転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4246話

「見えた!」

 

 ガーベラ・テトラ改のコックピットにある映像モニタに表示された茨の園を見て、俺の口からそんな声が出る。

 暗礁宙域の中をコロニーが運び込めるようにデブリとかを寄せながら移動してきたのだが、ようやく暗礁宙域を突破して、茨の園に到着したのだ。

 ……ちなみに、俺はこうして初めて茨の園を見たが、実際には俺達がデブリの掃除をしている間にも先遣隊とでも呼ぶべき者達が既に茨の園に突入している。

 量産型Wやコバッタを引き連れていったので、もし罠があれば発動前に察知し、それを無効化出来る筈だった。

 他にも茨の園に残っているデラーズ・フリートの人員がいるかもしれないと思っていたのだが、幸いにも茨の園にデラーズ・フリートの人員は残っていなかったらしい。

 とはいえ、報告によるとデラーズが出撃した後も残っていた痕跡はあったらしいが。

 恐らく、俺達が来たのを何らかの理由……監視カメラとかそういうので知り、慌てて逃げ出したのだろう。

 あるいはナスカ級1隻だけでなら、茨の園にいた者達が残っていた可能性はある。

 それがこちらに降伏するのか、それとも徹底抗戦するのかで話は違ってくるが。

 ともあれ、茨の園に誰もいなくなったというのは、こっちにとっては助かる。

 量産型Wやコバッタを含む先遣隊が調べた結果、こっちが心配していた罠の類もなかったし。

 そんな訳で、既に茨の園は先遣隊によってある程度調べられており、一部稼働すらも始まっていた。

 

「何だかんだと、操縦に慣れるのには便利だったな」

 

 ガーベラ・テトラ改の操縦については、月にいる時にある程度慣れてる。

 そもそもベース機となったガーベラ・テトラの時点で使いこなしていたのだから、その改修機であるガーベラ・テトラ改であっても相応に慣れていたりする。

 そんな風に思っていると、ガルバルディβが1機こちらにやって来るのが映像モニタに表示された。

 

『アクセル中尉、何機か、リック・ドムの残骸らしき物が見つかったのですが……』

 

 どうしますか?

 そう聞いてくるパイロット。

 いや、それを俺に聞かれても……

 

「残骸ってのはどのくらいの残骸なんだ?」

『大破状態です』

「となると、修理は面倒か」

 

 大破ともなれば、わざわざ修理するよりもそのままスクラップとした方がいい。

 使える部品とかは抜き取って、それ以外はシャドウミラーのキブツに売るとか。

 勿論、リック・ドム1機ともなれば得られる料金はそう大したものではないが、それを見つけた小隊の小遣い稼ぎ……それが無理でも、飲み物や甘味を買うくらいの金にはなるだろう。

 

「見つけた者達で処理をするのなら、好きにしろ。ジャンク屋に売るなりなんなりしてもいい」

 

 もしこれでまだ茨の園まで到着していなければ、仕事をきちんとやれといった注意をしたかもしれないが、ちょうど茨の園まで道が開通したところだしな。

 ……ただ、この道はあくまでも暗礁宙域にあるデブリを寄せて作ったものだ。

 今は特に問題なく使えるが、時間が経てば再び岩塊を始めとしたデブリが集まってきて、この道を覆い隠してしまうだろう。

 とはいえ、この道が必要なのはコロニーを運ぶ為に今必要なだけなので、デブリによって道が覆われても、コロニーを運び終わった後でなら問題はないのだが。

 

『分かりました。そう報告しておきます。……それにしても、コロニーを運ぶ道を作るのは大変でしたね』

「そうだな。特にそういう作業の専門家とかがいた訳でもないし」

 

 そうして話していると、合図が送られたのだろう。

 遠くの方に見える光……コロニーが動き出したのが確認出来る。

 さて、後はこのまま何もなく無事に事態が進めばいいんだが。

 そう思いながら、俺は母艦としているシーマのナスカ級に戻る事にするのだった。

 

 

 

 

 

「おや、アクセル。戻ってきたのかい?」

 

 ナスカ級のブリッジに入ると、シーマがそう声を掛けてくる。

 その表情には事態が順調に進んでいる事に対する笑みが浮かんでいた。

 

「茨の園との間にきちんと道が出来たしな。……それにしても、あれが茨の園か。コロニーの部品とかそういうのを纏めて作ったって話だったけど、まさにそういう感じに見えるよな」

 

