転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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前話、少し修正しました。
具体的には、バニングやコウ、モーラと一緒に行動してるのは、モンシアではなくキースです。
それ以外は昨日のままです。


4251話

 月からアクシズに……火星の近くにあるアクシズまで行くとなると、普通なら結構な時間が必要になる。

 それこそ数ヶ月とかは普通に掛かるくらいに。

 だが、それはあくまでも普通に移動する場合の話だ。

 ルナ・ジオンは木星にいる勢力とも友好的に接しており、各種物資とかをそれなりの頻度で木星まで運んでいる。

 それは無償提供という訳ではなく、あくまでも木星で採取されるヘリウム3を代金として受け取ってのものだが。

 何しろこのヘリウム3というのは、UC世界においては必須の代物なのだから。

 一応、月でもヘリウム3は採取出来ない事はないのだが、その効率は酷く悪い。

 なので、木星との間で普通にヘリウム3を代金として貰い補給物資を渡す方が効率的な訳だ。

 そうして木星まで移動するのは、連邦なら木星船団と呼ばれる者達が行う。

 それこそ片道数年の旅路。

 だが……それがルナ・ジオンとなると話は違ってくる。

 シャドウミラーがルナ・ジオンに貸し出しているファブニールには、量産型のシステムXNが搭載されていた。

 俺のニーズヘッグに搭載されているアギュイエウス、ホワイトスターの転移区画にあるリュケイオスというオリジナルのシステムXNは、異世界にも自由に転移出来る。

 それと比べると、量産型のシステムXNは異世界には転移出来ないものの、同一世界間でなら転移が可能となるのだ。

 システムXNとしては不完全な機能ではあったが、それでも同一世界間であっても転移出来るというのは、転移技術のない世界にとっては非常に大きな意味を持つ。

 このUC世界にとってもそれは同様であり、連邦に対する大きなアドバンテージとなっている。

 もっとも今はいいが、いずれ連邦にもシステムXNについては知られると思うけど。

 具体的には、木星船団が帰ってきた時か。

 木星にいる者達は、何気にかなりの人数がいる。

 そうなれば、頻繁にやってくるルナ・ジオンに対して完全に沈黙を保つというのは不可能だろう。

 そうなれば、どうしてもどこかから情報は伝わる筈であり……それが木星船団を通して連邦軍に知らされるのは間違いない。

 

「アクセル、ここにいたの? そろそろ出発よ。アクシズの人達も待ってるから、行くわよ」

 

 ファブニールを見ていると、そう声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにはモニクの姿があった。

 ……特に着飾ってる訳ではないのだが、スーツを着たモニクというのは魅力的なんだよな。

 

「ああ、悪い。ファブニールをちょっと見ていたんだよ。……それにしても、アクシズの連中は急ぎすぎじゃないか?」

 

