転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4269話

 パーティの中で変装したハマーンと遭遇し、世間話をする事になる。

 もっとも、変装と言っても俺が知ってるハマーンはパイロットスーツを着ているハマーンだけなので、今のこのハマーンを見ても特に変装してるとは思えないのだが。

 ただ、実際に変装が上手くいっているのは、今こうしてパーティ会場にいる誰もが俺と一緒にいるハマーンを見てもハマーンだと認識出来ていない。

 そう考えると、ハマーンの変装は上手くいってるのだろう。

 

「とはいえ、世間話と言われてもな。……ちなみにハマーンの言う世間話ってのは、例えばこの前地球で起こったデラーズ・フリートの星の屑についてとか、そういうのじゃないんだよな?」

「それは世間話というより、地球圏の最新情報だろう? いやまぁ、その話にも興味がないと言えば嘘になるが……」

 

 そう言いつつも、ハマーンにとって出来れば違う情報の方がいいらしい。

 となると……モニクとかとデートする時にクレイドルの街中を歩いていてするような話題とかがいいのか?

 

「例えば、クレイドルでは最近パスタ系の店が流行ってるとか?」

「パスタ……元々人気の料理な気もするのだが」

 

 訝しげに言うハマーン。

 実際、その言葉は間違っていない。

 元々パスタは人気の料理で、クレイドルにも色々とパスタの店があるのは俺も知ってる。

 そういう意味では、ハマーンの言葉も間違っていないのだが……

 

「一般的なパスタじゃなくて、いわゆる和風パスタって奴だな。タラコパスタとか、キノコと鮭の醤油バターパスタとか、ナポリタンとか」

 

 そう言うと、ハマーンは戸惑ったような表情を浮かべる。

 ハマーンもずっとアクシズにいた訳ではない。

 以前は地球圏にいたのだから、日本という国……いや、連邦という国だから、日本という地方といった表現の方が正しいのか?

 ともあれ、日本という場所は知っていても、何故その日本の料理が流行ってるのかと疑問に思ってもおかしくはない。

 特にUC世界では0083……つまり、国という枠組みがなくなってから83年が経っている。

 つまり、ハマーンにしてみれば生まれた時から既に日本という国はなかったのだ。

 もっとも、国がなくなっても文化がなくなった訳ではない。

 今でも和食や寿司、天ぷら、すき焼き……そういうのは普通にあるし。

 

「ナポリタンという料理は……その、ナポリで出来た料理ではないのか?」

 

 少し戸惑った様子でハマーンが聞いてくる。

 ハマーンにしてみれはば、ナポリタンという名前を聞けば、やはりナポリの料理だろうと予想するのは当然の流れなのだろう。

 だが、俺はそんなハマーンの言葉に首を横に振る。

 

「いや、ナポリタンは日本で作られた料理だ。……何がどうなってナポリタンという名前になったのかは分からないが、多分ナポリをイメージして作ったとか、そういう感じなんだろうけど」

 

 もっとも、そのナポリタンは基本的にナポリ……というか、イタリアの住人にしてみればとてもではないが美味いとは思えない……いや、不味い料理らしいのだが。

 基本的にはタマネギ、ピーマン、マッシュルームで、後はウィンナーやベーコンを具にして、トマトケチャップで炒め、そこに茹でたパスタを絡めて出来上がりといった料理だ。

 それこそ、料理がそこまで得意な訳でもない俺でも少し手間取るが作れる料理だ。

 ……まぁ、これは本当に一般的な作り方で、料理が得意な人ならもっと手を加えたりするんだろうが。

 実際、以前ペルソナ世界で見たTVでは、前日に茹でたパスタを使うとかやってた気がするし。

 ともあれ、俺にしてみれば簡単に出来るけど美味いといった感想なんだが……イタリア人にとって、受け付けないらしい。

 味覚は人それぞれなので、イタリア人の中にもナポリタンが好きだという奴はいるのかもしれないが。

 

「タラコパスタ……というのは?」

「一般的にはバターやオリーブオイルでタラコを解して、それに茹でたパスタを絡める料理だな。実際にはタラコに火を通したりするんだが、俺は生の方が好みだ」

 

 おにぎりとかでも、焼きタラコよりも生タラコの方が好きなんだよな。

 この辺は人によって違う。

 俺は生が好きだが、火を通した方が好きだという奴もいるし。

 

「……なるほど。そのような料理が……」

「他にもお茶漬け風パスタとか、漬物を使ったパスタとか、そういう和風のパスタも人気らしいな」

「興味深いわね」

 

 ……わね?

