ある程度アクシズに近付いたところで、見えてきたのは戦闘の光。
ブリッジクルーにそう説明されれば、俺としてもすぐに行動に出る必要があった。
「全速でアクシズに向かえ」
敢えてそう指示を出したのは、今までもアクシズに向かってはいたものの、ナスカ級の速度は決して全速という訳ではなかったからだ。
アクシズ艦隊はともかく、パプア級を始めとした補給艦が一緒に行動しているのだ。
その速度に合わせる必要があり、巡洋艦の中でも特に高速巡洋艦と称されることもあるナスカ級にしてみれば、当然ながらゆっくりと移動していた事になる。
普段ならそれでもいい。
パプア級の護衛とかそういう意味もあるのだから。
だが、今ここで敵はいない。
……ああ、もしかしたら俺達が転移した時に側を通っていった艦隊が、場合によっては敵になっていた可能性があるのか?
もっとも、こっちには見向きもしないで……それどころか通信を完全に無視して、離れていったのを思えば、こっちに何かをするつもりがあるとは思えなかったが。
ともあれ、そんな訳でこのナスカ級にはかなりの余力があったのは間違いなく、そういう意味でアクシズまで全速で急げという俺の言葉は決して意味のないものではなかった。
「補給艦の護衛は……」
「そっちはファブニールに任せればいい」
こっちに残していった艦が攻撃を受ける可能性は基本的にないと思ってもいい。
あるいは、アクシズを攻めている戦力の援軍とかがいたら話は別かもしれないが……そんな戦力があるのなら、こっちでも先に把握する事が出来る筈だった。
勿論、絶対という訳ではない。
俺にとって完全に想像外の手段で何かをするといった可能性も否定は出来ないのだから。
だからこそ、ファブニールを残していくんだし。
「分かりました。では、すぐに。アクセルさん達はMSに」
「そのつもりだ。幸い、ガーベラ・テトラはシュツルム・ブースターがある。それを使えば、更に素早く移動出来る筈だ。電磁カタパルトの準備も忘れないように頼む。……モニク……はもういないか」
俺が艦長と話している間に、モニクの姿は消えていた。
恐らくパイロットスーツに着替えに行ったのだろう。
さっき、そういう話をしていたしな。
「じゃあ、そういう事で俺は格納庫に向かうから、後の指揮は任せた」
そう言うと、俺はブリッジを出るのだった。
「アクセル・アルマー、ガーベラ・テトラ改、出るぞ!」
その言葉と共に、ナスカ級の電磁カタパルトによってガーベラ・テトラは射出される。
映像モニタで確認すると、ナスカ級だけが突出していた。
ただ、本隊――ファブニールとパプア級――とナスカ級の間には、アクシズ艦隊の姿もある。
当然ながらアクシズ艦隊は全てをこちらに任せるのではなく、自分達も出撃すると言ってきた。
アクシズ艦隊にしてみれば、自分達の拠点……今の家で戦いが起きているのだから、自分達もその場に行って戦いを止めたいと、アクシズを守りたいと思うのは自然な事だろう。
実際、ナスカ級の艦長もそんなアクシズ艦隊の意見に反対は出来ない。
ただし、アクシズ艦隊と一緒に行動しているとナスカ級の速度を全開には出来ないので、戦闘に参加するのは問題ないが、ナスカ級は先に行くという事にしたのだ。
その結果、丁度いい具合にナスカ級と本隊の間を埋めてくれる形になった訳だ。
……もっとも、本隊はパプア級が主なので、今はともかく時間が経てば本隊とアクシズ艦隊の距離が開く事になるだろうが。
まぁ、そうなっても本隊にはファブニールがいるし、パプア級にも戦力としてメギロートやバッタ、ガルバルディβが搭載されているので、問題はない筈だ。
「さて……なら、急ぐとするか」
呟き、シュツルム・ブースターを全開にすると同時にショルダー・バインダーやテール・バインダーをも使い……
「加速」
精神コマンドの加速を使い、更に速度を増す。
現在のガーベラ・テトラ改の速度は、とてもではないが常人は耐えられない。
人間の中にはたまに高い耐G能力を持って生まれる者もいる。
俺に分かりやすいところだと、ヤザンなんかがそうだろう。
魔力や気を使える訳でもないのに、非常に高い耐G能力を持っているヤザン。
……とはいえ、そんなヤザンでも今のガーベラ・テトラ改に乗っていたら、一瞬にして意識を奪われるだろう。
最悪、死んでもおかしくはない。
現在のガーベラ・テトラ改の速度は、それ程のものだった。
そんな速度で移動をしていると、当然ながらアクシズが見る間に近付いてくる。
また、近付いてくるのはアクシズだけではなくアクシズ周辺で行われている戦闘もなのだが……
「え?」
ガーベラ・テトラ改の映像モニタの倍率を最大にしたのだが、その光景に自分でも気が付かないうちにそんな声が出た。
アクシズから戦闘光が見えた時、まだどんな勢力がアクシズと戦っているのか分からなかった。
有力な候補の1つとしてティターンズがあったものの、システムXNがないティターンズ……というか、連邦軍か。ともあれティターンズがアクシズを攻撃するには、それこそ数ヶ月も前に地球を出発する必要がある。
それこそまだティターンズではなく強硬派だった時に出撃していないと間に合わないだろう。
それでも一番可能性が高いのが強硬派だと思っていたんだが……ガーベラ・テトラ改の映像モニタに表示されたのは、ジオン系のMS同士が戦っている光景だった
一体、何がどうなってこうなった?
