転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4267話

「これがアクシズか」

 

 宇宙港に入港したナスカ級の中から、外の景色……アクシズの内部を見る。

 映像モニタに表示されているアクシズは、綺麗にとまではいかないが、それなりに整備されている宇宙港だった。

 もしかしたらエンツォの起こした反乱によって宇宙港もそれなりに破壊されたのかもしれないと思ったのだが、どうやらそんな様子はないらしい。

 あるいは多少は破壊されたものの、俺達がアクシズの外にいる間に片付けたのか。

 ……それはそれで無理があるか?

 ある程度の時間アクシズの外で待機はしていたものの、それでも宇宙港が破壊されたのを直すだけの時間があった訳ではないのだから。

 となるとやっぱりエンツォ派も宇宙港の破壊はしなかったと見るべきだろう。

 もっとも、考えてみればそれは当然の話なのだが。

 もしエンツォの反乱が成功した場合、拠点は当然ながらこのアクシズとなる。

 その拠点となる場所の中でも重要な宇宙港を破壊してしまえば、何かあった時に出撃が難しくなるだろう。

 ……まぁ、エンツォ派の人数が少なければ、ハマーン派が出撃してくるのを防ぐという意味で宇宙港を破壊する可能性はあったが、幸か不幸かエンツォ派はアクシズの戦力の半数以上を引き込んでいた。

 そう考えれば、エンツォにとって宇宙港は破壊せずに残しておいた方がよかったのだろう。

 

「アクセル、準備はいい?」

 

 宇宙港の様子を見ていると、モニクがそう声を掛けてくる。

 モニクの言葉に頷きを返す。

 

「ああ、問題ない。……本来なら俺が表に出る予定はなかったんだけどな」

 

 俺がアクシズに来たのは、ゼロ・ジ・アールやノイエ・ジールの件に関する感謝を告げたり、後はアクシズがどのくらいの技術力を持っているのかを直接見てみたいという思いからだ。

 ゼロ・ジ・アールやノイエ・ジールについての感謝はまだだが、図らずも反乱の鎮圧に協力した為に、技術力をある程度は見る事が出来た。

 具体的には、シュネー・ヴァイスとトゥッシェ・シュヴァルツのようなニュータイプ用に改修されたMSであったり、リゲルグのような改修機であったり。

 あくまでも俺が見たのはそれだけなので、実は他にも色々と表に出ていない技術……まだ開発中という意味でだが、とにかくそういう技術を見たりしたいとは思っていたものの、今回の一件でトップに立つのはモニクの予定だった。

 ……いや、そういう意味では今も変わってはいないか。

 あくまでも表向きのトップがモニクなのは変わらないのだから。

 ただ、ハマーンは俺が俺であると……ルナ・ジオン軍中尉のアクセル・アルマーが、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーだというのを知ってしまっている。

 反乱の時にも、通信でしっかりと話を聞かせて貰うといったように言われていたし。

 そう考えると、モニクがルナ・ジオンの代表としてアクシズの面々と会うのに、俺が行かない訳にもいかなかった。

 ……あるいは、もしかしたら適当に誤魔化せるかもしれないという楽観的な思いが俺にあったのは間違いないものの、モニクを通して送られてきた招待状……いや、招待の文面? にそれとなく俺の事が書かれていたとなると、俺としてもそれを無視する訳にいかなかったのだ。

 いやまぁ、本当に無視する気なら何の問題もなくそういう事も出来ただろう。

 それは間違いない。

 だが、アクシズに興味があるのは間違いないし、それを率いる摂政のハマーンと色々と話してみたいと思っていたのも事実。

 ただ、エンツォの反乱の一件や、後は俺達が転移した場所で遭遇した、反乱の起きたアクシズから逃げ出した艦隊の件とか、色々と向こうも考える必要があったのも事実であり、そう考えると俺との接触はまだ先になると思っていたんだが。

 ハマーンはどうやらそれまで待てなかったらしい。

 ……そこまでハマーンの注意を引くような行動をした覚えはないんだが。

 

「その辺は仕方がないでしょ。ただ……私はアクシズの人と話したところだと、ハマーンはアクセルに不満や悪意を持っている訳ではないみたいよ。そういう意味では安心でしょう?」

「喜んでいいのかどうか、微妙なところだけどな。いや、アクシズを率いる事になったハマーンに悪意を持たれている訳ではないというのは、俺にとって決して悪い事ではない」

 それは分かるんだが……何だかこう、面倒な事になりそうな気がしないでもないんだよな。

 ただの気のせいってだけの可能性もあるのだが。

 