 モニクが呼びに来たものの、時間を確認すると出発予定時間まではまだ1時間程もある。

 勿論、出発前には今回俺とモニクの乗艦となるナスカ級に乗っている必要があるんだが、俺にしてみればまだ時間的な余裕があるようには思えた。

 アクシズの連中にしてみれば、初めての転移だけに楽しみなのだろう。

 あるいはマハラジャが死んだアクシズが心配なのか。

 ちなみにこのアクシズの艦隊は、ノイエ・ジールを持ってきてくれた艦隊だ。

 そういう意味でも感謝の意味を込めて丁重に扱う必要があるんだよな。

 ノイエ・ジールを月まで持ってきてくれてから、地球圏で色々とやるべき事があったんだよな。

 必要な物資の買い取りであったり、交渉であったり。

 そんな中で一番大きかったのは、やはりデラーズ・フリートが起こした星の屑だろう。

 特に星の屑にはデラーズ・フリートだけではなく、キシリア派も手を貸している。

 そしてアクシズにしてみれば、キシリア派というのはすぐ側にある火星を拠点にしている戦力だ。

 それだけに、他人事ではないという思いがあるのだろう。

 ……そして実際、火星からやって来たキシリア派は敗北したデラーズ・フリートの残存戦力を全てではないにしろ、大部分を収容して火星に戻っていったらしいし。

 後は、ちょっと目先を変えて、俺が操縦したノイエ・ジールのデータを欲したってのもあるだろう。

 何しろ、そのノイエ・ジールを開発したのがアクシズだ。

 そのデータを入手すれば、次のMAを開発する際に役立つだろう。

 ちなみに、このノイエ・ジール……俺は実物を貰ったが、ルナ・ジオンは設計データの類も貰っており、量産とまではいかないが作ろうと思えば作れるらしい。

 そしてルナ・ジオンが誇るMA隊の隊長であるケリィが、ノイエ・ジールに乗り換えるかどうか試してみるとか何とか。

 これが成功するかどうかは分からないが、ケリィはMAの操縦を得意としているので、もしかしたらノイエ・ジールに乗れるかもしれないな。

 もっとも、ノイエ・ジールはオートの操縦はゼロ・ジ・アールよりも減っている。

 つまり、それだけパイロットの技量に影響されるという事なんだが……ケリィなら恐らく大丈夫だと思っておこう。

 駄目でも、ヴァル・ヴァロがあるだろうし。

 

「やっぱり、マハラジャ・カーンが死んだのが影響してるでしょうね」

 

 モニクの言葉に、なるほどと頷く。

 この情報は、ノイエ・ジールを持ってきた艦隊が月に到着した後でもたらされたものだ。

 

「まぁ、それでも予定の時間まではまだあるんだし、今から急いでも仕方がないとは思うんだが」

「そうね。……ああ、そうそう。アクセルのガーベラ・テトラ改と私のギャン・クリーガーはナスカ級に運び込んであるわよ」

「俺のガーベラ・テトラ改はともかく、ギャン・クリーガーは持っていく必要があるのか?」

 

 ガーベラ・テトラ改を持っていく事にしたのは、ノイエ・ジールを運んできたアクシズ艦隊からの要望があった為だ。

 現在アクシズでもMSの開発についてはそれなりに研究が進められているらしいので、新機軸の塊といったようなガーベラ・テトラ改を是非とも持ってきて欲しいと要望があった。

 普通なら断るところだが、ノイエ・ジールを持ってきてくれた恩があるしな。

 それに、ガーベラ・テトラ改を見せることによってアクシズのMS技術が上がるのなら、それはそれで俺にとっては悪くない事だし。

 ガーベラ・テトラで使われている新技術……例えばビームマシンガンに使うEパックであったり、テール・バインダーであったりか。

 シュツルム・ブースターについては……ルナ・ジオンがヅダで似たようなのを使っていたから、そこまで珍しくはないだろうし。

 ただ、正直なところガーベラ・テトラ改よりもノイエ・ジールの方が新技術は多いと思うんだが。

 例えば、有線クローアームであったり、Iフィールドであったり、偏向メガ粒子砲も普通のメガ粒子砲とは明らかに違うし、そう考えるとやっぱり大きな意味を持つのは間違いない。

 もっとも、Iフィールドと偏向メガ粒子砲については、MAだからこその装備ではあるのだろうが。

 MSであれば、Iフィールドはまず無理だろうし、偏向メガ粒子砲も……微妙なところだ。

 有線クローアームであれば、普通のMSでも使えそうだが。

 

「ギャン・クリーガーは、アクシズにとっても興味があるのは間違いないんでしょうね。聞いた話によると、現在アクシズで使われているMSの多くは1年戦争時代にジオン軍が開発した物を改修して使っているという話だし」

「なるほど。それでギャンか」

 

 いやまぁ、実際にはギャンは1年戦争においてジオン軍のMSというよりは、ルナ・ジオン軍のMSという認識の方が一般的ではあるだろうが。

 ただ、それでも一応……本当に一応、ギャンを開発したのはツィマッド社なので、ジオン軍が開発したMSというのは間違いではない。

 もっとも、その後の諸々でギャンはルナ・ジオン軍で正式採用され、高機動型ギャンは1年戦争中にルナ・ジオン軍でかなりの性能を発揮したが。

 そんな訳で、ジオン軍のMSを改修して使っているアクシズにしてみれば、ギャン・クリーガーは現在使っているMSに何らかの技術流用が出来るのではないかと、そう思っているのだろう。

 

「そうね。それでギャンみたいよ。ビームランスやシェキナーはアクシズにとっても魅力的でしょうし」

「魅力的……まぁ、強力な武装というのは魅力的に思えるだろうしな。使いこなせるかどうかはともかく」

 

 ギャン・クリーガーの標準装備であるシェキナーとビームランス。

 ビームランスの方はビームを出していなければそこまで取り回しが悪くないものの、シェキナーは複合兵装だけあって慣れないと使いにくい。

 ただし、使いこなせるとかなり強力な武装となるのは間違いなかったが。

 