 ガーベラ・テトラ改のコックピットからも見えたのだが、こうして改めて見ると茨の園というのは……なんというか、こう、取りあえず作ってみましたといった感じに見える。

 

「多分だけど、専門の知識を持った者がいなかったんだろうね」

 

 シーマの言葉に、なるほどと頷く。

 デラーズに導かれてここに集まった者達は、MSパイロットとして……軍人としては相応の技術を持った者達だったのだろう。

 だが、拠点を作る……なんだろうな。こういう場合でも建築家でいいのか? とにかくその手の知識を持つ者は軍人の中にはいなかったんだと思う。

 だからこそ、行き当たりばったりで、あるいは多少……本当に多少は知識を持っている者が指揮をして、茨の園を作り上げたといった感じだ。

 見映えとか効率性とか、そういうのは気にせず、とにかく拠点として使えるようにするのが最優先といった感じで。

 勿論、そのままにする気はなく、完成して茨の園がある程度使えるようになったら、調整していく感じで色々と弄ったりするつもり……いや、したのか?

 それでも十分な知識がなかったので、結果としてこういう感じになったのかもしれないな。

 とはいえ、こういう……何と表現すればいいのか、拠点としての役割はあっても、落ちついた様子のない茨の園という場所は、それはそれで魅力的ではある。

 この辺の感覚は人それぞれなので、俺にはそういう風に思えたが、他の者も同じように思うかどうかは微妙なところだが。

 

「それでも3年で拠点として完成させて、曲がりなりにもドラッツェという新型MSの生産ラインを作ったのは凄いと思う。……いや、ドラッツェを新型MSと呼んでもいいのかどうかは微妙なところだけど」

 

 ザクⅡF2とガトルのニコイチのMSであるドラッツェ。

 完全新規設計ではない以上、新型MSと呼んでいいのかどうかは微妙なところだろう。

 デラーズ・フリートの中にMS開発を出来る者がいれば、話は少し違ったかもしれないが……恐らくいなかったのだろう。

 もしくは拠点作りを指揮したのだろう者と同じように、中途半端な知識を持っている奴だったとか?

 

「そうだね。ドラッツェについてのデータは見たけど、性能的には1年戦争時代のMSといったところだと思うよ。……ビームサーベルを使えるから、その点は評価出来るかもしれないけど」

 

 ドラッツェについては、俺が確保したのもあるし、シーマ達が確保したのもある。

 その為。ディアナで既にしっかりと調べられていた。

 

「ビームサーベルか。……そうだな。今となっては標準の装備ではあるけど、1年戦争の時はビーム系の兵器を使える機体はかなり少なかったしな。……連邦系MSはそうでもなかったけど」

 

 連邦系MSの中でも大量生産されたジム系は、その多くが普通にビームサーベルは装備していた。

 勿論、中には例外もあったが、それは少ないからこそ例外なのだ。

 それと比べると、ジオン系のMSはビーム兵器を持っているMSは本当に少なかった。

 水陸両用MSが真っ先にビーム兵器を装備したが、それは水冷というのがあってこそのものだし。

 まぁ、そのジオン系MSを引き継いだ形となっているルナ・ジオンは、ガルバルディβとギャン・クリーガーでビーム兵器を標準装備してるのだが。

 

「そうだね。……ああ、それより、そろそろアクセルの持ってきたコロニーも出した方がいいんじゃないかい? 今ならまだ殆ど見られるようなことはないと思うよ。……もっとも、茨の園のデータを調べれば、何でそこにコロニーが? と疑問に思う者もいるだろうけど」

 

 シーマにそう促され、俺はそうかもしれないと思う。

 俺の空間倉庫については、知らない者もそれなりに多いのだから。

 あるいは空間倉庫については知っていても、まさかコロニー程の大きさの物を収納出来るとは思っていないとか。

 ……まぁ、普通ならそういう風に思ってもおかしくはないしな。

 

「分かった。なら、少し離れた場所にコロニーを出してくる」

 

 こうして堂々と使えば、空間倉庫について気が付く者も出て来るだろうが……まぁ、その時はその時ということでいいだろう。

 そんな風に考えつつ、俺は空間倉庫からコロニーを出すべく宇宙空間に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「あー……やっぱり騒ぎになってるか」

 