 いやまぁ、今の言葉遣いは少し無理をしているのは分かる。

 なので、その件についてこれ以上突っ込むようなことをするつもりはなかったが。

 

「ただ、人気になると一気に似たような店も出てくるようになってな。取りあえず表向きはそういう和風パスタの店として、実際にはかなり不味い料理を出す店もあるらしい。……この辺は自分が儲ける事を考えると、当然なのかもしれないけどな」

 

 何かが儲かると知ると、同じような店が一気に増える。

 それによって流行が増すという点もあるのだろうが、残念ながらそういう粗雑な店が増える事によって結果として飽きられるのも早くなるのは事実。

 

「アクシズではそういうのはないのか?」

「生憎と、アクシズではそのような事をしているような余裕はないのでな。……勿論、私が知ってる限りではの話で、私の知らないところではそのような事になっている可能性も否定は出来ないが」

 

 このハマーンの様子を見ると、どうやら好き勝手に街中に出るといった事は出来ないらしい。

 考えてみれば当然か。

 今はアクシズを率いる立場だし、前……まだマハラジャが生きていた時は、その令嬢といったような形だったのだから。

 あるいは街中に出るとしても、護衛とかが一緒でないと難しかっただろう。

 勿論これはあくまでも俺の予想であって、実際にはどうなのかは分からないが。

 

「しかもエンツォの反乱によって、街中でも色々と変わるのは間違いないしな」

「それは否定出来んな」

 

 ふぅ、と息を吐くハマーン。

 エンツォの反乱によって、アクシズの戦力の半分以上が裏切った。

 勿論、その多くは最終的には殺されないままでエンツォの反乱は鎮圧されたものの、それでも死んだ者が多い。

 そうなると、その家族も今まで通りの生活を続けるのは難しく、働いたりする必要があるだろう。

 だからこそ、金を稼ぐ為に働きに出て、店をやるというのはおかしな話ではない。

 もっとも、店をやると一口に言ってもそう簡単に出来るようなものではないのだが。

 例えば当然ながら店をやるとしても、誰かの店で働くのか、誰かと一緒に店を経営するのか、自分だけで店を持つのかといった事でも色々と違ってくる。

 そして誰かの店で働く以外の選択肢だと、当然ながら店を運営する為の資金が必要となるだろう。

 ……普通に考えて、金が必要だという者が新しく店を開くのは厳しいだろう。

 蓄えがかなりあって、それを使って店をやる……というのなら、まだ納得も出来るだろうが。

 ただ、これからの生活に不安を持つのなら、現在ある蓄えを切り崩すのに抵抗を感じるのも、間違いないし。

 

「俺が言うべきことじゃないかもしれなけど、これからのハマーンの行動によって生活で苦しむ人が増える可能性も十分にある。その辺りのフォローが大変そうではあるけど、頑張れよ」

「私がこのアクシズを率いる以上、誰にも苦労をさせない……とまではいかないが、それでも可能な限り苦労する者を減らすよう努力はしよう」

 

 そう言うハマーンの言葉には、やる気が満ちていた。

 摂政になって早々に反乱を起こされたのに、それでもこうしてやる気を失わないのは素直に凄いよな。

 ハマーンの様子に感心しながらも、ふと気が付く。

 

「そう言えば、俺達がするのは世間話じゃなかったのか?」

「それは……」

 

 ハマーンも自分が今何を話していたのか、気が付いたのだろう。

 驚いた様子で、何を話していたのかを思い出す。

 

「まぁ、世間話と言っても今のようなのも一種の世間話なのは間違いないしな。そういう意味では、決して間違ってはいない……と思う」

「そうだろうか?」

「世間話の内容も、人によって違うしな。俺達の世間話の場合は、そういう感じだったってだけだろ」

「……そうか。では、そう思っておこう」

 

 偉そうな言葉遣いとは裏腹に、俺の言葉に心の底から安堵した様子を見せるハマーン。

 アクシズを率いる摂政としては、まだまだこれからといったところか。

 とはいえ、アクシズの運営についてはそれなりに難しい事になりそうなのは間違いない。

 いっそ、量産型Wやコバッタを派遣した方がいいのかもしれないな。

 勿論重要な判断とかそういうのは人がやる必要があるのだが、それはつまり重要ではない仕事……雑用の類は量産型Wやコバッタでも十分に出来るという事を意味していた。

 そして重要な判断というのは、雑用に比べてそう多くはない。

 仕事全体の比率で考えれば、圧倒的に雑用の方が多いのだ。

 ……もっとも、仕事の重要性という意味で考えた場合は当然ながらそのような判断が大きな意味を持つのは間違いないが。

 

