、頻繁に暴走しては茶々丸やエキドナ、セシルとかに追い掛け回されているし。

 そんな面々から逃げる為、高等技術である筈の虚空瞬動を普通に使えるようになっている辺り、天才らしいとは思うが。

 ともあれ、そんな技術班が開発に協力したとなると、とびっきりの尖った性能である可能性は否定出来ない。

 

「ええ。まず元々の役目であるAMBAC肢としての役割はそのままに、スラスターも追加したわ」

 

 クリスの言葉に改めてガーベラ・テトラ改のテール・バインダーに視線を向けると、なるほど、テール・バインダーを覆うような形でスラスターと思しき物が追加されている。

 その様子に納得しつつ、テール・バインダーを見ているとふと気が付く。

 

「テール・バインダーの先端にあるのは、以前も言っていたが銃口か?」

「正解。テール・バインダーには、AMBAC肢、スラスターの他に110mm機関砲も備え付けられているわ」

「110mm機関砲って、以前言ってたのはやっぱり本気だったのか。……それ、ガーベラ・テトラの腕に装備されている武器だよな?」

「ええ、そうよ。ちなみにガーベラ・テトラ改でも同じく110mm機関砲は両腕に装備されてるし、ビームガン兼ビームサーベルも同様に装備されてるわ。ああ、ビームガンの方はガーベラ・テトラで使っていた奴と比べても威力は上がってるわよ。……ただ、それでもビームライフルと同等の威力という訳にはいかないから注意してね。今までが至近距離でなければまともにダメージを期待出来なかったのに対し、少し距離が離れてもダメージが期待出来るようになったというだけだから。……そうね、言ってみれば至近距離と近距離の違いかしら」

 

 立て続けに説明される、ガーベラ・テトラ改の性能。

 ビームガンの威力が上がったのは俺にとっても嬉しい。

 もっとも、出来れば中距離くらいでは使えるようになって欲しいというのが正直なところなのだが。

 ただ、この辺の技術はまだ確立したばかりで、性能アップはこれからの話だ。

 性能が上がったら、その時にガーベラ・テトラ改の物と換装すればいい。

 ……まぁ、その時に俺がガーベラ・テトラ改にまだ乗ってるかどうかは分からないが。

 とはいえ、ガーベラ・テトラですら0083という今の時代においてはオーバースペックの機体なのは間違いない。

 オーパーツ……場違いな工芸品と言われる程に突出している訳ではないにしろ、かなり高性能なのは間違いない。

 そう考えると、次にいつ俺がUC世界の騒動に関わるのかは分からないが、その時にでもガーベラ・テトラ改は普通に使えるような気がするな。

 技術の進歩もあるので、その時は今のように他のMSに対して絶対的な優位性はないだろうが。

 

「説明を続けてもいい?」

「ああ。……取りあえずテール・バインダーだが、ここまでの出来に仕上げてくるとは少し予想外だったな。うちの技術班の悪影響を受けないといいんだが」

「そこまで言う程じゃないと思うわよ? 似たようなのは今までにもあったし」

 

 そう言われると、そうかもしれないとは思う。

 

「テール・バインダーのお陰で、火力が増したのは間違いないな」

 

 ガーベラ・テトラの110mm機関砲の威力は、普通にMSを破壊出来るだけの威力を持っていた。

 威力的に比べるのなら……とクリスを見た事により納得する。

 アレックスの、卑怯と称されることもある腕部ガトリング砲。

 その腕部ガトリング砲の口径は90mmだ。

 そして連邦系MSが一般的に装備している頭部バルカンが60mm。

 双方の口径の違いは30mmだが、頭部バルカンが基本的に牽制やミサイル等の迎撃、あるいは戦闘車両とかを狙ういった用途なのに対して、アレックのガトリング砲は普通にMSを破壊出来る威力を持つ。

 30mmの口径の違いというのは、これだけの差があるだ。

 ……勿論、実際には発射機構の違いとか、弾薬の構成とか、そういうのでも色々と違うのだが。

 ただ、それでも一般的に考えてそれだけの違いがあるのは事実。

 そんな中で、ガーベラ・テトラの腕部にあるのは110mm。

 アレックスの腕部ガトリング砲と比べて20mmも違う。

 一般的な連邦系MSの頭部バルカンである60mmとアレックスの腕部ガトリング砲の90mmでこれだけの違いなら、そのアレックスの腕部ガトリング砲よりも更に20mm増したガーベラ・テトラの110mm機関砲の威力が、一体どれだけのものなのかは想像するのも難しくはないだろう。

 それこそMS程度なら普通に倒せる。

 ……もっとも、ルナ・チタニウム合金の装甲のMSが相手であれば、また話は違うが。

 ともあれ、そんな凶悪な実弾兵器が両腕と腰の左右と合計4門もある訳だ。

 個人的には、実弾兵器というのはあまり好みじゃないんだが。

 何しろ実弾兵器である以上、当然ながら弾数が決まっている。

 それを使い切れば、その攻撃手段は使えなくなる。

 ましてや両腕もテールバインダーも内蔵武器である以上、どうしても弾数も限られてしまう。

 ……まぁ、UC世界においてはビームライフルとかも充電やEパックなので、決められた回数しか使えないのだが。

 ノイエ・ジールの偏向メガ粒子砲やメガカノン砲とかは動力炉から直接エネルギーを貰っているので、問題なく連射出来るんだが。

 とはいえ、その辺については今後の技術発展に期待といったところか。

 

「テール・バインダーは、ガーベラ・テトラ改の中でもショルダー・バインダーと並んで重要なパーツよ。……もっとも、開発した人達の話だと、本来ならこれらの他にプロペラントタンクの役割も持たせたかったらしいけど……それは難しかったみたいね」

「それはそうだろう」

 

 クリスの言葉に、やっぱりシャドウミラーの技術班の悪いところに影響を受けているのでは? と思ってしまうのは当然の事だった。

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