「そうだといいわね」

「……何だか意味ありげな様子だな。何かあるのか?」

「いえ、別にそういう訳じゃないんだけど」

 

 そう言うモニクだったが、何か意味ありげに思えるのは、やはり俺の気のせいという訳ではないだろう。

 もっとも、同時にそれが悪意によるものではないというのも、俺には理解出来たのだが。

 

「とにかく、時間までもう少しです。そろそろ準備をした方がいいのではないですか?」

 

 艦長の言葉に、それもそうかと俺は頷くのだった。

 

 

 

 

 

「これがアクシズか」

 

 何だか少し前に同じ言葉を口にした気がするが、宇宙港を見たのとアクシズ内部をこうして見たのとでは、再度感想を口にするのはそうおかしな話ではないだろう。

 もっとも、アクシズは小惑星の内部を掘削して作った小惑星基地だ。

 そういう意味では、ガンダム開発計画で俺がずっといたフィフス・ルナと同じような感じになるのは間違いないだろう。

 だからといって全く同じなのかと言われれば、そういう訳でもない。

 アクシズとフィフス・ルナではその大きさとかも大きく違うし、並んでいる建物もフィフス・ルナの物とはそれなりに違う。

 ただ、上に太陽があるのではなく天井があるという点では同じだ。

 コロニーの中だと、上には別の地面となっている場所が見えたりするのだが、小惑星だと天井なのだ。

 それが……そう、地下空間にあるかのような印象を与える。

 

「その……申し訳ありません。本来ならルナ・ジオンの方が来たのですから、歓迎のパレードでも行うべきなのでしょうが」

 

 案内役として寄越された、アクシズの役人と思しき男が、申し訳なさそうに言ってくる。

 俺達の案内を任されるくらいだし、アクシズ内部ではそこそこに偉いのだとは思う。

 だが同時に、ルナ・ジオンからやって来た相手……明らかに自分よりも格上の存在に対し、どのように対処したらいいのか分からないという一面もあるのだろう。

 もしここで失礼な態度を取って、その結果アクシズとルナ・ジオンの関係に亀裂が入ったらと。

 ましてや、今はエンツォの反乱が終わったばかりでアクシズも決して落ち着いた状態ではない。

 だからこそ、少しでも友好的な関係を築きたいと……つまり、援助を少しでも多く貰おうと、こうして丁寧な態度で接しているのだろう。

 あるいは単純に、エンツォの反乱を鎮圧してくれた事に感謝の気持ちを抱いているだけかもしれないが。

 その辺りの理由は分からないが、それでも案内役の役人が俺達を丁寧に扱っているのは間違いなかった。

 

「気にしなくてもいいわよ。私はそういうのがあまり好きじゃないし。……どうしてもやらないといけないのなら話は別だけど、今回はそういう訳でもないのでしょう?」

 

 モニクの言葉に、役人は微妙な表情を浮かべる。

 多分、役人にしてみればパレードをやって反乱の一件は忘れて貰いたいとか、そういう風に思っていたりするのかもしれないな。

 これはあくまでも俺の予想であって、実際にどうなのかまでは分からないが。

 

「そうですね。今回はパレードが出来ませんが、今度ルナ・ジオンから誰か来られたのなら、盛大にパレードをやりたいところです」

 

 モニクはあまりそういうのは好きじゃないって言ったんだが?

 そう思ったが、どうやら役人はモニクの言葉をアクシズは今は大変だから、気にしないようにと受け取ったらしい。

 実際、モニクにそういう思いがなかったと言えば嘘になる。

 そういう意味では、役人の言葉も決して間違っている訳ではないのだ。

 モニクもそれは分かっているのか、役人の言葉を訂正したりはしていない。

 

「それで、これからの行動だけど……」

「はい、まずは宮殿に向かい、そこで式典……と呼べる程のものではありませんが、歓迎の儀を行います。それが終わったら、交渉が本格化する事になると思いますが、構いませんか?」

「ええ、当初の予定通りなら問題ないわ。それに出るのは私と艦長だけなのよね?」

「その予定です。出来れば、こちらとしてはアクセル中尉にも参加して欲しいのですが……」

 

