『この先だ』
シュネー・ヴァイスからの通信に、俺は周囲の様子を確認する。
ここは、アクシズ……正確には1年戦争が終わって多くの者がアクシズにやって来たので、居住空間が足りないということで追加で用意され、住人の居住用として整備されたモウサと呼ばれる小惑星だ。
アクシズと接続されたそのモウサの近くが、どうやらエンツォの潜んでいる場所だったらしい。
基本的に軍港の類がなく、純粋な居住用エリアだけに、ハマーンにとってもそこにエンツォがいるというのは予想外だったのだろう。
勿論、この辺りについても全く探索をしていなかった訳ではない。
一応探索は進めていたらしいが……何しろ、今回の反乱においてエンツォはアクシズに存在する半分以上の戦力を自分の戦力として引き込んでいる。
その為、ハマーンはどうしても使える手勢が少なかったのだ。
ただでさえ戦力が少ないのに、その手勢をエンツォ派の戦力の迎撃に回しながら、その上でエンツォのいる場所を探るというのは、普通に考えてかなり厳しいのは間違いないだろう。
実際、俺がハマーンの立場でもモウサの探索は大雑把にするだけで、もっとエンツォのいる可能性の高い場所を探すように指示をしたかもしれないし。
「それで、エンツォについてはどうするんだ? 殺すのか? それとも生け捕りにするのか?」
これについては前もって聞いておいた方がいいだろう。
ガーベラ・テトラ改もシュネー・ヴァイスも、推進剤や残弾は決して十分な状況ではない。
これで推進剤や残弾に余裕があるのなら、ある程度の対処は可能だろうが……今の状況では前もってどうするのか決めておいた方が、推進剤や残弾をそこまで消耗しないように出来る。
『出来れば生かして捕らえたい』
そんなハマーンの言葉に、もしかしたら殺すのを恐れているのか? と思い……それならそれで仕方がないかとも思う。
何しろ、ハマーンはまだ10代後半の女なのだ。
それも本当の意味での実戦ということであれば、恐らく今日が初陣だ。
またニュータイプという事は、人によっても違うが倒した敵の思いを受け取ったりしてもおかしくはない。
……ああ、そう考えると、俺がハマーンと合流してからエンツォ派のMSを殺す事はなく、四肢と頭部を破壊するだけに留めておいたのはハマーンにとってもラッキーだったのかもしれないな。
本人にその意識があるかどうかは、また別の話だが。
ハマーンの状況を考えれば、殺すのを避けたいと思うのは、俺にとっても納得出来ることであるのは間違いなかった。
もっともアクシズを率いる身としてはただ殺すのではなく、捕らえて大勢の前で裁く必要があるんだろうとは思ったが。
そうしてエンツォを裁くことによって、それでようやくこの反乱に一区切りつくのも事実だったし。
「分かった。なら、生け捕りにする方向で。……MSに乗って出撃してくれば手っ取り早いんだが、それは期待出来ないんだよな?」
『反乱軍を率いているという立場を考えれば、恐らく……いや、間違いなく自分がMSに乗って出撃するような事はしないだろう』
ハマーンのその言葉は、別に俺に向かって言ってる訳ではないのだろうが、それでも俺に向けても言ってるように思えたのは、きっと気のせいではないだろう。
シャドウミラーという国を率いている俺が、真っ先に最前線に向かって戦う。
あるいは、ゲートを使って未知の世界……本当にどういう世界かも分からないような、そんな世界に1人で転移する。
普通に考えれば、それは自殺行為以外のなにものでもないのだから。
「そうだな。普通ならそういうものか」
ここで敢えて普通という言葉を強調したのは、俺は別に普通という訳ではない為だ。
混沌精霊の俺が普通だったりしたら、それはそれで怖いが。
何しろ俺以外にも混沌精霊が多数いるという事を意味してるのだから。
『うん? まぁ、アクセルが何を……』