そんな疑問を抱くも、既にこうして戦いが行われている以上はどうしようもない。
今の俺に出来るのは、可能な限り戦いを止める事だが……問題なのは、敵味方識別コードが使えないという事になる。
ガーベラ・テトラ改が急速にアクシズに近付いているのを感じつつ、どうする? と疑問に思う。
一瞬だけ適当に攻撃をするといった選択肢が頭の中に浮かんだが、当然ながらそれについては却下する。
そんな風に思っていると……
「あ? ニュータイプ?」
映像モニタの一部に、ビットと思しき物が映ったのを見て、そう言う。
いや、アクシズはルナ・ジオンの……ニュータイプが女王をしているルナ・ジオンの下部組織だ。
そう考えれば、アクシズでニュータイプ研究が盛んなのはそうおかしな事ではないか?
それに、マハラジャの娘であるハマーンは以前……俺達が潰すよりも前に、フラガナン機関に被検者としていたって話だった。……おい、待て。
だとすれば、もしかしてハマーンが……マハラジャが死に、その後継者となった人物が前線に出ているのか?
そんな馬鹿な事は……いやまぁ、俺が言えた事ではないが。
何しろ組織ではなく国のトップが普通に最前線で戦っているのが俺な訳だし。
とはいえ、自分で言うのも何だが俺の場合は色々な意味で特別だろう。
そんな訳で俺が前線に出るのは問題ないが、組織を継いだばかりのハマーンが戦場に出るというのは、色々な意味で不味い。
あるいはセイラのように突出して高いニュータイプ能力を持っているのなら、自分はアクシズの中にいながら遠距離からビットを操り戦いに参加するという手段もない訳ではないが。
そんな風に思っていると、特徴的な機体の姿を見つける。
「あれは……白いリック・ドム?」
白く塗られたMSで真っ先に思い浮かべるのは、白狼の異名を持つシン・マツナガだ。
だが、当然ながらシンがアクシズにいる筈がない。
シンはドズルの親友として、ドズルが可愛がっていたガルマの懐刀として働いているのだから。
……あ、いや。でもだからってシンが必ずしもアクシズにいないという事もないのか?
そもそも、今でこそアクシズはルナ・ジオンの下部組織という扱いになってはいるものの、以前はジオン公国に所属していたのは間違いないのだ。
ましてや、アクシズには様々な派閥の者がごった煮状態でいた事を思えば、その関係で現在のジオン共和国からガルマの使者としてアクシズに来ても不思議はない。
もっとも、シンは軍人としては非常に優れているものの、その性格は実直な武人で、政治家としての役割はとてもではないが期待出来ない。
そういう意味ではシンがわざわざアクシズに来る事はないだろうし、何より……
「あのリック・ドムのパイロット……まだ未熟だな」
白いリック・ドムの動きを見れば、それに乗っているのがシンではないというのは明らかだった。
素人……とまではいかないが、それでも決してエース級とは言えない。
とはいえ、そうして新人以上の実力を発揮している事から、ベテランなのかと思えば、機体の動きにはベテラン程度ではとてもではないが無理だろうと思しき動きもある。
これは、一体?
