転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4260話

 ハマーンに案内され、俺は反乱を企んだエンツォを捜す。

 その途中でエンツォ派のMS隊に遭遇すれば、四肢と頭部を破壊して胴体だけにするのは忘れずに。

 そして近くにいたハマーン派のMSに、胴体だけとなった敵を回収するように命じて。

 俺とハマーンはエンツォを捜していたのだが、結果としてそれがエンツォ派の戦力を減らす事になっていた。

 戦力の少ないハマーン派にしてみれば、渡りに船といったところか。

 ましてや、ハマーン派という名称通りハマーンがトップの勢力でそのハマーンが助けに来るのだから、助けられた方も士気は爆上がりとなる。

 自分がピンチの時にハマーンに助けられ、それでハマーンに感謝の気持ちを抱く者。

 ハマーンのような16歳? 17歳? ともあれそれくらいの年齢の相手に助けられ、自分を不甲斐ないと思い、このままではいけないと発奮する者。

 他にも色々な理由からやる気満々といった様子になったハマーン派は、士気という点では間違いなくエンツォ派を押していた。

 真ジオン公国軍と名乗ったエンツォ派だったが、そこに所属する者達は次から次に起こる事態に対処が難しく、戦いの中で自然とその士気は下がっていく。

 また、ルナ・ジオンから援軍が来たという情報も士気を落とすのに一役買っているだろう。

 ルナ・ジオン軍という存在は、アクシズにとって大きな意味を持つ。

 エンツォはそれを認めない……認めたくないかもしれないが、アクシズがルナ・ジオンの下部組織であったのは、間違いのない事実なのだから。

 それを思えば、やはりここでルナ・ジオン軍が援軍に来たというのは致命的……とまではいかないが、かなり痛い情報だったのだろう。

 そんな訳で……

 

「戦局は完全に逆転したな」

『ああ。これもアクセルのお陰だ』

「俺はあくまでもルナ・ジオンの一員として働いてるだけで、感謝をするのならルナ・ジオンにしてくれればいいんだけどな」

 

 そう言うと、映像モニタに表示されたハマーンの表情に呆れの色が浮かぶ。

 うん、やっぱりこれって俺の正体を察してるよな。

 最初に接触した時から何となくそれっぽい感じではあったが……正直なところ、何でこっちの行動を察知出来たのかが全く分からなかった。

 俺にしてみれば、それはそれで構わないとは思うんだが。

 これが連邦軍に対してであれば、もう少し焦るだろう。

 もしくは、キシリア派やギレン派といったジオン軍残党に知られても面倒な事になるだろう。

 特にキシリア派は、1年戦争の時に俺達が当時月のグラナダを占拠していたキシリアの突撃機動軍をニーズヘッグで蹂躙して、月から突撃機動軍を追い出して、月でルナ・ジオンを建国したりしたし。

 キシリアが得意とする諜報とかそういうのを全く関係なく、正面から突撃機動軍を撃破したしな。

 そんな訳で、もし俺が……ルナ・ジオン軍のアクセル・アルマー中尉ではなく、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーがアクシズにいると知れば、キシリアはどう動くか。

 ……まだ戦力が整ってはいない以上、何らかのちょっかいを出してくるとは思えないが。

 そもそも、キシリア派が吸収したデラーズ・フリートの残存戦力も、まだ火星に向かっている途中なのだから。

 俺達の場合はファブニールのシステムXNであっさりとアクシズまで転移してきたが、現在のUC世界の技術力では、地球からアクシズ、あるいは火星までは数ヶ月の時間が必要となる。

 そういう意味で、俺達はキシリア派と比べて圧倒的に有利なのは間違いなかった。

 

『アクセルがそう言うのであれば、私もそのように対応しよう。だが……本当にそれでいいのだな?』

「ああ、今はそれでいい」

 

 ハマーンにそう返すと、ハマーンは完全に納得した様子ではなかったが、それでも頷く。

 

「詳しい話については、この戦いが終わってからだ」

『分かった。そうしよう』

 

 そうして通信を終わると、エンツォを捜して行動を始めるのだが……

 

「邪魔だ!」

 

 ビームマシンガンによって、リック・ドムⅡの手足と頭部を破壊する。

 ドム系は装甲が厚いものの、ビーム兵器には無意味だ。

 もっとも、シュネー・ヴァイスやトゥッシェ・シュヴァルツのようなリック・ドムの改修機を作っているのを思えば、ビームに対する何らかの手段を用意していてもおかしくはないんだが。

 というか、今更の疑問なんだが……何でシュネー・ヴァイスにしろ、トゥッシェ・シュヴァルツにしろ、リック・ドムⅡじゃなくてリック・ドムの改修機なんだ?