 車を操縦しながら、役人がこちらを見てくる。

 とはいえ、さっきも言ったがそういう場所は俺にとって決して好ましい場所ではない。

 ただ、役人の気持ちも分かるんだよな。

 役人……いや、アクシズ側にしてみれば、俺はアクシズを率いる事になったハマーンがピンチの時に颯爽と駆けつけ、トゥッシェ・シュヴァルツを相手に苦戦していたハマーンを救った後は、そのハマーンと一緒にエンツォ率いる反乱軍を次から次に倒していったのだ。

 それも可能な限り相手を殺さず、MSの四肢や頭部を破壊するという方法で無力化して。

 アクシズ側にしてみれば、それはかなりありがたい事だったのは間違いない。

 純粋にアクシズの戦力としてもそうだし、戦力の半分以上がエンツォ側に付いたという事は、当然ながらアクシズの一般市民にはエンツォ派として反乱に参加した兵士達の家族、夫婦、恋人といったような関係の者が多数いる。

 そうなると、反乱を起こしたと知っていても……それを込みで考えても、やはり自分の大切な相手が殺されたと知れば、恨みを抱いてしまうだろう。

 だが、エンツォ派の兵士達の大半は生きている。

 取りあえず、俺とハマーンが倒した相手は、その大半は生きていた。

 ……もっとも、中には手足と頭部を失った際に何らかの致命的なダメージが機体にあり、結果として死んだという者もいるかもしれないが。

 それでも取りあえず俺のステータスにある撃墜数は上がっていないのを考えると、俺が倒した相手は死んでいないのは間違いないと思う。

 ハマーンが倒した方は分からないが。

 また、俺が倒した奴についても、宇宙空間を漂っている時に死んだら俺の撃墜数が上がるのかどうかはまだ不明だったりするが。

 とはいえ、俺が殺した訳ではないと思っておく事にしよう。

 それに、俺とハマーンが戦った相手についてはそれでいいとして、他の場所で戦っていた者達にしてみれば、当然ながら殺さないといったような事をしている余裕はなく、ひたすらに目の前の敵を倒すのに集中していた。

 そういう意味では、家族、夫婦、恋人、友人……そんな者達が今回の反乱で死んだ者も少なからずいるのは間違いのない事実だった。

 

「アクセル、参加したら?」

 

 モニクのその言葉に、仕方がないかと思い直す。

 アクシズとの関係は良好な方がいいのは間違いない。

 それにモニクがこういう風に言ってくるという事は、そうした方がルナ・ジオンにとっても……そして俺にとっても良い事なのだろうし。

 であれば、俺が面倒だからという理由で式典に参加しないというのは止めた方がいい。

 

「分かった。じゃあ、参加しよう」

「ありがとうございます」

 

 役人が俺の言葉にそう感謝の言葉を述べる。

 もし車を運転していなければ、深々と頭を下げていただろう。

 そのくらい、役人の言葉には感謝が込められていた。

 この様子からすると、役人の上……アクシズの上層部から俺にも式典に出るようにとしっかり言い含められていたんだろうな。

 ただ、上とはいえ、それはトップ……ハマーンではないのは事実だろう。

 もしハマーンだったとしたら、わざわざ俺に式典に出るようには……うーん、でも俺と話すという事を考えると、式典に出るように要望くらいは出すのか?

 その辺はちょっと分からない。

 ただ、今の状況を思えばそうなってもおかしくはないだろうと思うが。

 

「それにしても、アクシズの連中もよくハマーンの摂政就任を認めたな。普通に考えれば、まだ若いから……って風に思われるんじゃないか? 実際、エンツォが反乱を起こしたのはその辺も理由にあるんだろうし」

「ええ、まぁ……そうですね。ただ、アクシズにも色々とあるんですよ」

 

 何かを誤魔化すように役人が言う。

 けどまぁ……だろうな。普通に考えて何らかの理由がなければ、ハマーンが摂政という地位に就くのは不可能だろう。

 問題なのは、その色々というのが何なのかだが……まぁ、この辺については俺がどうこう言うような事じゃないか。

 あくまでもアクシズ内部での話なんだろうし。

 であれば、取りあえずそういうものだと納得しておくしかないだろう。

 もしかしたら、後で分かるかもしれないし。

 分からないのなら分からないで、その時はまた別の……自分に相応しい行動をすればいいだけなのだから。

 そうなったらそうなったで面白い事になるかもしれないけどな。

 そう思いながら、俺はアクシズの中を車に乗って進むのだった。

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