そう言い掛けるハマーンだったが、ガーベラ・テトラ改の映像モニタはスペースデブリに隠れるようにしてこちらを見ている1機のMSの姿を捉える。
それは、俺も知っている偵察用MS……ザク・フリッパーだ。
偵察用MSとしてはザク強行偵察型という機体がある。
機体を更に改修して作られたのが、このザク・フリッパーだった。
1年戦争時代に開発されたMSなのだが、その性能は非常に高い。
それこそ偵察用としてなら、今でも十分に一線級で活躍出来るくらいの性能は持っている。
もっとも、偵察型のMSというのは戦闘に使うMSとは違い、そこまで進化が激しい訳ではない。
事実、ルナ・ジオンであっても指揮官やエース用にギャン・クリーガー、一般パイロット用にガルバルディβが採用されているものの、偵察型はヅダが未だに運用されている。
そもそもヅダは高機動型のMSなので、偵察用に向いてるんだよな。
偵察用MSは、情報を入手した後は出来るだけ早く拠点なり母艦なりに戻り、情報を知らせる必要がある。
あるいは、敵に見つかった場合に逃げ出す必要もある。
そういう意味では、ヅダの高機動性というのは偵察用MSに向いている訳だ。
……ちなみに偵察用だけではなく狙撃もまたヅダには向いている。
何しろ旧ザクも狙撃用に改修されてビームライフルを使うなんて事もしているらしいし、そういう意味ではやはりヅダがそちら方面に向いているのは間違いのない事実だった。
「当たりだ。恐らく本当にこの近くにエンツォは潜んでいたらしいな。……気が付かれるなよ? 前方にあるスペースデブリ……岩塊だが、その後ろにザク・フリッパーがいる」
『……いるな。そうなると、やはりアクセルから教えて貰った座標にエンツォがいるのは間違いないという事だろう。それで、どうする?』
自分達のいる場所に近付いてくる敵がいないかどうか。
それを確認する為に、恐らくはこうして偵察用のザク・フリッパーを用意していたのだろう。
……個人的には、ザク・フリッパーのような高性能な偵察用MSは、こういうところで使うんじゃなくて、前線の情報を集めてそれを味方に知らせる事で有利に戦えるようにするべきだと思うんだが。
まぁ、これはあくまでも俺の考えだし、その辺りは人によっても違うのだろう。
実際、反乱軍を率いるエンツォがやられるのは不味いというのも事実ではあるし。
「ここまで来た以上、ザク・フリッパーは倒すしかないだろ。……今までみたいにパイロットを生かすんじゃなくて、殺す必要があるが」
今までのように手足と頭部を破壊しただけでは、パイロットは生きている。
そうなればエンツォに連絡をするだろう。
手足や頭部を破壊した時、上手い具合に通信機能も破壊出来ればいいんだが、そう上手くいく筈もない。
俺達の存在がエンツォに知られれば、向こうも準備万端でこっちを待ち受けているだろう。
いや、それならまだいい。
推進剤が残弾が少ないとはいえ、どうにか出来るだけの自信はあるのだから。
だが……もし向こうが逃げ出したりしたら、こちらとしても対処は難しくなる。
実は、それが一番嫌な方法なんだよな。
何しろ逃げられれば追うしかない。
追うしかないが、ガーベラ・テトラ改もシュネー・ヴァイスも推進剤の残量は決して多くはない。
そうなると追っている最中に推進剤切れになる可能性が高かった。
ちょうど、星の屑でソロモンから派遣した艦隊がコロニーに追いつくまでの間に推進剤の多くを使い果たし、ラビアンローズのレーザー発振機によってコロニーが地球に進路を変えた結果、推進剤切れで動けなくなったかのように。
とはいえ、そうなったらそうなったで、エンツォがこれからどうするのかといった問題があるのだが。
考えられる中で一番高い可能性となると、火星に行ってキシリア派と合流する事だろうが……真ジオン公国軍とか名乗ってしまった以上、それはそれで難しい。
というか。エンツォの場合派閥はどこに所属するんだろうな?