 普通に考えれば、リック・ドムよりもリック・ドムⅡの方が性能は高いんだし、ニュータイプ用に改修するにしてもそっちの方がいいと思うんだが。

 まぁ、その辺については俺が考えても仕方がないが。

 アクシズの技術者達がそういう風に開発したのだから、そこには何らかの意味があってそうしたんだろうし。

 リック・ドムⅡの数が少なくて建造中に失敗したら困るとか。

 ともあれ、俺のガーベラ・テトラ改とハマーンのシュネー・ヴァイスは出てくる敵を撃破……じゃなくて、四肢と頭部を破壊していく。

 20機以上は確実に無力化したが、それでもエンツォを見つける事は出来ない。

 それだけではなく……

 

『アクセル、ビットの推進剤がそろそろ怪しい。機体の方はまだ大丈夫なのだが』

 

 ハマーンのその言葉に、俺もまたガーベラ・テトラ改の状況を確認する。

 既にEパックは残り1個。

 両腕と左右のテール・バインダーの110mm機関砲も弾丸は残り僅か。推進剤も大分減ってきている。

 特に推進剤は強襲型というコンセプトからそれなりに消耗が激しい。

 シュツルム・ブースターには推進剤が入っており、それでフォローをしていたものの、それでも限界がある。

 ……推進剤という意味では、ハマーンのシュネー・ヴァイスの方がまだ余裕はあるだろう。

 何しろシュネー・ヴァイスは一応ザクマシンガンを持ってはいるが、基本的に攻撃はビットによるもので、シュネー・ヴァイスの推進剤の消費は低い。

 ただし、それでもエンツォを捜して宇宙空間を移動していれば、どうしても機体を動かす必要が出てくるので、相応に推進剤は消耗しているだろうが。

 

「俺の方も結構消耗が激しい。……もう少し探索を続けてエンツォが見つからなかったら、一度補給に戻った方がいいかもしれないな」

 

 補給をするとなると、それなりに時間が必要となる。

 あるいはこれが推進剤だけ、もしくは弾丸の補給、それも1つだけとかならともかく、全部だ。

 一番簡単なのは、Eパックの補充だろう。

 何しろEパックをそのまま持ってくればいいだけなのだから。

 

『そうするしかないか』

「ちなみに俺の機体は補給作業にそれなりに時間が必要だけど、そっちはどうだ?」

『ビットに推進剤を補充するのはそれなりに時間が必要となる。……メカニック達もあまり慣れていない作業なのでな。それに、出来ればビットキャリアーを持ってきたいところだ』

「ビットキャリアー? 名前からすると、ビットを運ぶ為の物か」

 

 まぁ、ビットの大きさを考えれば、エルメスのようにビットを機体内部に収納するといった事は不可能だ。

 俺はてっきりアクシズの格納庫から、もしくは軍艦から直接ビットを射出し、それをシュネー・ヴァイスが操っているのだと思ったのだが、どうやら違ったらしい。

 

『うむ。ビットキャリアーがあれば、ビットを移動するのに推進剤を使う必要がないのでな』

「そういう事か。確かにビットの大きさを考えると、そういうのがあった方が便利だな。なら、一度戻って補給を……」

 

 しよう。

 そう言おうとしたところで、不意にモニクから通信が入る。

 

『アクセル、緊急よ。ガルバルディβ部隊から連絡があったわ。反乱の首謀者……エンツォが乗っていると思しきザンジバル級を発見したそうよ』

 

 モニクのその通信は、待っていたものだったのは間違いない。

 間違いないが、何も今この時じゃなくても……というのが正直なところなのも事実だった。

 例えばこれが補給が全く必要のない状態の時なら何も問題はなく、すぐにでもエンツォを捕らえるなり撃破するなりする為に行くだろう。

 もしくはもっと推進剤や残弾、Eパックがない状態なら、補給をしてから行くと即座に判断出来ただろう。

 だが……まだ中途半端に推進剤や残弾、Eパックがある状態でエンツォを見つけたという報告があったのは、何ともタイミングが悪い。

 とはいえ、ここでエンツォに無駄に時間を与えるのはこっちにとってマイナスでしかないしな。

 

「ハマーン」

『分かった』

 

 短く言葉を交わし、映像モニタ越しに頷き合う。

 

『……何で会ったばかりなのに、こんなに息が合ってるのかしらね』

 

 モニクが不思議そうに、そして呆れたように呟いている言葉が聞こえてくるが……そう言えば何でだろうな?