 茨の園の近く……とはいえ、暗礁宙域の中でそれなりに離れた場所にだが、そこにコロニーを出して戻ってくると、当然ながら騒動になっていた。

 コロニーなんて物がいきなり出て来たのだから、当然だろう。

 そんな中で俺がそれなりに気楽でいられるのは、今回茨の園の件で来た者達は、全員がルナ・ジオンに対して強い忠誠心や帰属心を持っているからだろう。

 セイラが俺の空間倉庫の件について言うなと命じれば、素直にそれに従う。

 そういう者達が集められたのだ。

 まぁ、この茨の園の件については出来るだけ秘密にしておくべきだという意見が多かったので、それも当然だとは思うのだが。

 ただ……デラーズ・フリートの残党は当然のように茨の園について知ってる訳で、ここにいる者達がそれを言わなくても、そんなデラーズ・フリートの残党を捕らえた連邦軍や強硬派がここを接収しようとやって来る可能性は高いし、あるいはデラーズ・フリート以外のジオン軍残党がここを使おうとやって来る可能性も高い。

 特にジオン軍残党の中でも、キシリア派は本拠地が火星である以上、地球で活動するにはどこか拠点となる場所が必要であり、そういう意味では茨の園は悪くない場所だろう。

 これがもし逆……キシリアとデラーズの立場が逆だったのなら、キシリアを嫌悪しているデラーズだけに、そのキシリアが拠点として使っていた場所を使おうとは思わないだろうが。

 だが、キシリアの場合は使えるのなら使えばいいと判断する。

 もっとも、情報を重視するキシリアだけに、ルナ・ジオンが茨の園を占拠したという情報を知れば……ああ、破壊工作という意味でならちょっかいを出してくるかもしれないな。

 ともあれ、他の勢力がちょっかいを出してくるよりも前に、この場所はきちんと確保してルナ・ジオンの拠点として使う必要がある訳だ。

 

「アクセルの事だから……」

「シーマ様、緊急連絡です!」

 

 シーマが俺に向かって何かを言おうとした時、ブリッジクルーの1人が不意に叫ぶ。

 その表情には厳しいものがあり……もしかして、茨の園に何か罠でも仕掛けられていたのか?

 そう思わせるには十分だったのだが……

 

「この暗礁宙域に、連邦軍の艦隊が近付いているそうです!」

 

 ブリッジクルーの口から出たのは、俺にとっても予想外の内容だった。

 いや、さっき連邦軍が茨の園にちょっかいを出してもおかしくはないとか考えていたのを思えば、これはある意味で自然なことだったりするのか?

 そうも思ったが、タイミングが良いというか、悪いというか。

 ……違うな。これはタイミングが良いと思うべきだ。

 その理由としては、もし近付いて来てるのが強硬派だった場合、戦力で強引に茨の園を奪おうとする。

 それを阻止しようとすれば戦いになるのは必然であり……ガーベラ・テトラ改の相手としては、悪くないのだから。

 勿論、あくまでもこの暗礁宙域に連邦軍が近付いて来ているのは偶然であって、戦いにならない可能性もある。

 だが……このタイミングで連邦軍がやってきた以上、そこに相応の理由があるのは間違いなく、その理由というのは当然ながら茨の園の可能性が高い。

 

「シーマ、俺が出る」

「……そうだね。ただ、アクセルだけだとどうかと思うから、他にも護衛を出撃させるよ。多分大丈夫だとは思うけど……近づいてくるのが強硬派だった場合、それこそ普通に攻撃をしてきてもおかしくはないしね」

「そうなったら、こっちも同じように反撃するだけだ。……まぁ、ガーベラ・テトラ改のテスト的にはそっちの方がいいのかもしれないけどな」

 

 そう言う俺の言葉に、シーマは呆れの表情を浮かべる。

 ただ、呆れの表情を浮かべると同時に、そこには強い信頼もあった。

 シーマにしてみれば、俺が出るという時点でこっちに特に被害はないと、そう思っているのだろう。

 実際、もし強硬派が出て来ても普通のパイロットなら俺の操縦するガーベラ・テトラ改をどうにか出来る訳がないし。

 可能性があるとすれば、それこそアムロとかそういうエースパイロットが出て来た時だが……アムロは現在半ば軟禁生活をしているらしいし、そういう意味では強硬派がアムロを使うという心配はまずない。

 けど……そうだな。連邦軍最高のニュータイプであるアムロだけに、強硬派にとっては目障りだと考えて、危害を加えるなんて事になる可能性は否定出来なかったが。

 とはいえ、原作主人公であったアムロだけに、そう簡単にどうにかされるとは思えなかったが。

 そんな風に思いつつ、俺は格納庫に向かうのだった。

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