「そうね。でも、アクシズにしてみれば、そういう武装を使いこなせるパイロットを増やしたいんじゃないかしら?」

「パイロットの質で数を補うというのは、国力……いや、物量の差を思えば当然の事かもしれないな」

「だからこそ、上からもシェキナーの情報は勿論、実物も幾つかアクシズに譲渡するように言われてるわ」

「シェキナーの譲渡か。別にそれは構わないんじゃないか?」

 

 現在、ルナ・ジオン軍のエースや指揮官用MSが使う事で知られているシェキナーだが、このシェキナーを開発したのは元々連邦軍だ。

 1年戦争のア・バオア・クーでの戦闘において、ペイルライダーを確保した時に同時に確保した武装で、ペイルライダーの方は色々と問題のあるシステムだったので研究は行われていないものの、シェキナーは別だった。

 ジャイアント・ガトリング、メガ・ビーム・ランチャー、マイクロ・ミサイル・ランチャーが1つに纏まった複合兵装。

 そういう意味では俺好みの武装ではあるのだが、それらを1つに纏めるという事で。どうしても小型化は難しい。

 いや、今のこの状況でも十分に小型化はしてるんだが。

 ただ、それでもまだ大きく、取り扱いは難しいのだ。

 当然ながら、そのような複合兵装である以上、コスト的な問題もあるし。

 3つの武装を1つに纏めたシェキナーを使うよりも、3つの武器をそれぞれ使えばコスト的には間違いなく低いのだ。

 その辺は考え方次第だな。

 実際、ルナ・ジオン軍においてもシェキナーを使いこなすのは難しいからという事で、エースや指揮官しか使用を許可されていない訳だし。

 そんなシェキナーを幾つかアクシズに譲渡するというのは、俺から見ても特に問題はないと思う。

 ……アクシズのパイロットがシェキナーを使いこなせるようになるなら、それもよし。

 もしくはシェキナーを改修してもっと使いやすくするのなら、それはそれでよし。

 そのデータは当然ながらルナ・ジオン……正確にはディアナに流され、ディアナの方でもそれを参考にして新しい兵器を作ったりとかするだろうし。

 

「ノイエ・ジールの性能を考えると、かなり凄い強化がされそうな気がしないでもないけどね」

「それは否定しない。……さて、出来ればもう少しここでモニクと話していたかったけど、何だかんだと時間が経ってしまったな。いつまでもここにいるのはどうかと思うし、そろそろナスカ級に行くか」

 

 ちなみに転移をするファブニールは、量産型Wが操縦するシャドウがコアユニットとして使われている。

 量産型Wがいれば、もしアクシズが……この場合は頻繁に転移している木星もだが、そちらで何か妙な事……具体的にはファブニールを奪ってシステムXNを自分達の物にしようと考えたり、あるいはファブニールを分析して技術的な情報を入手したりとか、そういう事をしようとしても、反撃されてしまう。

 これが人なら……ルナ・ジオンの人間だったりした場合、相手の甘言に乗ってしまう可能性は否定出来ない。

 ハニートラップとか、特に危ないだろうし。

 そんな訳で、問題がないようにするにはそういうのが効かない量産型Wに任せるのが一番手っ取り早いんだよな。

 もし力ずくでとなっても、量産型Wがシャドウに乗っていれば、戦力的にそう簡単にどうにか出来ないし。

 そして苦戦している間に、システムXNで転移して逃げればいい。

 そう考えれば、ファブニールが奪われるといった心配はなかった。

 

「そうね。……そう言えば、アクセルがアクシズに行くのは初めてよね?」

「言われてみればそうなるな。それなりにアクシズとは縁があったんだが」

 

 具体的には、水天の涙の時に使ったゼロ・ジ・アールや、今回星の屑で使ったノイエ・ジールといった具合に。

 それに以前から……それこそダイクン派のマハラジャがアクシズを率いていたのも影響し、ルナ・ジオン建国直後からアクシズはルナ・ジオンに従ってきた。

 であれば、今まで俺がアクシズに行くようなことがあってもおかしくはないんだが……何故かそういうのは今までなかった。

 

「ちなみにモニクはアクシズに行った事はあるのか?」

「いえ、アクシズから来た人達と交渉をする事はあったけど、実際に直接アクシズに行くのは今回が初めてね」

「……モニクも人の事を言えないんじゃないか?」

 

 そう言う俺の言葉に、モニクはそっと視線を逸らすのだった。

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