取りあえずガルマ派とダイクン派じゃないのは確実だが。
あるいは、派閥とかそういうのは全く関係ないのか。
『……分かった。では、私がやろう』
ハマーンの覚悟を決めた表情。
これは俺にとっても少し意外だった。
とはいえ、これからのハマーンの立場を考えれば、ここでしっかりと覚悟を決める必要があるのは間違いない。
「いいんだな?」
『私を侮って貰っては困る。私はアクシズを率いる者なのだから』
表情には出していないものの、何となく強がっているのは分かった。
とはいえ、その件について俺がここで何かを言ったりするつもりはなかったが。
何しろハマーンが自分で決めた事なのだから。
ここで俺が何かを言うのは、野暮でしかないだろう。
ハマーンがビットを動かす。
ザク・フリッパーに見つからないよう、回り込ませながら。
「一応言っておくが、もしザク・フリッパーがビットの存在に気が付いて逃げ出そうとしたら、俺もすぐに行動に移るから、そのつもりでな」
その言葉にハマーンが頷く。
ハマーンにしても、自分の意地だけでザク・フリッパーを逃がし、結果としてエンツォを逃がすといったような事は絶対に避けたいのだろう。
そんな訳で、俺はいつでもビームマシガンを撃てるようにしながら、時間を稼ぎ……
「あ」
ザク・フリッパーが不意に爆発する。
どうやらビットが上手い具合にザク・フリッパーに見つからずに回り込み、撃破したらしい。
『あ……』
「行くぞ、ハマーン!」
そう声を掛けると、ザク・フリッパーのいた奥に向かって機体を進ませる。
ザク・フリッパーを撃破したので、これでザク・フリッパーからエンツォに連絡がされる心配はない。
だが同時に、ザク・フリッパーが撃破されたのだから、エンツォの方でそれを察知する可能性は充分にあった。
エンツォ派の切り札であっただろうトゥッシェ・シュヴァルツは既に無力化され、戦力という意味でもナスカ級がやって来た事や、俺やハマーンが行動した関係で無力化に成功している。
これでまたある程度の時間が経てば、今度はユーリー艦隊が更に援軍として到着する。
エンツォにしてみれば、完全に予定が狂った形だろう。
とはいえ、俺にしてみればその方が好都合なのは間違いないが。
そんな訳で、俺はガーベラ・テトラ改のスラスターを……ショルダー・バインダーやテール・バインダーも使い、全開で奥に向かう。
ハマーンのシュネー・ヴァイスも必死に俺を追ってきてはいるものの、当然ながら機体の性能が違いすぎる。
一瞬、飛ぶ速度を落とすか? と思ったが、今の状況で必要なのはハマーンに対する気遣いではなく、この先の……反乱軍の旗艦であるザンジバル級を逃がさない事だ。
シュネー・ヴァイスに速度を合わせた結果、エンツォに逃げられるなんて事になったら、それこそ洒落にならない。
なので、俺としてはこのまま速度を落とさずに進み続ける。
「急げよ」
ハマーンに……もしかしたら生まれて初めて人を殺したかもしれないハマーンにそう言うのはどうかと思うが、ハマーンもアクシズを率いる身として、そのくらいの事にはこれからも慣れて貰う必要があるし。
そんな俺の通信をどう受け取ったのかは分からないが、向こうにしてみればここで置いていかれる訳にはいかないとでも思ったらしい。
シュネー・ヴァイスは必死になってガーベラ・テトラ改を追ってきていた。
とはいえ、シュネー・ヴァイスとガーベラ・テトラ改ではどうしても性能が違う。
必死になって追ってきているシュネー・ヴァイスだが、どうしてもガーベラ・テトラ改との距離は開いていく。
ハマーンにしてみれば、ここで自分がこうも簡単に置いていかれるというのは予想外だったのだろう。
この辺りは純粋な機体性能による違いである以上、どうしようもなかったのだが。
そんな風に思っていると、映像モニタにザク強行偵察型が姿を現す。
ザク・フリッパーがやられたのを察して、エンツォが送り込んできたのか?
それとも偶然何らかの理由でこちらに来る予定だったのか。
その辺りは俺にも分からない。
分からないが、それでも今の状況を思えば敵を攻撃するのに躊躇する必要はない。
ザク強行偵察型も、すぐにガーベラ・テトラ改の姿に、そして後ろから来るシュネー・ヴァイスの姿に気が付いたのだろう。
すぐにこちらから距離を取ろうとしたところで、左のテール・バインダーの110mm機関砲を撃つ。
腕部の110mm機関砲とかは使いやすい……つまり、それだけ弾丸の消耗度が高い訳で、だからこそエンツォやその部下達と戦う時にそちらを使うべく、普段はあまり使わないテール・バインダーの110mm機関砲を使ったのだ。
放たれた弾丸は一瞬にしてザク強行偵察型のコックピットを破壊し、宇宙空間に爆発の花を咲かせる。
その爆発のすぐ側を通り抜け、俺は奥に……エンツォのいるだろう方向に飛び続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:1180
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:2092