「後でモニクとも話をする必要があるけど、量産型Wやコバッタを派遣しようか?」

「は? 一体、何を……?」

 

 何故かいきなり量産型Wやコバッタの派遣といった話をしてきた俺に、ハマーンは戸惑った様子を見せる。

 

「今のアクシズは人手不足だろう? 量産型Wやコバッタがいれば、その人手不足もある程度解消する筈だ。……まぁ、アクシズの住人が量産型Wやコバッタを受け入れたらの話だけどな」

 

 俺にとって量産型Wやコバッタは慣れている。

 いや、慣れているというよりも、いて当然といった存在だ。

 何しろ、シャドウミラーの規模と所属人数を考えれば、量産型Wやコバッタがいなければとてもではないが国の運営は無理だしな。

 ……これでも、ナデシコ世界に行くまでは、コバッタを使わずに量産型Wだけでどうにかしてたんだよな。

 勿論、量産型Wとコバッタでは、圧倒的に量産型Wの方が性能は上だ。

 だが、性能が上だからといって何でもかんでも量産型Wを使えばいい訳ではないのも事実。

 例えば、仕事を終えるのに必要な労力を10とするところに、100の能力を使える量産型Wと20の能力を使えるコバッタ。

 この場合量産型Wとコバッタのどちらを使っても仕事は終えられるが、量産型Wの場合は90の能力を無駄にするのに対し、コバッタは10の能力を無駄にする程度だ。

 実際にはここまで単純な話ではないが、それでも以前はこんな感じだったのだ。

 それに量産型Wとコバッタでは、作るのに必要なコストも大きく違うしな。

 そういう意味で、コバッタでどうにか出来るのなら、わざわざ量産型Wを使う必要がないのも事実。

 そんな訳で、コバッタを使えるようになってからホワイトスターの仕事の効率はかなり上がったのは間違いなかった。

 

「嬉しい話ではあるが、この場で答えられる事ではないな」

「だから、モニクと話をした方がと言ったんだが。……ただ、量産型Wやコバッタがいれば、間違いなくアクシズの運営は今よりも大分……いや、劇的に楽になるとは思う」

「心に留めておこう」

「ちなみに知ってるかどうかは分からないが、ルナ・ジオンにおいては量産型Wやコバッタがいるお陰で治安はかなり良い。それにスパイや破壊工作員とかがいても、そういう連中が何かをするよりも前に捕らえたり出来るな」

「……何?」

 

 俺の言葉にハマーンの視線は強くなる。

 いわゆる、目力が強くなったといった感じか?

 俺としては何となく言ったつもりだったんだが、どうやらハマーンにとってこの件は聞き逃せなかったらしい。

 何故?

 一瞬そう思ったが、すぐに納得する。

 そう言えば、アクシズには多数の派閥の者達がいる。

 その中には、何らかの手段で外部と連絡を取っている者もいるだろう。

 そんな中での最有力候補となると、キシリア派か。

 アクシズの存在する場所は、火星からそう離れていない。

 つまり、アクシズから一番近くに存在する人の集団は火星にいるキシリア派という事になる。

 ましてや、火星にはキシリア本人がいるんだし。

 デラーズ・フリートの星の屑を見れば分かるように、キシリア本人がいなくても陰謀を企み、それを実行する事は可能だ。

 だが、当然ながらキシリア本人がいた方がよりスムーズに……スピーディに陰謀を進める事は出来るだろう。

 だからこそ、キシリアが近くにいる中でその陰謀をアクシズに向けてきた場合、止めるのが難しい。

 しかし、量産型Wやコバッタがいればどうなるか。

 それだけで完全に陰謀を防げるかと言われれば、それは否だろう。

 否だろうが、それでも何かあった時に対処が出来るかどうかというのは大きく変わってくる。

 ……そこまでするのなら、いっそ火星を攻めた方がいいのでは?

 そう思わないでもなかったが、地球から離れた場所にジオン軍残党を纏めておけるというのは、連邦にとっても、ルナ・ジオンにとっても……そしてジオン共和国にとっても、助かることなのは間違いなく、そういう意味で火星を攻撃するというのは却下だった。

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