 まぁ、その辺についてはこの戦いが終わってからハマーンと話せば分かるだろ。

 

「エンツォがいるという座標を教えてくれ」

『はいはい、ここよ』

 

 モニクからの座標が送られてくる。

 俺は即座にそれをシュネー・ヴァイスに流し……

 

『なるほど、ここか。少し予想外だったな。……いや、だからこそ今まで見つからなかったのか』

 

 ハマーンの呟く声が聞こえてくる。

 

「その様子だと、どうやら知ってる座標らしいな」

『私はこのアクシズについては詳しいのでな。……とはいえ、今も言ったようにここにいるというのは予想外だったが』

 

 ハマーンの様子を見る限り、どうやら本当にこの座標にエンツォがいたというのは予想外だったらしい。

 少しだけこの座標に何があるのか気になったが、ハマーンの様子からするとあまり聞いて欲しくはなさそうだ。

 であれば、ここで下手にハマーンにその件について聞いて、その結果としてお互いの関係がギクシャクするような事になるのは避けたい。

 別にどうしてもこの座標に何があるのか知りたいって訳でもないし。

 であれば、無理に聞き出す必要もないだろう。

 

「ハマーンがその座標について詳しいのなら、さっさと行くか」

『では、そうしよう』

 

 ハマーンが頷いたのを聞いて、俺はモニクに向かって口を開く。

 

「そんな訳で、俺とハマーンでこれからエンツォのいる場所に向かう」

『アクセルの事だから、そう言うと思ったわ。……ハマーン・カーンを一緒に連れていくとは思わなかったけど』

「そうか? ここまでハマーンと一緒に行動してきたけど、ハマーンの腕は……まぁ、新人よりは少しマシって程度だが、ニュータイプの能力についてはかなりのものがあるしな」

 

 新人よりは少しマシといった言葉に、ハマーンが不満そうな様子を見せるが……実際、俺が見た感じではそのくらいなのは間違いない。

 ただ、このUC世界においてはニュータイプ能力こそが非常に大きな意味を持つ能力であるのも事実。

 それを示すように、ハマーンの操縦するビットは次から次にエンツォ派のMSの四肢と頭部を破壊して胴体だけにしていたのだから。

 今のハマーンがビットを使わずに同じ事が出来るかと言えば……恐らく、いや確実に無理だろう。

 将来的にはともかく、今のハマーンの操縦技術では。

 

「そんな訳で、ハマーンと一緒にいるのは……そうだな。クスコには及ばないものの、一緒にいて同じような感じだと思えばいい」

『……それ程に……?』

 

 俺の口から出た言葉に、モニクは驚きの表情を浮かべる。

 モニクもクスコと一緒に戦場に立った事があるので、クスコの持つニュータイプ能力については十分以上に知っていた。

 そんなクスコと一緒にいるようなものだと言われれば、驚くのはそうおかしな話ではないだろう。

 もっとも、そう言われたハマーンの方は、事情が理解出来ずに戸惑ったような表情を浮かべていたが。

 先程新兵と言われた時には決して好ましくは思っていなかったんだけど、あっという間に表情が変わるな。

 この辺は組織の長としてはまだまだといったところか。

 もっとも、ハマーンがマハラジャの後を継いでから、まだ少しだ。

 ああ、でもマハラジャは別に急死という訳でもなかった以上、いずれハマーンがアクシズを率いる事になるのは決まっていたと思ってもいい。

 そうなると、前々からその辺については知っていたのだから、自分達の態度についてもこう……演じていたとしてもいおかしくはないだろう。

 だが、まだそういう態度に慣れていないといったところか。

 そういう態度というのは自然と慣れてくるものなので、その辺については今はともかくいずれ慣れるとは思うが。

 

「そんな訳で、これからの行動は決まったな。ハマーンもそれでいいよな?」

『あ、ああ。それで構わん』

 

 ハマーンが俺の言葉に頷き、モニクもそれ以上は何も言わない。

 こうして、俺達のやるべき事は決まり……アクシズでエンツォが起こした反乱は最終局面に向かう事になる。

 反乱を起こした本人は、一体何を考えているのか少し気になったが……まぁ、その辺については俺がそこまで気にする必要はないだろう。

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