一瞬そう思ったが、すぐにこれと同じような動きを今まで何度か見た記憶があったことを思い出す。
それは……いや、ちょっと待て。だとすると、あれは……
頭の中で幾つものピースが嵌まっていき、最後の最後に決定的な最後のピース、ラストピースであるビットを見つけ、理解する。
あの白いリック・ドム、恐らく乗っているのは……マハラジャの娘にして、アクシズを率いる立場にいる、ハマーン・カーンだろうと。
それに……あれはビットか?
白いリック・ドムを中心に、ビットと思しき物が数基浮かんでいる。
勿論ビットを使っている以上、白いリック・ドムは普通のリック・ドムではない。
通常のリック・ドムと比べると、両肩のパーツが大きくなっている。
また背中にはランドセル……というか、バックパックか? かなり巨大なそれっぽいのを背負っていて、とてもではないが普通のリック・ドムには思えない。
ビットを動かしているところを見ると、ニュータイプ用に改修されてるんだろうが。
もしあの白いリック・ドムに本当に俺の予想通りハマーンが乗っているのだとしたら、撃破される訳にはいかない。
何より、アクシズのMS同士で争っているように見えるのを思うと、どう攻撃すればいいのか分からない以上、ハマーンが乗っているのだろう白いリック・ドムを守っておき、白いリック・ドムに攻撃する相手を撃墜していれば、問題はないだろう。
……アクシズを率いるハマーンがやられるというのは、絶対に避けるべき事なのだから。
そんな訳で白いリック・ドムに向かうと……
「あれは敵……か?」
白いリック・ドムに対し、ザク改がザクマシンガンを向けているのに気が付く。
普通ならザク改が装備しているマシンガンはMMP-80というタイプのマシンガンなのだが、白いリック・ドムを狙っているザク改が装備しているのは一般的な……F型が使うマシンガンとしてイメージする、ドラムマガジン式のマシンガンだった。
白いリック・ドムはここでようやくそんな自分を狙っている敵に気が付いたらしく、慌ててその場から退避しつつビットを向かわせようとするのだが……遅い。
既にザク改はマシンガンのトリガーを引きつつあり、同時に俺の操縦するガーベラ・テトラ改は白いリック・ドムを追い越し、ザク改の前まで移動しつつ、ビームマシンガンでザク改を撃破していた。
白いリック・ドムは、驚いたようにこちらに視線を向け……
『貴様は……誰だ? エンツォ大佐の手の者ではないのか?』
こちらに向け、オープンチャンネルで音声だけを使い、そう聞いてくる。
俺はそれに対し、アクシズの先遣艦隊から聞いていた周波数を使い、通信を送る。
「俺はルナ・ジオン軍所属のアクセル・アルマーだ。……お前は……ハマーン・カーンか?」
その言葉に、映像モニタが表示される。
そこに映し出されたのは、10代後半くらいの女の姿。
ハマーン・カーンの年齢は16歳から17歳くらいだという話だった筈だが、外見からすると前もって聞いていた話と比べても年上のような雰囲気がある。
もっとも、外見というのはその人物の経験によって大きく変わってくる。
また、年齢以上の外見で見られるような者もいる。
俺の恋人の千鶴なんかはその典型だろう。
俺が千鶴と初めて会った時はまだ中学生だったというのに、既にその時に若妻感……いや、人妻感? 人によっては未亡人的な? そんな雰囲気を千鶴は持っていたのだから。
ゾクリ、と。
不意に背筋にいきなり氷を入れられたのかと思うくらいに、冷たくなる。
慌てて千鶴の件については気にしない事にして、映像モニタに映し出されたハマーンに視線を向ける。
パイロットスーツを着て、ヘルメットもしている。
その為、髪型は分からないが、その目には強い意志が浮かんでいるのは明らかだった。
『ルナ・ジオンの……? 何故、ルナ・ジオンの人間がここに? いや、だが……アクセル・アルマーだと? それは……』
予想外の内容に戸惑った様子を見せるハマーン。
だが、その戸惑いがハマーンに隙を生む。
あるいはこれでハマーンがもっと戦闘に慣れていれば話は別だったのだろうが……見た感じ、ハマーンに戦闘経験はそう多くない。
その為、突然ハマーンに向かって突進する何かを見つけ、俺は反射的にビームマシンガンで撃ちぬくが……
「え? ビット?」
撃ち抜いた存在を見て、思わずそんな声が俺の口から漏れたのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:1170
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:2090